極星寮のお兄さん?   作:ジョニーK

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デート回です。
涼子の服装等は皆さんで想像してください。


〜夏休み編〜
第二十一話〜初?デート〜


夏休み初日、天気は晴れ。俺は、涼子との待ち合わせ場所である、学園の最寄り駅前にある広場の噴水前で涼子を待っている。俺の前を行き交う人々は、ハンカチやらタオルやらで汗を拭っている。暑い…一体どこまで暑くなれば日本の夏は気がすむんだ。

昨日の夜、涼子が俺の部屋に来て、「先輩、明日デートしましょ」と言ってきた。あまりにも唐突過ぎて、アホな顔をしていたと思う。いやだって、デートだぞ?お出かけや買い物じゃなくて、デート。デートってなんだ?今まで、そんなこと経験したことないからわからんぞ…。テレビとか映画なんかじゃ男女が二人で一緒に買い物したり、遊園地とか行ったりしてるけど、それがデートなのか?それなら何回かあるけど、あれはデートだったのか?…わからん!

その場で、頭を抱えて蹲っていると影が射す。視線を上げると、涼子が怪訝な表情をして立って見下ろしていた。

 

 

「先輩、何してるんですか?」

 

「…あ、い、いや…何でもないぞ。うん」

 

 

立ち上がって涼子と向かい合う。なんてことは出来なかった。立ち上がって涼子の姿を見て、目をそらしてしまった。普段、制服姿や部屋着とかは見たことあるけど、こんな明らかにオシャレな格好をした涼子を見たことはない。やべえよ。なんか知らんが直視できねぇ。

目をそらしていると、涼子が上半身を少し屈めて視線の先に現れる。

 

 

「先輩、何か言うことがあるんじゃないですか?」

 

 

目が合うと、微笑を浮かべて問いかけてくる。え?なに?俺は何を言えばいいんだ!?教えて!紳士な人!!

 

 

「えーっと………」

 

 

視線を泳がせながら考える。いかん。完全にテンパっちまってる。落ち着け。落ち着け俺!思い出せ…テレビとかではなんて言ってた…。

 

 

「あ!…ん、んん。涼子、その服装いいな。似合ってるよ」

 

 

わざとらしく咳払いをした後、微笑を浮かべながら服装を褒める。これだ!これしかないだろ!?

 

 

「ふふ、ありがとうございます。先輩も素敵ですよ」

 

 

涼子の反応は、良好のようだ。あ、別に駄洒落を言った訳じゃないよ?本当だよ?

俺の言葉に満足したのか、涼子は俺の右腕に左腕を絡めて身を寄せてくる。

 

 

「りょりょりょ、涼子!?」

 

 

突然の出来事に慌ててしまう。暑い!顔も身体も暑い!なにこれ!?さっきから慌ててばっかなんだけど俺!?

なんか周囲の男共からの視線も痛いし、舌打ちも聞こえた気がする。俺がなにしたっていうんだよ…。

 

 

「先輩、顔真っ赤ですよ。さ、行きましょ」

 

 

涼子はクスクス笑って、俺の腕を引いていく。はぁ…なんか最近、涼子にはドキドキさせられっぱなしだな。

小さく息を吐き、空いている手で頭をかき涼子の横に並ぶ。横に来た俺を見て、涼子は嬉しそうに笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

電車に揺られ数分、目的の駅に着き降りる。近くにある大型ショッピングモールに行くとのこと。ちなみに腕は解放してもらいました。さすがに恥ずかしすぎるし…周りからの視線が痛くてしょうがなかったんだよ!主に男共からの!

俺がなんとか涼子に頼んで腕は解放されたが、手は握られている。頼んだ時、涼子は不服そうだったが土下座する勢いで頼んだら、手を握る事で了承してくれた。その光景を見ていた周囲から「チッ…リア充め。見せつけてんじゃねえぞ」とか、「リア充爆発しろ」とか色々と聞こえてきた。勘弁してつかぁさい。

駅を出て少し歩くとショッピングモールに着いた。夏休みということもあってか、家族連れや学生らしき人々が、多く見受けられた。空調も効いていてまさに天国だ。

 

 

「そういえば、ここで何するんだ?」

 

 

デートっていうのと、待ち合わせ場所・時間は聞いたけど、何をするのかは聞いていなかったので聞いてみる。

 

 

「そういえば言ってませんでしたね。とりあえず観たい映画があるのでそれを観て、その後は色々と買い物ですね」

 

 

行き先は決まっているらしく、楽しそうに歩いていく涼子。映画か。ここ最近は色々と忙しくて観てなかったな。

施設内には色々な店があり、映画館もその内の一つだ。八階まである建物内の最上階に映画館はあり、エレベーターに乗って目指す。最上階に着くと家族連れが多く、子供達がはしゃいでいたり、それを宥める親達が見受けられた。おそらく、有名なポケットなモンスター達が出てくるアニメ映画を観るのだろう。さて、俺達は何を観るのかな?と思い、涼子についていく。

先に並んでいた人の後ろに並び、順番が来るのを並んで待つ。

 

 

「すみません、高校生二枚お願いします」

 

「かしこまりました。学生証はお持ちですか?」

 

 

受付に着き、俺はチケットを購入しようと受付の係員に話しかける。係員に言われ、学生証を二人で出す。確認を終えた係員は、学生証を返し、席を選んで、言われた金額を支払いチケットを受け取りその場を離れる。

 

 

「あの先輩、お金」

 

「ああ、いいよ。お見舞いに来てくれたお礼ってことでさ」

 

 

財布を出し、お金を渡そうとする涼子を手で制しながらそう言うと、顔を横に振られてしまう。

 

 

「ダメです。こういうのはちゃんとしないと」

 

 

涼子はそう言ってお金を渡そうと財布から出してくる。最近の一部の女性は、デートの時に奢られるのが当たり前と、何かで見た記憶があるけど、涼子は違うっぽい。

 

 

「うーん…わかった。じゃあせめて昼飯くらいは奢らせてくれ。じゃないと俺の気がすまないし」

 

 

少し悩んで、お金を受け取り、新しく提案する。涼子は、提案を渋々納得し、受付の際に離していた手を握ってくる。それに少しだけドキッとしながら、平常心を保ちながら手を握り返す。

 

 

「はい。これチケットな。入場までまだ時間あるし、飲み物とか買ってくか」

 

「そうですね」

 

 

チケットを渡して、飲み物を買いにまた歩く。涼子の方を、目だけを向けて見ると、また楽しそうに歩いていた。俺なんかでいいのか?とも思うも、楽しそうにしている顔を見ると、口に出すことは出来なかった。そんなことを言って、気を使わせたり、空気が悪くなるのは俺も望んでないしな。

 

 

 

 

 

 

映画を見終わって、ちょうど昼飯の時間になったので、涼子が食べてみたかったというイタリアンの店に入った。昼飯時ということもあり、どこも混んでいるが、運よく入ることができた。

ちなみに映画の内容は、よくある学生の恋愛ものの邦画だった。俺もCMで予告は観たことがあった。主役である男子と、ヒロインである女子の心理描写や動きがよく描かれていて、中々面白かった。

注文を済ませて、しばらく映画のことを話していると、先に涼子が頼んだカルボナーラが届いた。

 

 

「どうぞお先に」

 

「ありがとうございます。それじゃお先にいただきます」

 

 

両手を合わせて、日本人にはお馴染みの挨拶をして、涼子は先に食べ始めた。向かいに座りあっていることもあって、手持ち無沙汰になってしまった俺は、涼子をジッと見つめていた。改めてこうやって見ると、涼子って綺麗なんだよな。気も利くしまさにお姉さんって感じだし。意外と可愛いところもあるし。

 

 

「あの、先輩?そんなに見られると食べづらいんですけど…」

 

 

ジッと見すぎていたせいか、涼子が苦笑を浮かべて食べる手を止めていた。

 

 

「あ、ごめんごめん」

 

 

苦笑を浮かべて謝罪をして、視線をそらす。いかんいかん。つい見すぎちまった。気をつけよう。

涼子は、あっと小さく口に出すと、フォークでパスタを巻いて汁が垂れないようにきり、左手をフォークの下に添えてこちらに差し出してきた。

 

 

「はい、アーン」

 

「いや、別にそういうわけじゃなくてだな」

 

「いいから。この体勢意外と疲れるんですから」

 

 

突然やってくるから、動揺してしまう。渋っていると、涼子はズイッと身を乗り出して口の前まで持ってくる。観念して、周りが見ていないのを確認してから食べた。

 

 

「ふふ、美味しいですか?」

 

「あ、ああ。美味しいよ」

 

 

微笑を浮かべて訪ねてくる涼子に、生返事を返してしまう。いや、恥ずかしすぎて味なんてわかるか!いくら、入院してた時にやっていたとはいっても、こういった他の人の目が多い場所でやるのとは大違いなんだよ!

俺が食べたのに満足したのか笑顔を浮かべながら楽しそうに食事を続ける涼子。まあ、涼子が楽しいなら多少はいいか。

そんなこんなをしていると、俺の注文したドリアが届く。伝票を置いて、店員が去っていく。両手を合わせていただきますをして、食べ始める。おお、パスタ系を推してるからどんなもんかと思っていたけど、美味しいな。

味わいながら食べていると、前から視線を感じる。はい。涼子がお返しとばかりに俺を見ていました。

 

 

「えっと、涼子?そんなに見られると食べづらいんだけど」

 

「ふふ、さっきのお返しです」

 

 

やっぱりかと思い、苦笑を浮かべる。気にしていてもしょうがないから、食事を再開する。しかし、未だに視線を感じる。なんだと思い、視線を涼子に戻すと、ニコニコと笑顔を浮かべている。

 

 

「えっと、涼子?どうした?」

 

「いえ。先輩は私にはくれないのかなって」

 

「ああ、ごめんごめん。ほら、どうぞ。熱いから気をつけてな」

 

 

ドリアの入った器を涼子の方へ近づける。そうだよな。俺ばっかりもらってばっかりはいかんな。

一人納得をしていると、涼子は不満そうな顔をして食べる気配がない。

 

 

「?どうした?早く食べないと冷めちまうぞ」

 

「…先輩、アーン」

 

 

不思議に思って食べるように勧めると、口を開けて待つ涼子。ああ、そういうことね。ええい!こうなったら破れかぶれじゃい!

 

 

「あ、アーン」

 

 

ドリアを手元に戻して、スプーンで一口掬って食べさせる。めちゃくちゃ恥ずかしい。なに?この羞恥プレイ…。

 

 

「ふふ、ごちそうさまです」

 

 

満足したのか涼子は食事を再開する。俺も水を一口飲んで、気を落ち着かせてから食事を再開した。

 

 

 

 

 

 

食事はあの後、デザートを頼んで、このあとの予定を話したりしながら終えた。

今は服を見たいという涼子の提案で、女性ものの服屋にいる。今は涼子が近くにいるからいいけど、かなり気まずい。女性ものの服屋なんて入ったことないし、どうしたらいいかわからん。涼子は涼子で店員となにやら話してるし。

 

 

「先輩、ちょっと試着してくるので待っててください」

 

「お、おう」

 

 

涼子は何着か服を持って試着室に向かっていく。

 

 

「彼氏さんも彼女さんの服、見てあげてください」

 

 

外で待ってようかと考えていると、店員がニコニコ笑顔で話しかけてくる。いかん。完全に勘違いをされている。

 

 

「あ、いえ。俺達はそういうんじゃなくてですね」

 

「まあまあ。そう言わずに見てあげましょう」

 

 

俺が誤解を解こうと話すも、まったく聞く耳もたずの店員。この調子だと一向に話は聞いてもらえないなと考え、店員に着いていく。

涼子の入った試着室前で待っていると、カーテンが開いて、中から着替えた涼子が姿を現す。

 

 

「先輩、どうですか?」

 

「似合ってるよ。良いと思う」

 

「ありがとうございます。じゃ次に着替えますね」

 

 

俺の感想に満足したのか笑顔でお礼を言って、カーテンを閉めてまた姿を隠す涼子。店員にもっと褒めたりしないととか言われたけど知らん。あれが俺の精一杯なんだよ。服の感想とか求められたことないし。せいぜいが妹の葵の服を褒めたことがあるくらいだし。そういえば、今と似たようなことを言って、葵に「そんなんじゃモテないよ?」とか呆れながら言われたことあったっけ。その時は、大きなお世話だと思って適当に流したけど、なんて言えばいいのか聞いとけば良かったか。無い物ねだりをしても、しょうがないか。今度姉さんあたりに聞いてみよう。今は、この場を切り抜けないとな。

 

 

 

その後、二着ほど着替えた涼子は一番始めに着たやつを買って、店を出た。どれが一番良かったか聞かれて、一番目のやつが良かったと応えたら、それにしたようだ。

 

 

「俺のセンスなんかで良いのか?」

 

「先輩が良いと思ったならそれがいいですし、私もこれ結構気に入ったので」

 

 

不安になり聞くと、笑顔で買った服が入った袋を持ち上げて見せてくる。涼子がいいならいいかと思い、少し離れた前にいる涼子の横に並ぶ。

 

 

「じゃ次に行くか」

 

「あっ…はい!」

 

 

服の入った袋を涼子から受け取り、もう移動中はお決まりになっていた手を握る。涼子は一瞬驚いていたけど、すぐに笑顔になって歩き始めた。よ、良かった〜。これで嫌がられたら俺ショックで寝込むところだったわ。無いとは思ってたけど、不安なものは不安なんだよ!彼女いない歴=年齢の男子高校生なめんな!

 

 

 

 

 

 

服屋を出たあとは、色々な店を見て回った。俺の服を涼子が見立ててくれたり、ゲーセンでUFOキャッチャーに苦戦したり、食品コーナーに行って調味料の品揃えの良さに俺が驚いたりと色々とあった。どの時も涼子は楽しそうで、俺も気づけばその時間を自然と楽しんでいた。

今は日も沈み始めて、学園の最寄り駅に着いて駅を出たところだ。これからどうするかと話していると、涼子が腕時計で時間を確認して一つ頷くと、近くにある公園に行きたいというので、そこに向かう。

 

 

「先輩、今日はありがとうございました。凄く楽しませてもらいました」

 

 

「ん?俺も楽しかったし、こちらこそありがとうな」

 

 

ゆっくりと手を繋いで歩きながら公園に向かっている途中、涼子がお礼を言ってきた。お互い様だと思い、俺もお礼を言う。なんだかんだで手を繋いでいるのが当たり前になったなと思っていると、涼子が足を止める。どうやら公園に着いたようだ。公園はそれほど大きくなく、入り口からでも把握しきれる広さのようだ。滑り台に、ブランコ、砂場とベンチが一つ。公園内にはベンチにいるよく知った女の子三人のみだ。涼子は三人を見つけると、手を離して三人の下に向かって歩いていく。俺は、三人が居ることを疑問に思いながら、涼子の後に続く。

 

 

「すみません。待たせちゃいましたか?」

 

「ううん。私たちも今さっき集まったばっかだよ」

 

 

涼子が三人の下に着き、悠姫が応える。残りの二人も頷いて応えている。

 

 

「おっす。仲良くなったとは思ったけど、待ち合わせていたのか」

 

「まあね。もも達にも色々とあるのよ」

 

「そういうことだな」

 

 

俺も皆の前に着いて、挨拶をする。ももと竜胆がそれに応えてくる。入院して新しい方の病院に移動してからしばらくした頃から、この四人が一番見舞いに来てくれていた。むしろ来る時間に差はあったけど、四人が集まるのが多かった気がする。気づいた時には普通に話したりしてたしな。ももは若干まだ距離的なものは感じるけど。

 

 

「じゃあ先輩、私とのデートはここまでです」

 

「え、あ、お、おう」

 

 

涼子が俺の方に振り向いて、突然告げられるデートの終わり。突然過ぎて言葉が詰まってしまった。え?ていうか皆の前でそんなこと言っちゃうの?

 

 

「じゃあ次は私の番ですね。諸星先輩」

 

「は?」

 

「その次は私な」

 

「へ?ちょまっ」

 

「最後はももだからね」

 

「待て待て!次って何んだよ?ちゃんと説明しなさい!」

 

 

悠姫、竜胆、ももの順に何やら順番が決まっていく。何が何やらわからない俺は説明を求めて、ストップをかける。いや、何となく予想はついてるけど、間違ってたら恥ずかしいしな。

 

 

「何ってデートの順番ですよ」

 

 

涼子が首を傾げながら、何を当たり前なことを、と言いたそうな顔で言ってくる。ああ、やっぱりか。流れで何となくはわかっていた。それに最近の態度とか見てれば、こういったことに鈍いとか言われる俺でも、皆の気持ちには気づいていた。

 

 

「なんだ、その…本当に俺で良いのか?」

 

 

だから皆に聞いてみることにした。俺より良いやつなんて、それこそ五万といるだろうに。そう思って聞いてみるが、全員に溜め息を吐かれてしまう。

 

 

「先輩、俺“で”なんて言わないでください」

 

「そうですよ。私たちは諸星先輩“が”良いんです」

 

 

涼子が真剣な表情で、悠姫は笑顔を浮かべて言ってくる。

 

 

「むしろ圭が、もも達の気持ちに気づいていたのに驚きね」

 

「確かにな。結構アピールしてたのに、中々態度が変わらないから、女に興味ないのかと思った時もあったな」

 

 

ももはやれやれといった感じで、竜胆はうんうん頷きながら言ってくる。おい、ちょっと待て。その誤解はあんまりだろ。

 

 

「色々と言いたいこともあるけど…まずはありがとう。ここにいない他の皆もそうだけど、辛かった時支えてくれて。一緒にいてくれてありがとう」

 

 

小さく息を吐き、頭を下げる。そして、今できる精一杯の礼をする。今の俺にはこれくらいしかできない。

 

 

「ま、今すぐ返事をもらえるなんて、もも達も思ってないしね」

 

「そうだな。圭がヘタレなのは今に始まったことじゃないしな。それに今返事するなら今日デートした榊が有利だしな」

 

「あら、それなら私は今返事もらってもいいかも」

 

「ちょっと涼子!あんたダメだからね!」

 

 

もも、竜胆、涼子、悠姫の順に話始める。竜胆には色々と言ってやりたいが、事実だから何も言えない。しまいには涼子の言葉を切っ掛けに、言い合いを始める四人。そんな四人を見ていると、自然と笑いが込み上げてきた。俺が笑っているのに気づいた四人は顔を見合わせて、笑い始めた。

 

 

 

一頻り笑い合って落ち着いた俺達は、今後の予定を話し合って解散した。竜胆とももとは公園で別れ、涼子と悠姫と一緒に寮に戻り、今は自分の部屋でベッドに寝転がりゆっくりしている。今後の予定はこうだ。明後日に悠姫と出かける。これは、悠姫が秋の選抜への出場や帰省の関係でそれに配慮した結果だ。涼子も同じ理由で今日になったらしい。どうやら既に順番は決めていたらしく俺の予定次第だったそうだ。次の週に竜胆ともも。お互いに仕事があるため、予定を合わせた結果、このようになった。やべえ。冷静になって考えると、これが噂に聞くモテ期とかいうやつなのか?あ、やべ。顔のニヤケが止まらねえ。こんな顔、自分の部屋以外でしてたら、何を言われるか堪ったもんじゃないな。

 

 

「先輩?何回呼んでも返事がないので失礼しますよ。秋の選抜のことでそうだ…んが……」

 

 

慧が部屋に入ってきて、俺がジタバタと悶えている姿を見て固まってしまっていた。俺も慧に気づいて固まってしまう。

 

 

「すみません。お取り込み中でしたか。また後で来ますので、落ち着いたら呼んでください」

 

 

そう言って部屋から出ていく慧。

 

 

「ちょ、ちょっと待った!大丈夫!落ち着いたから!だから待って!さとしいいいぃぃぃぃ!」

 

 

慧に説明するのに、数十分。俺の叫びを聞いて、説教しに来たふみ緒さんに数時間。高校最後の夏休み初日の夜は長かった。




残り数話でこの物語は完結させようと思います。
それまでの間よろしくお願いします。
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