先に言っておこう!
創真と郁魅、ごめんなさい。
『遠月スポーツ』、通称『遠スポ』。学園の黎明期から続く伝統ある校内新聞で、学内とその周辺のあらゆる情報を網羅し、ほぼ毎日発行される。公式行事の特集等を掲載している。
諸星side
ももとの作業から一日経ち今は仕事部屋のソファーで寛いでいる。平日は、誰かに呼び出されたり仕事や授業がない限りは基本的にここにいる。
今日は今のところすることがないので、新作を練りながらゆっくりとしている。いや〜仕事がないって幸せだな。あ、そういえば遠スポが発行されてたな。どれどれ…ん?
「なんじゃこりゃあああ〜〜〜〜〜!!」
勢いよく立ち上がり俺の叫びが部屋に響き渡った。
と、と、とりあえず落ち着こう。深呼吸深呼吸…よし!落ち着いたところで見直そう。
『編入生 食戟 対戦相手は肉料理の猛者『ミートマスター』水戸郁魅』
ソファーに座り直し、額に手をあて呆れてしまう。はぁ〜…早速かよ。しかも創真は丼研の命運と退学を賭けて、水戸さんが負けた場合は部費の増額、調理場の増設と水戸さんが丼研に入るって…あいつはやっぱり馬鹿なのか…?いつか何かをやらかすとは思ってたけど、こうも早いと驚きを隠せない。あれ?でもこの食戟は元々、丼研対えりなちゃんだったような…本当に何があった…
とりあえずもう全部決まってしまったみたいだし、焦っても仕方ない。俺にできるのは信じてやることだけだしな。ってか寮の皆は俺にも教えてよ…あ、昨日は帰ったら直ぐに寝落ちしちまったんだった。ももに膝枕してて軽く寝たけど、眠気が飛びきらなくてそのまま…朝は英士の新作を食べるからってふみ緒さんに断って早く出ちまったから誰とも会わなかったし…
昨日と朝の俺の馬鹿!
食戟の結果は創真が無事勝利した。正直ホッとしたわ。水戸さんのA5和牛を使用した“ロティ丼”に対して、まさかスーパーの特売肉を使った“シャリアピンステーキ丼”とはな。
なんにしても良かった良かった!いくつになっても仲良くなったやつとの別れとかやっぱり辛いしな。
食戟当日は、俺ももちろん会場に赴いた。慧を除いた極星寮生と共に応援をし、写真を撮っていた。周囲の観客達は、俺と特別席にいたえりなちゃんが観に来たことに驚きどよめいていたが、心配が勝りさほど気にはならなかった。
今は仕事部屋で撮った写真をアルバムに淹れている。いや〜また後輩アルバムが厚くなるな。幸せ〜♪
さて、何故こんなに現実逃避的なことをしているかというと、久しぶりに冬輔と綜明以外の三年の休日が重なったので何かしたいということで、テーブルを囲んで明日の休日について話している瑛士と竜胆とももによる計画のせいである。といっても瑛士と俺はほぼ空気だが。ちなみに冬輔と綜明は、それぞれ料理の試食があるらしく参加できないとのことだ。
「私は食べ歩きが良いなぁ〜」
「ももは買い物したい」
「………」
さっきからこれの応酬である。さっきまで発言してた瑛士は黙っちゃったし。
「ってかそれぞれでやりたいことやればいいじゃん」
俺の発言でパァッと笑顔を咲かせ、首を縦に振る瑛士と、此方を睨み付けてくる竜胆ともも。いや、そんな顔で見られても困ります。
「ほ、ほら。俺も後輩たちとーー「「予定でもあるの(か)?」」…な、無いです…」
怖いよ!もうこっちの防御力皆無だよ!瑛士なんて両膝抱えて震えちゃってるよ!
「んで二人はどうしたいわけ?」
「そうね。一応聞いてあげる」
「だから俺はゆっくり休みーー「「却下」」………」
ドンマイ瑛士。後で飴ちゃんあげよう。
こうなったら二人とも譲るつもりはないだろう。こうなれば折れるのはこちら側だ。もう慣れたよ…慣れたくなかったけど…
「はぁ〜…そんじゃ、いっそのこと二つともやればいいじゃん。別に食べ歩きしながらでも買い物はできるしな」
溜め息を吐き提案をすると二人して、「あ、そうか」みたいな顔をした。竜胆はともかく、ももは普段ならこれくらい気づいただろ…
そんなこんなで明日の予定が決まった。無理やりだけど…
瑛士すまん。俺もお前もあいつらには敵わないんだよ…あれ?なんか泣けてきた…
竜胆side
久しぶりに皆の休日が重なった。冬輔と綜明は残念だったけど、仕方ない。でも楽しみだな〜♪
十傑に選ばれてから、中々こんな機会は無かったからな。
自然とスキップをしてしまう。それくらい私は浮かれていた。圭と瑛士は乗り気じゃなかったけどそんなの知ったこっちゃない。楽しければいいのだ。
自分の部屋に着き、明日の準備をしていると、脳裏に浮かぶのはもものあの表情。
今までもあの表情はうっすらとだが見せたこともある。でも、今日のは恋する乙女の表情だった。恋は興味があるけどしたことはない。漫画や映画だけの知識だけど、ヒロイン達が浮かべていた表情に似ていた。
ももは…圭のことが好きなのか?それなら応援してあげなくちゃな!
ふと鏡を見ると、映っていたのは辛そうな顔をした私の顔だった。
なんで?親友達の幸せを願うのは当たり前だろ!?なんでそんな辛そうな顔をしてるんだよ!?…それにさっき一瞬だけ浮かんだ、圭とももが手を繋いで二人で何処かへ行ってしまう姿に、胸がズキリッと痛んだ。わからない!わからないよ…
私は訳がわからなくなり、枕を抱いて布団に潜り込んだ。
「苦しい…助けてよ………圭…」
私の脳裏に浮かぶのは、優しく微笑む圭と、その横に立ち幸せそうな笑顔を浮かべるももの姿だった。
ももside
ももは部屋に着いた後、明日の準備を終わらせベッドで横になっている。明日は皆でお出かけ。楽しみだな〜♪でも、何よりも嬉しいのは圭と出掛けられること。
この感情に気づいたのは、十傑に選ばれて、あまり圭と遊ばなくなってから。会議や学校では会ったりもするけど、会議は仕事だし、学校で会ったとしても大した時間ではない。
だから、昨日久しぶりに会えて嬉しかった。ちょっと積極的になり過ぎたかとも思うけど、あの鈍感馬鹿にはこれくらいしないとダメ。
そういえば、竜胆は圭のことどう思ってるんだろう?今日会った時も、特別変わった雰囲気ではなかったし…でも、あの日から竜胆が圭を妙に構い始めたのは確かだし…ただ、友人としての心配なのかな…?でも、たまに見せるあの慈愛溢れる表情は好きな人を思う感じに見える。あの表情を見せるのは、ももが知る限りは圭にだけだ。
「う〜ん…考えてもわからないや」
今度、それとなく探りを入れてみよう。
もし、竜胆も圭のことが好きならその時は…
ももはそんなことを考えながら眠りについた。
自分の気持ちがなんなのかわからない竜胆と決意したもも。
今回は女子二人にお互いの観点から主人公との間にある感情等を見てもらいました。
初恋の時ってその時はわからないものかと思い、竜胆には苦しんでもらいました。竜胆らしいかどうかはわかりませんが。
でも、こんな竜胆も有りかな〜って。
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それでは!