この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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タイトルから漂う出落ち臭。


後、使いまわしたかのようなところが多くてすみません。


ふたりはどら☆むすバーニングハート(物理)

「ところで、すまないs―――じゃなかったジークフリートさん。傷の具合はどうですか?」

 

「………魔力は回復してきているから戦闘以外は問題なくこなせる。だが、肝心の戦闘はほとんど役立たずと言ってもいいだろうな。すまない、肝心な時に全く役に立たないサーヴァントですまない」

 

「……こいつは呪いだな。回復系のものを阻害する厄介なタイプの奴だ。まずはこれを祓う必要があるな」

 

「そうですね。しかも強力なものが複数かかっています。呪いのタイプから言って洗礼詠唱で解除は可能でしょうけど、私一人では無理ですね。少なくともあと一人は聖人と呼ばれる人物が必要です」

 

 ジークフリートさんの傷を診た二人からの意見に俺は頭を悩ませる。彼はファヴニールを仕留めるうえで欠かせない人材である。だから聖人探しにも問題はない。そもそも聖人が呼ばれているのかということに関しての疑問もあるだろうけど、ファヴニールに対してジークフリートさんが呼ばれていることから、何か対抗できるサーヴァントが呼び出されている可能性が高い。探す価値は十分にある。

 しかし、ここで戦力を分散するのは正直あまり得策とは言えない。こちらの戦力は限られているうえにサーヴァントの能力を十全に発揮するために必要なマスターは俺一人だけ。ぶっちゃけると死亡フラグ的な何かが立ちそうで怖い。ほらあれだよ。”こんなところにいられるか、俺は帰らせてもらう”とかと一緒な感じがする。

 

『聖人が居る可能性はあるよ。竜の魔女に対抗するためにあのライダーが召喚されたようにほかに聖人が召喚されている可能性は十分にある』

 

 だが、そういうわけにはいかない。向こうには俺たちを上回るサーヴァントレーダー搭載の黒ジャンヌが居る。先程ジークフリートさんが俺たちの側についたことを向こうも知っていることから聖人は血眼になって探すだろう。すm――――ジークフリートさんに呪いをかけたのも黒ジャンヌだろうし余計にな。

 

「…………あまり気が進みませんが、二手に分かれましょう」

 

 ジャンヌさんも俺と同じ可能性を懸念していたのか、若干顔が渋りつつもそんなことを口に出した。正直取りたい手ではないが、現状俺達にはそれしかないためにこちらも頷く。

 

「二手に分かれるのはいいとして、問題はどのメンバーで分けるかだなぁ」

 

 下手に偏ったら目も当てられない。かといってサーヴァントによって得手不得手があるから単純な強さで分けても封殺される可能性がある。難しいところだ。

 

「だったら、くじで決めましょう!それがいいわ。というわけでアマデウス、今すぐ準備して」

 

「それは君がやりたいだけなんじゃないか……。けど、こういったことを天に任せるというのは悪くないね。僕たちだけでは決められないことだし、何より失敗したら運が悪かったって言い訳できるから」

 

「解釈が相変わらず捻くれてて最悪ね。あぁ、私にプロポーズしてくれた頃の輝いていたあなたは何処に行ってしまったのかしら」

 

「それはやめてくれ!今すぐくじ作るから!」

 

『あっ、それ割と有名な話で現代にしっかりと伝わっているよ』

 

「悪夢すぎる」

 

 どうしてこうも話がすぐに脱線してしまうのか……(困惑)

 アマデウスがこの世の終わりと言わんばかりの顔をしつつもくじを作っていたおかげで2分ほどでくじが出来上がった。

 そのまま差し出されたくじを特に何かを考えるわけでもなく引く。ちなみに俺とマシュはセットだ。そうでもしないと色々つり合いが取れないらしい。

 全員が引き終わり結果が出た。片方がジャンヌとマリー、兄貴。もう一方のグループが俺&マシュとヒロインX、アマデウスである。

 

「やったね兄貴、ハーレムだよ」

 

「おいやめろ」

 

 流石に冗談だよ。 

 しかし、くじ引きで分けた割には結構バランスのいいパーティーになったと思う。全員が全員生存という一点に関しては一級品のサーヴァント達で固まっているからである。攻撃面も兄貴が居ることによって十分だろう。こっちもサポートのアマデウスと俺、防御を担うマシュ、メインアタッカーのXとバランスの良いパーティーだ。

 

『くじで分けた割にはかなりいいバランスでわかれたね』

 

『悪運が強いというか、なんというか……これも仁慈の日ごろの行いかしら……?』

 

「おい外野」

 

 好き勝手言ってくれるじゃないですか。分かっていないようだな。お前らの胃袋は俺が握っているということを。

 

「…………………すまない。いい感じで盛り上がっているところ水を差してしまって済まない。どちらに入っても足手まとい確定で本当にすまない」

 

「………」

 

 しまった。全く以って触れられなかったせいでジークフリートさんのスイッチが入ってしまった。

 この人、体の頑丈さと引き換えにメンタルの強さを犠牲にでもしたのだろうか。いくら何でも謝りすぎでしょう?しかし、実際ジークフリートさんはどうしようか。足手まといと言わないにしてもそれなりにきつくなることは確定だからな。

 

「私はジャンヌさんたちの方に入れた方がよいと考えます」

 

「セイバーが同じチームにいるから殺しそうで……っていう言い訳はなしだぞ」

 

「そこまで見境ないわけではありませんよ。セイバー顔ならわかりませんがね。まぁ、それはともかく。理由としては私たちのグループよりも守りに特化している分彼を護りやすいということ。移動に関してもランサーの俊敏さを考えると移動にもある程度の余裕ができるということ。そして何より、そちらのグループが聖人を見つけた場合、すぐさま呪いを解除できるということです」

 

 あと、直感ですと彼女は付け足した。最後のもさることながら普通にしっかりとした理由のもとでの発言に割とびっくりしている。

 

「マスターは私をバーサーカーか何かと勘違いしていませんか?私はれっきとしたセイバーですよ?」

 

「アサシンだろうが」

 

 久々に病気が発現したらしい。真面目モードの反動とでも思っておけばいいのだろうか。

 やいのやいの言い立てるXをここ最近習得し始めたスル-スキルを使って受け流しつつXの言葉を踏まえて考える。

 ………うん。悪くない。というか現状一番いいだろう。直感が後押ししているのも割と大きいし。

 

「ジークフリートさん。あなたはジャンヌさんと一緒に行ってください。よくよく考えてみれば、こっちには既に大して戦えないのに先頭に突っ立つ馬鹿()という完全無欠の足手まといが居るのを忘れてましたわ」

 

『はははっ、ご冗談を』

 

 ノータイムで否定とは喜んでいいものかどうか地味に迷うな。まぁ、大丈夫。今後は積極的に先頭に立ったりはしないようにするし。向こうから狙って来たら知らないけど。だからそこまで足手まといにならない……はず。

 

「元々足手纏いなんて思っていませんよ先輩」

 

「正直、君が足手纏いだったら僕の立場はどうなるんだい」

 

「魔力ポーションも手に入れましたし、問題ないと思います」

 

「ん、ありがとう」

 

 なんとも情けないことに慰めてもらい何とか平静を取り戻す。本当に師匠の攻撃が精神的に効いていたようだ。次からマジで気を付けようと思います(真顔)

 

「では仁慈さん。私たちの方はもう行きますね。どうぞお気をつけて」

 

「了解です。そちらこそ気を付けてくださいね」

 

 ジャンヌさんたちはいち早くほかの街に向かった。

 俺たちもそろそろ向かうとしようかね。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「神は言っている。帰ろう今すぐ帰ろうgo homeだ、と」

 

「マスター。現実逃避したい気持ちは痛いほどわかりますがダメですよ」

 

「しかし君の意見には僕も同意するよ。キンキンキンキンうるさいったらありゃしない。ほんとあのくそ女共m――――おっと、汚い言葉は禁止されているんだった」

 

「ここにセイバーはいないようですね」

 

 皆が皆(俺を含める)がとても好き勝手何かを宣っている状況であるが責めないでほしい。これには相応の理由があるのだ。

 

「むむむ……っ!」

 

「うふふ……っ!」

 

 目の前でサーヴァント二人が睨みあっていたら誰だって帰りたくなると思わないか?しかも周囲に敵が居てもお構いなしだったんだぜ?おかげで何とか被害を最小限に抑えつつ敵を殲滅する羽目になった。

 いい加減終わっただろうと再び視線を向けてみれば硬直状態に陥っていたというわけである。この二人は会話から聖人じゃなくて竜や蛇と言うことが分かっているしスルーしてもいいと思うんだけど。

 

「しかし敵がほぼ無限にサーヴァントを呼び出せる可能性を考えれば、会ったサーヴァント皆に声をかけるべきだと思いますよ」

 

「わかってるよ。ただの現実逃避」

 

 マシュとそんな会話を繰り広げているとあちらの会話(喧嘩)はさらなる盛り上がり(デッドヒート)を見せていた。今にも首に噛みつきそうな顔で睨みあっている。というかとびかかっていた。

 

「「たぁぁぁぁああああ!!」」

 

「はいストップストーップ!そろそろやめよう。主に周囲への被害が大変なので」

 

「引っ込んでなさいよ子ジカ!」

 

「無謀と勇気は違いますわよ、猪武者ですか?」

 

「……OH。取り付く島もないとはまさにこのことか。まぁいいや。すみませんこの辺で聖人のサーヴァントを見かけませんでした?」

 

「人の話聞いてないの!?」

 

「その耳、しっかりと機能してますか?」

 

「ハハッ、鏡見てからその発言したらどうですか?トカゲと蛇の爬虫類コンビ」

 

「マスター。出てます!素が、本音が口からポロリと零れ落ちちゃってます!」

 

 狙ってやったから問題ない。今の会話とそれまでの会話でこの二人の煽り耐性が低いことは明白だ。そしてそれでいて目の前のことに集中しすぎて全く以ってほかのことに意識が向いていない。だからわざと煽ってこちらを意識してもらおう考えたのである。それに……こちらに攻撃を仕掛けてくれれば正当防衛&頭を冷やすことができるだろうしね。

 

「………カッチーン。今のは来たわ」

 

「来ましたね。その暴言、地獄で後悔しなさい。行きますよエリザベート!」

 

「えぇ、そこらの雑魚ワイバーンを倒したからって調子に乗らないで!真の竜種の恐ろしさを見せてあげるわ!」

 

 エリザベートと呼ばれたフリフリドレスの女の子が槍を取り出して構え、和服を着こんだ白い女の子は扇子をこちらに向けた。狙い通り、やる気満々のようだ。

 それを確認した俺はダ・ヴィンチちゃんからもらった魔力ポーションを取り出しつつ、俺のサーヴァントたちに言葉をかけた。

 

「マシュ以外のサーヴァントに命じる。宝具開帳、消滅しない程度に蹴散らせ」

 

「「えっ」」

 

 令呪は使っていないが、ありったけの魔力をアマデウスとXに分け与える。

 ついでに俺自身も深紅の槍へと魔力を込める。

 

 魔力回復ポーションがあるからこそできるこの技を使用すると、俺に敵意を向けていた二人は一気にその顔を青く染めた。

 まぁ、開幕からサーヴァントの切り札である宝具を発動する人はいないだろう。それは自分の正体に気づかれ、弱点を相手に教えることになるかもしれないからだ。が、そんなことは関係ない。複数のサーヴァントたちが近くにいる俺たちはお互いにフォローに回ればいいだけだからだ。

 それぞれの得物から光があふれ出し、宝具が使える状態になったことを知らせてくれる。そのことを確認した俺は全員に合図を下す。

 

「撃ってよし。投擲!」

 

死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)!」

 

無名勝利剣(えっくすカリバー)!」

 

『』

 

 目の前を覆いつくす閃光。それを視界に入れつつ、ちょっとばかしやりすぎたと後悔するのだった。ごくごく。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

「ま、まさか。開幕から宝具を撃ってくるなんて……」

 

「こ、今回だけは…み、見逃してあげるわ……」

 

 なんということでしょう。

 あそこまで威勢の良かった二人が、今ではここまでしおらしくなってしまいました。あまりの変わりように街の建物もびっくりしてその場から消え失せてしまったではありませんか。

 ……今度ダ・ヴィンチちゃんと一緒に改造しよう。無駄に放出する破壊力を内部に送り込むようにする八極拳要素を取り入れた槍なんかいい感じだと思……っと思考が脱線した。槍は今はいいとして、そろそろ頭が冷えたであろう二人にもう一度問いかける。

 

「ねぇ、俺たちのほかにサーヴァント見たりしなかった?」

 

 そう問いかけると、エリザベートと呼ばれたサーヴァントの方は黒ジャンヌ側の狂化が付与されたサーヴァントとは遭遇しているらしい。

 しかし、それ以外のサーヴァントはどうやら知らなさそうな雰囲気を漂わせている。ここははずれかと内心で落胆していると、

 

「エリザベートはともかく、私を外れ扱いとは不遜にも程があります」

 

「いや、俺君のこと知らないし、そもそも今は聖人以外にかまっている暇はない」

 

「む、臆せず切り返すとはなかなか肝が据わっている様子。……それにしても聖人ですか……」

 

「知っているのか白子!?」

 

「白子ではありません私は清姫です。さて、心当たりが有るか無いかと言われればありますよ。この国に深く根付いている教えの聖人なら会いましたよ。真名をゲオルギウス……確かこちらでは有名な聖人でしたよね?」

 

 ゲオルギウス……竜殺しと聖人のハイブリットか。この人は是非とも仲間に入れたいところだな。

 早速ゲオルギウスが向かった方向を尋ねてみると俺達とは反対側、つまりジャンヌさんと同じ所へと向かって行ったらしい。これはいい、向こうにはすまないさんが居るからすぐにでも洗礼詠唱で呪いを解くことができるだろう。

 

「マスター!ジャンヌさんから通信で町が竜の魔女に攻撃されているそうです!」

 

「チッ、回収が早すぎる……!」

 

 黒ジャンヌ空気読みすぎだろ。

 

「今から急げば間に合うかもしれませんよ?」

 

「X君の言う通りだ。向こうには耐久に特化したサーヴァントが何人もいるから、そう簡単に負けやしない」

 

「ですね。……では、マスター。急ぎましょう!」

 

「全速力で向かおう」

 

『残念ながらここで敵だよ!しかもワイバーンだ!』

 

 ここで邪魔が入るか。

 上空から強靭な顎を見せつけながら滑空するワイバーンの攻撃を回避しつつ何とか突破口を探し出そうとする。

 しかし、どいつもこいつもうろうろして全く狙いが定まらなかった。宝具は先ほど解放したためあまり使いたくはない。

 

 このまま地道に倒していくしかないかと思われたその時……俺の頭に電流が走った。

 それはまさに天啓と言ってもいいものだっただろう。どうしてこのような考えが浮かんだのかは全く分からないが、賭けてもよさそうなものだったので俺はそれをすぐに実行した。

 

 深紅ではない普通の槍を取り出して魔力を流し、コーティングする。その後、俺目掛けて滑空してきたワイバーンの首に跳び乗ると槍をワイバーンの文字通り目の前に設置する。そして、自分の持てるありったけの殺意をワイバーンにぶつけると、言葉を通じないことが分かっていながらもこう語りかけた。

 

「死にたくなかったらこのまま西に向かえ」

 

 ワイバーンはそれを拒否し、俺の頭を喰らおうと首を反転させようとする。しかし、それを実行される前に槍を目に突き刺し、脳髄まで貫通させその命を刈り取る。

 墜落していくワイバーンから離れ、別のワイバーンに同じことを繰り返す。四体目でようやく俺の言葉を理解してくれたのか、素直に乗せてくれるワイバーンが現れた。

 この行動にサーヴァント一同は苦笑していたが同じ方法を取り、ワイバーンと言う名の乗り物を手にすることができた。

 そうして、空の便を手に入れた俺たちはすぐさまジャンヌさんたちのいる西へと向かった。

 

 ちなみになぜか竜(自称)娘コンビもついてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここで仁慈のスキルに騎乗スキルが追加されました(嘘)

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