極星寮のお兄さん?   作:ジョニーK

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今回は前回できなかったえりなと極星寮sideです。

文体が三人称?と一人称?があります。言葉がこれで合ってるのかわかりません。申し訳ありません。

何かとほとんどの回の後書きが長くて申し訳ございません。今回も長いです。


それではどうぞ!


第十八話〜極星寮にて〜

極星寮side

 

極星のマリアことふみ緒は、極星一年が全員無事に帰って来るという知らせを聞いて、機嫌良くわけのわからない歌を歌いながら掃除をしていた。そんなところに一本の電話が入った。

 

 

「はいはい。まったく誰だい?」

 

 

電話に出ると、どうやら相手は遠月の講師のようだ。何やら慌てているようで、落ち着くように言って相手を落ち着かせ用件を聞くと、諸星圭が事故に遭ったと報告してきた。

ふみ緒は驚愕して、受話器を落としてしまい、床に落ちた音で我に返り受話器を拾う。講師が心配しているが、まずは状況把握をすることが先決と考え報告を促す。

報告を聞き終わり、受話器を戻したところで一色が焦った様子で戻ってきた。

 

 

「ふみ緒さん!大変です!諸星先輩が!」

 

「落ち着きな。私も今、電話で連絡をもらった。私も行きたいが、今日はあの子達が帰ってくるから行けない。一色、あんたは?」

 

「そうですか…僕も第一席からの命で動けません…どうやら第二席と第四席が向かったとのことで、仕事を分担すると」

 

 

二人も諸星のもとへ向かいたいのだろう。二人の悔しそうな、心配をしている表情がそれを物語っている。しかし、お互いに事情があり動けないようだ。

 

 

「この事は他の子達には?」

 

 

一色がふみ緒に問うと首を横にふった。

 

 

「知らせたら奴の所へ行くと言って聞かなさそうだからね。とりあえずは落ち着かせてから、私が話すことにするよ」

 

「そうですね……わかりました。それでは緊急会議がありますので、僕は行きます」

 

 

ふみ緒は「あいよ」と言って一色を見送った。ふみ緒も掃除の続きをして、落ち着かない気持ちを落ち着かせている。

しばらく掃除をしていると、来客を知らせる呼び出し音が鳴る。一年生が帰ってきたのだと思い、玄関の扉を開けると、そこには予想外の人物がいた。そこに居たのは、創真の父『幸平城一郎』だった。

 

 

『幸平城一郎(旧姓は才波)』、極星寮OBにして元遠月十傑第二席の凄腕。在学中は“修羅”と呼ばれ、堂島銀と共に極星寮の黄金期を築いた男である。性格は非常にマイペース。遠月は卒業せず、遠月を去った後は、世界中の名店で腕を振るう“流浪の料理人”と呼ばれる。

 

 

そんな彼を見て、久しぶりの再会を嬉しく思い、中へと入れる。「ただいま」と言って、城一郎が中へ入る。

ふみ緒は自身の部屋に行こうとするが城一郎の提案で調理場へ行き、お茶を入れる。ふみ緒と城一郎は、椅子に座りしばらく昔話をした後、ふみ緒が現在の状況を説明しておくことにした。城一郎は説明を聞いて、「大変な時に来ちまったもんだ」と言って苦笑をした。極星寮OBとして心配ではあるが、今回は自身の用事と、息子である創真の様子の確認と勝負をしに来たのだ。

 

 

「んじゃふみ緒さん、今日は俺が料理するよ。少しでも後輩達の為に何かしてやりてえしな。ま、元から料理はするつもりだったんだけどな」

 

「そうかい?それじゃお願いしようかね」

 

「あいよ。んじゃ調理場借りるわ」

 

 

城一郎はとりあえず当初の目的は果たそうと思い提案すると、それをふみ緒は快く了承する。調理を始めた城一郎を見て、ふみ緒も掃除の仕上げに向かった。

極星寮に、諸星の無事の連絡がされたのは一年生が帰ってくる、少し前のことだった。

 

 

 

 

 

創真・えりなside

 

今、創真とえりなは同じ車に乗り学園に向かっている。二人とも大切な物を忘れてしまったため、バスに乗り遅れてしまったのだ。そして、諸星の要らぬお節介で、先に二人はホテルを出ている。どうやらえりなが創真を嫌っている節があるようで、創真が何かを言ってもえりなは不機嫌な様子で返答している。

宿泊研修のこと等を話すが、あまりの気まずさに創真は眠り始める。えりなは忘れ物だった一枚の写真を見ていた。それは、えりなが幼い頃に城一郎と撮ったツーショット写真だった。

城一郎のことを考えていると、不意に携帯が震えた。どうやらメールのようで相手を確認すると、第一席である司瑛士からのようだ。

 

 

「えっ…」

 

 

何事かと思い確認すると、諸星圭が事故に遭ったこと、第二席の小林竜胆と第四席の茜ヶ久保ももが向かったこと、そのため緊急会議を開くというものだった。驚愕のあまり声を出してしまい、慌てて口を抑え隣に座る創真を確認する。眠っている創真を確認して、安堵の息を漏らす。しかし、運転手には気づかれていたようで心配されるが、上手く誤魔化してやり過ごした。

ふと、既に遠くなってしまって確認出来ない遠月ホテルの方角を見る。

 

 

「(先輩………)」

 

 

あの時、無理矢理にでも一緒に向かっていればこんなことにならなかったのではないだろうか?と思うと、罪悪感が押し寄せて来た。今の自分に出来ることは諸星の無事を祈ることのみ。そんな自分が情けなくて、一滴の涙を流した。

時間もある程度経ち、少しだけ気持ちも落ち着いてきた頃、隣で呑気に眠る創真にも知らせた方が良いのではないかと思い、声をかけようとした所で車が停まり、ドアが開けられた。どうやら気づかない内に学園に着いていたようだ。よくよく外を見ると、空が赤みがかっていた。そんなことにも気づかない程に気が動転していたのかと、額に手をあてため息をもらして、とりあえず車を降りる事にした。

 

 

「あの、ゆきひーー「んじゃまたな薙切」ーー…もう!」

 

 

起きて車を降りた創真に声をかけようとするが、話しも聞かずにスタスタと去って行く創真。そんな創真を怒りながら見ていると、秘書である新戸緋沙子が駆け寄ってきた。

 

 

「えりな様〜!お迎えに上がりました。あの、どうかされましたか?」

 

「なんでもないわ!」

 

 

緋沙子はえりなの様子が気になり心配するも、怒ってスタスタと歩いて行ってしまうえりな。そんなえりなを追う緋沙子。えりなは追いついた緋沙子にこの後の予定を確認する。

 

 

「今日この後は特に何もありません」

 

「そう。私は用事が出来たので緋沙子は先に戻りなさい」

 

「え?しかし…」

 

「あなたも疲れているでしょう?休息も仕事のうちよ」

 

「…わかりました。それではまた後程」

 

 

えりなは付いてこようとする緋沙子を止め、説得をして別れる。

会議室に向かう途中、先程の連絡に返信を忘れていたことを思い出し、携帯を取り出すと一通のメールが届いていた。歩を止め内容を確認すると諸星が無事とのメールだった。良かった…と携帯を胸の前に持っていき両手で包み、安堵の息を漏らす。

また返信を忘れるわけにもいかず、直ぐに返信が遅れた謝罪と向かっている旨をメールして、会議室に向かった。

 

 

一方、えりなと別れた創真は極星メンバーと合流していた。遅れて来た理由を説明して、無事に帰ってこれた喜びを分かち合ったり、この後の予定を話しながら極星寮へ向かった。

 

 

 

 

 

 

極星寮side

 

宿泊研修に参加していたメンバーが寮に着くと、一色が待っていた。先に会議室で話を聞き、急いで戻ってきたのだ。

一色を見つけた一年生達は、出迎えてくれた一色に「ただいま」と告げて、中へと入っていった。研修の報告をしながら、ふみ緒が待っているという調理場へ向かった。調理場の前に着くと、ふみ緒が迎えてくれた。一年生達が合格したことを祝ってくれるとのことで、はしゃぐ一年生達。

 

 

「おう創真、帰ったか。ちょっと手伝えや」

 

「おう」

 

 

奥からの声に調理場を見ると、創真とふみ緒以外は知らない男が調理をしながら創真に声をかける。創真が声に反応するのをみて、ふみ緒が驚いていた。どうやら城一郎と創真が親子であるということを知らなかったようだ。二人の漫才のようなやり取りを聞いて驚愕する寮生達。

ふみ緒が城一郎のことについて説明する。これにも驚愕する寮生達。なんとも慌ただしい光景である。一段落して、ふみ緒が一年生達に荷物を置いて食堂に来るよう指示を出す。それを聞いて各自が部屋に向かう。

 

 

 

ふみ緒は全員が集まったのを確認して、諸星が事故に遭ったことを説明する。

 

 

「先輩は無事なんですよね!?」

 

「先輩が………」

 

「………」

 

 

説明の途中で悠姫が食って掛かる。恵は一言呟いて口を抑えて涙を流している。他の一年生達は驚きのあまりその場で固まっていた。

 

 

「皆安心して。とりあえず手術は無事成功したって連絡はきてるから」

 

「よ、良かった…」

 

 

一色の言葉を聞いて、悠姫が安堵してその場にへたりこんで泣いてしまう。涼子と恵はそんな悠姫の傍に行き、お互いに抱き締めあって泣いていた。創真以外の男子陣は近くの椅子に座って安堵していた。ただ、まだ驚きから戻ってきていないのか呆然としている。

創真は拳を握って、歯を食いしばっている。

 

 

「(俺があの時、先輩を無理矢理にでも一緒に行かせてれば…っ)」

 

 

付き合いはまだ短いが諸星に良くしてもらった創真は俯いて後悔していた。そんな一年生達を慰めるふみ緒と一色。

そんな中、調理場から城一郎が料理を運んでテーブルに並べる。

 

 

「お待ちどうさま。とりあえず落ち着いた奴から食いな」

 

「親父!こんな時に飯なんか食えるかよ!」

 

 

淡々と料理を並べる城一郎に怒りを露にして食って掛かる創真。

 

 

「こんな時だからこそだ。いいか創真。俺は諸星君のことは知らん。だけどな、お前達を見てれば何となくだがわかる。きっと良い先輩なんだろう。ここまで後輩に慕われてる奴はそうそういない。そんな奴が自分の心配をして、他の奴が倒れたなんて聞いてどう思う?」

 

「………」

 

 

城一郎の言葉を聞いて、創真だけでなく他の寮生達も考える。そんなことになったら諸星はどう思うのだろうか。答えは決まっている。彼なら間違いなく自分を責めるだろう。それほどまでに彼は優しい。

その答えに行きつき、ゆっくりとだが料理の並べられているテーブルに各自が向かう。

椅子に座り、最初に食べ始めたのは伊武崎だった。「いただきます」と手を合わせて言って黙々と食べる。それに続いて他の寮生達も「いただきます」と手を合わせて言って食べ始めた。

全員が食べ始めて少し経つと、次第に城一郎の料理の美味さに引き込まれていく。先程までの陰鬱とした空気も吹き飛び、自然と全員の顔が綻ぶ。そして、城一郎に食べた料理についての質問をし始めた。そんな様子を見て、ふみ緒も一色も安堵した。

料理が完食される頃には解散するには良い時間になり、各自が部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

創真・城一郎side

 

解散の後、創真は城一郎と片付けをして、今は外に出て二人で話している。学園についてのこと、城一郎が今創真が住んでいる部屋に住んでいたこと等。

 

 

「創真、ここは楽しいか?」

 

 

突然そんなことを聞かれるが、創真は笑顔で「おう」とだけ応えた。それに満足したのか城一郎は寮の中へ向かうが、途中で歩を止め、創真の方へ振り向く。

 

 

「そうだ。創真、諸星君はお前にとってどんな奴なんだ?」

 

「???どんな奴って言われてもな…」

 

 

城一郎の質問に少しだけ考える創真。とりあえず思ったままを言おうと口を開く。

 

 

「そうだなあ…優しくて気さくで良い先輩で……。あ!兄ちゃんみたいな感じだ!兄ちゃんいないけどそんな感じがする。後はいつか闘いたい相手かな」

 

 

創真の解答を聞いて「そうか」と微笑を浮かべて言って、今度こそ寮へと入っていった。

創真は城一郎を見送って、一度夜空を見上げる。諸星が早く元気になることを祈って部屋に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

悠姫side

 

城一郎さんの料理を食べて、元気をもらった私はお風呂に入って、部屋に戻ってベッドにダイブして枕を抱き締めて顔を埋める。本当に美味しかったなあ…。

料理でここまで人を現気づけるなんて凄い、正直にそう思った。私もいつかあんな料理が出来るようになるのかな?

そんなことを思って、枕に埋めていた顔を横に向けて外を見る。思い出すのは辛かった宿泊研修のこと。それと、諸星先輩のこと。

 

 

「先輩……諸星先輩っ…」

 

 

諸星先輩が励ましてくれたこととかを思い出すと涙が流れてきた。なんで先輩が…あの優しい先輩が傷つかなきゃいけないの…。そう思うとまた涙が止めどなく流れる。

先輩の名前を呟くと色々な顔や姿が思い浮かぶ。嬉しそうに笑う先輩、苦笑をする先輩、料理している時の先輩、辛そうにする先輩…。早く会いたいよ…。でも、学校を休んで行ってもあの先輩はきっと怒るかな。それと自分を責めるだろう。そんなことはさせたくない。私達後輩にとってお兄ちゃんみたいな存在な先輩。でも、私はいつからかそんな先輩の事が好きになっていた。likeじゃなくてloveの方で。

先輩は高校からの編入で付き合い的には二年とちょっと。最初は気さくで面白い人だった。それが付き合っていく内にお兄ちゃんみたいな存在になって、気づけば好きになっていた。最初の頃は、抱きついたりすると照れてたのに、今となっては慣れてしまったのか、妹を扱うみたいになっている。確かに最初はそれでも嬉しかったけど、今はちょっと不満。もっとドキドキしてくれても良いのに…。

先輩の心配をしていたのに、気づけば愚痴みたいになっちゃった。でも、少しは気が紛れたし良かったのかも。時計を見ると、結構な時間が経っていた。先輩の事は心配だけど、明日もしっかりとジビエちゃん達の世話をしなきゃいけないし寝よう。先輩に会う時にこんな感じだと心配かけちゃうもんね。

 

 

 

 

 

 

涼子side

 

食事会が解散になって、女子の中で今日は最後にお風呂に入った後、自分の部屋に戻って鏡台の前にある椅子に座って、ドライヤーで髪を乾かしながら鏡に映る自分を見る。酷い顔ね…。

城一郎さんの料理を食べて少しは元気が出たけど、まだダメみたい。はあ…ってダメダメ!今、一番辛いのは諸星先輩なんだから。私がこんな風でどうするの!

頭を振って陰鬱な気分を吹き飛ばす。髪も乾き、ベッドに横になる。つい昨日の事を思い出してしまう。昨日は勇気を出して少し先輩に甘えてみた。恥ずかしかったけど、先輩の方が恥ずかしがってたなあ…。普段はカッコイイお兄ちゃんみたいな感じのに、ああいう時は弟って感じで可愛いのよね。

最初の頃は、お兄ちゃんみたいな感じだったのに、一緒に過ごしている内に色々な先輩を見て、感じて…一人の男性として好きになってしまった。きっと先輩の人柄に惹かれたんだと思う。私は自分で言うのもなんだけど、普段からしっかり者でお姉さんみたいなポジションだった。この極星寮に来てからもそうだった。もちろん嫌々お姉さんぽくなった訳じゃない。自然と身に付いていて、そうなった。でも、先輩が来てしばらくした頃、私が授業で失敗して、悠姫達にも言えなくて一人で落ち込んでる所に先輩が来て、私に甘えてもいいって言って、優しく頭を撫でてくれた。それが堪らなく嬉しかった。あの日、初めて先輩の前で泣いたんだっかな。私が泣いてる間も、ずっと傍に寄り添って頭を撫でてくれて…。たぶんあの時に好きになったんだと思う。

先輩が辛いなら、私が支えてあげなくちゃね。

 

 

「先輩、待っててくださいね」

 

 

そう呟いて、決意を新たにして私は目を閉じた。




はい!新しいヒロインが確定しました。竜胆と同じようにこの二人もどうするか、随分悩んだんですけどね。これ以上増えると、作者の頭がパーンしてしまいますので、これ以上は増えません。


詳しい描写はありませんでしたが、他の極星メンバーもかなりショックは受けています。
なんか主人公が死んでしまったみたいな感じになってますが、生きてますからね!


そして、原作とは状況が違いますが城一郎が登場しました。どう絡ませるか悩んだ末の結果です。申し訳ございません。


ご感想・お気に入り登録・評価ありがとうございます!おかげさまで300件いきました。本当にありがとうございます!


それでは長文失礼しました。
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