仮面の騎士と笑顔と希望の少女たち   作:烏賊の毒

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第四章 トワイライトの場合
分離した未来 1/4


とある城

 

暗闇に閉ざされ、月光が闇を艶やかに包み込むその城のテラスで、気高く、尊く、麗しく、まるで世界を凍らすような音色が漂っていた。

 

「美しい…。」

 

近くにいたシャットは、小さく呟き、ロックは何かを考えるように眺めていた。

 

テラスでは、黒きプリンセス トワイライトがヴァイオリンを弾いていた。

 

月光が照らすトワイライトの姿は何者をも近づかせない気品が溢れ出ていた。

 

そんな中、トワイライトはいきなりヴァイオリンを弾くのを止め。

 

「…?トワイライト様?」

 

シャットは唐突に止まった演奏に戸惑いつつ、尋ねた。

 

しかし、トワイライトの視線はシャットのその先を見ていた。

 

「隠れてないで、出てきては?」

 

シャットとロックが振り向くと、そこにはジャケットにジーパン、スニーカーとその場に似つかわしくない格好の青年が立っていた。

 

「流石はお姫さま。

 まさか気づいているとはねぇ。」

 

「誰なんだね?」

 

「君には用はない。

 用があるのはそこのお姫さま♪」

 

ロックの問いには応じず、右手で指鉄砲を作りトワイライトに向ける。

 

「君の持っているプリンセスパフュームを僕にくれないかな?

 それは僕が持つのに相応しい。」

 

「誰かと思えば只のコソ泥。

 シャット、ロック、相手をして差し上げなさい。」

 

「了解あるのみ。」

 

「了解なんだね。」

 

その行動に呆れたのか、青年はやれやれといった表情をする。

 

「あまり手荒な真似はしたくなかったんだけど。」

 

右手にはいつの間にか銃のような物が、左手にはカードが握られている。

 

「変身。」

 

『KAMEN RIDE DIEND』

 

カードを銃に装填して、天に向かって撃った銃弾は、瞬く間にカード状になり青年に降り注ぐ。

 

そして、その場に居たのは、青い戦士だった。

 

「貴様、何者だ!」

 

シャットが問いただす。

 

「仮面ライダー…と言っても分からないよね。」

 

青い戦士の左手には、既に四枚のカードが握られていた。

 

「騎士には騎士を…。」

 

『KAMEN RIDE KNIGHT』

 

『KAMEN RIDE DRAKE』

 

『KAMEN RIDE DEN-O』

 

黒い影が重なりあって、三人の男が召喚される。

 

「俺、参…

 

「お姫さまには、皇子さまってね。」

 

 じょ…!」

 

『FORM RIDE DEN-O WING』

 

赤いメッシュを入れた男に青年が銃口を入れると、白いメッシュに変わった。

 

「…さて、家来共、存分に戦えぇえ!」

 

「お前がライダー?

 笑わせる。」

 

「確かに。」

 

「ふむ。

 たまには、力を出さなければな。

 では、家来共、いくぞぉ!」

 

三人はそれぞれのツールを出す。

 

一人はカードデッキを。

 

一人はパスを。

 

一人は銃を。

 

『変身!』

 

「降臨、満を満して…!」

 

一人は、コウモリを模した黒き騎士に。

 

一人は、金と白に青い羽がマスクに模してある騎士に。

 

一人は、青にメカメカしい鎧を纏った騎士に。

 

「んじゃ、行ってらっしゃい。」

 

青年がそう言うと、三人の騎士はそれぞれの敵へと場所を移しながら、向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の相手はお前か?」

 

シャットの目の前には、メカメカしい騎士がいた。

 

「さっきの少女、美しい。

 あのナチュラルに施されたメイク。

 だが、しっかりと自己主張されている…!

 まるで…!」

 

言葉に詰まるドレイクにシャットが答える。

 

「月のよう…?」

 

「そうそう、それそれ。」

 

「貴様にも分かるのか?!

 トワイライト様の美しさが!」

 

「あぁ。

 しかし、貴様のメイクは気に入らない!

 あまりにも冒険をしなさすぎている!」

 

その一言で、シャットの顔色が険しくなる。

 

「なんだと…!」

 

勢いよく攻撃を仕掛けてきたシャットの爪に最初は対応しきれていたドレイクもあまりの速さにいなしきれなくなる。

 

「口程にもないなぁ!」

 

「そろそろ本領発揮ですね。」

 

ドレイクは、銃のグリッブを引く。

 

すると、メカメカしい鎧から音がなる。

 

「キャストオフ。」

 

『CAST OFF

 CHANGE DRAGONFLY』

 

鎧は弾け飛び、中からトンボを模した戦士が現れる。

 

「姿が変わった所で、同じこと!」

 

「クロップアップ。」

 

『CLOCK UP』

 

刹那、シャットの体が中に浮かぶ。

 

「殺しはしません。」

 

流れる時が止まった中、ドレイクは羽を畳んだ銃口をシャットに向けていた。

 

「ライダーシューティング。」

 

『RIDER SHOOTING』

 

銃口から放たれた青い球体がシャットの目の前で爆散し砂ぼこりを起こす。

 

「メイクアップ。」

 

砂ぼこりの中で、そのような声が聞こえた。

 

砂ぼこりが晴れるとドレイクはシャットから背を向けていた。

 

「貴様、何故手を抜いた…!」

 

シャットがドレイクを睨み付ける。

 

「鏡を見なさい。」

 

シャットは懐から鏡を取りだし、自分に向ける。

 

「はう…!」

 

そこには、目の辺りがまるで蝶のように、唇はまるで金魚のように紅く染まっていた。

 

美しいと、シャットは思ってしまっていた。

 

「な、何故?!」

 

「気に入らないのは、その冒険心の無さです。

 素材は凄く良い。

 これからも、精進して下さい。」

 

ドレイクがシャットを見る。

 

「礼を…言う。」

 

「いえいえ。

 原石を一つ見つけたと思えば。

 それでは、またいつか会いましょう。」

 

ドレイクは後ろを向き歩きながら、そのまま虚空の彼方へと消えていった。

 

(冒険心…か。)

 

残されたシャットの表情は、少し晴れやかだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕の相手は、君なんだね。」

 

ロックの前に蝙蝠を模した騎士 ナイトが立っていた。

 

「子供相手でも容赦はしない。」

 

「子供ね…。

 ここなら見られる心配もないし、本気…見せてあげるんだね。」

 

ロックの体が大きくなり、さらに三人に増える。

 

「三対一じゃ、勝ち目は無いに等しいんだね。」

 

「悪いが、俺も似たようなのを持っている。」

 

ナイトは、一枚のカードをロックの方に見せると持っていた剣に挿入する。

 

『TRICK VENT』

 

音声が響くと、ナイトが瞬く間に三人に増える。

 

「これで三対三だ。」

 

「…良い退屈しのぎにはなるんだ…ねっ!」

 

『『『SWORD VENT』』』

 

それぞれの分身が一斉に戦いを仕掛ける。

 

『NASTY VENT』

一人のナイトは青いロックに向かい、カードを挿入する。

 

すると、空から大きいコウモリが来る。

 

「ぐぅ…!」

 

金切り声と共にロックの元に来る。

 

しかし、それを払いきりロックの蹴りがナイトに炸裂する。

 

それを見切ったかの様に、ナイトの振るった拳がロックにカウンター気味に炸裂し、両者が消える。

 

緑のロックがナイトと対峙する。

 

『ADD VENT』

 

黒いコウモリが飛翔するが、いちはやく動いたロックの拳にナイトが吹き飛ばされ、消滅する。

 

『FINAL VENT』

 

「でやぁ!」

 

しかし、アドベントしたのは次の攻撃の時間の短縮の為で、後ろから本体のロックとの戦闘を切り上げてきた本物のナイトの飛翔斬によってロックは消え去る。

 

「一対一になったんだね。

 ちょっと本気を見せるんだね…!」

 

ロックの影が禍々しいオーラと共にカエルの様に変わる。

 

「俺も本気を出そう。」

 

ナイトもデッキから青い突風の中に翼が描かれたカードを取り出す。

 

しかし、カードを取り出したナイトの右手が消滅しかけていた。

 

「…時間切れか。

 決着は、次にとっておこう。」

 

そのまま、ナイトは消え去っていった。

 

「今度会うときは、僕は玉座に座っているんだね…。」

 

ロックは闇に紛れてニヤリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の相手は貴方かしら?」

 

トワイライトの前には電王がいた。

 

「貴方は満足させてくれるのかしら?」

 

「姫の願いとあらば…!」

 

すぐさまデンガッシャーをブーメランと手斧にする。

 

「はあ!」

 

電王はブーメランを投げるが持っていた白いロッドで簡単に地面に落とされてしまう。

 

即座に持っていた手斧を振りかざすが、またもロッドで払われる。

 

「終わりね。」

 

『FULL CHARGE』

 

ロッドを振りかざす瞬間、電王はパスをベルトにかざし、落ちていたブーメランを拾い上げ、その刃先をトワイライトに向ける。

 

「………。」

 

「………。」

 

両者の刃と杖が両者の首筋に触りかける。

 

沈黙を破ったのは電車の音だった。

 

プシュー…。

 

そんな音が二人の前でなりながら、電車の扉から一人の少女が降りてくる。

 

「こら!ジーク!

 何一人で勝手に降りてんのよ、このバカ!」

 

電王は慌てた様子でトワイライトから刃を下ろすと少女に叩かれる。

 

「ひひひ姫!

 今、こちらの姫とお手合わせしている最中

「そんなことしてる暇無いの!」

 痛い、あ痛たたた!」

 

「お騒がせしました~。」

 

少女は電王を掴みながら電車に戻っていく。

 

「やっぱり、彼らに会うと呆けるもんなんだねぇ。」

 

突然、あの青年の声がした。

 

その手には、プリンセスパフュームが握られていた。

 

「文献にはプリンセスプリキュアによって世界を守る希望で輝いていると書かれていたが、とんだ偽物だったようだね。

 これは返すよ。」

 

プリンセスパフュームをトワイライトに投げる。

 

「せいぜい輝きを取り戻すといい。

 んじゃ。」

 

『ATTACK RIDE INVISIBLE』

 

青年は、赤いカードを銃に挿入すると、まるで雲の様に消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その風景を少し離れた場所で見ている者がいた。

 

「世界を守る…プリンセスパフューム…プリンセスプリキュア…か。」

 

小さく呟いたそれは、コウモリを模した一台のミニカーだった。

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