5/3 司が住んでいるのは寮ではなくマンションに変更しました。
5/9 司の一人称を『僕』から『俺』に直しました。今週号を読んだら『俺』と書いてありました。申し訳ございません。
『遠月十傑特別席』、通称『十特』。今までの十傑とは選ばれし十名からなるものだが、今年は正しくは十一名で構成されている。
その新たなる一名が、諸星圭である。
そんな圭に与えられた権利と役割とは、
一、『遠月十傑特別席』(以下『十特』と表す)は、『遠月十傑評議会』(以下『十傑』と表す)の相談役を主にしサポートをメインとしたものである。
二、十特は、十傑とは異なり十傑が有する権利を持たない。基本的に一般生徒と変わらない。
三、十特は、十傑が開く会議にて意見が割れた場合、または議決に一ヶ月以上かかる場合は、総帥と相談し最終意志決定ができる、最終意志決定権を持つ。
四、十特は、十傑が開く会議には必ず参加をしなければならない。
五、十特は、十傑の半数以上が認めた者のみがなることができる。
諸星side
俺は今、竜胆と共に十傑会議の開かれる部屋の中にいる。
そこで第一席の『司瑛士』に先程処理した書類を渡す。
竜胆は「お疲れ〜」と言うと自分の席に座り、机にだらしなく突っ伏す。
「瑛士、遅くなってすまんな。ちょっと私用でな。これ竜胆の書類な」
「あぁ、構わないよ。ご苦労様。何となく予想はしていたからね。それにちょうど新作を考えていて時間には困らなかったから」
「へぇ〜、瑛士の新作か。今度、試食させてよ」
詳しく言わずとも理解してくれる友人に嬉しく思いながら二人で談笑していると、自分の席で突っ伏したままの状態で竜胆が割り込んでくる。
「お〜い〜、仕事が終わったんなら早く夕飯行くぞ〜」
「悪い悪い。あ、瑛士も一緒にどうだ?」
「う〜ん…折角のお誘いだけど今回は遠慮しておくよ。やらなきゃいけない書類とかもまだあるからね」
「え?それなら俺も手伝う…「はぁ!?圭!私はもう待てない!」………」
俺が瑛士の手伝いを申し出ようとした瞬間、それを察した竜胆が子供のように拗ね始める。
「あのう、竜胆さ…「やだ」…りん…「やだ」…り…「やだ」…」
さて、どうしたものかと考えつつ瑛士の方へ顔を向けると、ちょうど向こうと目が合い二人して苦笑してしまう。
「圭、俺は構わないから。手伝いはまた次の機会に頼むよ」
「ん、了解。それじゃまた明日な、えい…「終わったな!行くぞ!またな瑛士!」…わかった!わかったから!だから離れなさーい!」
「ははは…また明日」
俺の腕に自身の腕を絡め密着しながら引っ張って行く竜胆と、それを引き剥がそうと抵抗する俺を苦笑しながら軽く片手を上げ小さく手を振りながら見送る瑛士であった。
司side
俺は二人を見送って事務作業をし終え、部屋を後にする。自身の住まうマンションの部屋に着き、荷物を備え付けの学習机の上に置き近くの椅子に座る。
「ふぅ…」
軽く息をつき、目を閉じる。瞼の裏に映るのは今日の二人と俺を含めた三人でのやり取り。と言っても竜胆とは軽く挨拶した後は絡まなかったのだけれど。
しかし、三人で集まると大体はこんな感じだったように思う。俺と圭が話していると竜胆が話を割ってきて、圭か俺のどちらかに絡み、それを片方は竜胆を相手にし、もう片方は苦笑を浮かべながら見ている。そんな時間を二人と知り合った高等部一年の時から楽しく過ごしてきた。もちろん、お互いがライバルであり、何度か非公式であるが対決をしたこともある。圭と対決したのはたったの二回。お互いがお互いの新作を試食することはあるけれど、あの対決以来、圭とは戦っていない。
「圭…君はいつになったらあの時から踏み出すんだ…」
そう呟き目を開け、窓から見える月を見る。
窓を開け、少しだけ昔を思いだし熱くなった身体に心地よい風が吹き、熱を冷ましてくれる。
身体を冷やしすぎないように窓を締め、夕飯を用意しなければと思い、調理室に向かいながら、ふとあることを思う。
「そういえばあの時からか。竜胆が圭を必要以上に引っ張り回すようになったのは」
何故だろうか?心配なのはわかる。それは俺も一緒だから。それでもあそこまでする必要はあるのだろうか?
圭は強い男だ。それは料理も精神的にもと俺は思っている。だから、きっとあの時からまた一段、いや二段三段と飛び越えて強くなって帰ってくると信じている。それは彼女も知っているはずだ…では何故?思考のループに嵌まりそうになり、それを断ち切り調理室に着いたことに気づき、夕飯の準備を始めた。
諸星side
瑛士と別れ、漸く竜胆の密着から解放された僕と竜胆は、次なる目的である夕飯のために夕焼け空の下を並んで歩いている。何故か手を繋がれながら。
「あのう、竜胆さん…「やだ」…いや、まだ何も言ってないんだけど」
用件を伝える前に断られてしまった。
「どうせ手を放せだろ?嫌だね。放したら寮に帰って後輩たちのお祝いに行っちまうだろ」
「いや、大丈夫だよ。約束通り竜胆と夕飯食べて帰るよ」
横に並ぶ竜胆にそう言いながら微笑みかける。
これは本音である。可愛い後輩たちを祝いたい気持ちがあるのは確かだ。
しかし、遅刻をし、さらには約束まで破るなんていう鬼畜にまでは落ちぶれちゃいない。
「…本当だな?」
「もちろん」
俺の言葉を聞き、心配そうな顔を見せながらも漸く手を解放してくれた。
なんか今日はこいつの心配そうにする顔をよく見るな。それに会議室でのやり取りも、なんかデジャヴを感じる。ああ、中庭でのやり取りか。
いかん。思い出したらまた顔が熱くなってきた。
それを誤魔化すように向けていた顔を前に向けながら竜胆を茶化すように話しかける。
「あ、もしかしてお前…嫉妬してる?」
竜胆は少し後ろで立ち止まり肩を震わせると俺の前に立ち笑顔を向けながら話しかけてくる。
「そんなわけないだろ。私が嫉妬?そんなわけないだろ…ふんっ!」
「グフォ…」
大事なことなので二回言ったのかな?
そんなアホなことを考える俺をよそに、顔を一度下げ、一瞬の間が空き不信に思った俺が一歩近寄ろうとした時、鳩尾に竜胆の拳がドンっと鈍い音をたて刺さる。
腹を抱え苦しむ俺の横に並び肩に手を置く竜胆。
「そんなわけないよな?圭?」
「うんうんうん!」
禍々しいオーラを出しながら笑顔で問いかける竜胆に対して、俺はあまりの恐怖と痛みから首を激しく縦に振るしかなった。
「よし!じゃあ改めて食べに行こう!」
「お、おぉ〜…」
そう応えると、いつもの笑顔に戻り元気良く右拳を上げ意気揚々と歩いていく竜胆の後ろを、腹を抱えて歩く。
痛みも大分引き、楽しそうに鼻唄を歌いながら前を歩く彼女を追いかけながら歩いていると、彼女が振り返る。
「おーい!早く来ないと店が閉まっちまうよ!」
「別に大丈夫だろ。んで、何処に行くんだ?」
「ん?回らないお寿司屋さん♪」
横に並び質問をすると、今日一番の笑顔で応えてきた。
「Pardon?」
言っている意味に頭が追い付かずつい英語で問いかけてしまった。
「だからぁ回らないお寿司屋さん♪」
うん。OK。理解した。ってか語尾に音符マークが見えたのは気のせいかな?気のせいだな。
「あのう、竜胆さん…「約束」…うぐっ」
「圭は、遅刻した上に約束を破るような鬼畜じゃないよな?」
ニヤニヤと人をからかう笑顔を浮かべながら、先ほど心で思っていたことをそのまま口にされる。エスパー?エスパーなの?エスパー竜胆なの?
「わかったよ。ただし!五皿までだからな!そうしないと俺、困っちゃうから!!」
「はいはい。わかってるよ〜♪」
そんなバカなやり取りをしながら、二人で歩いていく。
月始めにして残り残高3000円。な、何とかなるよな?
なんか、タイトル詐欺な気がします。
一応、次回は竜胆さんの心理描写をしてから、極星寮生たちとの絡みを書きたいと思ってます。
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