魔法少女おとは☆マギカ   作:茜寧々

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第三話 願い事について

私が、魔法少女に…。

「って、急に言われても…」

まさか、自分もあの戦いにいずれは巻き込まれるのかもしれないと思うと、何か混乱する。願いを叶えてもらえるという点は魅力的だけど…。というか、

「まず、願い事は…? まだ考えてないんだけど」

「すぐに決めなくてもいいのよ。時間のある今だからこそ、ゆっくり考えて決めて欲しいの」

マミさんが静かな声で言ってくれた。

「そ、そうですか。ありがとうございます」

やっぱり、願い事はよく考えて決めよう。

「そうかなあ…。僕は、早ければ早いほどいいと思うけど…」

キュゥべえの突っ込みに、マミさんは冷静に返す。

「女の子を急かす男子は嫌われるわよ」

でも、せめて参考として聞いておこう。

「そういえば、マミさんの願い事はなんだったんですか?」

「私は、考える余裕もなかったわ。交通事故に遭って瀕死の状態の至っていた時に、キュゥべえに出会って…」

「すいません、悪いことを聞いてしまって…」

「いいのよ、だから本当に叶えて欲しい願い事をよく考えてもらいたいの」

「はい、じっくり決めようと思います」

本当に叶えて欲しい願い事、か…。

 

○数分後○

 

その後、私はさやかさんと一緒に病院へ向かった。と言うのも、今から恭介君のお見舞いに行くという目的がたまたま一致したからだ。

一昨日の事を謝りたくて病院に行く事にしたのだ。

「あの、さやかさんは、どういう願い事で契約したんですか?」

待合室で、私はさやかさんにも聞いてみた。

「あたしは、恭介の腕が治るようにってお願いしたんだ。バイオリンが弾けずに苦しんでいる姿があまりにも辛そうで、見てられなくて…」

少し切なげに言うさやかさん。

あ、そうか。そういうのもありか。

さやかさんは、恭介君のために、キュゥべえと契約した。それに比べて、私は、力もなくて、自分を責めてばかりで………。

その時、呼び出しがあった。二人は恭介君の病室へ向かう。

 

「あれ、今日は二人で来たの? 珍しいね、仲良くなったの?」

「うん、まあ…、そんな所かな」

恭介君は、少し驚いた様子だ。

 

ちなみに私が、恭介君の怪我が治った事を知ったのは、たった今だった。なぜなら、昨日はきまずくて、お見舞いに行けてなかったから。

「…そっか、退院はまだなんだ」

「足のリハビリがまだ済んでないしね。ちゃんと歩けるようになってからじゃないと。手の方も、一体どうして急に治ったのか、全く理由が分からないんだってさ。だから、もうしばらく精密検査がいるんだって」

今更だが、治ったのは腕だけではなく足もだそうだ。当然ながら、恭介君はさやかさんの魔法で治ったことを知らない。

「あ、恭介自身は、どうなの? 体に何かおかしな所とか、ある?」

「いや、無さ過ぎて怖いっていうか、事故にあったのさえ、悪い夢だった見たいに思えてくる。何で僕、こんなベットにねてるのかなあって…。さやかが言った通り、奇跡だよね、これ」

やっぱり、さやかさんは奇跡を信じていた。それなのに私は、奇跡を信じていなかった。希望は大切なものなんだ…。

「音葉だって、僕に折り鶴をプレゼントしてくれた。二人のお蔭で、希望を持つ事が出来たのに…」

あの時、折鶴をあげたのは、間違いじゃなかったんだ…。私は、ほっとした。

「ん、どしたの?」

「さやかにも音葉にも、酷い事言っちゃったよね。いくら気が滅入ってたとはいえ、ごめん…」

「変な事思い出さなくていいの。今の恭介は大喜びして当然なんだから。そんな顔してないで、元気出して」

「そうだよ。それに、私達だって嬉しいんだよ」

「うん。ありがとう。でもなんだか、実感無くてさ」

「もう、無理もないよね」

「でもよかったじゃん」

そう言いながらも本当は、私も少しだけ信じられないでいる。

「あ、そろそろかな」

さやかさんが腕時計を見ながら呟いた。

 

その後、さやかさんの提案で、屋上へ行く事になった。「せっかくだからきなよ」と誘われ、私も着いて行く事になった。

エレベーターにのっていた時、もしこれが夢だったら…なんて考えてしまった。

屋上についた。昔からお世話になったご両親や、数人の看護師達が拍手をしている。

「あっ、皆…!」

「本当のお祝いは退院してからなんだけど、足より先に手が治っちゃったからね。突然だけど、音葉も一緒に祝おうよ」

「え、あっ、はい」

おじさんが、どうしても処分出来なかったというバイオリンを、恭介君に渡す。

「さあ、試しに弾いてみて御覧。怖がらなくていい」

おじさんの隣にさやかさんが並び、その隣に私も続く。

「…うん」

 

恭介君が、バイオリンを弾いた。今まで通りに。

(やった、やった)

奇跡ってあるんだと、この時強く思った。

私は今、幸せだった。多分、さやかさんも同じ気持ちだろう。

バイオリンの音色と拍手の音が、夕焼けに響いて行った。

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