極星寮のお兄さん?   作:ジョニーK

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今回は主人公視点です。

今回の章の名前を変更しました。章の名前を変更した理由は読めばわかると思います。
また、あらすじに注意事項的なものを追記しました。
詳しくは活動報告をご覧ください。


それではどうぞ!


第十九話〜入院生活〜

「んっ…ここは…っ」

 

 

目を開けると知らない天井だった。ここが何処なのか知るために身体を起こそうとすると、身体の節々が痛み起き上がる事ができなかった。

痛みが収まり、一息吐いて首だけを動かす。清潔そうな白い壁、カーテン、これは…点滴ってやつかな。ということは、ここは病院か。

とりあえず確認できる範囲の物での場所の推測はできた。次は、なんで俺が病院にいるのか。これは直ぐにわかった。というよりは思い出した。宿泊研修の帰り道で衝突事故に遭ったんだ。うわっ…思い出しただけで恐怖と痛みが……。でも良く生きてたな。結構な衝撃だったぞ。

そんなことを考えていると、入り口の扉が開きナースが入ってきてこちらを確認すると、慌てて近づいてきた。意識がはっきりしていることを確認して、医者を呼んでくると言って部屋を出ていった。聞きたいこととかあったけど、ナースの勢いに負けてそんな余裕がなかった。

 

 

 

少しすると、担当の医者と先程のナースが入ってきた。色々と聞かれたり検査をした後、ナースに指示を出して部屋を出ていった。あ、また聞きそびれた。

はぁ〜…と溜め息を吐き、次の機会には絶対に確認しようと決意した。ふと、身体に違和感を覚える。先程は痛みやらナースや医者との会話で気づかなかったが、両手・両腕が上手く動かせない。他の箇所はしっかりと動かすことができる。麻酔か何かの効果かとも思うが、そういった知識もないのでわからない。また、聞くことが増えたと思いながら、しばらくボーッと天井を眺めていた。

どれくらい時間が経ったのだろうか。ただ、ボーッとしてるのも建設的ではないと思い、新作メニューを考えながら過ごしていた。すると入り口の扉がノックされたので、「どうぞ」と言って、首を動かして相手を確認する。入ってきたのは、担当の医者と総帥と姉さんだった。

 

 

「圭!良かった。目を覚ましたって連絡がきたから飛んできたのよ!」

 

 

俺を見た姉さんが走ってベッドの横まで来て、横になっている俺をいきなり抱き締めてきた。

 

 

「っ…いた…いよ。姉さん」

 

 

抱き締められたことにより、身体に痛みが走る。なんとかそれを伝えるために、口を開いて伝える。その言葉を聞いて、身体を解放してくれた。姉さんの顔を見ると、目から涙が出ていた。涙をポケットから出したハンカチで拭って「ごめんなさい」と言ってくる。

 

 

「いや、いいよ。心配かけたみたいでこっちこそごめんな」

 

 

苦笑を浮かべながらそう言うと、姉さんは顔を横にふり笑顔を浮かべた。

 

 

「良いのよ。弟を心配するなんて当たり前だもの。それよりも生きていてくれて良かったわ」

 

 

そう言ってまた涙を流す姉さん。あーあ、涙で化粧落ちちゃって酷い顔。でも、そんなこと気にならない程に、俺のこと心配してくれたんだもんな。姉さんには悪いけど嬉しいな。そう思うと自然と顔が綻んでしまった。少しして、姉さんを宥めて落ち着かせると、総帥と医者がベッドの横にきた。

 

 

「諸星、無事に目を覚ましてくれて良かった。皆も心配しておったぞ」

 

「心配おかけしてすみません。お忙しいのにわざわざ来てもらったりして」

 

 

頭を下げることができないので、口頭のみで謝罪をする。総帥は「気にするな」と言って、近くにあった椅子に座る。

 

 

「諸星君、起きたばかりで悪いが君に伝えたい事がいくつかある」

 

「あ、その前に俺からもいくつかいいですか?」

 

 

医者が話を始める前に、気になっていた事を聞きたかったので、話を切るため口を開く。医者は首肯して「どうぞ」と言う。

 

 

「まず俺はどれくらい眠っていたんですか?それと、事故に遭った他の人は無事なんですか?」

 

 

俺が質問をすると、医者は順番に答えてくれた。俺は事故から三日程眠っていたらしい。ということは連休終わっちゃうじゃん!ああ…残った寮の皆と遊ぼうと思ってたのに…。ちくしょう!

一人脳内で悔しがっていると、次の質問への解答がきた。まず、俺が乗っていた車の運転手は無事だということだ。エアバックが働いて大きな怪我はしなかったけど、窓ガラスが割れて、破片によって軽く傷がついた程度で命に別状はないらしく、既に退院して警察に事情聴取のために向かったとのこと。ちなみに、救急車や警察への連絡、俺や相手方の救助をしたのもこの人らしい。後で、お礼言わないとな。

次に、相手方の運転手と同乗者も無事らしい。何でもデートであの近辺に来ていて、彼氏(運転手)の方が調子に乗って危ない運転をしたらしい。どちらも命に別状はなく、怪我に多少の差はあれど既に退院して警察に連れていかれたとのこと。とにかく全員が無事で良かった。まあ、彼氏さんにはしっかりと罪を償ってもらわないといけないけど。

 

 

「他には?」

 

「両手・両腕が上手く動かせないんですけど、これは麻酔の効果ってやつですか?」

 

「っ…それは、ですね…」

 

 

医者は苦虫を噛み潰したような顔をした後、応えようとした口を閉じて、姉さんと総帥を一瞥する。二人は小さく頷くだけでそれに応えた。二人も先程の医者と同じような顔をする。なんだ?皆どうしたっていうんだ?

 

 

「諸星君、落ち着いて聞いてください。事故の時、一番重症だったのは君だ。頭を強く打ったのもあるし、何よりもガラスの破片、これが大きくてね。結構な数が君に刺さった。無意識だったろうけど、両腕で顔や頭を守ろうとして刺さったんだ…それが、君の両腕の神経を傷つけてしまった。また検査をしなければ詳しくはわからないが、日常生活はリハビリをすれば問題ないと思われる。ただ、おそらく細かい作業は難しいかもしれない。つまりーー」

 

「大体の料理はできても、お前のスペシャリテのような料理は難しいということじゃ」

 

「ーーそういうことです」

 

 

医者の説明の途中で、総帥が割り込んできた。…は?いやいや、そんな馬鹿な、そんな馬鹿な話があってたまるか!ふざけんな!

痛む身体を腹筋を使って無理やり起こす。上手く動かせない腕を掛け布団から出して医者を掴むけど、上手く力が伝わらない。

 

 

「ふざけんなよ…なんとか、なんとかしてくれよ!あんた医者だろ!頼むから…頼むから、なんとかしてくれよ!」

 

「圭!落ち着きなさい!」

 

「諸星!」

 

 

力が入らない俺は、簡単に姉さんと総帥によって医者から引き剥がされてベッドに横にされる。

 

 

「っ…なんで…なんで俺なんだよ!…訳わかんねえよ…ふざけん…なよ…」

 

 

我慢していた涙が溢れだした。手を使って拭う気にもなれず、涙は頬を伝って枕を濡らす。

 

 

「っ…圭…」

 

 

姉さんが泣きながら俺の頭を抱き締めてくれる。俺は姉さんに甘えるように、しばらく大声で泣き続けた。

 

 

 

「さっきはすみませんでした」

 

 

姉さんに身体を起こすのを手伝ってもらって、小さくだが頭を下げて、医者に謝罪をする。

 

 

「いえ、私も出来る限りの事はしますので。とは言ってもこれだけ元気ならもっと大きな病院へ移って、しっかりと検査をした方が良いでしょう」

 

「それならワシが手配しよう」

 

「何から何までありがとうございます」

 

 

医者の話を聞いた総帥がそう言うと、姉さんが頭を下げてお礼を言う。

総帥は「気にするな」と言って、座っていた椅子から立ち上がり医者と一緒に部屋を出ていった。姉さんは、俺をベッドに横にして二人を追うように部屋を出ていこうとして、扉の前で足を止めてこちらに振り返る。

 

 

「ちゃんと安静にしてるのよ。また来るからね」

 

「わかってるよ。姉さん、ありがとう」

 

 

顔だけ向けて笑顔でそう言うと、姉さんも笑顔で返して部屋を出ていった。

姉さんが部屋から出たのを確認して、もう一度両腕を出して顔の前に持ってくる。包帯が巻かれていて酷い有り様だ。その上、これくらいの大きな動きはできるが上手くは動かせない。さっきはショックのあまり泣いてしまったが、現状を改めて理解して、また涙を流した。

涙も止まって落ち着いたところで身体を起こす。やっぱり痛いな。だけど、耐えられない痛さじゃないな。

カーテンを退けてもらった窓の外を見ると、晴れやかな空が広がっていた。そういえば今は何時かと思い、壁にかけられた時計を確認すると三時になるところだった。皆は元気にしてるかな?心配かけたみたいだし会ったら謝らないとな。

 

 

 

 

 

 

目が覚めてから三日が経ち、学園近くの大きな病院に移動した。教員や生徒と会えるようにという、総帥の配慮だ。移動してから一週間が経った。その間に多くの人が見舞いに来てくれた。十傑メンバー(叡山除く)、極星寮全員、その他学園でそれなりに関わりのある人達や卒業生達。いや、ありがたい。ありがたいんだけどね?こう毎日会いに来られると疲れるのよ。いや、ありがたいし嬉しいよ?でもね?限度とかあるでしょうに。皆、料理とか仕事とかしなくていいの?しかも、差し入れと称して自前の料理持ってくるし。何回婦長さんに怒られれば気が済むの?いや、病院食にも飽きるから嬉しいんだけどさ、俺ってばまだ病院食と果物類以外食べちゃダメって説明されたじゃん。もう一度言うよ?何回怒られれば気が済むの?

というわけで、絶賛俺の病室で正座をして婦長さんに怒られている面々。手前から順に、竜胆・もも・悠姫・涼子・創真。恵も来てくれているが、恵は花束を持ってきてくれたのみだったので、無罪放免でベッドの横でアワアワとしている。

とりあえず恵を落ち着かせようと、椅子に座らせる。ある程度落ち着いたのを確認して、視線を説教を受けている五人に向けると、いつも通りの言い訳タイム中だった。

 

 

case竜胆

「病院食って飽きそうだから」

 

caseもも

「甘いものは体力回復するって聞いたから」

 

case悠姫・涼子

「諸星先輩に早く元気になってほしいから」

 

 

 

case創真

「新作のゲソ料理ができたから食べてほしくて」

 

…うん。創真は俺の体調とかなんもかんも関係なかったな。

いつも通り説教が終わると、料理を没収して婦長さんが部屋を出る。俺知ってるんだ。没収した料理をナース全員で分けて食べてるって。最近説教が甘くなったのもそのせいだって。前なんてリハビリしてる時に付き添いのナースに聞かれたもの。「次のお見舞いはいつ?」って。ちなみに好評なのはももの洋菓子類とのこと。これは先程のナースの談である。

俺がいつこの事に気がついたのかというと、痛みも大分引いて歩けるようになり、夜中にトイレに出た時のこと。用を済ませて少し散歩でもしようとナースステーション前を通り過ぎようとした時に、話し声が聞こえてきたのだ。

 

 

「最近太っちゃって困るのよ」

 

「私もなのよ。諸星君のお見舞いの品が美味しくて」

 

「そうなのよねぇ。没収した料理があまりにも美味しそうで、皆で食べた時のあの感動ったらなかったわ」

 

「やっぱり遠月って凄いのね」

 

「本当にね」

 

 

この会話を聞いて、知ることができたというわけだ。でも、患者の見舞いの品を食べるとか良いのだろうか?…わからん。わからないならまあいいかという結論を出した。あいつらのファンが増えるという事だし、将来的にお客になってくれそうだしな。ただ、容器を洗って返してくれるのは良いんだけど、なんで俺経由なんだよ。…あ、俺が隠れて食べたと思わせて、また持ってこさせようって魂胆ですね。実際こうやってそうなってるわけだし。さすがは大人。やることが汚い!

俺はこんな大人にならないように気を付けようと決意をして、遠い目をしながら窓の外を見つめる。ってか差し入れなら果物類持ってくればいいじゃんとか思う俺はおかしいのだろうか?わからん。

そんなことを考えていると、恵がこの前兄さんと姉さんが来た時に置いていった果物の詰め合わせから林檎を取って剥いてくれたようだ。ああ、やっぱり恵は天使ですな。

 

 

「はい先輩。どうぞ」

 

「ありがとう。恵」

 

 

恵から林檎が乗った皿を掌で受け取り、ベッドに付いているテーブルの上に置き、食べようと刺してある爪楊枝を右手で掴んで口まで持っていこうとすると、途中で布団の上に落としてしまった。まだダメか…。

手の感覚を戻すリハビリをしているが、未だに治っていない。他の箇所は手や腕に比べれば軽症だったため、ほぼ完治してしいる。

 

 

「あ、ごめんなさい!」

 

「いや、こっちこそごめんな」

 

 

恵が謝りながら申し訳なさそうな顔をして落ちた林檎を拾う。そんな恵に苦笑をしながら謝罪をする。くそっ!天使にこんな顔をさせるなんて!この馬鹿右手!早く治りやがれ!

自分で自分の右手を叱っていると、一つの林檎が口の近くまで運ばれていた。林檎の先を目で追うと笑顔の涼子がいた。涼子さん?これは一体なんぞや?

 

 

「はい先輩。アーン」

 

「あ、アーン」

 

 

ぬおおおおお!めっちゃ恥ずかしい!やっぱりいつまでたってもこれだけはなれない。きっと今も俺の顔は真っ赤だろう。誰もいなかったら今頃、ベッドの上で悶えていただろう。

ところで俺が何故ここまで抵抗もなくアーンができたのか疑問に思う人もいるだろう。いや、俺は誰に説明しようとしてるんだ?…まあいいか。

 

 

 

 

 

遡ること数日前、創真を除く今日来てくれたメンバーと、十傑の三年男子メンバーが揃った時のこと。十傑メンバーと一年組で別れて、ベッドの回りに椅子を置いて座り、最初はお互いに自己紹介やらをしていたのだが、話題がなくなり気まずい沈黙が流れた。それもそうだろう。一年組は相手が十傑だし、三年組は俺から話を聞いていた位の相手だし。こういう時に竜胆のフレンドリーさが役立つかと思って視線を向けても、何やら考え事をしてるし。

そんな状態が続く中、瑛士が持ってきた果物の詰め合わせから林檎を出し「食べるか?」と言ってきた。それに俺が頷くと恵が瑛士から林檎を受け取り、今日のように剥いて皿に乗せてベッドに付いているテーブルの上に置いた。しかし、この時も手が上手く使えなかったため、誰かに食べさせてもらおうとお願いした。だが、これがまずかった。突然勢いよく立ち上がる恵以外の女性陣。残りの全員は何事かと驚き固まっていると、四人同時に林檎に刺さっている何本かの爪楊枝を摘まんで牽制しあっている。

 

 

「ここは私が食べさせるからお前達は座ってろってっ」

 

「竜胆は何を言ってるのかしら。ここはももがっ」

 

「いやいや、先輩方にそんなことさせるわけにはいきませんよ。ここは私がっ」

 

「悠姫こそ何を言っているのよ。ここは私がっ」

 

 

皆笑顔だけど、目が笑ってないよ。俺以外の全員怯えちゃってるし。俺?俺はこの顔を何回かされたことがあるから慣れちまったよ。慣れたっていっても少しは怖いけど。

 

 

「「「「圭は誰のが食べたいの(先輩は誰のが食べたいんですか)!?」」」」

 

「ひっ…いや、俺は…えっと…」

 

「「「「はっきりしろ(しなさい)(してください)!」」」」

 

「はい!」

 

 

結局、結論は出せず順番に食べていった。順番はジャンケンで決めた。順番はもも・涼子・悠姫・竜胆の順だった。残った林檎はジャンケンに参加しなかったメンバーで美味しくいただきました。ちなみに俺は恥ずかしすぎて味がわからなかった。そんな俺を男性陣は生暖かい目で見守っていた。いや、助けろよ。

 

 

 

 

 

 

そんなことがあって、今があるというわけだ。あれからというもの、四人が揃って果物がありさえすればこんなことになっている。ちなみに今は悠姫に食べさせられている。涼子の後に竜胆・ももときて、どうやらこれで最後のようだ。君たちいつの間に順番決めたの?ってかいい加減、恵ばっかりに皮剥かせるのやめなさいよ。

 

 

「おお、これが修羅場ってやつか」

 

 

創真が林檎を食べながら物騒な事を呟いている。マジで洒落にならんから、そういうこと言うんじゃありません!

恵なんて慣れてしまったせいか完全に傍観者モードに入ってるし。あ、次はバナナですか。そうですか。

 

 

「あんたたち!またそうやって諸星君に餌付けして!」

 

 

バナナを食べさせられているといつも通り、婦長さんが来て止めていく。そして、第二の説教が開始される。これには何故か俺も混ぜられる。これがいつものパターンだ。しかも、餌付けとか酷くね?解せぬ。

 

 

 

説教が終わり婦長さんが出ていき、皆で少し話した後、恵以外の女子組が仲良く話ながら、創真と恵はそれに続いて帰っていく。君たちいつの間に仲良くなったの?

 

 

「諸星君、リハビリの時間よ」

 

 

皆と入れ替わりで付き添いのナースが来た。

 

 

「ふふっ。今日はどんな差し入れかしら」

 

 

あ、皆とすれ違ったんですね。わかります。

こうして、俺の入院生活は進んでいくのであった。

 




この話のうちに連休は終わっています。これが章の名前を変更した理由です。申し訳ございません。

さて、今回の主人公の怪我についてですが、かなり雑になってしまいました。作者は医者とかでもそういった話にも詳しくないのでツッコミはなしでお願いします。

シリアスばかりも何なのでギャグ的なイチャイチャも含めてみました。主人公爆発しないかな…


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もっと感想とかくれてもいいんじゃよ?(チラッ
すみません。調子に乗りました。


それではまた!
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