この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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アンケートの結果については面倒かもしれませんが、活動報告欄にお願いします。

更に今回は色々酷いので注意です。


ぐっだぐだだよ、本能寺
ぐだぐだな始まり


 フランシス・ドレイクやその他の英霊たちと共に過去最強と言っていいほどの強敵、ヘクトールとヘラクレスを打倒してから数日後。実は回収した聖杯に魔神柱が守護者として宿っていたり、それを仁慈が自身の宝具でサクッと殺してしまったりといったことが起きていた。やはりカルデアは世紀末である。そうした中、今日も今日とてカルデアは騒がしかった。

 

 レイシフトを行う管制室にて、俺は目の前で無駄にシリアス顔を決めているロマンを見やる。

 

「簡単に説明しよう。現在カルデアは外部から侵入者が現れている。それと共になんかよくわからないモノにも侵食されているんだ。このままだと、カルデアの要となっている機材にも多大な影響を及ぼしてしまうかもしれない!」

 

「な、なんだってー」

 

「先輩。返事にやる気が感じられません」

 

「いやだって侵入者ってこれでしょ」

 

 そう言って俺がロマンとその隣に居るダ・ヴィンチちゃんに見せつけたのはノブノブと謎の言葉を発するこれまた謎のちんまい生物。軍服のようなものに身を包み、何故か片眼しか見えないというツッコミどころ満載の存在である。そして、これの気配もまた首をひねるに十分なもので、エネミーのような英霊のような気配がしていた。にも拘らずシャドウサーヴァントではない……こうなってくると本格的にお手上げ状態だ。凡人の俺には正体なんて見当もつかぬ。

 

「というわけでダ・ヴィンチちゃんパス」

 

「ノブっ!?」

 

「オーライ……はいキャッチ。……ふむふむ、何とも不思議な生物だね。解剖でもしてみようか」

 

「是非もないよネ(諦め)」

 

『喋った!?』

 

 唐突に諦めを多大に含んだ声音で言葉を発する謎の生物。表情は一切変わらないのに、その瞳は何処か死んでいるように見えて非常に不気味だ。余りこのことについては深く考えないようにしつつ、会話を遮る的な意味でロマンが俺に質問を投げかけて来た。

 

「ところで仁慈君。それは何処で拾ってきたの?」

 

「それは――――「私が襲われたのよ!」――――というわけ」

 

 ロマンの質問に答えようとした俺の言葉を遮ったのは実は先程から俺の後ろで服を引っ張りつつ、ついてきたオルガマリー所長である。彼女こそが、この珍妙生物と邂逅した原因だからである。

 

 簡単に言うと、いつものように朝起きた俺が台所に行こうとした時に廊下で襲われている所長に遭遇したというわけである。ノブノブ言うちんまい珍妙な生物に襲われ(?)おろおろしていた所長を放置をするのもどうかと思った俺はその生物の首の後ろをつまんで持ち上げてついでに今何が起きているのか知るために管制室に来たということだ。

 

「―――――なるほどね。なら、この生物は既にカルデア内にいくつか存在しているんだろう。……仁慈君、悪いんだけどさ」

 

「わかってる。とっとと片付けてくる。ついでに居なくなったサーヴァントでも探しておくよ」

 

「あ、先輩。私もついて行っていいですか?」

 

「もちろん。この前のヘラクレスやヘクトールに比べたらかなり弱いだろうし、サクッと片付けよう」

 

「はい」

 

 自ら同行を申し出たマシュをパーティーメンバーに加えて、俺はカルデアの管制室を後にするのだった。

 

「ねぇ、何で私の手を引っ張ってるの?ねぇ!?」

 

「所長。こういう時に動かないと、貴女の身体はカルデアスに取り込まれてバラバラにされてしまいつつ、存在が消えてしまうからですよ」

 

「何それ怖い!冗談よね?冗談よね!?」

 

「はっはっは(棒読み)」

 

「冗談って言いなさいよー!!」

 

 既にどこかぐだぐだな雰囲気を纏いつつ、今度こそ管制室を後にした。

 なんだか、この適当具合こそが今回のことに関係してそうなのはどうしてだろうか。

 

 

 

 

「………ふぁー。仁慈君たちが向かったのならもう大丈夫だね」

 

「確かに。彼ならもうだめという現実を消し飛ばして何もなかったという幻想を引きずり込むくらいのことをしても私は驚かないよ。彼は天才の私にすら測れない」

 

「だったら、僕は二度寝するよ。昨日はパソコンにかまけすぎて、寝れなかったからね」

 

「―――――――ん、そうするといいよ。私はこの生物と事象について調べるから。たまにはゆっくり休むことだ。医者の不養生なんて、かっこ悪いだろう?」

 

「そうする」

 

「よろしい。凡人は適度な休息を入れないとだめだよ?私も、この完璧な身体を維持するために、日々の休息は欠かしていないからね」

 

「最後のがなければよかったのに……というか、君に休息は必要ないだろ」

 

 

――――――――――――

 

 

 さて、管制室から出て廊下にいつの間にか溢れているノブノブいうちっこいやつを探している俺達。既に数回戦いを繰り広げているが、自爆テロなんてやってくるとは聞いてないぜ……。

 

「爆発、爆発したわ!」

 

「所長、私の後ろから離れないでくださいね。吹っ飛びますから」

 

「ふっとび……!?」

 

「ノブノブー!」

 

「はい、さようなら」

 

「ノブッ!?」

 

 マシュの背後で怯えている所長に向って黒い陶器を持ちながら特攻をかまそうとするちんまい珍生物を適当に取り出した槍で頭を貫いて倒し、そいつが抱えていた爆発物を持ってその後ろから近付いてきた別の奴にぶつけて爆発させる。所長が今度は俺に怯え始めた。別に貴女にこんなことしたりしないんですけどね。

 

「―――!先輩、サーヴァント反応です」

 

「うん――――――――そこか」

 

 気配を感じた場所に槍を投擲。しかし、その槍はあっさりと弾かれて防がれるだけでなく俺たちの方に帰ってきていた。俺はそれを回避しつつ掴んで自分の右手で再び扱う。

 

「中々、良い不意打ちでした。しかし、あれほどの攻撃を何のためらいもなくできるとは……さぞ名高い戦士なのでしょう」

 

 俺の不意打ちに対してそんなことを言いながら出てきたのは薄いピンクの着物を羽織った女性だった。その顔はどこかヒロインXやかつて戦ったアルトリア・ペンドラゴンと似ているところがあり、ここにヒロインXが居たのであれば激戦間違いなしだと確信できた。いや、俺の不意打ちも十二分に開戦の理由としてはあり得るけれども。なんだろうか、この人とは気が合いそうな気がする。

 

「どうもこんにちは、俺は樫原仁慈。こっちはサーヴァトのマシュです。よろしく」

 

「………はっ、ご紹介に預かりました。マシュ・キリエライトです」

 

「で、その後ろで怯えているのが所長です」

 

「名前は!?」

 

 最近彼女のツッコミスキルが少しずつ成長している気がする。

 ぎゃーてーぎゃーてー騒ぐ所長をスルーしつつ、俺は薄いピンクの着物と袴を纏っているその女性に視線を向ける。

 

「あ、これはこれはご丁寧に。私は新選……じゃなかった。えーっと……桜セイバーとでも呼んでください」

 

 明らかに偽名だった。というか名前ですらなかった。マシュと共になんとも言えない表情を浮かべていると、桜セイバーと名乗った女性の後ろから更に一人の少女がやって来た。

 その外見は、今まさにこのカルデアに出現しているノブノブいう生物と同じ物であり、思わずその少女を拘束する。

 

「✖✖時✖✖分。被疑者確保」

 

「なぬ!?何故じゃ!?どうしてこの三千世界に名を轟かせる超ぷりちー美少女のわしが捕まっとるんじゃ!?」

 

「ちっこいお前みたいな生物に襲われたから」

 

「あぁ……これは疑われても仕方ないの……」

 

「むしろ、バリバリ関係ありますもんね」

 

「あのー一先ずお話を聞かせていただけますか?」

 

「うぁあ!まってその前にアレ!アレやっつけて!」

 

 本当に今日はなんか締まらないなぁ…………。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 その後、桜セイバーとノブノブの本体こと自称第六天魔王の魔人アーチャーの会話を纏めると、彼女たちの世界にある聖杯が暴走した結果こんなことになってしまったらしい。ここに出現したのは魔人アーチャーが聖杯の中核に落ちた際に奪われた彼女の力そのものだというのだ。

 

 大体彼女たちの事情を把握したところでダ・ヴィンチちゃんからそのはた迷惑な聖杯があるであろう場所の特定が終わったらしい。

 ということで、このたびどこか残念な空気を発する桜セイバーと魔人アーチャーと共に、レイシフトを行い、こんな可哀想な使われ方をしている聖杯を回収しにきたのだった。

 

 

 そんなこんなでやって来たレイシフト先。

 場所は何故か夜であり、俺達が居る森を抜けた先には物凄い露出度の高い恰好をした少女と厳つい顔に似合わずどことなく苦労人臭を漂わせた大男が居た。その周囲には先程までカルデアに侵入していたちんまい珍生物も一緒である。

 

「どうやら、サーヴァントが例の生命体を使役しているようですが……」

 

「ふーむ……どうやら聖杯が英霊たちを洗脳して使役しているようじゃな……」

 

「確かに英霊の様子がどこか変ですね。召喚時に余計な因子でも混ざったのでしょうか?」

 

 彼らに言われて改めて目の前のサーヴァントたちを見てみる。

 

「ベン……いえ、雪斎。一気飲みしなさい。三秒で、これを」

 

「この量を三秒でですか!?もしかして殿、酔ってらっしゃいますか?ますよね?敵がいつ襲ってくるのかわからないのですよ?」

 

「いいからやってください。それに私は天才なので、酔っぱらった状態でも問題ありません」

 

「いえ、ですが……わかった、わかりましたから!飲みますから」

 

「よろしい。では行け(ドン!!)」

 

「さっきより増えてんじゃないんですか!!」

 

 ……別におかしくないんじゃないかな。

 本来の彼らのことを何も知らない身ではあるけれども、あれはあれで自然体だと無駄に鍛えられた俺の勘が囁いているんだけど。

 

「まぁ、それはともかくどうしましょうか?流石にあの戦力差は覆しがたいと思います」

 

「遠距離から爆撃する?」

 

「そんなことが可能なのですか?」

 

「まぁ」

 

「実はお主サーヴァントなんじゃないかの………前線で爆撃を行えるマスターなんて聞いたことないんじゃが……」

 

「魔人アーチャーさん。気にしてはいけません。先輩に対して大体の事柄は当てはまらないんです」

 

「やだ。うちのシールダー攻撃力高すぎ……?」

 

 俺の魔力強化を抜けて直接ダメージを受けた感じがした。防御無視の攻撃をもつシールダーとか新しすぎる。

 

「しかし、それだけでは不十分でしょう。私が囮になります」

 

「えー……おぬしが行くのか?無理じゃね?わしがいったほうがいいんじゃないんじゃない?なんて言ったってわしはかの有名な織田―――」

 

「桜セイバーさんだけで大丈夫ですか?」

 

「聞けよ!?せめて聞こうと努力しようよ!」

 

 ここで名乗りを上げたのは桜セイバー。なんでも生前の経験から複数人の相手は慣れているらしく、爆撃で確実に減った人数なら問題ないとのこと。何やら魔人アーチャーがごちゃごちゃ言っているけれどもそこはスルーする。

 

「そこで、そこまで行かないサークルの飲み会に誘われた挙句に見知らない人の中に放り込まれて仕方なく飯だけを食べているメンバーみたいな所長もなにかありますか?」

 

「紹介の仕方……!」

 

 流石に言葉を選ばな過ぎたらしい。ものすごい形相で所長が睨みつけてくる。そんな中、先程までやる気に満ちていた桜セイバーの身体に異常事態が発生する。

 

「ごふっ(吐血)」

 

「ええええええええええええええ!?」

 

「桜セイバーが死んだ!?」

 

「この人でなし!(織田何某復活)」

 

 やる気満々な彼女の口から出たのは意気込みではなく血液。それはもうシャレにならないレベルで吐血している。

 慌てるマシュ。それに対して桜セイバーは穏やかな顔で真っ赤な口を開いた。

 

「ご、ご安心を。これは私のスキルのようなものですから。……時々、敵の目の前で直立不動になったり、無防備になったりするだけですので」

 

「前衛職として致命的なスキル!」

 

「うぅ……どうせ私は使えない隊士ですよぉ……こんな幕末に誰がした……!」

 

 さっきの魔人アーチャーこと織田何某といい、ここの桜セイバー改め幕末隊士といい正体隠す気あるのだろうか。桜セイバーの方はまだ特定はできないけど、結構絞り込めているんだけど。

 あまりの適当さ加減に呆れていると、流石に騒ぎ過ぎたのか敵の兵と思われるものに気づかれてしまう。そうしてここから現れたのは、弓を持った男の人。身体的特徴はこれと言ってないが、その存在感から相当な強者とうかがえた。

 

「貴様ら、さてはよしつね様を狙う不届きな輩か?この大軍に向かってくるとはいい度胸してるぜ。よし、その度胸に免じて先陣を務めるのはこの海道一の弓取り――――いや、東洋一の弓取り、松平アーラシュが成敗してやろうじゃないか!」

 

『本当に東洋一じゃないか……!何やってんですかアーラシュさん……!』

 

 さっき強者と思ったのは間違いだった。この人、聖杯の侵食が尋常じゃないくらい進んでる……!なんかもう色々、なんかもうアレだぞ。

 

「先輩。もう何が何だかわかりません!」

 

「是非もないよネ!」

 

「ゴフォッ!?」

 

「とにかく戦いなさいよ!」

 

 ヤケクソ気味に所長が叫び、俺たちは一斉に向かって行く。相手はなんかよくわからない聖杯に侵食されているもののアーラシュと名乗っていた。日本ではそこまでの知名度はないらしいが世界的に見れば大物もいいところ。アーチャーの語源にもなった文句なしの大英雄。ヘラクレスとは別の方向ではあるものの、侮っては居られない。

 俺は真っ先に突き崩す神葬の槍を取り出すと、そのまま魔力放出を使って全速力で彼の身体に槍を突きたてる。彼は確か先祖返りか何かで強大な身体能力を持っていたはずだ。油断はできない。

 

 彼が矢を放つ前に、空気を切り裂き、アーラシュの背後を取る。そしてそのまま槍を彼に突き立てた。

 

「ぐぁぁぁぁああ!」

 

「ええええええええええええええええ!!!!????」

 

 そして刺さった。普通に刺さった。見事なくらいに刺さった。

 回避の動作も取られず、その強靭な肉体に阻まれることなくサクッといった。余りにあっさりといってしまったため攻撃した俺が驚いている。

 

「なんてこった。この俺が……だが、これじゃあ終われねえ。見せてやるぜ……俺の全身全霊をかけた渾身の一撃……!」

 

「うむ。あっさりと負けを認めた割には物凄いパワーを溜めているんじゃが……。あ、嫌な予感が……」

嫌な予感が……」

 

「先輩。彼がアーラシュさんであるなら、全身全霊をかけた一撃は……」

 

『全力で逃げてくれ!自爆テロ(ステラ)だ!』

 

「無駄だ!俺の弓の射程距離はずばり、2500km!!」

 

「それ本当に弓なのかと!」

 

 魔人アーチャーがツッコミを入れつつ、俺たちは全力で走る。しかし、先程まで吐血していた桜セイバーが滅茶苦茶早く、マシュと魔人アーチャーが遅れ気味になってしまっていた。

 仕方がないので、二人を両脇に抱えて、更に所長を俺の背中にしがみつくように指示して、俺も身体能力強化と魔力放出を使って全力で逃げる。その過程で、先程倒そうとしていた集団の前を横切ったけれどもそんなこと気にしている余裕はない。

 

「……何だったんでしょうか。彼らは」

 

「わかりませんな。というか、物凄い綺麗な……まるで流れ星のようなものが空に……」

 

「ステラ―――――ッ!!」

 

 背後から聞こえる轟音。 

 大量のちんまい珍生物と共に、まるで流れ星の如く夜空を飛ぶ先程の二人組。

 

 なんというか、

 

「ぐだぐだですね」

 

「ぐだぐだですねー」

 

「グダグダだなぁ」

 

「ぐだぐだね」

 

「是非もないネ!」

 

 もう帰りたい。

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 場所は変わり、荒れ果てる荒野。

 目の前に佇むのは色黒を通り越して真っ黒な全身にものすごい文様が入っており、像にまたがっている大男とどこかエウリュアレに似たような雰囲気の女性。

 

「■■■■■■■■■■――――!!」

 

「ついに決着をつける時が来たな、尾張のうつけ、とお館様は申しております」

 

「■■■■■■■■■■――――!!」

 

「我が武田騎馬軍の前に屍をさらすがよい、とお館様は申しております」

 

「貴様が乗ってるの、どう考えても像なんじゃが……」

 

「というか、一々翻訳しないでいいんじゃない。面倒だし、早くやって早く終わらせようサクッと」

 

「その意見には賛成です……うっ」

 

「桜セイバーさんがピンチです先輩!」

 

「ダメダメじゃないこのサーヴァント!」

 

「はい戦闘開始!」

 

 ついさっき見たような流れで戦闘を開始する俺達。マシュは所長と桜セイバーを守るためにその場にとどまってもらい、魔人アーチャーと共に向かう。しかし、今の魔人アーチャーは聖杯の中へと入り、力を奪い取られてしまった影響で、かなりの弱体化を図られているのである。当然、

 

「ぬあーー!!??」

 

 こうなる。

 ちっこい生物にフッ飛ばされたー!された魔人アーチャーは奇跡的な軌道を描いてマシュの盾の後ろへと入っていった。うちのサーヴァントがグダグダ過ぎて役立たずな件について。

 

「ちっくしょう。やってやる!野郎オブクラッシャー!」

 

「■■■■■■■■■■――――!!」

 

「それは死亡フラグだ、とお館様は申しております」

 

「やかましいわ!」

 

 叫びつつ、俺に群がるちっこい生物を使い捨ての槍を使って纏めて吹き飛ばす。ノブノブ言いながら消えていくそいつらに対して意識は向けずに真っ直ぐ黒い大男に翻訳女性へと向かっていく。

 

 本来なら英霊二体なんて無茶な相手だろう。しかし、今の彼らは聖杯の効果で弱体化&変な因子を埋め込まれているらしい。そこに勝機がある。

 最初に向かってくるのは翻訳女性の方。

 かなりの速度でその場で踏み込み、こちらに向かって杭を突き立ててくる。俺は杭を持っている腕をつかんで固定すると地面へと背負い投げのような要領で投げた。地面を陥没させつつ叩きつけられた女性に止めを刺そうとすると、もう一人の男が襲い掛かって来た。

 それに気づき一気に距離を取る。マシュの隣までやってくると、桜セイバーが戦える状態かどうかを尋ねた。

 

「桜セイバーは!?」

 

「問題ありません!私、さくっと敵を倒しちゃいますよー!どっかの誰かと違ってしっかりと戦えるサーヴァントであることを証明してあげましょう!」

 

 マシュの盾から飛び出した桜セイバーはそういって、黒い大男へと向かって行った。それをみて、俺もいつ吐血しても大丈夫なように桜セイバーに注意しつつ翻訳女性へと向かって行った。

 

 

 

 

 決着はすぐについた。

 アーラシュの時も思ったけど、聖杯のマイナス補正が強すぎる。これは色々酷い。

 

 

「沖田さん大勝利!」

 

「おい。おい真名」

 

 

 ついに言ってしまった桜セイバー。とりあえず聞かなかったことにした。

 

「■■■■■■■■■■――――!!」

 

「宝具を撃つまで生き残れない……とお館様は申しております。……え?もう出番おしまいですか?やったー」

 

 ふぅー………何とか終わったか。

 この普通の戦闘とは違った感じで疲労がたまっていく感じ……今まで体験したことのない感覚だ。ぶっちゃけ物凄いつかれる。

 

 戦闘が終わったことにより、盾を構えていたマシュが非戦闘員(魔人アーチャーを含む)を連れて来た。しかし、それと同時に新たなる敵も。

 

「やぁやぁ!我こそは軍神、上杉アルトリア!武田ダレイオス!宿命の対決を――――」

 

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあああ!!面倒くせぇ!!!」

 

 ヒロインXとも冬木で会ったアルトリアとも違うおそらく本家だと思われるアルトリアがおかしなテンションと名前と共に現れた。

 

 これでも意外とストレスが溜まっていたらしい。色々と限界突破した俺は弾けた。のこのことやってきた上杉アルトリアとやらに、全力で槍をブン投げたのである。

 

「―――――――世界を越える神殺しの槍!!」

 

 

 怒りで限界突破したせいか、それともこのぐだぐだにしてメタメタの世界が生み出した偶然なのか、俺が投げたエミヤ師匠からの投影ゲイボルクは、いつもの深紅ではなく機械的な槍に変わり、上杉アルトリアに向かって行った。

 

 

「ぐっ……この私が……型月のドル箱たるこの私が出落ちで終わるなんて……ご飯三倍でとどめたのが原因でしょうか……というより、この世界の私(ヒロインX)ってキャラ立ちすぎじゃありませんか……?」

 

 

 それだけ言って本当に上杉アルトリアは消えていった。

 だが、聖杯にはまだたどり着いていない。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――むっ!?今、私のアイデンティティが奪われた気がします(モグモグ)」

 

「何言ってるの?ところで、おかわりいる?」

 

「お願いします!」

 

「はい、どうぞ。………ところで、エミヤ君はどこに行ったんだろうね……?」

 

 

 カルデアにある食堂にて、こんな会話があったとかなかったとか。

 

 

 

 

 




イベントでは割と仁慈が苦労している気がする。

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