仮面の騎士と笑顔と希望の少女たち   作:烏賊の毒

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なぜ彼はそれを盗んだのか 3/4

ルパンの得物とエイリアンの得物が火花を散らす。

 

両者一切譲らない。

 

「…!」

 

ルパンブレードバイラルコアをルパンガンナーに装填。

 

 

もう一体のメガヘクスに背中を斬られる。

 

「くっ…!」

 

よろけながら、素早く銃口を押す。

 

『ア~ルティメット!

 ルパ~ン!

 ストラ~シュ!』

 

倒れ様に後ろ二体にエネルギー波を打ち放つ。

 

「グガッ!」

 

「グギッ!」

 

二体は爆発。

 

直後、木々の揺れ、鳥たちの羽ばたき、爆煙、全ての動きが遅くなる。

 

その中に、娘の悲鳴。

 

「しまった!」

 

怪盗は、駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初は、優勢だった。

 

息も彼が合わせてくれたのか完璧で退けられていたが、離されてしまった。

 

今、向こうに二体。

 

こちらには三体。

 

「フッ…!」

 

なんとか避けるが、後ろから蹴りをいれられ、前に突き飛ばされ、前にいた三体目に弾かれ木にぶつかる。

 

「カハッ…!」

 

ディスダークより強かった。

 

更に、自分の動きが遅くなる。

 

体は動かない。

 

疲労は溜まる。

 

敵は目の前。

 

絶望的な状況だった。

 

「エネルギー体の憔悴、確認。」

 

「行動不能。」

 

「排除する。」

 

三体が両手を前に突きだし、恐らくビームを発射するつもりだ。

 

思わず目をつぶる。

 

突きつけられた死。

 

まだ夢の途中、諦めたくない。

 

まだ

 

 

 

 

死にたくない。

 

 

 

 

しかし、痛みが来ない。

 

死とはこう言うことなのか。

 

だが、外で苦痛の声が聞こえる。

 

恐る恐る目を開けると、そこには、ビームを全身で受け、必死に守るルパンの姿があった。

 

「グ…!ウ…!」

 

やがて、ビームは終わり、ルパンは倒れる。

 

「ルパンさん!」

 

倒れたルパンを膝の上に乗せる。

 

「あ…!あぁ…!」

 

慌てるフローラにルパンは力無く口を開く。

 

「すまない…、春野はるか…。

 それを…盗んで…しまって…。」

 

「いいん…です…!

 いいから…!」

 

「最後に…不躾ながら…頼みたい…。」

 

ルパンがルパンガンナーをフローラに渡す。

 

「これを…持って…いてくれないか…。」

 

フローラはルパンガンナーを握る。

 

「わか…り…ました…!」

 

ルパンが太陽を見上げる。

 

「泊進ノ介…。」

 

見知らぬ名前が出る。

 

「私は…英雄に…仮面ライダーに…なれた…だろう…か…。」

 

ルパンガンナーを差し出した腕が彼の胸からたらりと落ちた。

 

彼は死を迎えた。

 

「うっ…!くっ…!」

 

涙するフローラにエイリアンは言う。

 

「馬鹿げた奴だ。」

 

「他者を救うために自らを犠牲にするなどエラーが発生している。」

 

「感情というエラーは不要。

 やはりメガヘクスが完璧な存在。」

 

「エラーなんかじゃ、エラーなんかじゃない!」

 

フローラが叫ぶ。

 

「人を助ける事がエラーだなんて、言わせない!

 エラーだって言い張るんなら、あなたたちが完璧な筈がない!

 笑ったり、悲しんだり、人を守ったりするエラーがあってこその命だもん。

 その命をかけたルパンさんを笑うあなたたちを、私は絶対に許さない!」

 

頬をつたう涙がルパンの体に落ちる。

 

「…なに…?」

 

ルパンの体が光の粒子に変わり、一つのキーになる。

 

「これは…!」

 

「新たなエネルギー反応、確認。

 排除する。」

 

エイリアンの一体がビームを放つ。

 

そして、辺りは砂煙に包まれる。

 

『ルパン!』

 

「ルパン!

 モードエレガント!」

 

砂煙から出てきた彼女は姿が変わっていた。

 

肩やベルトはルパンの物に。

 

服は紅のレザーの物に、靴は黒いブーツに。

 

頭にはルパンが身に付けていた黒いシルクハット。

 

そして、右手にはルパンガンナー。

 

左手でお決まりのポーズを決め、エイリアンに問う。

 

「お覚悟は、よろしくて?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年前。

 

それは、まだ彼が『仮面ライダー』も『ロイミュード』も知らなかった時。

 

既に、盗みを引退し、車椅子の生活になってしまった彼は、とある花畑に来ていた。

 

気晴らしのつもりだったが、中々いい気分だ。

 

そんな花畑の中で、一人の女の子がクレヨンで絵を描いていた。

 

描き終わったのか、その絵を空に掲げる女の子。

 

「あっ!」

 

その絵が風に飛ばされ、こちらに飛んでくる。

 

その絵を掴み、見る。

 

そこには、ピンク色のドレスを着て、銀色のティアラ、花の髪飾りを着けたお姫様がいた。

 

「まって~!」

 

少女が駆け寄ってくる。

 

「これは、君が書いたのかな?」

 

少女に紙を手渡す。

 

「うん!

 はなのプリンセス!

 わたしの夢なんだ~。」

 

「夢…ね。」

 

彼はため息をつく。

 

「夢は…見ない方が良いよ。」

 

「なんで~?」

 

少女が不思議そうに彼を見る。

 

「生き続ける…それが私の夢だが、今ではこんなに年をとってしまった。」

 

彼は、下を向く。

 

「だったら!」

 

少女の声に顔を上げる。

 

「だったら、またいつかあいにきて!

 わたし、りっぱなはなのプリンセスになるから!」

 

少女が絵を渡す。

 

「このえ、あげる!」

 

次に、彼女は小さな右手の小指を出す。

 

「やくそく!

 またいつかあえるよね?」

 

彼はしわくちゃになった右手の小指を女の子の小指と結び合わせる。

 

「あぁ…。」

 

彼が聞く。

 

「そういえば…名前は?」

 

彼女が満面の笑みで答える。

 

「はるのはるか!」

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