この世界の片隅で(更新停止)   作:トメィト

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投稿が遅くなってしまい申し訳ありません。
リアルで色々ありまして……ちょっと書く時間がなかったのです。………P5楽s(ry



キチガイ(達)が引っ搔き回す第四特異点
第四特異点プロローグ


 スカサハ師匠がカルデアにやって来た。

 それを自覚した当初は豪く動揺したものであるが、人間の適応能力は馬鹿にできず、そんなものも二週間かそこらで慣れてしまい、今では日常の一部として組み込まれてしまっている。カルデアの職員もである。

 何気にカルデアの職員の適応能力も中々だと思う。

 

 さて、そんな二週間を含めてあれから一か月ほど経過したのだが、この一か月で何か変わったことがあるかと言われれば………これが物凄いある。

 

 まず、俺の起床時間が早くなった。元々俺は朝食を作るために起きていたけれども、そこから更に師匠による修練が入ったために更に早くなってしまった。まぁ、それはエミヤ師匠が肩代わりしてくれるようになったということで事なきを得たのだが、負担はむしろ増えることになるよね。毎朝毎朝、兄貴とエミヤ師匠と共にしごかれる日々を送っている。

 これを受けているにも関わらず食事を作ってくれているエミヤ師匠にはもう足を向けて眠れないかもしれない。

 変わったことはこれだけではない。二つ目に変わったことは聖杯のバックアップをしばらく受けることができなくなってしまったのである。それを言い渡して来たのは我らがカルデアのドラえもんとも言えるダ・ヴィンチちゃんだ。

 

 

――――――――――――――

 

 

「彼女……・スカサハ女史が来た前日の夜にね、聖杯とのパスが無理矢理切られたようなんだ。これが厄介な切り口をしていてねぇ。修復には時間がかかるんだ。まぁ?これを機に、聖杯をオルレアンのものからエリザベートちゃんが持ってた聖杯の欠片にバックアップ先を変更もしようと思っていることも一因かな」

 

「ん?なんか色々おかしくない?」

 

「別におかしなことはないよ。願望機の機能を備えているその聖杯よりも、欠片のようなあの聖杯とは単純な存在としての格が違う。いざという時は万全の聖杯を使おうという寸法さ。魔力タンクの役割としてなら欠片とも言えるあの聖杯でも十分だしね」

 

「聖杯の修復っていうのは?」

 

「物凄いざっくりした切り方だったから聖杯に直接ダメージが入っているんだよ。幸いにも?天才であるこの私がいるから何とかなるけれどもぉ?普通だったら、魔力の逆流からの爆発オチだったねー」

 

「マジでか」

 

 

 

―――――――――――

 

 

 割とシャレにならない事態だった。そのことを師匠に問いただしてみれば「私でもミスをするとも」とどや顔を決められた。思わず頭を叩いた俺は悪くないと思う。その後三十倍返しされたけど。

 聖杯に関しては普通にこれでもよかったと今では考えている。普通にこのまま魔力タンクとして使ったら師匠からぶっ飛ばされる……で済めばいいレベルで色々されるだろうし、魔力タンクの件は俺がもっとふさわしい技量備えてからにすればいいだろう。

 

 そして最後にして一番変わったことがこれである。

 

「メリー。煙突から失礼。召喚に応じて参上したサンタクロースのお姉さんだ。貴様が私のトナカイか?」

 

「いえ、人違いです」

 

「…………」

 

「…………」

 

 聖夜に現れた黒いサンタクロースと化したあのアルトリア・ペンドラゴンがカルデアに訪れたのである。

 どこをどうしてこうなったのかという過程はのちに語らせてもらうけれども、一つ言えることはまともではなかった。魔力放出でカッ飛ぶそりと、それに引きずられるトナカイ(アステリオス)なんてどう対応すればいいのかさっぱりわからなかったもの。

 

 

 と、このようにある意味でいつも通りのカルデアだったのだが、それすらも慣れてしまった今日この頃、ロマニから連絡が入った。これまでと同じようにマシュが俺の部屋へと訪れ合流してから管制室へと向かう。

 中に入ればこれまたおなじみの光景が広がっていた。ついでに俺が今までに呼び出したサーヴァントも大集合である。

 

「お、来たね。じゃあ早速今回のorderの詳細を説明しよう」

 

「何故ネイティブに言ったし」

 

 不意打ち過ぎてビビったんですけど。

 

「ん゛ん゛……では改めて。第四の特異点となるのは十九世紀、冬木を除く七つの中では最も現代に近い時代だ。けれど、驚くことはない。産業革命、人間の今後を大きく左右したこれが起きたんだ。特異点となるには十分すぎる」

 

「確かに」

 

「そして具体的な転移先だけど……絢爛にして華やかなる大英帝国、首都ロンドンに設定されている。もしかしたらこの特異点はそこまで足を棒にしなくてもいいかもしれないよ。なんせ、馬車も鉄道もあるんだからね」

 

「まともに使えればの話でしょうが」

 

 十中八九使えないと思うけれど。何かしらの理由をつけては使えないに決まってる。

 

「別にいいと思いますよ?先輩はちょっとやそっとでは疲れないでしょうし」

 

「今までのことがあるから文句を言えないんだよなぁ」

 

 マシュからの冷たい言葉を粛々と受け入れるしかない俺。オルレアンから行った強制ライド、ローマでの魔力放出ダッシュ、そしてオケアノスでは船の旅……まともに移動した記憶が全くと言っていいほどなかった。

 

「何はともあれお願いするよ。…………それにしても、いいなぁ。霧の都、ロンドン。可能なら僕も行ってみたかったなぁ……シャーロック・ホームズに会ったらサインとかもらえたり……」

 

「ドクター。レイシフトは旅行ではありませんし、そもそもシャーロック・ホームズは架空の人物です」

 

「ぐはっ!?」

 

 マシュからの マジレス! ロマンはちからつきた! 

 おお、ロマン。しんでしまうとはなさけない。

 

「はいはーい。死んでしまったロマンを置いといて、ここからは私が説明をしてあげよう!」

 

『マジか』

 

「冷たい反応をありがとう!さすがの私でも心が折れそうだよ!コホン……それでは仁慈君。第四特異点に行くメンバーを選出してくれたまえ!」

 

 前に出た瞬間、向けられた冷たい視線に笑顔で返しながら俺に語り掛けるダ・ヴィンチちゃん。

 

 ……メンバー選出は物凄く重要な意味を持つ。特にここからは。ローマでもロムルスやオケアノスでのヘラクレス、ヘクトールと言った英霊達が現れたのだ。半分に差し掛かる今回の特異点では少なくともそれらと同等の連中が出てくることが予想される。そういった意味では師匠を連れていくことができれば物凄く安心なんだけれども……。

 

「ん?どうした仁慈。私に熱い視線を送って。一晩相手してほしいのか?」

 

「違いますけど?」

 

「ハッハ、即答か。まぁ良い。私を連れていくなら悪いが諦めてくれ。私はこれからしばらくの間、セタンタに我が槍の真髄を一から叩き込まねばならないが故にな。第五の特異点には間に合わせる故、今回は見逃せ」

 

「はぁ!?ちょっと聞いてないんですけど!?」

 

 俺が反応を返す前に兄貴から驚愕の声が上がった。うん。まぁそんなことだろうと思った。あの師匠が兄貴に事前連絡を行うわけがない。受けてたらあんな余裕を持ってここにいるわけがない。今みたいに死んだような目をしているに決まってる。

 

「お主、もしや肝心なところで外す槍を携えて人理復元などに赴くつもりではあるまいな?」

 

「オルレアンでは外してないんですけど!?」

 

「たわけ。私には大暴投だったではないか。いざという時あれを出されては目も当てられん」

 

「ぐっ、言い返せねぇ……」

 

 どうやら決着はついたようだ(というか、元々ついてる)

 何人かのサーヴァントは笑ったり、憐れんだりしているが、明日は我が身とも言える自分としては笑えるはずもなかった。

 未来の自分の姿とも言える兄貴の後姿を目に焼き付けつつ、他に残ったサーヴァントたちを見て行く。するとブーディカとエミヤは苦笑いしながら首を横に振った。

 

「悪いね仁慈。助けてあげたいのは山々なんだけど、食事と職員のメンタルケアにも人員が必要なのが現状でね」

 

「私も、ある程度の心得は持っているが故、今回はそちらの方に回ろうかと考えている。ロマニも君たちのオペレーションで手が空いていないだろう。聖杯のバックアップもなくなり、あまり多くの英霊を従えることはできないだろうしな」

 

 エミヤ師匠の言葉に俺は納得した。

 ただでさえ、人員が不足しているカルデア。今いる人たちのケアも十二分に重要な仕事だ。いい方は悪いが貴重な人員を使いつぶす余裕はないのである。彼らも、今までこの仕事をしてきたプロフェッショナル達だし、損害は大きい。

 

「となると……」

 

 そうして俺は残ったメンバーを見渡す。

 俺の視界に移るのはヒロインX、清姫、キャスエリ、ノッブ、自称素敵なサンタさんタマモキャットの6騎……。

 

 これは酷い。誰を選んでも似たよううなものというかどうあがいても絶望というか……八方ふさがりというにふさわしい事態だ。

 

「………マシュはどうする?」

 

「うぇ!?私ですか!?」

 

 マシュに尋ねると彼女たちの視線は一斉にマシュへと注がれた。それに気づいた彼女は目に見えてわかるくらいに委縮してしまっている。これは酷いことをしたかもしれない。

 やっぱり俺が決める、と口にしてマシュの視線を一手に受けれた俺は意を決して連れていくサーヴァントを口にした。

 

「今回連れて行くのは、キャスエリとノッブそれにタマモキャットだ」

 

 言葉を言った瞬間に選ばれた面々は雄たけびを上げた。それとは逆に選ばれなかったサーヴァントたちはがっくりと肩を落とした。

 みんなには悪いと思うけれどなんとなくこの面子で行った方がいいと思ったんだから仕方がない。特に、Xは絶対に連れていくなと俺の勘が囁いていた。

 

「散歩の時間だな?よろしい。それではご主人、首輪を持て。ご主人のメイドにして妻たる私の力を見せてやるワン!」

 

「フフン。期間限定仕様のこの私!エリザベート・バートリーが選ばれるのは、ドラゴンが火を噴くのと同じくらい当然!さぁ、行くわよ子イヌ(?)。ロンドンという街並みにアタシの華麗で美麗な歌声を響かせるのよ!」

 

「こうして本場へと赴くことができるとはのー……。人間、生きていれば何が起きても不思議ではないということかの。まぁ、わしは死んどるけど。しかし……うむ、なんかわくわくするの!」

 

 …………早くも自身の発言を撤回したくなってしまった。どいつもこいつもピクニックや旅行、ライブ気分で居やがるではありませんか。これなら多少の勘をスルーしてでもサンタオルタを選出するべきだった……。

 

 こうして俺は若干の溜息と共にレイシフトをすることにしたのだった。

 

 

「……………………」

 

 

 

 




サンタオルタは後に書きます。

ちなみに、ロンドンだし時計塔に行くので所長を連れて行こうかと思ったのですが、全くうまく動かせない気がしたのでやめました。……本当に所長を助けた意味はあったのでしょうか。
無計画とは恐ろしきものよ……(自業自得)

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