改善の箇所が大分はっきりとしてきたおかげで、作者としては大変助かっております。
今後の作品作りにしっかり生かしていきたいと考えています。
こうした感想は作者としては作品作りを行う上で、大変良い刺激となりますので、少しでも何か不自然な点や気になった点などがあれば、感想をお寄せください!
まだまだ、稚拙な文章しか作れない身ですが、皆様に少しでも面白いと思っていただけるような作品を作っていきたいと考えています!
今後とも宜しくお願いします!
「……とのことで私が今、この場にいるのです」
田中が全てを話しきったとき、誰もが黙ったままであった。
未来から来たなんて話はそう簡単に信じられる話ではない。
誰もがそう考えていた。
「私は信じますわよ!」
袁紹が唐突に声を上げた。
「私は田中殿を信じます。先ほど彼を信じたのですから、ここで信じなくてはどこで信じるのです!」
田中は袁紹の言葉を嬉しく思った。
(本初様は先ほどの件で一気に成長なされた!一時はどうなるかとは思ったが、これは本当に幸先が良い!)
袁紹が自分で決断を下せるようになり、他人を信頼できるようになったのは大きな成果であった。
田中が命を危険にさらしてでも成長させたかったことが無事実ったのだ。
田中にとって、これ以上ないほど名誉なことであった。
「誠に申し訳ありませんが、私はまだ信用するには早いと思います」
そう言いつつ、逢紀が臣下の礼を取った。
「本初様や田中殿のことを信用していないわけではありません。ただ、今の段階で全員を信用させるというのは難しい物。ですから、ここは一つ質問をさせていただきます」
「未来に起こることを述べてください」
確かに今の段階でいきなり信用せよというのは、かなり難しい物がある。
しかし、未来に起こることを当てたというのであれば、話は別だ。
「今月中に曹孟徳殿が董仲穎殿を打倒せんと挙兵し、それに追従するように来月には諸侯が一斉に挙兵いたします」
「な、何と!」
予想外な言葉に皆が黙り込んだ。
董卓は時の権力を一手に抱える超有力者である。そのような人物に反旗を翻そうとは正気の沙汰ではない。
「分かりました。それでは、それが当たれば我々は信用することといたしましょう」
そう言って、今日の会議はお開きとなった。
田中の心の中には一抹の不安があった。
「果たして、本当に歴史は史実通り動くのであろうか」
既に田中という異分子が紛れ込んでいるために歴史は変化を始めている。それでも、史実通り動いてくれるのか田中には未だ分からなかった。
数日後、一人の兵が袁紹の屋敷に駆け込んできた。
「申し上げます!」
「己吾の地にて曹操が董仲穎殿を打倒せんと挙兵しました! さらにこれに続かんと各地の諸侯が一斉に蜂起! 総勢17もの諸侯が戦争の準備を始めたとのことです!」
田中の言うとおり、事が動いたのである。
「確かに田中殿の仰るとおり起こりました。これで信用ができます」
こうして田中は袁紹陣営の中で信用を取り戻したのである。
そんな田中の姿を見つつ、彼の言っていたことを袁紹は思い出していた。
(これが本初様の成長の糧となるのであれば、どうぞ首をお切りください)
彼が命を賭しても行いたかった自分の成長。
しかし、自分は未だ成長しているとは思えてなかった。
このままでは自分は配下の人間に信用されない日々を送ることとなる。
今を逃しては後はないと考えた袁紹は思い切った行動に出る。
「皆さん!」
唐突に袁紹が声を上げた。
「皆さん、私は今まで人を信じられない上に、自分で決断してきた事がありませんでしたわ!ですけど、今日こうした事に直面して初めて気付きました!人を信じることの大切さを、自分で決断する大切さを!私は君主という職務を放棄していましたわ。しかし、私は今度こそ人を信用して決断を下していきたいと思います!」
そこで、袁紹は驚くべき行動に出た。
「どうか、今後も私に着いてきてください!」
頭を下げたのだ。
皆は驚愕した。
普通、上の立場の者は自分に非があっても頭を下げたりなどしない。
それほどまでに彼女は本気なのだと誰もが分かった。
「着いてきますよ、本初様。たとえ地獄の3丁目だろうが、どこだろうが着いてきますよ!」
「私も!」
「本官も!」
最初に逢紀が言ったのを境に、誰もが我先にと袁紹について行くと言い始めた。
「皆さん、ありがとうございます!」
こうして、袁紹と配下の絆はまた深くなったのだった。
気付けば夜が明けていた。新しい日の出が始まる。
「田中殿、あなたは元々情報に関する仕事に着いていたとか」
袁紹が田中に尋ねる。
「はい。元は情報を統括したり収集したりする部署にいました」
「では、あなたに今後、情報を統括する部署について頂きます!」
田中が歴史の表舞台にようやく出てくる最初の言葉である。
「我が君」
夏候淵が曹操の元へと一つの書簡を手にし、やってきた。
「田中に関して動いたのかしら?」
「ええ。どうやら袁紹はやつを生かすことに決めたそうです。臣下は真っ二つ言われたそうですがね」
「そう」
曹操は袁紹の決断を馬鹿にしたのか、それとも田中が生き残ったことに喜んでいるのか、感情のよく分からない返事をして書簡を受け取った。
夏候淵にはその表情からは何も感じ取れない。
「それではこれにて」
夏候淵は特に気にもならなかったので、その場を後にした。
「殺さなかったとはね……。意外だわ」