「でかいな…」
東京武偵高校に着いたリンはその大きさに驚く。パンフレットである程度は分かっていたが、実際見てみるのとは違うのだろう。何故、学園島と呼ばれているのも納得したのだった。それに加え武偵を育成する場所だ、設備なども整っていて武偵を育てるだけあって、規模が桁違なのだ。
「綴……いるかな」
そう言ったリンの声は震えていた。リンが東京武偵高校に来たのも綴に会うためなのだ。リンの原点であり、リンにとっての光。母であり、姉であり、大切な人なのだ。 二年ぶりに会えるため、リンは心が高ぶって声が震えたのだ。
しかし、その一方で不安もあるのだ。勝手にいなくなったのを怒っていないか、もしかしたら忘れられてるかもしれない。もし、忘れられてたら、リンはまたあの頃に戻ってしまうだろう。 誰も信じれず、独りきりのあの真っ暗な世界に。
「大丈夫かなぁ?」
そう、マイナスの方に考えていた時、後ろから声がかかったので、振り向いて見ると、武偵高の制服らしき物を着た金髪の女の子がいた。
「あ…あぁ。大丈夫だがどうかしたのか?」
いきなり話かけられたリンは驚いたが顔に出さず冷静に答えた。
「武偵高の前でずっと止まっていたから理子は気になって声をかけてみたのだ」
「そうだったのか、今日から転校してこの武偵高に通う事になったんだが、この大きさに驚いていたんだ」
先ほどの暗い事を考えていたなど言えるはずなどなく誤魔化す用に答えた。
「へー転校生かぁーなら納得だね。理子も初めて見た時は驚いたんだよぉ」
「そ…そうか」
余りにも元気すぎてリンは戸惑っていた。人付き合いが苦手なリンにとって理子は初めてあったタイプであり、ただでさえ人と喋るのは慣れないリンにとってはどうしていいか分からず苦しんでいた。
「どうしたのかなぁ?あぁ。理子分かっちゃった!この理子に案内して欲しいんだね。グフフ…理子の可愛さにリンリン。メロメロだね」
リンは顔が引きつるのを感じ、行動が不可解すぎて、頭が痛くなるような気がした。リンは関わらない方がいいと思い、断ろうと思った。
「いや、パンフレットがあるから別に大丈夫だ」
そう言ってリンは彼女の横を通り過ぎようとしたが、腕を捕まれた。
「大丈夫!大丈夫!理子が責任を持ってリンリンを職員室まで送り届けるんだよぉー」
「い……いや……だから一人で大丈夫だと」
「もうせっかく理子が案内してあげると言ってるんだよぉ。聞かないと、理子怒っちゃうぞ。プンプンガオーだぞ」
リンはそう言われて有無を言わさず理子に腕を引っ張られつれて行かれた。
「だ…誰か助けてくれ」
助けを求めるリンの声が聞き届けられる事は無かった。
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理子から解放されたリンは疲れ果てていた。あのテンションだ。もはやリンにとっては拷問に近かったのだろう。どんだけ手に力をこめようともはずれやしなかった。その後も一人でずっとマシンガンの如く喋って着いたと思ったら風のごとく消えていった。
職員室に着いたリンはドアを空け中に入った。
「失礼します」
中に入った瞬間リンは理子の時とは違う、また別の意味で顔をひきつらせた。一斉もの視線がリンに集まるのはまだ我慢できたが、何故かは分からないが睨んでくる先生も多いのだ。この瞬間リンの頭には、武偵の先生は理不尽だと記憶したのだった。
「イタリアからこちらに転校して来た、『リン』と言いますが誰か聞いていませんか? 」
その言葉を聞いて一人の女性がリンの前に歩いて来た。
「ようこそ東京武偵高校へ。ジャックさんからお話は聞いてます。私は高天原ゆとりと言います。よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ようやくまともな人に会えリンは安心していた。しかし、武偵の教師とゆう事はそれなりに実力があるのだろうとも考えていた。
「リン君はDランクで教科は強襲科でいいんだよね?」
「そうです。少し聞きたい事があるのですが、ここに綴先生はいますか?」
「綴先生は三日間前から出掛けてますね。何の用事かは分からないの。ごめんね」
「いえ、わざわざ教えて下さってありがとうございます」
そう言ったリンは顔に出さず少し落ち込んでいた。
「どう致しまして。今から教室に行くから着いてきてね」
「了解です」
そう言ったリンは職員室を出てこれからリンがお世話になる教室に向かう。
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教室に着いたリンはかなり緊張していた。学校になど行った事がないため、未知数なのだ。どうすればいいか悩んでいると先生から声がかかった。
「声がかかったら入って下さいね」
リンにそう言って先生は中に入って行った。
「静かにしてくださいねぇ。今日は転校生が来てます。一年の三学期の初めと中途半端な時期ですが皆、仲良くして上げてくださいね。じゃあ入ってきてください」
そう言われリンは覚悟を決め中に入った。
「失礼します」
空けたドアを閉め、先生の隣に立つ。
「自己紹介よろしくね」
「はい」
教卓にたったリンは顔を上げ自己紹介をした。
「今日からこちらに転校してきました『リン』です。武偵のランクはDです。よろしくお願いします」
「あぁ!リンリンだ!」
無難な挨拶をしたリンだったが、聞き覚えのある喋り方をした金髪の少女を見つけ頭を抱えたくなった。
「理子しりあい?」
「うん。今朝、職員室に案内したんだよぉー」
近くにいた女子に聞かれた理子はそう答えていた。相変わらず元気すぎだと、リンは関わらない方がいいと思い、先生に席を聞いた。
「先生、席はどこですか?」
「あ……はい。リン君の席は遠山君の隣です」
名前で呼ばれても分からなかったが空いてる席が一つしかないので分かったので、その席に着き、当たり障りのない挨拶をした。
「リンだ。よろしく」
「あぁ。遠山キンジだ。こちらこそよろしく」
声をかけられた事にキンジは驚いていた。
「あぁ。リン君に言い忘れてましたが、寮は遠山君と一緒なので後で教えてもらってくださいね」
「分かりました」
そう答えたリンにキンジから声がかかる
「放課後、用事あるから少しだけ教室でまっててくれないか?」
少し考え、
「分かった。これからよろしく」
「こちらこそ」
そう答えたリンはこれからの生活が楽しくなりそうな気がした。
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放課後になり料理の本を読みながらキンジ待っていたら声をかけられた。
「リンリン何してるのぉー」
「見て分からないか?料理の本を読んでいるんだが」
だいぶ慣れてきたのか、リンは冷静に受け答えする。
「リンリン料理作るんだぁー。男なのに料理作るって偉いねぇー」
そう言った理子はあいかわらず体全体を使って表現していた。
「好きでやってるから別に偉くはないと思うけどな」
「素直じゃないなぁー。もしかして照れてるのかな?グフフ……」
これが理子のキャラなんだろうとリンは理解した。
「もうそれでいい、それより向こうの女子が呼んでいるぞ」
「あぁーいっけなーい。忘れてた。それじゃリンリンまた明日ー」
そう言ってあっとゆうまに去っていった。
「台風みたいなやつだな」
そう言ってリンはキンジが来るまでに本を読み続けた。
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「特に問題はないな」
そう言った理子はさっきまでの理子ではなく鋭い雰囲気を醸し出していてさっきまでのが嘘みたいに豹変していた。理子はこの時期に来たリンを警戒していた。しかし、強襲科でリンの動きを見ていたが、全然たいしたことはなく、ぎりぎりDランクぐらいだと判断した。たとえ邪魔をしても問題ないとそう結論し、後は時を待つだけと言い聞かせた。
「もうすぐだ。もうすぐ、計画が実行できる。オルメスを倒し、あたしを証明してみせる!!」
そう吐いた理子は狂気の笑みを浮かべていた
しかし、この時、理子はそのリンに計画が壊されるのを思いもしなかった。
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キンジと一緒に寮に来たリンは少ない私物を並べ終え料理を作っていた。
「キンジ、今日はもう時間がないからパスタでいいかな?」
「あぁ。別に構わないが、俺の分まで作って貰っていいのか?」
キンジはリンに遠慮していた。
「全然かまわない。逆に自分一人だけ作って食べてるほうが気まずくないか?」
「たしかに、なら頼む」
そう言ったキンジはテレビを着け、ソファーで寛いでいた。
料理が出来上がり、リンは出来前に満足していた。今日は良く出来たと盛り付けをしながら評価していた。
「できたぞキンジ」
「あぁ。分かった」
返事をしたキンジは料理をみて思わず目をこすり、目で見えるものが本物か確かめていた。かなりおいしそうで、見た目も漂ってくる匂いもお腹を刺激してくる。こんな物が毎日食えるのかとキンジは内心喜んでいた。
「今日はペペロンチーノだ。さっそく食べてくれ」
テーブルにはペペロンチーノにスープにサラダとすべてが完璧だった。
「じゃあいただきます。……かなりおいしい」
自然にそう声がでたキンジだった。
「良かった」
そう言って楽しい食事が終わりリンとキンジはコーヒーを飲みながらお互いの話をしていた。
「リンは海外から来たのか?」
「あぁ。イタリアの方からな。今日の料理も本場の方から学んだんだ」
そう言ったリンはイタリアにいるジャックを思い出していた。ジャックはSランクの武偵でありながら、情報屋でもある。国籍やパスポートなども手配してくれた。リンの数少ない友人なのだ。
「今日見てて思ったんだがキンジは女子が苦手なのか?ずいぶん避けてたが?」
今日リンは見てたがキンジは極端に女子を避けていた。なにかあるのかと思うのも仕方ない。
「まぁ……苦手とゆうか……なんとゆうか」
歯切れが悪いため、まさかと思い。
「まさか……キンジ……男が好きなのか?」
そう言われたキンジは戸惑う。それも当たり前かもしれない。リンが本当に心配するように真面目に聞いているのだ。他のやつに言われたら平気だがリンみたいな真面目なやつに聞かれると結構心にダメージが来ていた。
「ち……違う!ただ昔色々あっただけだ」
「そ……そうか、すまないな野暮なこと聞いて、そうだ、明日Eランクの任務があるんだが手伝ってくれないか、猫さがしなんだが」
あまりもの迫力にリンはびっくりし、聞かなかった方が良かったと思い話を変える。
「リンはたしかDランクじゃなかったか?」
「それが、ぎりぎりDランクだからEランクとほとんど変わらないんだ」
そう今リンは特殊な指輪で力を抑えているのだ。もともと悪魔の血が半分だから悪魔の気配があまりしないそうだが、念のためにつけている。これのおかげで身体能力を抑えられていて便利な指輪なのだ。色んな国を回っている時に見つけたのだ。
「そうなのか……分かった。俺も手伝うよ。俺も似たようなやつだしな」
「じゃあ明日に備えてもう寝るか」
そういってリンの初日の武偵生活は終わった。
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ある部屋では、パソコンの叩く音が聞こえ、そこに綴はいた。今綴はある組織を調べている。やっと手がかりを掴んだのだ。二年間調べ続けたが全然情報がなく、各地に死体が消えたと報告はたくさんあるらしいのだが、それだけなのだ。それでもあきらめずに調べた結果。組織の名前が分かったのだ、『神の教団』と言い、悪魔や吸血鬼、鬼、など化物を退治する組織で悪魔や吸血鬼、そうゆう噂がする場所にはフードをかぶった人物が現れるらしい。
その実態は不明で、何人いるかさえもわからず、いろんな所で発見されてるため、大組織じゃないかと噂されているらしい。今回パソコンで見ているのはその組織の情報なのだ。と言っても、ヨーロッパの方に拠点があるとゆう事ぐらいと幹部が一人一人ランクがSランク並みでなんらかの能力を持っているとゆうしか分からなかった。
「ここまでかぁー」
そう吐いた綴は煙草を咥えて火をつけた。もう調べようがないのだ。これだけ情報がないとはどんな組織だと綴は思った。まだイーウーの方が楽だと思った。魔剣が動きだしてるとの情報も入ってきている。
「めんどくさいことばかりだなぁー」
煙草を灰皿に置き椅子にもたれかかり目を閉じる。思い出すのはリンとの過ごした日々。あの時が一番生きていた中で幸せだったと綴は断言できた。あいつは今どうしているのだろうと思った。もう何回も考えてる事だと、綴は自覚し思わず笑っていた。決意したとはいえ、最初の頃は家に帰ってあの声が聞こえないことに寂しくなって泣きそうになった時もあるほどだ。帰ってきたら一発殴ってやろうと決心した綴だった。パソコンを消し、部屋を後にする。
「生きていろよ…リン」
そう吐いた綴は胸元についているリンに貰った十字架を握りしめていた。
三話できました。自信は…相変わらずありません!今回は、理子や原作の主人公ことキンジとリンとの話を書きました。ある程度の絆は深めていかないと話を生かせないと思い書いてました。リンを狙う組織の名前は30分考えてました。いいのが思いつかなく、即興で考えて、これにしました。