緋弾のアリア 悲しみの悪魔   作:osero

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 なんとか1週間ぎりぎり投稿できました。今回はかなりつらかった。その理由は後書きで。

 今回前書き書いたのは十話まで書けたからです。たかが十話と思うかもしれませんが、ここまで書くのはほんと大変でした。ここまで来れたのも今までこんな作品に感想をくれた皆様がいてくれたおかげです。おかげで頑張れました。
 しかし、今回の出来はひどいと思います…いやきっと大丈夫のはず。
 




第十話『悪魔の忘れし過去』

 

レキが帰った後リンは疲れが残ってたのか、眠り過去の夢を見ていた。

 

この夢はリンの7年前の記憶であり、リンさえも忘れてしまった。始まりでもあり光を失った日でもあった。

 

 

 

------------

 

 

「あの子供不気味ね……何でも施設を何件も行ききしてるらしいわ。しかもあの子がいた施設の人達に不幸な事ばかりおこってるらしいわ。悪魔の子供と言われてるらしいわ」

 

 この頃からリンは悪魔の子と言われており、周りからは忌避の目で見られていた。何も悪いこともしているわけでもなく、不幸の原因を全部押し付けられ、周りからの扱いは酷かった。ゆうことを聞かなければ殴られ、罵られ、リンは心も体も傷を負っていた。そして今も大人から暴力を振るわれる。

 

「このくずが!お前がきてから不幸な事が起きてばかりだ!この悪魔が!」

 

「…………」

 

 ただ黙って殴られる。うんともすんとも言わず人形のように動くこともせず声もあげない。それがまた気に障るのか大人達は殴り続ける。

 

「っけ!相変わらず不気味なやつだ」

 

「このくらいで許してやるか。さっさと掃除して来い」

 

 そう言われ傷だらけの体を平然と起き上がらせその紅い瞳で大人達をを見つめる。

 

「ッ!!な、なんだ、も、文句あるのか!」

 

 その姿を大人達は恐れた。こんな子供なはずなのに恐怖を感じ、まるで同じ人間ではないように感じたのだ。

 

「いえ、掃除をしてきます」

 

 そう言いリンは何も感じる事もなく、その部屋を後にする。

 

 この時からすでにリンの心は壊れかけており、人に関心を抱かなくなっていた。ただ一人の例外を除いて。

 

 

「リ…リン、だ、大丈夫?」

 

 部屋を出てしばらく歩いているとリンを心配してかけよってくれる少女がいた。

 

「ゆき……俺と関わるとまた何か言われるぞ」

 

「で…でも…わ、私、リンが心配だったから……」

 

 この少女、ゆきは幼い頃に両親が死に施設に引き取られていた。あまり活発でなく、感情あまり出せず、喋るのもあまり得意ではないためいつも一人だった。何故か分からないが嫌われてるリンに関わってきたのだ。いつのまにかこうして心配しながら濡れたタオルをいつも自分の顔の傷に当て治療してくれるようになっていた。ゆきはゆいつ自分を心配してくれる人であり、リンにとってこの世界で感じる初めての温もりだった。

 

「そうか……ありがとな」

 

「う、うん」

 

 ゆきの青く澄んだ綺麗な髪を優しく撫で、撫でられたゆきはくすぐったそうにそれでも嬉しそうに頬をゆるめていた。そんな姿を見たリンは初めて人を、ゆきを守りたいと想いが生まれたていた。

 

 

 それから一月が経ち、相変わらずリンとゆきは大人達がいない間、よく一緒に遊んでおり、今日はあたり一面花畑で花の冠を作っていた。

 

「リ、リン」

 

「どうしたゆき?」

 

 名前を呼ばれリンは頭をかしげる。

 

「い、いつも、私の遊びに付き合ってくれて、あ、ありがとね」

 

「……いきなりどうした?」

 

 そんな事言うゆきに疑問を感じ、問い返す。

 

「い、いつもね、何も言わず私に付き合ってくれるから、お、お礼をと思って……」

 

「別にいいさ。俺だってゆきと一緒に居たいから遊びに付き合ってるんだよ。気にしなくていい」

 

「う、うん..嬉しい」

 

 ゆきはあまり喋るのが得意ではなく、施設でもあまり馴染んでいなかったため、リンと仲良くなれた事が嬉しかった。最初リンを見たとき何故か分からないがほっとけなかった。だから勇気を振り絞って声をかけた。それから仲良くなり、関わっていく内に一緒にいると心が温まり、幸せだった。だから何かプレゼントしようと思い花の冠を作るためにここに来たのだ。

 

「こ、これ、リンにプレゼント」

 

 ゆきはリンの頭に花で作った冠を乗せ、羽のペンダントも一緒に送る。

 

「……ありがとう...大切にするよ。........これ」

 

 貰ったリンは嬉しさを感じ、しばらくその心地よさに身を委ねる。そして胸にある十字架のネックレスをゆきに差し出す。  

 

「……ネックレス?」

 

 ゆきはリンが差し出してきたネックレスを見つめる。

 

「そうだ。俺のゆいつの母の形見なんだ。良かったらゆきが持っててくれないか?」

 

「え…わ、わるいよ!そ、そんな大事な物」

 

 ゆきはあたふたし、それを見たリンは思わず笑ってしまう。

 

「ハハ..いいんだよ。俺がゆきに持って欲しいんだよ。それに俺には今ゆきから貰ったこの羽のペンダントがあるから。ね?」

 

 そう言って笑顔で差し出すリンにゆきは遠慮しながらもそれを受け取る。

 

「すごく綺麗だね...このネックレス」

 

 ゆきはその綺麗なネックレスに目を奪われ、それをリンは満足そうに見ていた。

 

「だ、大事にするね。リンから貰ったプレゼントだから」

 

 そう言って微笑むゆきは綺麗でリンは見惚れていた。

 

「……あぁ。俺もゆきのプレゼント一生大事にする」

 

 お互いが言い合い、リンとゆきは手を繋ぎ自分達の居場所に帰る。その時、お互いの顔はどちらも幸せそうに微笑み、周りの花達もそれを祝福するかのように揺れていた。

 

 だが、それは長く続く事はなかった。

 

 

 

 半月後、いつも通りゆきと遊び、夜、リンは施設の少し離れた小屋で寝泊りをしており、その場所で羽のペンダントを見つめる。

 

「……ゆき」

 

 思い出すのはゆきの笑顔。自分に温もりや生きる目的をくれて、まるで向日葵のような笑顔で眩しく美しかった。

 

「……なんだ?」

 

 そんな事を考えているとここからでも辺りから声が聞こえ騒がしく気になり窓の外を覗いた。

 

「なっ!?な、なんだこれは?!」

 

 リンが窓の外を見てみると自分が住んでる施設が燃えていた。いそいで外に出ると血を流し倒れている人がたくさんいた。

 

「な……なにがおこった…」

 

 始めて見る光景に恐怖し呆然としていたが、すぐにゆきの事を思い出し、急いで探すために走り出す。

 

「ゆき!どこだ!いたら返事してくれ!」

 

 リンはひたすら走り続けるが、周りには大人や子供、どれもが剣で貫かれていたり、銃で撃たれた後など、無残な死体が転がっており、リンはそれを見るたびに焦りを感じた。

 

(頼む、無事でいてくれ。お願いだからゆきだけは……)

 

 ただそう願いゆきを探すが見つからなく、リンは施設の横にある小さい教会の扉を開け放った。

 

「ゆき!」

 

 協会に入ると倒れてるゆきが目に入り急いで駆けつける。

 

「だいじょ…う…ぶ…か…」

 

 起き上がらせると自分の手に血がついてる事に気づき言葉が失った。ゆきのお腹から血がでており、何も考えられなかった。さっきまで一緒にリンとゆきは遊んでいたのだ。それなのに今のこの状況がリンには理解できないのだ。

 

「嘘だろ……嘘だ!嘘だ!嘘だぁぁぁぁ!……起きてくれ!…頼むから…起きてくれ!お願いだから…ゆき…」

 

 ゆきの名前をただひたすら呼びかける事しかできない。

 

「リ……リ…ン…」

 

 声が届いたのか、ゆきは弱弱しい呼吸だがまだ生きており、苦しいのを我慢しリンの顔を見つめる。

 

「ゆき!大丈夫か?今病院に連れて行くから!」

 

「リ……ン。会えて……良かった…いきなり…ゴホゴホ…知らない…人達が…リンを…逃げて…」

 

「もういい!喋らなくて……いいからこれ以上は……」

 

 血を吐きながらもリンに伝えようとしていて、リンは耐えられず見ていられなかった。それでもゆきは止めようとはしない。

 

「……これ…返すね…私…もう駄目だから…」

 

 震えながら、力をふりしぼり血まみれのネックレスを差し出す。

 

「駄目とか言うなよ!返すなんてそんな事…言わないでくれ……まだ間に合うから…だから…」

 

 リンは両手でゆきの手を掴み、縋り付くが、ゆきは首を横にふり痛みを耐え笑顔を作る。

 

「私ね……リンに会えて良かった…リンは…私に…色をくれた。生きる幸せを…教えて貰った…私にとってリンは…かけがえのない…大切な人」

 

「あぁ…俺もだよ…俺もゆきが大事だ。ゆきがいるから今までも耐えられた!ゆきがいるからこの世界は幸せだと感じられた!だから、これからもずっと一緒にいよう!一緒に笑って一緒に怒って一緒に泣いてずっとずっと一緒にいよう…」

 

 あふれ出る涙を止めようとせずリンは自分の気持ちをゆきに伝える。

 

「そんな夢見たいな日々が続いたら…幸せだね……でもね…私ね…なんだか眠くなって来ちゃった…」

 

 自然と眉が下がり、視界がだんだん狭くなり暗くなるのをゆきは感じていた。

 

「リン…最後に約束…して。生きて…どんだけ辛い事があっても生きて…リンが生きてくれるだけで…私…幸せだから…約束ね」

 

 最後の力を振り絞り小指を差し出す。

 

「あぁ…わかった…約束する。どんだけ辛い事があっても生きると」

 

 ゆきの最後の願を心に刻みつけリンは泣きながら無理に笑顔を作り小指を絡める。

 

「あ…りが…とう…リン…おやすみ…」

 

 リンの小指からゆきの手が滑り落ち、ゆきは安らかに眠る。それを見て、リンの心は壊れた。

 

「あ…ァ…ァあああああああ!」

 

 この現実を認めたくなく、ただリンは叫んでいた。もはや何も考える事などできず、泣き叫ぶ。

 

 その時、協会に何人ものフードを被った者達が入ってきた。

 

「ここにいたか悪魔。貴様を匿った施設の人間にはみな死んでもらった。後はお前だけだ…」

 

 フード男がそう言うがリンには聞こえておらず、ひたすら叫び、ゆきの名前を呼んでいた。

 

「ァあああああああ!ゆき!…ゆき!…ゆき!…」

 

「聞こえないのか、皆構えろ。殺せ」

 

 そう言いフードを被った者達が銃を構え撃とうとした瞬間、それは起こった。

 

「な…なんだこれは!?」

 

 突然協会が揺れ理性の失ったリンの体から魔力が流れだす、急激な揺れと風が巻き起こりフード達は銃の狙いが定まらかった。そしてそれが収まると同時にそこに悪魔はいた。もはや人間ではなかった。何か鎧をかぶっているようであり、赤い魔力をも纏い。誰もが悪魔だと思い浮かべた。

 

「Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa」

 

 雄叫びを上げ、暴走したリンは暴れ出し、フード達に襲いかかる。 

 

「なんだこの化物!し…」

 

 死ねと言おうとした人物は最後まで台詞を言えず、頭を地面に叩きつけられ即死していた。

 

「じゅ…銃を撃て!…打ちまくれ!」

 

 あまりにも一瞬の出来事で誰もが呆然としていたが、意識を取り戻した瞬間、声を張り上げる。皆がリンに銃を撃つ。銃特有の音が、鳴り響くがリンには当たっておらず、逆に自分達が次から次へと仲間が減っていく。

 

「あ…悪魔だ…助けてくれ…あぁぁ!」「痛い!痛い!…あ…」

 

 それから一方的だった。恐怖で戦意を失い逃げようとするフード達を圧倒的な魔力を纏い動きが早くなったリンを目の前に逃げれるはずもなく、次々とフード達の頭や体を潰し辺り一面が血の海とかす。

 

それでも暴走したリンは止まらず、外にいるフード達にも襲い掛かる。

 

「なんだこれは?!」

 

そのさわぎに青いフードを着たこの作戦を任せれていた幹部候補が駆けつけていた。

 

「い…いきなり悪魔が暴走したらしく、きょ…協会に入った隊は全滅しました!な、なお、外にいた我々の隊も……ほぼ全滅であります…」

 

 見てみると何人もの数のフード達がリンに襲い掛かるが、あまりにも早すぎて追いきれないず、知覚できる暇もなく死んでいる。

 

「全員。目を潰れ!」

 

 そう叫び、彼は懐から弾を取り出し、弾薬を変え、悪魔と化したリンに撃つ。その瞬間辺り一面が閃光に包まれた。

 

「今だ。見えない内に畳み掛けろ!」

 

 先ほど使った閃光弾が、聞いたのか、悪魔化したリンは目を押さえながらうずくまっており、チャンスだと思い一斉攻撃をしかける。

 

「行くぞ!」

 

 銃を撃った後、血を流す悪魔に彼は腰から刀を抜き走り出し、剣や刀、ナイフを持ったフード達も後に続き一斉に切りかかり刺す。

 

「終わったか…」

 

 悪魔化したリンは至る所から血を流しており、終わったと思い彼は刀を引き抜く。

 

「な?!」

 

 引き抜こうとした所で彼の刀はリンに掴まれていた。

 

「化物が!お前ら!こいつらは生きて…ッが!!」

 

 彼はリンに殴り飛ばされ建物の壁に叩き込まれる。

 

 それを見たフード達が、一斉に襲いかかろうとした所で、

 

「アァァァ!!!!!」

 

リンは魔力を爆発させあたりが一面光につつまれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 すべてが終わった後、ふとリンは意識を取り戻した。

 

「なんだここは?いったい何が…」

 

 辺りを見渡すと建物らしきものがほとんど原型を留めておらず破損していて、リンは良く分からなかった。

 

(たしか施設を追い出されて、それから…新しい施設に入ってたはず…)

 

 そこから後の事は覚えておらず、そんな事を考えているとふと自分の胸に見知らぬ羽のペンダントがついていた。

 

「これは…」

 

 そのペンダントを触った瞬間、一瞬だが、少女と指切りをする光景が頭をよぎった。

 

「ッ!!」

 

 それと同時に胸に激痛が走る。

 

(なんだこれは!痛い…痛い…痛い)

 

 しばらく激痛が続き、リンは尋常なぐらい汗を流し、息を乱していた。

 

「はぁはぁ。ふう」

 

 呼吸を落ち着かせ、リンは先ほどの光景を思い出した時、なんとなくだが、この羽のペンダントは大事な物だと理解し、それとよく分からないが生きなければならないと心が告げていた。

 

「な…なんで…」

 

 ふと顔を触って見ると自分は涙を流している事に気づく。

 

「なんでこんなにも悲しいんだ…ぅ…ぁ…」

 

 リンは涙が止まらず、悲しさがこみ上げ、抑え切れなかった。

 

 それからしばらくして、落ち着いたリンは立ち上がりふらふらと当ても無く歩き出す。ただ一つの約束を無意識に守るために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!!はぁ、はぁ、はぁ」

 

 目が覚めたリンは汗を流し、震える腕で胸を押さえていた。

 

(何か大切な夢を見ていた様なきがする…)

 

 思い出そうとするが、思いだせず、もやもやが残るだけだった。

 

「起きたか…大丈夫かリン?うなされてたぞ」

 

 近づく綴を見てリンは気づかぬうちに綴を抱きしめていた。

 

「な?!ど…どうしたリン?」

 

 綴はいきなりリンに抱きつかれ顔をトマトのように真っ赤にし、リンにされるがままだった。

 

「少しだけこのままでいいか…」

 

 胸に残る虚無感を埋めるためにリンは綴を強く強く抱きしめ、存在を確かめる。

 

「あぁ、いくらでもいいさ」

 

 綴は驚いていたが、すぐにリンが震えていることに気づき、平常心を取り戻し、壊れないように優しく銀色の髪を撫で続けた。

 

 

 

 

 それからしばらくして落ち着いたリンは綴から離れる。

 

「ありがとう。だいぶ、楽になったよ」

 

 そう言ったリンは、まだ悲しみが残っていたがそれでも少しは笑みができるぐらいには心が軽くなっていた。

 

「もう夜になるがまだ大丈夫なのか?」

 

 外を見ると辺りはすでに暗くなっており、辺りは物音一つおらず、病院特有の静けさがあった。

 

「私は教師だからなぁー。なんだその目は決して脅したんじゃないぞ?」

 

 自分が疑わしい目で見ているのに気づき綴は睨みながら反論し、ナースを脅したんじゃないか、と思うと思わず笑いがこぼれる。

 

「ハハ。やっぱり綴には敵いそうに無いな」

 

「な?!お前ばかにしてるのか!」

 

 馬鹿にされてると思ったのか珍しく声を張り上げ綴はリンに詰め寄る。

 

「違うよ。綴のおかげで少し楽になったんだよ」

 

「な…お前はいつもそうだ…唐突にそんな言葉を言って…許すとでも…」

 

 顔を逸らし小声で何かぶつぶつ言っている綴を見てリンは自然に頬が緩んだ。

 

 

 それからしばらく、綴は自分の世界から帰ってきたらしく、リンにさっきの事について聞く。

 

「それでさっきのは何があったんだ?」 

 

 綴がそう問いかけ、リンは自分でもあまりよく分かっていないが、精一杯答えようとする。

 

「夢を見ていたんだ…覚えていないんだけど…とても大事な夢だったような気がするんだ。それがとっても悲しい夢だったような気もしてな。気持ちが溢れ出して涙が止まらなかったんだ」

 

「覚えてないのか?」

 

 綴が疑問の篭った顔をするのも仕方ないと思う。しかし、リンは確信していた。自分の過去の夢だと言うことを。しかし、内容まではどんだけ考えても思い出せなかった。

 

「覚えてないが…まぁ大丈夫さ、それよりバスはどうなった?」

 

「あの後、レキが爆弾を狙撃で打ち抜き、バスの乗客は無事だよ」

 

 それを聞き、リンはほっとしていた。それと同時にレキは相変わらず頼りになるなと思った。

 

「アリアやキンジは無事なのか?」

 

「あぁ。神崎は軽く軽傷したが命に別状はないよ。遠山も無事さ」

 

「そうか、それは良かった」

 

 そうやって安心していたリンだが、いきなり頭を叩かれ頭を抑える。

 

「ッ…綴…いきなり何をする」

 

「お前はもうちょっと自分の心配をしろぉー。家族を心配する私の身にもなれ」

 

 そう言う綴の声は真剣で、心配してくれている事が分かる。

 

「レキにもさっき言われたよ。悪いとは本当に思ってるが、ああするしか手が無かったんだ」

 

「私が言いたいのは自分をもっと大事にしろといいたんだ。分かったな?」

 

 そう言った綴は有無を言わせぬ表情だった。

 

「わ…分かったよ…」

 

 

 しぶしぶ納得するリンを見てため綴はため息を吐き、リンの頭を掴み自分の額とリンの額を当てる。

 

「お前はもっと私に大事な事を言え。たとえこれから何があろうとも私はお前の傍にいる。…だからもっと頼ってくれ」

 

「…あぁ。そうだな…」

 

 綴は自分の思いを伝え、それを聞いたリンは何か思う事があったのか、頷いていた。

 

 しばらくそうしていると綴は自分の今の状態に気づく。

 

「ッ!!」

 

「綴?」

 

 良く考えて見ると額と額がくっついていると言うことはリンの顔が至近距離にあり、おのずと顔の熱が上がっていく事が分かる。リンも疑問に思っているのか首をかしげていた。

 

(頭が…)

 

 自然と唇に視線が行き、頭がぼおっとしてきて何も考えられず、自然と近づく。

 

「つ…綴…?」

 

 さすがにリンも近づく綴に驚きを隠せなかった。そして口と口が触れ合うという所で「コン」「コン」とドアを叩く音聞こえる。

 

「キャ!」

 

 その瞬間、綴は女の子らしい声を出し、瞬時にリンから離れる。

 

「ど…どうぞ」

 

 リンはこの時間の来客に疑問を思いながらも入る許可を出す。

 

「リン…あたしだけど…入っていいかしら?」

 

「アリアか。こんな時間にどうしたんだ?」

 

 アリアが入ってきたが元気な様子じゃなく、むしろ落ち込んでるようにも見えた。

 

「えっと…怪我がひどいと聞いたから…様子を見に…」

 

「そうか…俺は大丈夫だ。アリアも軽傷で済んでよかったな」

 

「う…うん」

 

 そこから会話が途切れる。アリアは何かいいたそうに自分を見るが何も言わないので、こちらから話かける。

 

「さっきからどうした?様子がおかしいぞ?」

 

 最初から疑問に思った事を聞く。

 

「ご…ごめんなさい!」

 

 何を思ったのかアリアがいきなりリンに謝る。

 

「何故謝る?何もアリアにされた覚えは無いんだがな?」

 

「あたしが任務に誘ったから瀕死の重傷で…それにあの未知数な敵にリン一人だけまかせて…」

 

 アリアが悩んでた事をリンは納得した。アリアはこの怪我を自分のせいだと責めていたのだ。あの未知数の敵にリンだけにまかせた事を。

 

「そんなことか。そんな事気にしなくていい。それよりその変な感じやめてくれ。似合ってないぞ」

 

 アリアがさっきから暗いテンションでいる事に違和感がありすぎて、思わずリンは言った。

 

「そ、そんな事って何よ!せっかくあたしが心配してたのに!」

 

「そうだ。それでいい。今の方がアリアらしいぞ。それになあの判断は正解だったし、任務に動向したのも俺が自分で決めた事だ。アリアが気にする事はない」

 

 それを聞いたアリアはほっとしていた。ずっと気にしていたのだろう。それと褒められ若干照れていた。

 

「…わ、分かったわ。もう気にしないわ。それよりさっき、可愛らしい声が聞こえたんだけど…誰の声?」

 

 綴の声とはアリアは判断できなかったらしい。たしかに綴があんな声を出すとは誰もが思わないだろう。

 

「あぁ。あの声なら……」

 

「リン……」

 

 綴と言おうとした所で横を見ると黒いオーラを纏った夜叉がいた。

 

「分かってるよな?」

 

「あぁ…き、きっとアリアの気のせいだ…」

 

 言ったら死ぬと感じたリンは誤魔化した。

 

「そう。ならいいわ。それじゃ、あたしは戻るわ。おやすみリン」

 

「はやいな。おやすみアリア」

 

 挨拶を交わしアリアは部屋から出て行った。

 

「そういえば綴、さっきは…」

 

「さ、さっきのはなんでもないぞ!そ、それじゃ私も帰る。明日も来るからな」

 

 リンがさっきの事を聞くが、綴が急いで答え部屋を飛び出した。

 

 そそくさと去っていく、綴にリンはしばらく呆然としていた。

 

 

 

--------------

 

 家につくまでの間、綴は何も覚えていなかった。ベットに座り、綴は手で頭を抑える。

 

「私は何を……」

 

先ほどの光景が浮かぶ。あの時の自分は正気ではなかった。頭がぼおってしていて、神崎がこなければどうなっていただろう。

 

(私はなんてことを…)

 

 そう考えベットに倒れ、自分の顔を隠す。顔の熱がまだまだひきそうにない。

 

 あの時、自然と自分はリンにキスをしようとしていた。体が勝手に動いたのだ。

 

 初めて感じる気持ちに綴は押さえがきかなかった。

 

「もし神埼が来なかったら……ッ!」

 

 そう考えせっかく引いてきた熱が戻ってきた。ばたばたしたい気持ちを抑え考える。

 

「……リンも同じ気持ちなのか?」

 

 自分が意識しているようにリンも自分と同じ気持ちだったのならどれだけ嬉しい事だろう。

 

「そうだったら嬉しいな……」

 

 自然と嬉しい顔になるのを抑えきれず、綴は枕に顔を埋める。綴は疲れていたのか次第に眠くなり、心地いい気持ちで意識を失った。 

 

   




 はい。今回は完全オリジナルですよ。どうでしたか…楽しんでいただけたら幸いです。

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