この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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すみません。今回は極端に短い上に、女性陣もサーヴァントですら出てきません……本当にFGOなのか……()

P.S

新キャラがかなり追加されたおかげで茨木童子ちゃんのサンドバッグ度が跳ね上がりましたね……可哀想に(Wマーリン、オジマンディアスでワンターンキルゥしながら)


こちらもある意味被害者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はこのままでいいのでしょうか……どう思いますか、仁慈殿」

「ど、どうしちゃったんですかねぇ……」

 

 余りのいたたまれなさに私は無意識のうちにこの時代を修復しに来た人類最後のマスターである仁慈殿にそう言葉を溢していた。急にそのようなことを言われて仁慈殿も混乱したのだろう、頬に汗をかきながらかろうじて返事をしてくれた。確かに、いきなりこのようなことを言われても彼のような反応を返すことが普通でしょう。このままでいいという状況の説明を行えていないのですから。サラリと人間の範疇を越えた行動を行う彼ですが、時々このように年相応で常識人のような反応をするのは微笑ましいと思いつつ自分の感情を発露しました。……言い方は悪いけれど、これは我が王――――(の一面)―――や彼の力を受け継いだレディ・マシュには言いにくいことであり、そこまで関りの深いわけではない彼になら問題なく言えるようなことであるということです。

 

「私は貴方たちと行動を共にしてきましたが……前線に立つことなく、ほとんどが戦いに参加していない……確かに私は円卓の騎士たちの中では最弱でした。しかし力の優劣だけで戦いに加勢しないのかと問われれば否と答えます。嘗ての仲間たちが道を踏み外した今だからこそ、私は誰よりも前に出て戦わなければならないと思うのです」

 

 そういった意味では彼の下に召喚された我が王たちが率先して戦っている現状に文句などは言えません。けれど、それでも私は納得ができないのです。

 

 私の考えを聴いた仁慈殿は納得したような表情を浮かべた後に苦笑をしました。気持ちはわかるけれど、誰よりも何よりも私が前線で戦うことができないのは我が王たちの戦果であり仁慈殿の戦果でもあるのですから。ここまで戦力が充実していなければ私が戦うということもあったと思います。……実際はこのまま聖都キャメロットに攻め込んでもいいくらいには充実しているのですけれどね。

 

「まぁ、ベディヴィエールの気持ちはわからなくもない―――というか誰よりもわかってるかな。マスターという本来なら後ろで引っ込んでいないといけないポジションの俺が前線に出て言っているのは心情的に納得できないということもあるしね」

 

 そう言ってくれる仁慈殿。けれどそれは違うということを私は知っていました。ここ数日はそうでもないですが、邂逅したばかりの頃は必要であるからこそ前に出ているというような印象でした。遠慮なくレディを盾にしているところなどは顕著な例であると言えるでしょう。それも信頼と言われればそうですけれど。

 

「けど―――――その右腕、そんなに多く使えるわけじゃない……」

「―――っ!」

「当たったみたいだね」

 

 しまった。どうやらカマをかけられたらしい。私の強張った表情を見て彼は確信したように頷きました。さ、流石数々の時代を踏み越えて来たマスター。この程度のことは朝飯前ということでしょうか。……彼のような人物が円卓に居てくれれば、と少しだけ考えてしまいながら、少し彼のことを睨みつけます。

 

「それに、サーヴァント……ってわけでもなさそうだね」

「………」

 

 つい先程も失敗したため、表情に表すことなどはしなかったもののそれでも内心驚きを隠すことはできません。……この事には誰も気づいていないはず。ダ・ヴィンチ殿やレディ・マシュ、それに我が王たちですら気づかれていないと思います。何故ならこれをやったのはあのマーリンなのですから。

 

「アグラヴェインの黒い鎖―――サーヴァントに強い影響力を持つって言われてたけど、ベディヴィエールはそれを斬ったらしいね。そこでちょっと」

「――――あー」

 

 自業自得でした。 

 あの時は流石に騎士として見逃せなかったので手をうたせてもらったのですが、裏目に出るとは……。

 思わず左手で自分の額に触れて、天を仰ぐ。これはどうあがいても私が悪いですね……すみません、マーリン。

 

「まぁ、深くは聞かないけど……でも、元々難民に混ざって聖都に入ろうとしていたベディヴィエールには何か目的があるんでしょ?……円卓の騎士ないしは獅子王にさ。だったら、それは温存しておくべきだと思うんだけど」

「…………」

「ベディヴィエールは円卓の騎士にしては珍しく―――というか稀少な常識枠だから罪悪感がすごいかもしれないけどさ。優先順位も大切だと思う」

 

 ――――仁慈殿の中の円卓の騎士像がどのようになっているのか、このことについて小一時間ほど問い詰めたくなりましたがそれはひとまず脇に置いておくとしましょう。彼の言葉はまごうことなき正論でした。三度目のチャンスすら不意にした私には文字通り跡がない。このまま失敗すれば、私が渡り歩いた時代が全て無駄になることになります。しかし、それでもまだ納得ができない自分が居ました。ここまで面倒な性格だったのかとこの歳になって新しい自分を発見していると仁慈殿が黙って肩に手を置いて―――

 

「――不安がる気持ちはわかるけどさ。ほら、こっちにはヒロインXとサンタオルタが居るからさ」

 

 そうして仁慈殿が指す方向には相変わらず我が王とは信じられない服装をしながらもしっかりとエクスカリバーを持った二人組がどこか火花を散らしながら歩いていました。

 ……不思議なものです。こうして移動している姿からは嘗ての王の面影は全く見て取れません。ヒロインXと名乗る彼女は時代設定を間違えているような近未来的な服装に身を包んでいて、サンタオルタと名乗る彼女は時期を思いっきり間違えている服装に身を包んでいる。この姿が我が王だなんて円卓の騎士の何人―――特にアグラヴェイン卿は発狂するでしょう。

 しかし、思い出すのは戦闘中の姿。服装は騎士とかけ離れ、もう我々の知っている我が王は存在していないんですね……と思わず天を仰いでしまう次元ですがその戦い方は変わらない。常勝の王として我々の上に立っていた頃のアーサー王だったのですから。

 

「そうですね。すみません仁慈殿。ただでさえ負担がかかる貴方にそれ以上の重みを背負わせてしまって」

「いえいえ」

 

 なんてことのないという風に仁慈殿は異常な魔力濃度の砂漠を歩いて行く。その歩みに迷いなどなく、まるで影響を受けていないようでした。……こういうことを地でやるから周りから異様な目で見られるのではないでしょうか、と考えましたがすぐに改めます。きっとそのギャップも彼の魅力なのでしょう。何時の間にか少しだけ軽くなった心持で私も周囲を警戒しながら歩みを進めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ベディがヒロインって昔から言われているらしいので()

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