「バナナの…騎士?」
天ノ川きららは呟く。
「バロンだ。」
青年…もとい騎士が名乗る。
「貴様…あの時にもいたな…。」
邪武はバロンを睨み付ける。
「知らんな、貴様など。」
その一言で、邪武は憤怒する。
「貴様も私を忘れたのか…!」
邪武は橙々丸をバロンに振りかざす。
しかし、バロンは持っていた槍…バナスピアーでかわす。
橙々丸はかわされるが、腰にあった無双セイバーでバロンを斬りつける。
「グゥ…!」
邪武は斬るのをやめない。
「キラキラ!
流れ星よ!
プリキュア・ミーティア・ハミング!」
「ガァ!」
星型のエネルギー弾が邪武を襲う。
「私がいるのも忘れないでよね!」
邪武が振り向くとそこにはトゥインクルがいた。
「貴様ァ!」
「俺もな…!」
バロンがすかさずバックルの刀を一回下ろす。
『バナナ・スカッシュ!』
「ハッ!」
エネルギーを溜めたバナスピアーはバナナを模し、そのまま邪武を突き飛ばす。
「ガァァァ!」
邪武は、倒れるも直ぐに立ち上がる。
「貴様らぁ!」
邪武は、バックルの刀を一回かざす。
『ダークネス・スカッシュ…!』
『ゴールデン・スカッシュ…!』
橙々丸に混沌に満ちた黒と金のエネルギーが溜まる。
「ハァ!」
邪武の声と共に、エネルギー波がトゥインクルとバロンに襲いかかる。
「キャアアァァアア!」
「グアアァァアア!」
二人は倒れ込み、周りの木々は炎に包まれる。
「ハッハッハッハ!」
邪武が高らかに笑う。
「無様だなぁ!
貴様ら全て終わりだ!」
邪武の言葉に、トゥインクルが立ち上がる。
「終わらせ…ないし。」
「ん?」
「終わらせない!
あんたなんかに絶対にさせない!
私の夢は、まだ途中なの!
だから、私のこの力で、目の前のあんたをぶっ潰してやるんだから!」
バロンが立ち上がり、変身を解く。
「…力はお前の夢のために使え。」
青年は黄色い錠前を渡す。
「後悔はするなよ。」
そうして、青年は森の中へと去っていった。
その後ろ姿に呆けながらも、その心はどことなくリラックスしていた。
「…わかってるし。」
彼女が錠前を開ける。
『バナナ!』
錠前は形を変え、悪を倒す鍵となった。
プリンセスパフュームを取りだし、キーをセットする。
『バロン!』
「バロン!モードエレガント!」
彼女の姿が変わっていく。
その姿は西洋の騎士。
両肩にはバロンのアーマーが。
右手にはバナスピアーが。
「姿が変わろうと、同じこと!」
「それはどうだか。」
トゥインクルは邪武に猛攻を受ける。
しかし、バナスピアーで払いのけながら、邪武にカウンターの拳を叩きつける。
「グァァ!」
よろけた邪武にバナスピアーを突き出す。
「これで終わり…!」
トゥインクルはバナスピアーを構える。
「プリキュア!
スパーキング・」
バナスピアーにエネルギーが集中する。
「させん!」
邪武は刀を三回かざす。
『ダークネス・スパーキング…!』
『ゴールデン・スパーキング…!』
邪武の橙々丸に、エネルギーが集中し、巨大な邪武の化身が現れ、彼女に向かって手に持つ橙々丸でトゥインクルを斬り落とす。
しかし、トゥインクルは勢い良くバナスピアーを前に突き出すと、そのエネルギーはバナナを模し、彼女は凄い速さで邪武に突進する。
その速さは、辺りの火でさえ一瞬で消した。
刹那、彼女は巨大な化身ごと邪武を貫いた。
「何故だ…!
何故私が負ける!
黄金の果実を持つこの私が!
小娘なんぞに!
グアアアァァァアアア!」
爆散する邪武。
彼女は言う。
「ごきげんよう。」
仕事が早く終わり、一日だけ余裕が出来た天ノ川きららはチェックアウトを済ませ、疲れを癒すべく、外に出ていた。
大通りを進んでいくと、フルーツパーラーと書かれた店があった。
ドアを開けると、
「いらっしゃい!」
と、元気の良い男の声がする。
席に案内され、メニューを渡される。
『バナナとリンゴのパフェ』
目を引かれて頼む。
(トワっち、大丈夫かな。)
そんなことを思いながら窓の外を眺めていた。
数分後、すぐに女性スタッフによって運ばれてくる。
「デカッ…。」
そう呟く。
小さな戦いの幕が開けた。
「ふぅ、お腹いっぱい。」
勝負は天ノ川きららの勝利で幕を閉じた。
支払いを済ませるべくレジへと向かう。
「良い食べっぷりだったね。」
男が言う。
「あはは…。」
「はい、レシート。
お嬢ちゃん、ここに来るのは初めて?」
「あ…はい。」
男は笑いながら言う。
「通りで見ない顔だと思った。
うんうん、なら近くにある公園に行ってみなよ。
ストリートダンスをやってるんだ。」
男がチラシを差し出す。
そのチラシには、ダンスグループが数多く載っていた。
その中で、あの青年と同じコートを着たチームがあった。
その名は、チーム『BARON』。
そう、あの仮面の騎士と名前が同じであった。
「…!
これってどこにあるんですか!」
身をのりだす天ノ川きららに、男は驚きつつも答える。
「大通りを真っ直ぐ行った所だけど…。
チラシの裏に書いてあるよ。」
「ありがとうございます!」
天ノ川きららは勢い良く店を飛び出した。
そして、新たな物語が始まるファンファーレが鳴り響いた。