「ここは何の世界だ?」
『光写真館』と書かれた看板の店から出てきたのは、黒いシルクハットに紳士服を身を包み、首には黒い錠前がぶら下げてある青年だった。
「また変な格好だなぁ、士!」
「周りは人の気配すら無さそうですね。
それに、海東さんも居なくなっちゃったし。」
士と呼ばれた青年…門矢士は、後ろから出てきた青年…小野寺ユウスケと女性…光夏海に言う。
「やはり俺は何着ても似合うな。」
そんな彼を無視しつつ、光夏海は続ける。
「絵には舞踏会の仮面と小さなドレス…。
何の世界なんでしょうか?
ねぇ、士くん?」
少しばかりため息をつきつつも、カメラで風景を撮っていた士は答える。
「まぁ、何にしても情報収集が先だな。」
夏海とユウスケ、士の二組に別れて歩きだした。
『分離した未来』
街は静かだった。
人がいない訳ではなく、人はいるが全員が紫の檻の中に入れられていた。
「なんだ…これは…。」
士は辺りを見渡すが、何処まで見ても人は檻の中だった。
その時、爆発音がした。
駆けつけてみると、黒いドレスを着た銀髪の少女が鍵穴の付いた紫の巨人と戦っていた。
「ハアァア!」
少女が巨人を蹴り落とすと、その巨人は消滅する。
「ふぅ…。」
ドレスの少女は士に気付き、構えをとる。
「あなた…!
ディスダークの仲間ね!」
「やれやれ、またこれか…。」
腰にベルトを着ける。
「沸騰した頭を落ち着かせるのは、これが手っ取り早い。」
士は少女に一枚のカードを見せる。
「変身!」
カードをベルトの中に入れ、ベルトの両側に付いたボタンを押す。
『KAMEN RIDE DECADE』
灰色の虚像が数多に出現し、彼に重なる。
そして、彼はマゼンダの破壊者…ディケイドになった。
「あなたは一体…?」
「通りすがりの仮面ライダーだ。
覚えておけ。」
その一言で、戦いは始まった。
少女のロッドとディケイドの剣…ライドブッカーが火花を散らす。
「ハァ!」
「…!」
素早い少女に次第にたじたじになるディケイド。
「速いな…。
ならコイツだ。」
ディケイドは新たにカードをベルトに差し込む。
『KAMEN RIDE FAIZ』
姿が変わるディケイド。
更に、カードを一枚差し込む。
『FORM RIDE FAIZ ACCEL』
姿が銀色に変わる。
「付き合ってやる。
10秒間だけな…!」
腕に付いた時計のボタンを押す。
『START UP』
少女が見えない物体に弾かれている様に、あちこちに飛ばされる。
『three…two…one…TIME OUT』
ディケイドは、元の姿に戻る。
「ま、こんなもんか。」
倒れた少女を捕まえようと、近づく。
その時、倒された筈の紫の巨人が現れた。
しかも、複数体。
「なんだこいつら。
こいつが倒したんじゃないのか?」
倒れた少女が立ち上がるが、ディケイドの攻撃で思うように体が動かない。
「クッ…。」
少女は万事休すだと思ったが、敵だと思っていた仮面の騎士から思いもよらない答えが帰ってきた。
「ちっ、しょうがない。
ちょっと待ってろ。」
再度、カードをベルトに入れる。
『KAMEN RIDE RYUKI』
ディケイドの姿が龍の騎士に変わる。
「こいつだな。」
カードを入れる。
『ATTACK RIDE ADVENT』
鏡の中から出てきた赤い龍が紫の巨人を薙ぎ倒しながら、ディケイドの前で止まる。
「乗るぞ、捕まってろ。」
少女を龍に乗せ、ディケイドはその場から離れた。
「なぜ、私を…。」
写真館の前で下ろされた少女が変身を解いた士に聞く。
「聞かせて貰うぞ。
この世界の事をな。」
ガチャ…。
二人が戻ってくる。
「何にも見つかりませんでしたよ。
士く…。」
「どうしたの?
夏海ちゃ…。」
二人は唖然とする。
「士、お前まさか!」
「女の子を誘拐…!」
「んな訳ないだろ。」
こんないざこざをしているなか、白髪の老人…光栄次郎は少女にコーヒーを渡す。
「はいどうぞ、コーヒー。」
ニコッ!と微笑む栄次郎。
「ありがとうございます。」
コーヒーに口を付ける。
「ん、美味しい。」
少し頬が緩む少女。
「マスター、僕もコーヒー。」
そこには、ラフな格好の青年…海東大樹の姿があった。
「海東さん!
どこいってたんですか?」
ちょっとにやけた顔の大樹。
「ちょっと、探し物をね。。」
そう言って、イスに座る。
「だからね、いつも言ってるけど私はね、マスターじゃないの。」
そう言いつつも、コーヒーを持ってくる栄次郎。
「もう良いだろ。
で、何がこの世界で起きたんだ?」
士は彼女に迫る。
「…私は、トワ。
この世界の人ではありません。
こことは違う世界からやって来たんです。
あの巨人は、ゼツボーグといって、巨人を操っているのはディスピアという絶望そのものです。」
「俺を襲った理由はなんだ?」
「あなたが首にかけている錠前が、ディスピアの側近の着けているのと同じで、つい…。」
ユウスケが割り込む。
「でも、トワちゃんってさ、ずいぶん敵に詳しいんだな。」
その言葉に、トワは少し言葉に詰まる。
「それは…。
敵に操られていたので…。」
「え…。」
「以前は、この世界もこんなふうではなく、ちゃんと人も動物も花も全てが輝いていました。
それに、希望を守る伝説の戦士…プリキュアも。」
その言葉に、夏海が反応する。
「この世界?
じゃあ、他の世界も?」
俯きながら、トワは答える。
「はい…。
私の世界も…。」
尚も、トワは続ける。
「私は操られ、プリキュアを封印してしまったんです。
その後、私はディスピアに洗脳を解かれて、全てを教えられ、絶望しかけました。
この世界の事、プリキュアの事…、私の事。
でも、絶望せずに戦う事を選びました。
罪を償うために…。」
「そうか、大体わかった。」
立ち上がる士。
「ようは、そのディスピアとやらを倒せばいいんだな?」
目を丸くするトワ。
「待ってください!
確かにあなたは強いですけど、巻き込む訳には…!」
「まぁまぁ、それが俺たちのやることらしいから。
ね?」
なだめるユウスケにトワが問う。
「あなたたちは…一体…?」
それに士が答える。
「簡単に言うと、お前と同じ異世界から来た。
もちろんお前とは違う…な。」
その言葉にトワは驚愕する。
「色々な世界を巡っている通りすがりだ。」
士は椅子から立ち上がる。
「まぁ、相手が絶望そのものなんて大した敵でもないだろ。」
士がトワを向き、言う。
「なんたって、俺は…世界の破壊者だしな。」
その言葉に、トワは疑問を持つ。
(世界の…破壊者?)
トワが考えている中、声が聞こえた。
「さて、行きますか。」
「そうだね夏海ちゃん。
海東さんも行きますよね?」
「今回は、僕も行くよ。
ちょっと、気になっていてね。」
士は、ドアを開ける前に、夏海、ユウスケ、大樹の三人は外に出る。
士は、トワに言う。
「行こうぜ、トワ。
ディスピアを倒しにな。」