極星寮のお兄さん?   作:ジョニーK

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前回書けなかった竜胆sideです。普段に比べて短いですがどうぞ。


第五話〜気づかぬ想い〜

竜胆side

 

圭との食事を終えて、私が借りているマンションまで送ってもらい、今は湯船に浸かり今日の疲れを癒している。

 

 

「〜〜〜♪」

 

 

目を閉じ鼻唄を歌いながら今日のことを振り返る。

中庭で待ち合わせの筈が時間になっても来ないから………うん。ここは思い出すだけでまた怒りが込み上げてきそうだからやめよう。

 

えーっと次は、写真部に行って圭が楽しそうにお願いしていたな。

写真部の子達も当たり前のように受け取ってたし、常連になるまでになったんだなと思いながらその光景を見ていた。

 

その後は私の作業部屋に行って事務作業。

私は何も置かれていない机の奥にある椅子に座り、圭は書類が散らかっている方の机のソファーに座る。

小さく溜め息を吐くと、約束通り黙々と作業をしている。そんな圭を眺めていると手が止まり此方に近付いて来て、何枚か書類を机の上に置く。

 

 

「はい、これだけわからなかったからよろしく」

 

「ん。」

 

 

置かれた書類を手に取り机の引き出しからペンと判子を取り出し、作業を始める。

すると何枚かの書類に疑問をもち作業している圭に問いかける。

 

 

「なあ、これそっちで処理できるよな?」

 

「んん〜?あぁ、ちょっとやり方忘れちゃって。ごめんな」

 

 

圭は、苦笑を浮かべながら右手を顔の前に持ってきて謝ってくる。

ジト目で見ていると、圭は視線をそらして「飲み物でも買ってくる」と言って、とめる暇もなく逃げるように部屋から出ていった。

あいつはいつもそうだ。事務作業の時には決まって基礎的なものもやらせてくる。

あいつ曰く、「基礎は大事なんだ」云々かんぬんと長々と説明されたことがある。

 

 

「はぁ〜」

 

 

大きく溜め息を吐き作業を再開した。

作業が終わると圭がちょうど帰ってきた。

 

 

「ただいま。ほら」

 

「善きにはからえ。ほい」

 

 

パックジュースを受け取り書類を渡す。

圭は、書類をチェックし終えると「ご苦労様」と言って出しておいた封筒に入れていく。

パックにストローを挿して飲んでいると作業が終わった圭が声をかけてくる。

 

 

「よしっと。ほんじゃ行きますか」

 

「あーい」

 

 

そして、部屋を後にした私たちは司がいる十傑専用の会議室を目指した。

 

 

会議室に着いて司と適当に挨拶をして自分の席についてだらけながら楽しそうにする二人の様子を窺う。なんか、仲間外れみたいにされているのが嫌で圭に一声かけたら司に書類を渡して一緒に私と約束した夕飯に行かないかと誘っている。

私も別に構わないのだが、司はまだやることがあるからと断ったのだが、圭が手伝うと言いそうになるのを阻止した。

だってお腹減ったし、二人が作業始めたらまた仲間外れみたいになるしーーえ?仲間外れが嫌なら一緒にやればいいって?そんなの面倒だし、何より私はもう自分の仕事が終わったから気力も湧かないんだよ。ってかあんた誰だよ!?………無視かよ!!

 

あとはいつも通りのやり取りをして、モヤモヤした気持ちを振り払うために圭の腕に自分の腕を絡めてからかう。

相変わらず顔を真っ赤にする圭に満足しながら司に挨拶をして部屋を出た。

 

 

店に向かう道中、私は圭の手を握って横に並びながら歩く。圭の手はちょっとゴツゴツとしていて男っぽさがあった。

恥ずかしいのか手を離すように言ってくる。

人がまばらにいて私たちと同じ街の方へ向かっている。夕陽がそんな景色を哀愁を漂わせるように照らすもんだから、何故か離したらこいつが遠くに行ってしまいそうな感じがして拒否をしてしまった。

でも、それを正直に伝えるのが嫌で圭の住んでいる寮の子達を言い訳に使った。

約束は守ると言ってくるが、まだ言い知れない不安が私を襲う。けど、圭の笑顔を見るとそんな不安も和らぐ。手を離すと先程のお返しと言わんばかりにからかってくる。

この私を不安にさせておいてと今日何度めかになる怒りが込み上げてきて、その場に立ち止まり一発かまそうと決意した私は、圭に近付いて鳩尾に拳をぶつけた。

嫉妬などしていないと圭に言うと苦しみながら首を縦に振って応えた。

すっきりしたので気を取り直して鼻唄を歌いながら店に向かっていると、圭が横に来て何処にいくのか問いかけてくるので、回らない寿司屋と楽しげに言ってやった。

何か言ってくるが適当に流しながら店に向かった。

 

 

 

 

 

 

目を開け、長風呂していたことに気付き脱衣場に行き身体を拭いてパジャマを着て、髪をドライヤーで乾かし終え寝室のベッドに身体を倒す。

 

ふと、あの時の不安についてゆっくりと目を閉じて考える。あの不安を感じたのは別に初めてではない。あの時から時折感じている。

圭に何かあったのは司も他の十傑の三年生たちも気づいているだろう。

でも、あいつは誰にも話していない。頑なに話そうとしないし、その話をしようとすると直ぐにはぐらかす。

だから私たちは待つことにした。あいつの辛そうな顔を見るのは私たちも望んでいない。何よりあいつの辛そうな顔を見ると胸がキュッと締め付けられる。

目を開け身体を起こし、化粧台の上に置いてある写真立てを手に取り見つめる。そこに映っているのは現十傑三年生。これを撮ったのは秋の選抜本選が終わったあと。勝敗はあったけどそれでも圭以外は中等部からの付き合いだ。それぞれが楽しそうに清々しい顔をしている。

圭は編入生として入ってきたため高等部からの付き合いだ。圭の素直で優しく明るい性格と人を惹き付けるあの笑顔のおかげか直ぐに皆と打ち解けていった。

 

 

写真に映る圭を指先で一撫でして化粧台の上に戻すとベッドに戻り横になる。写真をみて少しだけ楽しかった思い出に浸りながらゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

胸に過った不安と圭の笑顔によって暖まる心。

その感情がなんなのか…まだ彼女は知らない。

 




長かった1日が終わりました。
4話消費か…先は長そうです。
といっても創真sideに関してはカットになるかと思います。ご了承下さい。


それでは!
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