極星寮のお兄さん?   作:ジョニーK

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お待たせしました。
タイトル通り、今回で宿泊研修編が終了です。


それではどうぞ!


第十六話〜宿泊研修終了〜

宿泊研修も三日目が終了し、今は四日目のプログラムが終了し、残った生徒達が大宴会場に集められたところだ。皆かなり疲れてるな。顔や態度に出てるやつもいれば、平然としつつも疲労の色が隠せてないやつもいるな。う〜ん…この後の死刑宣告に近い発表を受けて精神が持つだろうか…

極星メンバー達はなんやかんやで徹夜で遊んだりお互いの報告もしてたみたいだけど、若いっていいね!あ、これ卒業生とかふみ緒さんの前で言うと、かなり怒られるから決して口には出してはいけない。聞かれた日には………いかん…想像したら冷や汗が…

頭を振り気持ちを切り替え、壇上に出てきた堂島さんに視線を向ける。

 

 

「全員、ステージに注目。集まってもらったのは他でもない。明日の課題について連絡するためだ。課題は、この遠月リゾートのお客様に提供するに相応しい朝食の新メニュー作りだ。朝食はーー」

 

 

堂島さんの説明は続き皆静かに聞いている。メイン食材は“卵”か。新鮮な驚きのある一品ねぇ…はてさてどんな品が出来上がるのか楽しみだ。俺も食べたいな…後で堂島さんにお願いしてみるか。

 

 

「審査開始は明日の朝6時だ。その時刻に試食できるよう準備してくれ」

 

 

朝の6時と聞いてざわめき出す一年生達。しんどいよな。俺も朝弱いからわかる…わかるぞ!この鬼!悪魔!銀!

 

 

「朝までの時間の使い方は自由。厨房で試作を行うも良し。睡眠を取るも良しだ。では明朝、また会おう。解散!」

 

 

解散の号令と共に阿鼻叫喚の嵐。まるで地獄絵図だな…ってか解散って言った時の顔、怖すぎです堂島さん…

創真はタクミ君に絡まれた後、何やらえりなちゃんに話しかけてる。二人の様子を見る限り…仲は良い…のか?

緋沙子ちゃんが来ると二人は去って行った。極星メンバーも悠姫の気合い入れと共に去っていった。ここまで来れば、後は根性だな。頑張れよ!

さて、俺は堂島さんの所にでも行きますか。

 

 

 

 

 

 

堂島さんに明日の試作のお願いをしたけど、ダメだった…最終合格者達へのご褒美の準備を手伝えとの事だ。なんでも卒業生達が、今の実力をチェックしたいとか…え?なにそれ?怖い過ぎる!いや、手伝えるのは嬉しい。何せ、遠月卒業生の実力を間近で見れる滅多に無い機会だ。手伝わせるって事は、それなりには評価を貰えてるって訳だし。でも!怖いものは怖いんだ!ああ…明日は気合い入れないと…

トボトボと部屋に戻ろうと歩いていると、反対側からえりなちゃんが歩いてきた。

 

 

「こんばんは、えりなちゃん。もう試作は終わったのかい?」

 

「こんばんは、諸星さん。はい、先ほど終わりました。そういう先輩は?」

 

「俺?俺は明日の試食をできるようお願いしてきたんだけど…ダメだった…」

 

 

ガックリと項垂れると、苦笑をされてしまった。あ、そうだ。良い機会だから気になってた事を聞いてみるか。

 

 

「そういえばえりなちゃんさ、創真と仲良いの?」

 

「は、はあ!?そんな訳ありません!」

 

 

質問をした瞬間、驚愕するも直ぐに怒りながら否定をされてしまう。

 

 

「そ、そっか。なんかごめんね?怒らせちゃったみたいで」

 

「べ、別に怒ってません!」

 

 

苦笑を浮かべながら謝ると、またしても怒らせてしまった。なんだろう…久しぶりに話したからか対応に困る。いつもは緋沙子ちゃんが一緒で、そっちを弄ってたから少し新鮮かも。

 

 

「お、おう。じゃあそういうことにしとこうか」

 

「じゃあってなんですか!?じゃあって!」

 

 

いかん。何か喋る度に怒りメーターが振りきれてる気がする…息切らせちゃってるし。

 

 

「あ〜…ごめんね?もう休むんでしょ?俺も戻るから」

 

 

乱れた息を整え、落ち着きを取り戻したえりなちゃんは「おやすみなさい」と一言告げて部屋へと去っていった。さて、俺も本当に戻ろう。

 

 

 

部屋に戻り、ベッドに腰かけ携帯をチェックすると、瑛士からメールが来ていた。仕事は問題ないこと。こちらの近況を報告すること。そして…例の説明が終わったら勝負をしたい、と。勝負…か…

お礼と近況を簡単に連絡し、勝負に関しては、卒業迄に必ずすると約束した。瑛士も了承してくれたようだ。少し返信に時間がかかった事から、悩んだのだろう。瑛士的には、直ぐにでもやりたかったのかもしれない。でもまだダメだ。今の俺のスペシャリテじゃ…勝てない。だからもっと高みへ…俺のスペシャリテが進化しなければ…その為にも明日の手伝いは頑張ろう。盗めるものは盗む。もう誰にも負けないように。

瑛士との連絡を終えて風呂に入り、部屋に戻ると携帯が鳴っていた。誰かと思い確認すると竜胆からだった。

 

 

「ただいま電話に出ることが出来ません。ピーっという発信音の後ーー「そういうの良いから」ーーはい」

 

 

悪ふざけをすると、一蹴されてしまった。なんだよ。少しくらい付き合ってくれたって良いじゃん。

 

 

「んで、どした?」

 

「いや、その…元気にしてるかなって」

 

 

なんだろう。竜胆にしては少し歯切れが悪い気がする。

 

 

「連絡ならちょいちょいしてただろ?」

 

「そうなんだけどさ……ああ!もう!」

 

 

少しの間の後、いきなり叫ばれてしまった。驚いて電話を離し、文句の一つでも言ってやろうとするが向こうにいるもう一人に阻まれてしまう。

 

 

「あのなあーー「ちょっと竜胆!代わって!」ーーえっと…ももか?」

 

 

何故かはわからんが、どうやら竜胆とももは一緒にいるようだ。もう遅いし、パジャマパーティーでもしてんのか?

 

 

「そうよ。今、竜胆とパジャマパーティーしてるの。それで聞きたいことがあるから電話したの」

 

 

よっしゃ!正解だ!正解者には豪華景品が贈られます!…いかん。また疲れからか変なテンションになっちまった。小さく息を吐き落ち着かせる。

 

 

「そうか。それで聞きたいことって?」

 

「合宿で何があったの?」

 

 

竜胆が聞こうとしてたのはそれか。

 

 

「えーっとだなーー「待って!スピーカーに変えるから」あ、いや、待て」

 

 

俺の静止が聞こえなかったのか返事が返ってこない。スピーカーに変えたのか「はい、どうぞ」とももから言われてしまう。間に合わなかったか…

 

 

「えーっとだな…その辺も含めて皆が集まってから説明しようかと思ってるんだが…」

 

「………」

 

 

そう言うと、しばらく沈黙が続く。あれ?切れてないよな?携帯を確認するとまだ切れてない。耳に携帯をあて直す。その直後ーー

 

 

「「バカ!!」」

 

 

ーー二人からの大声の罵声が飛んできた。耳痛い…

何か言い返してやろうとすると既に電話が切れていた。あいつら………帰ったらお仕置きだな。

携帯をベッドの上に置くとメールが来た。もう!こっちは早く寝たいのに誰だよ!

確認すると竜胆とももからだった。メールには『待ってる』と一言だけだった。はぁ〜…だったらさっき素直にそう言えよ。

俺はさっきの仕返しも兼ねて『もう少し素直にならないと好きになったやつに嫌われるぞ』と送ってやった。すると、二人同時に『バカ!アホ!天パ!』と返信が来た。…また天パを馬鹿にしやがった!許すまじ!

その後は、いつものようなやり取りが続きメールを終え、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

次の日、一年生達による朝食の試食会が始まった。俺はモニタールームでそれを時間が来るまで見学している。かなり出来の良さそうなのが各調理場の前に並んでいるのが映っている。良いなあ…俺も食べたい。

そんなことを考えていると創真の料理が映る。しかし、映るのはどれも萎んでしまっていた。どうやら、今回のビュッフェ形式において最悪の料理を出してしまったようだ。あちゃ〜、これは不味いかもな…

会場からモニタールームに戻ってきた堂島さんに時間を告げられ、俺はモニタールームを後にした。とりあえず、他の極星メンバー達はなんとか大丈夫そうだったけど、創真が心配なくらいか。

 

 

 

次の研修の準備を終え、ホテルのスタッフから移動の指示をされる。

俺は予定通り、今回のスペシャルコースを作る卒業生達がいる厨房に移動し、簡単に挨拶を済ませて調理器具を準備していると四宮さんが話しかけてきた。

 

 

「諸星、お前は見学だ」

 

「へ?」

 

 

突然そんなことを言われたもんだから、アホ面で呆けてしまった。

 

 

「堂島さんから、見学させてやれって言われてな。今回は特別だ」

 

 

どうやら手伝いの件は、俺をここに来させるための方便だったようだ。

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

頭を下げお礼を言うと、卒業生達が調理を始めた。卒業生達の動きは全くの無駄がなく、一つ一つの作業が洗練されていた。やべぇ…マジで凄い…改めてこの人たちの凄さを目の当たりにした。鳥肌が止まらない。っていかんいかん!しっかりと目に焼き付けなきゃな!

その後も調理は続き、料理が完成する。すると、前菜から一皿ずつ順番に離れて置かれた机に並べられた。何事かと卒業生達に近づくと、関守さんが声をかけてきた。

 

 

「諸星、今回はサポートご苦労だったな。これは俺達卒業生からのお礼だ。」

 

「へ?えっと…」

 

「ささっ、座って座って」

 

 

関守さんの言葉に戸惑っていると、乾さんに椅子に座らせられる。未だに戸惑っていると、次は水原さんが声をかけてきた。

 

 

「諸星、何があったのかは私達は知らない。でも四宮と幸平の食戟の時、何か決意したような目をしていた。これは私達からの餞別とお礼だから遠慮すること無い」

 

 

水原さんの言葉に卒業生達が頷く。四宮さんは、鼻を鳴らして顔を背けているけど。

 

 

「ありがとうございます。それでは遠慮なくいただきます」

 

 

前菜から順番に食べていく。どれも本当に美味しい。帰ったら皆に自慢してやるか。そんなこんなで時間は過ぎていき、各々に感想を求められるので順に述べていくと、ホテルのスタッフが合格者数を言って、また卒業生達が調理を始めた。四宮さんが厨房から出ようとするスタッフに創真と恵が合格しているかを確認していた。その姿を見つけた乾さんがまた絡んで制裁を受けているのを見て、つい笑ってしまった。後で、堂島さんにもお礼言わなきゃな。

 

 

 

 

 

 

厳しい宿泊研修を生き残った一年生達が一つのホールに集められた。まだ何かあるのかとざわめく一年生達。そして、堂島さんからの激励の言葉と合図により、別室の扉が開き、ホテルのスタッフに誘導され席に着く。どうやら極星メンバーは一つに纏まってるみたいだ。俺も一声かけとくか。

 

 

「おっす。皆、お疲れ様だったな!」

 

 

そう言って近づくと皆が「お疲れ様です」と挨拶をしてくれた。善二だけは呆けたままだけど。しばらく皆と談笑していると、知り合いを見つけたので移動した。

 

 

「よっ!久しぶりだな。アキラ」

 

「ん?って諸星先輩か。お久しぶりです」

 

 

アキラは俺に気づくと一礼をして挨拶をしてきた。

 

 

『葉山アキラ』、俺がえりなちゃんと一悶着あった時に行った、汐見ゼミの助手だ。あの時に汐見さんと一緒に色々とアドバイスをしてくれた後輩だ。

 

 

「とりあえず研修お疲れ様。汐見さんは元気にしてるか?」

 

「ありがとうございます。潤なら相変わらずですよ」

 

 

丁寧に一礼をして、微笑を浮かべて話すアキラ。相変わらず汐見さんの事が大切なようで。

昔話や今回の研修の事を話す。十分に楽しんだ後、また知り合いを見つけたので移動をする。

 

 

「久しぶり。アリスちゃん、リョウ」

 

「あら、諸星さんじゃない。お久しぶりね」

 

「どもっす」

 

 

食事していた手を止めて二人が挨拶を返してくる。

 

 

『薙切アリス』ちゃん、えりなちゃんの従姉妹で、日本人とデンマーク人のハーフ。遠月に編入するまでは『薙切インターナショナル』で、最先端の理論に基づいた科学的な調理法、分子ガストロノミーを学んでいた。

 

 

『黒木場リョウ』、アリスちゃんの側近だ。常にマイペースでボーッとしていることが多い。ただ、右手首に巻いているバンダナを頭に巻くと雰囲気が一変しかなり攻撃的な感じになる。あれは初見の時、かなり驚いた。彼も編入組で、何でも幼少期にアリスちゃんと出会って勧誘されて側近になったんだとか。そしてそのままアリスちゃんと同時期に編入した。

 

 

二人と出会ったのは、俺が二年になってからで、えりなちゃんに試食をしてもらっている時に、アリスちゃんがえりなちゃんに絡んできた。側近としてアリスちゃんと一緒にリョウもいた。まぁそこで試食やら談笑やらをしていたら仲良く?なった感じだ。その後も、えりなちゃんに試食を頼むと、何故かアリスちゃん達も来てさっき説明したみたいな流れに。学園の敷地内で会えば談笑する程度には仲が良いと思う。リョウは俺からかアリスちゃんが話さないとあんまり喋らないけど。

二人と卒業生達の料理について話すが、リョウは料理に夢中のようで、相槌程度の反応しかない。邪魔しちゃ悪いと思い、話を切り上げて席を離れる。

その後も知り合いの後輩達に声をかけては話しをした。最後にえりなちゃんと緋沙子ちゃんがいるテーブルに行った。

 

 

「二人ともお疲れ様」

 

「お疲れ様です。諸星先輩」

 

「お疲れ様です」

 

 

二人とも礼儀正しく一礼をして挨拶をしてくる。 しばらく秘書子ちゃん、もとい緋沙子ちゃんを弄って遊ん…かまっていると、えりなちゃんがいつものように止めに入る。一段落して、未だに怒っている緋沙子ちゃんを宥めて(逆効果)、本題を切り出す。

 

 

「えりなちゃん、また試食をお願いしたいんだけど、良いかな?」

 

「ええ。構いませんわ」

 

 

正直驚いた。しばらく関わらなかったのに、こうも簡単に了承を得られるとは思っていなかった。

 

 

「どうしてそんなに驚かれるのかはわかりませんが、先輩の目を見れば変わった、いえあの時に戻ったのだとわかります。…最近までの先輩の目は酷かったですから」

 

 

どうやらえりなちゃんには気づかれていたようだ。上手く誤魔化してたつもりだったんだけどな…

 

 

「あんな目をした料理人の料理など食べたくもありませんでしたが、今の貴方なら問題ありません」

 

「そっか。ありがとう」

 

 

この子も見ていてくれたんだな…嬉しい限りだ。緋沙子ちゃんは落ち着きを取り戻したのか、黙って聞いていた。

 

 

「それじゃ、改めてまたよろしくな」

 

「はい」

 

「秘書子ちゃんもまたな」

 

 

そう言って席を離れる。後ろから「緋沙子です!」という声が聞こえて、クスッと笑ってしまった。

少しすると全員の食事も終わったようで解散になった。さて、俺も今日は片付けをしなくていいし、部屋に帰って休むかな。

部屋に向かって歩いていると、後ろから誰かに抱きつかれた。こんなことするのは、今ここには一人しかいないけど。

 

 

「なんだ?悠姫」

 

「えへへ〜バレましたか〜」

 

 

振り返ると、予想通り満面の笑みを浮かべる悠姫がいた。そんな笑顔を見て、つい頭を撫でてしまう。恵とはまた違った癒しだな!

 

 

「先輩!丸井の部屋で簡単な打ち上げするから来てください!」

 

「ん。それじゃ行くか!」

 

 

二人で並んで歩く。部屋に着く間は、悠姫の研修中の話を聞いていた。

部屋に着くと既に全員が揃っていた。

 

 

「お待たせ。それじゃ始めるか!」

 

「「「おーう!」」」

 

 

俺以外の皆が作ってきた賄いを広げ、打ち上げという名の宴会が始まった。

 

 

 

賄いを摘まみながらトランプ等をしていると、気づけば時計の針が天辺を越えていた。もうこんな時間か。明日は帰るだけだけど、疲れてるだろうし解散にするか。

 

 

「よし!そろそろ解散!」

 

「「「はーい!」」」

 

 

さすがにホテルの部屋の為、しっかりと全員で片付けをした。善二がそんな光景を見て、嬉しそうに片付けをしている姿を見て、涙が溢れそうになった。善二…逞しく生きろよ!

 

 

 

 

 

 

片付けを終えて、部屋を出ようとすると涼子に耳打ちをされた。こらこら!近い近い!

悠姫は最近になってやっと慣れたけど、普段あんまりこういうことしない涼子とかだと、未だに少し照れてしまう。

 

 

 

 

「後で、玄関の外に来てください」

 

 

そう言うと小さく手を振り、悠姫達を追って部屋を出て行ってしまった。少しして俺も部屋を出て、玄関の外へ向かった。

 

 

 

外へ着き周囲を見渡すと、玄関から離れた所に涼子が既に居た。小走りで隣に行き話しかける。

 

 

「悪い、待たせたか?」

 

「大丈夫ですよ。私も来たばっかりですから」

 

 

涼子は微笑を浮かべて振り返る。玄関から離れているため、灯りは外灯と月明かりのみ。そんな月明かりをバックに照らされるその顔に少しドキッとしてしまい、顔を逸らしてしまう。

 

 

「…それで?何か話があるんじゃないのか?」

 

「ふふっ、少し散歩しましょう」

 

 

そう言って先を歩いて行ってしまう涼子。訳がわからないがとりあえず後を追い、隣に並んで歩く。横目で鼻唄を歌いながら楽しそうに歩く涼子を見るも、何を考えているのかわからない。

しばらく歩くとベンチを見つけ、そこに座る涼子。それに倣い隣に座る。

 

 

「ああ…涼子?」

 

「なんですか?」

 

 

俺は涼子の方を向き、呼びかけると、涼子は微笑みながらこちらを向き、首を傾げる。

 

 

「話があるんじゃなかったのか?」

 

「そうですね」

 

 

涼子は笑顔を崩さず応える。わからん。涼子が何を考えているのか、全くわからん!

 

 

「ふふっ、先輩が前みたいに元気になってくれたみたいで、良かったなって」

 

 

涼子は顔を上げて、頭上に浮かぶ月を眺めながら話す。

 

 

「…心配かけて悪かったな」

 

 

俺は反対に、俯いて応える。心配をしてくれていたのは知っていた。それでも、情けなくて俯いてしまう。

 

 

「良いんです。私達が好きでしていたことですから。それに…もう大丈夫なんですよね?」

 

「おう」

 

 

顔を俺に向けて問いかけてくる。真っ直ぐと見つめてくる瞳には信頼があるような気がする。それに応えるように、真っ直ぐと見つめ返し応える。

 

 

「恵から話を聞いて、先輩を見て安心しました。他の皆もそうですよ」

 

「そっか。また後でお礼しないとな」

 

 

先ほどまでの真剣な顔を崩し、笑顔で告げる涼子の頭を撫でる。そうしていると、少し距離を詰め俺の肩に頭を預けてきた。かなり照れくさいけど、我慢して頭を撫で続ける。

 

 

「ふふっ、先輩顔真っ赤ですよ」

 

 

肩に頭を預けているせいで自然と上目遣いになっている。そして、普段は見せない甘えるような仕草も相まって余計に可愛く見えてしまう。無理!もう限界です!

 

 

「あ、アホ!先輩をからかうんじゃない!ほら!帰るぞ!」

 

 

頭を離して勢い良く立ち上がり、軽くチョップをして熱を冷ますために来た道を戻る。

少しすると涼子が隣に並んで歩く。「痛かったです」と言って頭を擦っている。

 

 

「先輩をからかうからだ」

 

 

横でブーブー文句を言う涼子を適当にあしらいながらホテルに向かった。

 

 

 

ホテルに着き、涼子と別れ部屋に着くと、ベッドに倒れこんだ。まだ顔が少し熱い。いかんな。シャワーでも浴びてスッキリしよう。

シャワーを浴びて落ち着きを取り戻し、帰宅の準備をして眠りについた。

 

 

 

 

 

 

朝を迎えて、玄関前に集合した一年生と講師陣。極星メンバーの集合写真を撮り、卒業生達が、創真や恵を勧誘していると、時間が来たようで別れ、一年生と講師陣を乗せたバスが出ていった。ちなみに、乾さんが恵とのツーショット写真をご所望されたので撮っておいた。

俺は堂島さんに今回のお礼を言ったり、スタッフの方々への挨拶、卒業生達からの勧誘を受けていたら乗り遅れてしまった。同じく乗り遅れた創真とえりなちゃんがエントランスに居た。どうやらそれぞれ忘れ物をして乗り遅れてしまったそうだ。先に一台だけ出せるということで、創真とえりなちゃんを先に行くよう告げる。え?なんで一緒に乗って行かないのかって?だってせっかく同学年で競いあう仲間なんだから仲良くなってほしいじゃない!

説明をすると、えりなちゃんは納得してないようで、創真は納得したのかどうなのかわからないが車に乗り、少し遅れてえりなちゃんが乗ったのを確認して見送った。

 

 

 

待つこと三十分ほどした頃、次の車が来た。俺はわざわざ見送りに来てくれた堂島さんと、数名のスタッフの方々に挨拶をして、車に乗り込んだ。少しして、山道を下りながら運転手さんと話しているとカーブに差し掛かり、カーブの先からスポーツカーが勢い良く飛び出してきた。慌てた運転手さんがハンドルを切るも間に合わず衝突した。

 

 

 

ここで俺の意識は途切れた。

 




さて、最後に主人公が乗せた車が事故にあってしまいました。果たしてどうなることやら。


今回は、えりなや涼子と絡ませてみました。いかがでしたでしょうか?
他の主要な一年生達との関係も簡単にですが、説明をさせていただきました。どう絡んで来るのかは、作者的にも未知数です。


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それでは!
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