この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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テスト期間中に投稿する学生の屑です(自覚済み)

六章は面白かったですね(小並感)
ただ、高難度より高難度してましたけど。あれ初見はきついでしょう……。


竜殺し(ジークフリート)

 

 一方、仁慈たちがファヴニールと戦う少し前。

 

 

 一合、二合、赤と黒の閃光が何度も交わりあう。その速度は普通の人間ではぶつかり合った時に発生した火花すら見て取ることはできないだろう。そのような通常ではありえない戦いを行うのはもちろんのこと普通の人間ではない。英霊と呼ばれる過去に偉業を成し遂げた者たち。片方は全身のラインが浮き出るタイプの青タイツの男。もう一人はその青い瞳に狂気を宿していてもなお気品を出している黒い服を身にまとった男。この二人は過去に一度ぶつかっている。前回は中途半端なところで終わってしまったのだが、今回はもう最終決戦である。もはや邪魔するものもいない。

 

「やっぱりやるじゃんか。狂化かかってんのが勿体ないくらいだ」

 

「ふむ……。そこは許せ。今回余に与えられた役目は戦士ではなく道化だ。やるからには全力を尽くすのが私の性分なのだよ」

 

「だからと言って、全力じゃないあんたを相手するのもなぁ」

 

「何を言う。狂化のかかった余など、軽く屠ってみせよ。アイルランドの英雄よ」

 

「ハッ、面白ぇ!」

 

 青タイツの男、クー・フーリンは長年の間自分とともにあった独特の構えをとり神速ともよべる速度で槍を突き出す。それは並みの英霊であれば一突きで終わるほどの勢いであったが、彼の相手はかの有名なヴラド三世。のちに吸血鬼の代表とも言える人物になる。彼は多くのオスマン帝国の兵から領地を護ったほど護りに長けている人物であり、今回は吸血鬼の部分が多く表出しているため通常の身体能力とは一線を画する。

 神速の突きを特に問題もなく自分が持っている槍で弾く。そして、弾かれた隙をついてヴラド三世の方も槍を突き出す。だが、クー・フーリンは槍の達人。この程度で隙をさらすくらいならば彼は英霊となっていないであろう。彼はヴラド三世のカウンターを難なく防ぐ。

 

 お互いの実力が拮抗しているため一進一退の攻防が続く。どちらが負けてもおかしくない。そんな状況においても彼らは笑みを絶やさなかった。いや、むしろさらに口の端を吊り上げた。

 楽しんでいるのだ。クー・フーリンは言うまでもなく戦いを楽しむことができる性分であるし、ヴラド三世の方も狂化も相俟って相手の身体を突き刺す感覚が、己の体に突き刺さる感覚が楽しくて仕方がなく感じている。

 

「は、ははっ、ハハハ。よい、よいぞ。それでこそ戦いだ。これこそが戦いだ!圧倒的な力で蹂躙するのも悪くはないが、この均衡こそが心地よい!……だが、いつまでも楽しんでいるわけにはいかん」

 

 その言葉とともに、ヴラド三世は英霊と狂化に任せた力でクー・フーリンを弾き大きく距離を取った。

 

「捧げようその血、その魂を。――――血に塗れた我が人生を……!血塗れ王鬼(カズィクル・ベイ)!」

 

 ヴラドが自身の宝具を解放する。すると、彼の髪が、服が、周囲に散らばっていた瓦礫が、木材が、黒い杭となりヴラドの身体から射出された。その速度、その数はかなりのものだがクー・フーリンも自身の持っている槍をまるで己の体の一部のように振り回して叩き落していく。

 だが、急に発射されたと同時に距離を取ると言ってもそこまで離れていなかったことがここにきて効いている。防いでいても物量には勝てず、そこかしこに傷ができていた。ヴラド三世が放つ杭の勢いは衰えることなくむしろさらに多くの物量を以って襲い来る。やがて、あたりには砂ぼこりが撒き散らされクー・フーリンの姿が見えなくなる。

 

「………フッ、まぁ楽しかったぞ」

 

 そうして彼は砂ぼこりの中にいるクー・フーリンに向けて言葉を放った後にその場を後にしようとした。普段の彼であれば、絶対に起こすことのない落ち度。かつて自分の領土を護るために過剰にも取れる制裁を行っていた彼とは思えないほどの迂闊なこの行動は正しく狂化が付与されているためであった。

 いくら意識があるとはいえ、召喚された際に付与された狂化の影響を完全に消し去ることなど不可能だ。彼はその所為で無意識に次なる獲物を求めに行ったのだ。

 

 

―――――――それこそが、彼の止めとなった。

 

 

 ざくり、と近くから肉の貫く音が聞こえてきた。

 ヴラドはその音の方に視線を向けてみると、自分の胸から赤い槍が生えているのが見て取れた。当然、これは彼の宝具によるものではない。彼の出すものは基本的に黒い杭であり、赤い槍などではなかったのだ。

 

刺し穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)………その心臓、確かに貰い受けた」

 

「………そうか、やはり……余は道化であったか………。よく、あの中で生き延びたものよ」

 

「あれくらいで死ぬくらいなら俺は英霊になんてなってないんでね。……しっかし、残念だ。あんたとは全力で戦いたかったんだがな」

 

「それは次の機会としよう。なに、そこのマスターが余との因縁を持っていればすぐにでも巡り合うだろう」

 

「うちのマスターならいけそうだなぁ……」

 

「フッ、関係が良好なようで何よりだなアイルランドの英雄よ。それは、何事にも代えがたきことだぞ」

 

「知ってるっつーの。いったい俺が今までどんだけマスターに恵まれてなかったと思っていやがる。挙句の果てには大体死んでんだぜ?自害せよランサーってな」

 

 からからと笑うクー・フーリンにヴラドも軽く表情を柔らかくした。そして、最後にファヴニールと戦うために作戦会議をしている仁慈たちの方を見て口を開く。

 

「何かあれば、余のことを思うがいい。人理を護る貴様に、我が槍はとても栄えることだろう」

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「くっ、ワイバーンが多すぎる。しかも僕の攻撃は効きにくいし……!これがこうかはいまひとつだ!というやつなのか……!音楽家であり引きこもり上等な僕に対してなんと卑劣な!」

 

「そんなこと言っている場合じゃないわアマデウス。もっともっと奏でて頂戴!貴方のピアノを、そしてそこのワイバーンたちを魅了しちゃいなさい!ヴィヴ・ラ・フランス!」

 

「そのガラスの馬便利だなぁ!?」

 

「ワイバーンが一匹ワイバーンが二匹、ワイバーンが三匹、お肉が四個、お肉が五個………フフフ、テンション上がってきましたよ!」

 

「くふふ……ますたぁの邪魔をするものは……逃しません」

 

 クー・フーリンとヴラドの戦いがひと段落付いた時、周囲を覆いつくすほどのワイバーンを相手にしている彼らも大詰めに入っていた。

 誰もかれもが無駄口をたたきながらも、真っ直ぐ自分の敵に向かって攻撃を仕掛けている。なんというか、色々な意味でここだけ空気がおかしかった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

「はぁぁぁぁああああ!!」

 

 場面は戻って相手側の切り札ともよべるファヴニールを倒す側の仁慈たちは、今まさにファヴニールに向けて突撃をかましているところだった。現在、先行して盾を構えたマシュが周囲のワイバーンの攻撃を受け止めながら、後ろから来た仁慈が止めをさしている。ジークフリートとゲオルギウスはファヴニールを倒すために体力を温存中だ。

 ファヴニールとの距離が縮まっていくたびにワイバーンの密度は上がっていく。おそらく、彼らは本能で分かっているのだろう。

ジークフリートをファヴニールに近づけてはいけないと。そんな、健気なワイバーンの妨害も人類最新のキチガイの前では無力であった。マシュの鉄壁に攻撃を防がれ、一瞬発生した隙に彼らは一匹、また一匹と落されていく。まるでごみのようだった。

 

「………ここまで来たならいいだろう。マスター感謝する。ここからはサポートに回ってくれ」

 

「了解」

 

 ファヴニールとの距離が100メートルを切ったとき、ジークフリートがそう声をかけた。仁慈が静かにうなずくとマシュを下がらせ、彼の邪魔にならないようにする。そうして、自分が持てる魔力を彼に注ぎ込んだ。会ったばかりの時に使った魔力譲渡の魔術である。

 

「―――――」

 

 ジークフリートは受け取った魔力をフルに使い、爆発的な加速を生み出しながらファヴニールへと一直線に向かって行く。当然、その行く先をワイバーンたちが防ぐが、竜殺しの代名詞と言っても過言ではないジークフリートの前には無力。

 

「邪魔だ」

 

 身体を宙に浮かばせ、回転をつけて一匹を速攻で切り捨て、その勢いを利用して、背後から向かってきていたワイバーンも同時に切り捨てる。

 しかし、ワイバーンはまだまだ存在した。上から来るもの、再び背部から来るもの側部から来るもの、完全に四方八方ワイバーンに埋め尽くされていた。それをチラリと確認したジークフリートはまず、自分の持っているバルムンクを頭上にいる一体に向けて放り投げた。そのおかげで一匹は倒せたが、他のワイバーンたちを倒せたわけではない。武器を失った今がチャンスだと、彼らは一斉にとびかかる。

 そのことをジークフリートは当然のごとく読んでいた。ワイバーンたちが自分に接触するかしないかのぎりぎりのラインで地面を強く蹴って跳躍、宙に放り投げたバルムンクを空中でキャッチすると、そのまま下に溜まっているワイバーンたちの首を根こそぎ地面に落とした。

 

 ――――これこそが、竜殺し。

 

 幻想種の頂点に位置する竜を殺してしまえる、生粋の英雄。

 英霊となった存在でも成し遂げることが難しいであろうことを生前成し遂げた者たちの力。

 

 ワイバーンの血が付いたバルムンクを軽く振るって血を落とすと、ジークフリートは再びファヴニールに向けて駆ける。

 一歩踏み出すたびに一匹のワイバーンを殺し、10メートル距離を詰める頃には100匹のワイバーンを屠る。もはや、サポートとは何だったのかと言いたいほど、圧倒的だった。あまりの無双っぷりにジークフリート以外の人は口を開けるしかなかった。

 

 それは仕方ないことだろう。

 他にも、向かってくるワイバーンを串刺しにして盾にした挙句、それをブン投げほかのワイバーンに当てて墜落させるなんて誰が思いつくのだろうか。筋力B+だからこそできる荒業と言えるだろう。

 

 

 

 

 そして、ついにファヴニールとの距離が10メートルを切った。

 ここで向こうも桁外れな咆哮を行うことでジークフリートを威嚇すると同時に、周囲にいた残りのワイバーンをすべて掻き集めてきた。

 

 ジークフリートの方にも彼によりそうように、とても密かなフォローを行っていた仁慈たちが並ぶ。

 

「マスター。これから俺は完全にファヴニールに専念する。本当に勝てるかどうかはわからないが、できる限りは当然する。だから周囲のワイバーンを頼む」

 

「了解」

 

 竜殺しである彼の言葉に素直に従う。

 そして、ジークフリートの進む先に現れたワイバーンたちを仁慈がまとめて槍で吹き飛ばした。その隙にマシュとゲオルギウスがワイバーンたちのタゲを取ることに成功する。その隙を塗って、ジークフリートはファヴニールに急速に接近した。

 

「GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

 ファヴニールは挨拶代わりと言うかのごとく、口から強力な火炎を吐く。しかし、流石は一度戦ったことがある相手というべきか、紙一重でその火炎を回避するとファヴニールの体にバルムンクを突き立てる。本来なら、生半可な攻撃は受け付けないファヴニールの鱗であるが、自分を倒した相手と武器であるなら話は別である。黒くつやのある鱗を切り裂きながら体内に侵入してくる剣に危機感を覚えたのか、その強靭な顎を見せながらジークフリートの身体を噛み砕こうと頭を動かす。

 

「――――ッ!ジークフリートさん!」

 

 それに気づいた仁慈は魔力を送ると同時に身体能力向上の魔術を使う。ジークフリートはそのことに感謝しながらも、近づいてくる口の中にバルムンクを突き立てた。

 

「AAAAAAAAAAAAA!!??」

 

 口内を貫通し、顎下まで貫通したバルムンクにのたうち回るファヴニール。その様子に慢心することなく、ジークフリートは剣を自分の前で構え両足をそろえ、自身の剣に仁慈からもらった魔力と自身の魔力を注ぎ込む。

 

「………かつての俺は、お前に一人で挑んだ。だからこそ、いくつもの敗北の中から勝利をつかむことになった……。けれど、今回は数奇なものでな。お前を前にしてもまったくひかない肝の据わったものが仲間になってくれたんだ。………それが圧倒的な敗北の要因だろう」

 

「UGUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」

 

 口の中を傷つけられながらも、ここまで圧倒されるのはファヴニールとしても看過できなかったのか先程とは比べ物にならないくらいの火球をその口内で作りだす。しかし、遅すぎた。圧倒的強者であったファヴニールは、かつての宿敵相手でも初めから全力を出すことはできなかったのだ。

 

「―――――――――邪悪なる竜は失墜し、世界は今、洛陽に至る。撃ち落とす―――――幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!」

 

 ジークフリートが振り下ろした剣から放出されたのはかつてかの邪竜を撃ち落とした黄昏の波。竜種にとっては致命的となる、ジークフリートの宝具である。

 彼の放った幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)は火球を放出する前のファヴニールに見事に直撃した。あまりの衝撃でファヴニールの身体を砂煙が包み込んで隠してしまう。誰もがこれで終わったと確信した。

 

「GUUUU……」

 

 が、ファヴニールは生きていた。

 その強靭な肉体をボロボロにしていようとも、黒ジャンヌから与えられていた強化のおかげでしっかりと生命活動を行っていた。そしてその瞳にはジークフリートを殺すという意思が込められている。

 普通であれば仁慈たちは万策尽きて、この場でファヴニールに殺されてしまうだろう。けれど今回だけはその限りではなかった。

 自分を屠った攻撃を何とか耐えて、反撃を行おうとしているファブニールが見たのは――――

 

 

幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)

 

 ―――――もうすでに二発目を放ってきている自分の怨敵の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「フハハ!これはまた、面白いものができたなぁ!いや、流石は私。失敗してもただでは転ばないとはね!あはは」

 カルデアにある一室。
 カルデアきっての変人であり変態でもあり天才であるレオナルド・ダ・ヴィンチの工房ともよべる部屋にて、絶世の美女が色々怪しい言葉と共に外見に似合わない豪快な笑みを浮かべていた。
 
 「ふふふっ、早速これを試そうとしようか」

 そう言って、彼女が部屋から持ち出したものは、サーヴァントのクラスが描かれている七枚のカードだった。


――――――――


 「で、俺のところに何の用ですか」

 怪しげなカードをもってダ・ヴィンチが自身の工房を出てから数分後、このカルデア唯一のマスターである仁慈は唐突に現れた来客者に向けてとても迷惑そうな視線をぶつけていた。
 その視線を向けられていた人物は先ほど不審者と化したダ・ヴィンチである。
 彼女は仁慈からの視線なんてもろともせずににこやかに話を進める。

 「いや、実は私がたまたま発明したものの中に面白いものがあってね。君にぜひ試してもらいたいのさ」

 「そうですか要件はわかりましたお帰りはあちらです」

 最速の回答だった。
 まさに流れるような回答だったと言えるだろう。これだけで、彼がどれだけ彼女の発明品に苦しめられてきたのかがわかる感じだった。

 「あるぇー?まさかの速攻拒否?話くらいは聞いてくれてもいいと思うんだけどなぁ」

 「無理です」
 
 「そうか。では説明しよう!」

 仁慈の言葉なんて関係ないと言わんばかりに話し出すダ・ヴィンチ。仁慈の方も慣れているのか溜息一つ吐いて、聞く態勢に入った。

 「これはクラスカードと言ってね。簡単に言えば、座に接続して英霊の力の一部が使えるようになるものなんだ」

 「そんなもの失敗ついでに造んな。……で?それを俺に試してほしいと?」

 「そういうこと」

 にこにことする彼女の手には、しっかりと七クラス分のカードが握られていた。
 正直何が起こるかわからないためにやりたくはないのだが、素直に従わない場合はそれはそれでひどくなるので、仁慈はおとなしくカードを一枚とる。


 「およ?何でバーサーカー?仁慈君ならランサー当たりだと思ったんだけどね。そっちの方が危険はないし」

 「なんとなくです」

 仁慈は無意識にバーサーカーのカードを取っていた。確かに、彼の戦闘スタイルであればランサーのカードを取った方がいいにもかかわらずである。
 ダ・ヴィンチはそのことを少し疑問に思いつつもカードの使い方を口にする。

 「それを持って夢幻召喚(インストール)っていうだけでいいよ」

 「なんか日曜日の早朝にやってそうな掛け声ですね。……では、夢幻召喚(インストール)」

 軽い感じでそういうと、途端に仁慈の身体は光に包まれた。
 しばらくの間、あたりに閃光が飛び交い、目を開けることができなかったが、しばらくしてから光が収まってくる。実はこの間、仁慈の服がなぜか消えて別の服装になっていたり、ちゃっかりそれを光を遮断する眼鏡をかけたダ・ヴィンチが見ていたりするのだが、そこは置いといて。
 光が収まったとき、仁慈はカードを使う前とは違う外見をしていた。
 
 白を基準とした色合いの服装は変わらないのだは、それは上半身のみで、しかもジャケットに代わっている。したは黒いズボンにいくつかのポケットがついていた。
 変わったのは服装だけではない。日本人らしい黒髪はこのカルデアが立っている場所を思わせる白い近い銀髪となり、普通に黒かった瞳の色は血のように赤く染まった居る。そして、何より違うのは右腕についた黒い腕輪と自分の身長程ある機械仕掛けの槍……それらが混ざり合い絶妙な奇妙さを醸し出していた。

 「なにこれ」

 「それこそ、君が座から読み取った英霊の情報だよ。なんの英霊はわからないけどね」

 肩を竦めるダ・ヴィンチ。しかし、そんなしおらしい態度を示していたのも一瞬のこと、すぐに瞳を光らせて仁慈にある提案をした。
 それを聞いた仁慈はさらに深いため息を吐くことになる。



――――――――



 そうして、仁慈がやって来たのはオルレアン。彼が二回目にレイシフトしたところである。そこで、スケルトンや未だに何故かいるワイバーンを仁慈は相手にしていた。
 理由は単純、夢幻召喚を行った自身の性能テストである。これには今カルデアにいるほとんどの人が管制室にやってきて、仁慈の様子を見守っていた。
 
 『それじゃあ始めてくれ。なるべくその手に持っているバカでかい武器を使ってくれよ?』

 「わかってますよ」

 軽い調子で答えた仁慈は本能のままに自分の武器を使う。




 そのあまりの威力に本人含めてあんぐりと口を開けることになるのはまた別の話である。

 更に更に、これから敵対する者(神性持ち)が泣かされるのもまた別の話である。








――――もしも、仁慈が夢幻召喚を使ったならば―――――

                             完




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