袁紹を活躍させてみようぜ!   作:spring snow

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先ほどはすいません!
間違って違うものを投稿してしまいました。



第十五話 反董卓連合

 時は190年。

 

 漢王朝の権威が弱まりつつある。

 

 そんな時に漢の都たる洛陽を守る地にて大きな動きが起きていた。

 

 洛陽を守る関、虎牢関と汜水関。ここで今までにないほどの緊張感が漂っていた。

 理由はつい1週間ほど前のことである。

 

 三公を騙る偽装された董卓を討伐せよという檄文が各地に飛び、諸侯が一斉に蜂起したのだ。

 

 確認されている主立った者では曹操、公孫瓉、袁術、孫策などである。

 

 反董卓連合の総兵力は二十万。

 

 この兵力が集結したのが、汜水関である。

 

 この汜水関を守る董卓軍の将は華雄、張遼である。

 二人とも董卓軍を代表する名将中の名将である。

 

 そんな豪傑の揃う汜水関で大戦がおきようとしていた。

 

 

 

「う~む、七乃! 妾は疲れたのじゃ! 少し休ましてくれたも!」

 

 まだ、十歳にも満たないような小さな幼女が、年相応のかわいらしい声でそう叫んだ。

 

 彼女の名前は袁術。字は公路。

 南陽の太守であり、袁家の正式な跡取りである。

 袁紹とは従弟の関係で、史実では仲が悪かった。内政能力や軍隊を指揮する能力は無かったが、外交交渉能力は極めて高く、周りの国を自分の好きなように操っていた。

 最後は呂布にぼろぼろにされたところを曹操の攻撃に遭い、袁紹の所に逃げる途上で病にかかり死亡。

 最後の言葉が実に有名で「蜂蜜水が飲みたい」であったそうな。

 

 そんな彼女が率いるのは総数三万の大軍勢である。

 

 間違いなく反董卓連合の片翼を担う存在であることは間違いない。

 

 その大軍勢が目指すのは汜水関である。

 情報に寄れば汜水関には現在、董卓の将軍の一人でもある華雄と呂布がこもっているそうだ。

 

 袁術は、反董卓連合の一員として各地の諸侯と共に立ち上がったのだ。

 

「は~い、美羽様、もう少し我慢してくださいね! もう少し行かなくては野営地にたどり着けないので」

 

「七乃、妾は今すぐ飲みたいのじゃ!」

 

「きゃ~ん!我が儘言って、周りのことを考えない自己中心的な美羽様も素敵!」

 

「おお!妾は素敵か!七乃、もっと褒めてたも、もっと褒めてたも!」

 

「馬鹿にしているのに気付かない美羽様、可愛い!」

 

 さりげなく毒舌を振りまく女性は軍師の張勲である。

 

 字は少軒。

 史実においては袁術に仕え、数多くの戦を指揮した。

 孫策が橋蕤(橋ずい)と共にその才能を見抜いた人物であり、かなり優秀な人物であったことがうかがえる。

 死亡に関しては詳しくは分かっておらず、元部下であった廬江太守劉勲に捉えられた記述が最後の記録である。

 

 彼女らの所属する反董卓連合が集結する野営地は汜水関の近くに設置されている。

 

「美羽様~、野営地が見えてきましたよ!」

 

 張勲が唐突に声を上げた。

 

 指さす先には巨大な陣が敷かれた宿営地が見える。

 これこそ総数二十万を超える反董卓連合の野営地であった。

 

「ふ~、これでようやく蜂蜜水が飲めるの~」

 

 気の抜けるような声を出して椅子へと体重を授ける袁術を尻目に張勲はその頭脳を高速回転させていた。

 

(おかしい、袁本初の旗が見えない……)

 

 そう。

 今回の主力の一つでもある袁紹の旗が見えないのだ。

 

 彼女は派手好きであるから軍勢は諸侯の中でも目立つ。

 鎧は金色をしており、その旗は黄色に袁の文字が書かれた物である。

 

 しかし、集まっている軍勢にそのような軍隊は一つも無い。

 

 袁術が到着したのは集合の一日前だ。

 袁紹はどんなときも優雅さを求めるゆえ、遅刻ギリギリなどはない。

 

 何より、彼女に付き従う文官達は誰もが喉から手が出るほどほしがる優秀な者達。

 そのような者達が日にちを間違えるなど万が一にも無い。

 

 また、途中で襲われたと言うことも考えずらい。

 これも指揮ほどの理由と同じく、彼らを率いるのは猛将ばかりだ。

 

 山賊ごときが襲いかかったとしても返り討ちにするであろう。

 

 では現在いない理由は何であろうか。

 

 そこが引っかかっているのだ。

 

(まあ、あそこに行けば分かることでしょう)

 

 そう思い、張勲は野営地へと近づいていった。

 

「恐れながら、どちら様の軍勢でありますか?」

 

 門で警備をしている兵士が大きな声で尋ねた。

 

 それに張勲が答える。

 

「こちらは南陽郡太守の袁公路様にあらせられる」

 

「これは失礼いたしました!どうぞお通りください。それから間もなく軍議が開かれますので、袁南陽太守様は野営地中央の天幕にお越しください」

 

「分かった。勤めご苦労!」

 

 そう言って、門が大きな音を立てながら開いた。

 袁術達は隊列を乱さないようにしながら、進んでいった。

 

 

 

「袁公路様、ようこそお越しくださいました」

 軍議が開かれるという天幕に着いた二人は、入り口で一人の男に迎えられた。

 

 彼の名は孔融。

 字を文挙と言う。各諸侯から信頼が厚く、援軍や仲介役を担うことが多い。

 今回も董卓の横暴に怒り、援軍として出陣したのだ。

 

「どうされたのです?早く中へ入られては如何ですか?」

 

 張勲がそう言うと、孔融はおどけたように言った。

 

「中で待つのはちょっと危険な香りがしましてね……」

 

 何となく予想が付いた張勲は苦笑した。

 

「彼女ですか?」

 

「ええ」

 

 孔融はいかにもと言った具合に相づちを打つ。

 

「分かりました。彼女をどうにかしてきましょう」

 

 そう言って二人は入る。

 袁術は何を言っているのか分からず、ポへーと張勲についていった。

 

「だから、袁紹はどこにいるのよ!」

 

 中に入ると大声が聞こえてきた。その声の主は赤髪の女性に突っかかっている。

 その声を上げた人物は曹操である。そして切れられているのは公孫瓉だ。

 

 彼女は袁紹の治める勃海群のさらに北へ行ったところにある北平の太守だ。

 異民族と何度も交戦をしており、彼女の部隊は騎馬戦に極めて長けており、今回の参加諸侯の中でも有力視されている。

 

「だから、何度も言ったとおり、未だ袁勃海群太守様の足取りは掴めてなくて……」

 

「麗羽は総数五万の兵力を率いて、出陣したのよ!その軍勢の足取りも掴めないなんてあなた馬鹿なの!」

 

「だから、今手を尽くしているところだ!もうしばらく待て!」

 

 曹操が切れているのは言わずもがな、袁紹配下の田中を手に入れるためだ。

 このことは曹操が意図的に情報をリークし、各諸侯の間でも有名な話であった。

 

 この目的を達するためにわざわざここまで足を伸ばしてきたというのに、袁紹が未だ着いていないと知った瞬間、曹操は烈火の如く怒り出した。

 

 特に、途中まで一緒に行動をしていた公孫瓉に対する怒りは凄まじい物であった。

 

 出発するときに偶然、一緒にいたものの途中で用事があるとのことで分かれて以来、行方知らずになったという。

 

「まあ、まあ。二人とも落ち着いて」

 

 そう言って張勲が二人を止めようと動き出したとき、一人の兵士が駆け込んできた。

 

「申し上げます!袁勃海群太、いえ、袁紹の旗が見つかりました!」

 

「どこに行ったの!」

 

 曹操が切れながら聞くと兵士の口から信じられない言葉が飛び出た。

 

「し、汜水関の門の上です!」

 

 その瞬間、その場にいた者、全てが凍り付いた。

 

 

 

 




今後の投稿も出来る限りの事はしますが、いつになるかは分かりません。
すいません。
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