この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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息抜きで投稿。

え?最近息抜きが多いって?
……ハハッ(裏声)

あ、いつものごとくキャラ崩壊注意です。

追記

この話は下の本編とは全く関係ありません。


番外編
IF ある日のカルデア


 

 

人理継続保障機関・カルデア

 

 

魔術だけでは見えない世界、科学だけでは計れない世界を観測し、人類の決定的な絶滅を以下略。

 

ここから先は色々長いし、なによりむつかしい話なので簡潔に言うと、人類の未来が消失しましたとさ。で、その原因は過去のターニングポイントを引っ掻き回されたから、ということがわかり、なんやかんやで俺たちはその原因を取り除いて無事に2016年を迎えようぜということだ。普通に年越した気がするけど。思いっきりお正月イベントやってた気がするけど。

 

まぁ、そこはいいとしよう。

 

人類滅亡なんていう最上級にヘビーな事柄を俺のような一般人に毛が生えた程度の人間になすことは到底不可能だ。しかしそれを可能にしているのが、カルデアの誇る技術によって作り出された安心と信頼、簡単と三拍子揃った英霊召喚方フェイトによって呼び出された英霊達だ。過去に様々な伝説をおっ立てた彼らの力を借りてなんとか今日まで頑張ってこれたのである。もし、彼らがいなかったら今頃人類滅亡というなのバッドエンドを迎えていただろう。

 

「………どうでしょう。正直、先輩1人でなんとかなる気もします」

 

俺の1人語りに唐突に割り込んできた彼女は、このカルデアに来てから一番付き合いが長い少女、マシュ・キリエライトだ。眼鏡属性という素敵属性を持っているにもかかわらず、それをプロローグで早くもかなぐり捨てるという暴挙を犯した貴重な人材でもある。

 

「果てしなく嬉しくない評価です。というか、眼鏡属性の件については今でもしっかりとかけているじゃないですか」

 

そうだけどさ。

 

「って、そんなことはどうでもいいんです。重要なことではありません」

 

……霧が濃くなってきたな。

 

「過去に様々な偉業を成し遂げたサーヴァントと真正面から殴り合うなんてこと一般人に毛が生えた程度の人ができるわけないでしょう。樫原仁慈(・・・・)先輩」

 

何故フルネームで呼んだし。

 

「いえ、先輩の名前を口にするだけで大体の不条理は肯定できる気がして………」

 

自分でもわからないんですと曖昧なことを言うマシュ。まぁ、人間誰しもそういうこともあるし、仕方ないね。

 

 

––––––––––––––

 

………人類の未来が消失したこの世界で、唯一未来を救うことができる人間、樫原仁慈とはどういう人物なのか。彼が今まで召喚してきた英霊達に問いかけてみれば、全員迷うことなくこう答えるであろう。

 

–––理不尽の権化だと。

 

そも、どうして人類の未来が消失しなくてはならないのかといえば、地球規模の危機が迫った時に発動する防衛機能で呼び出されたグランドキャスター、ソロモンが原因である。彼は自らが操る魔神を駆使して人類史の焼却を行った。

 

だが、ここで1つ考えてみてほしい。

どうして、地球の防衛機能の1つであるグランドキャスターがそもそも呼び出されたのかを。それは、何を隠そう地球が呼び出したのだ。

ソロモン本人も気づいてはいないが、彼に下された地球からのオーダーはただ1つ。樫原仁慈の抹殺であった。

 

地球ははるか平行世界における樫原仁慈の理不尽っぷりを知ってしまったのである。地球の意識を代行するものと正面切って戦い、あまつさえ地球規模のリセットである終末捕食すら覆したとなると、何かがあった際こちらの世界でも樫原仁慈(あの化け物)が色々台無しにする可能性があったのだ。

そのため、早いうちから芽は摘んでおこうとソロモンを派遣した。

 

……まさか樫原仁慈を潰すためだけに人類全てを巻き込むとは思ってもいなかったが、地球の意思は結果オーライとして納得することにした。人類が滅亡すれば、一応……一応人類である樫原仁慈も消滅するかと考えていたからである。

 

だが、それがそもそもの間違いだった。なまじ樫原仁慈を非日常へと突っ込むことでその異才とも呼べる才能を開花させてしまったのである。その結果はすでに御察しの通り、ソロモンが呼び出した魔神達を次々屠り、本人がお遊びとして送り込んだ分体もあっさりと消しとばしたのだ。

これに対して、人として色々終わっているソロモンは限界まで顎を広げて絶句し、地球の意思は「もうだめだぁ……お終いぁ……」と頭を抱えて嘆くことになった。

 

––––––––––

 

そんな世界規模の問題視、樫原仁慈はというと………召喚システム「フェイト」を前に虹色に光るモヤットボールのような石ころを大量に抱えて突っ立っていた。その背後には後輩もどきのマシュも立っている。

 

「……あの、先輩?その大量の聖晶石をどうする気なんですか?」

 

「突っ込む」

 

ノータイムの返答。

それに対して、今まで一番長い付き合いであるマシュはため息を吐くしかなかった。何故なら、長い付き合いである己の勘が告げているのだ。「これはヤバイやつだと」

 

「あの、どうしても召喚したいんですか?新しい英霊を」

 

どこか弱々しい声で言うマシュに流石の仁慈もどうしたのかと思い、聖晶石をフェイトの魔方陣の中に入らないよう設置してから彼女に向き直る。

すると、マシュはぽしょぽしょと自分の本心を口にした。

 

「……これ以上、強い英霊が来てしまったら……本当に私が必要でなくなってしまう気がして……」

 

彼女の本心、それは不安だった。

最初は、人員不足も甚だしい状況で、マシュとDr.ロマンの提案で行った最初の召喚で呼び出したテラ子安の爆弾魔と一緒になんとか頑張ってきた。第一の特異点であるオルレアンはテラ子安の爆弾がものすごく効きにくく、マシュが攻撃を受け止めマスターである仁慈がワイバーンの首を切り落とすなんて言う暴挙も行ってきた。しかし、厳しい現状とは裏腹にマシュの心はとても満たされていた。自分は必要とされている、仁慈の役に立てていると。

 

しかし、よくわからないハロウィンで魔力のゴリ押しのみでキャスターとなったエリザベートが来て、呼符と呼ばれる聖晶石の代わりとなるチケットでスカサハを引き、クリスマスで黒騎士王(サンタ)を迎え入れてからは自分の存在意義はなんなのか、わからなくなってきたのだ。

これ以上新しい英霊が来たらきっと自分はいらなくなる……そして何より、後から来た英霊の方がずっと仁慈と仲良くしている気がするのだ。

これらが、彼女の心を不安にしている原因である。

 

「先輩……どうして、私は強くなれないんですか……?どうしてもっと、先輩と仲良くできないんですか?私では、だめなんですか?」

 

「…………」

 

仁慈は考える。

正直、どうしてそうなのかと問われれば、大体庄司の所為としか言いようがない。彼はソロモンより上の次元におり、文字通り次元が違う。主に二次元と三次元的な意味で。しかも彼の宝具、無限の調整(Unlimited Maintenance Works)は対界宝具で自分たちを世界ごと消し去れる存在なのだ。自分たちではどうしようもない。

 

が、仁慈の行動で彼女を不安にさせてしまったことは庄司とか関係なしに彼の過失である。

そのことをわかっている仁慈は、静かに優しくマシュの頭に手を置いた。

 

「悪かった。マシュの気持ちを考えもせずに、自分勝手に行動して。でも、これだけは覚えておいて、マシュは俺の初めてのサーヴァント……それだけで正直、特別な存在なんだよ」

 

それに、彼女だってそこまで弱いわけじゃない。

基本火力のインフレがひどく、やられる前にやれという世界であるため、シールダーというクラスの彼女はなかなか不遇な立場だが、どうしても短期で決着がつかない場合、彼女のスキルかその効果を存分に発揮できる。だから、お前は必要なんだ、と思いを込めて仁慈は言葉を送った。頭を撫でるというオプション付きで。

 

「んっ……ふぁ……せん……ぱ…ぃ……」

 

マシュは安心したような表情で仁慈の言葉となでなでを受け入れた。

 

––––––––

 

 

「先ほどはすみません」

 

「いえいえ」

 

あれから30分、完全復活を果たしたマシュは仁慈に問いかける。それは、彼が召喚しようとしていた英霊についてだ。

 

「ところで先輩、一体誰を召喚したかったんですか?」

 

「オルタニキ」

 

「……それって……」

 

「そう。さっき師匠とマシュと俺でぶっ倒してきた。クー・フーリン【オルタ】」

 

クー・フーリン【オルタ】それは第五の特異点、イ・プルーリバス・ウナムで戦った相手である。女王メイヴが聖杯に願って作り上げたクー・フーリン。それは、最近ギャグキャラに寄りつつある本家とは全く違うものだった。最も、仁慈たちはそれをもブーメランサーに変えたのだが。

 

「クー・フーリン【オルタ】ですか……あの特異点は苦労しましたね」

 

「主にインド勢の所為でな」

 

シヴァとかインドラとか色々勘弁してくれよ、と嘆く仁慈。しかし、そんな彼にマシュが向ける視線はとても冷たい。

 

「でも、先輩も普通に戦えていたじゃないですか。あの時のジェニモロさんとラーマさんの顔見ましたか?」

 

「口をあんぐりと開けてたな」

 

「もうあいつ1人でいいんじゃないかなって言ってましたよ」

 

「つい昨日のことなのに物凄く懐かしく感じるなぁ……っと、こんなこと話している場合じゃない。さっさと召喚しちゃおう」

 

自分の足元に置いておいた聖晶石を魔方陣のほうに転がす。すると、強烈な光を放ちながら、フェイトは光の柱を作り上げた。中から出てくるのは、時計やメガネをかけたイケメンのお坊さん?と優雅(笑)等々だった。

 

「あちゃー、今回もハズレか?」

 

「とか言いつつ礼装の剣を装備しないでください」

 

マシュにたしなめられつつ段々と弱まっていく光を眺める。すると、突然光が黄金色に輝き出し、中から色黒の青年が出てきた。

 

「サーヴァント、アーチャー。名はアルジュナと申します。マスター、私を存分にお使いください」

 

「げ、アルジュナ……」

 

「おや、誰かと思えばあの時のマスターではないですか。……コレはいい、存分に腕を磨けるというもの。そして、いつかは自分の力だけでカルナに……」

 

「もうすでに眠いの師匠がいるんで勘弁してくれませんかねぇ」

 

神代の英霊2人と対戦とか普通に死ねるとこぼしつつ最後の光を放つ魔方陣に目を向ける。

すると再び黄金色に輝きだし、今度は白髪の女性が姿を現した。

 

「私が来たからには、どうか安心なさい。全ての命を救いましょう。……全ての命を奪ってでも、私は必ずそうします」

 

「な、ナイチンゲールさんです。先輩!」

 

「」

 

 

この日、仁慈の胃が死んだ。

このひとでなし!

 




やっぱりfateは書くの難しい。楽しくはあるんだけどね。

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