仮面の騎士と笑顔と希望の少女たち   作:烏賊の毒

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第六章 仮面の騎士の場合
Wとの出会い/涙を拭う二色のハンカチ


黒い森の中、彼女はピンク色のUSBを持っていた。

 

ボタンを押す。

 

『QUEEN!』

 

徐々に、USBの色が黒く変わっていく。

 

『QUEEN!

 QUE…!QUE…!QUE…!

 

 

 

 

 DESPAIR!』

 

 

 

 

「面白い…。」

 

彼女はニヤリと笑みを浮かべる、

 

「行け…。」

 

彼女から放たれたUSBは、鍵穴を通り抜けた。

 

 

 

 

『Wとの出会い/涙を拭う二色のハンカチ』

 

 

 

 

その少女はある探偵事務所に来ていた。

 

何かを決意したのか息を飲み、扉を開ける。

 

カランカラン…。

 

扉を開けた先には、関西弁で話す女が黒いハットを被った男ともめていた。

 

「依頼が全然来ない~!

 来ないとこの探偵事務所も無くなる~!」

 

「分かってるよ!

 だからこんなに張り紙作ってるだろ!」

 

二人の喧嘩にたじたじの少女。

 

「あのぉ~…。」

 

「やる気あんの!?」

 

「やる気あるから作ってんだろ!」

 

そこに、違う部屋から出てきた青年が二人に声をかける。

 

「二人とも落ち着いて。

 お客さんが来てるよ。」

 

「ちょっと黙っててフィリップ君!

 …え?」

 

「…あ?」

 

二人が少女に目を向ける。

 

途端に、愛想良くなる二人。

 

「ようこそ~鳴海探偵事務所に~。

 私は鳴海探偵事務所の所長、照井亜希子です。」

 

「そして俺はハーフボイルド探偵、左翔太郎ッ…いって!」

 

亜希子が『ハーフボイルド』と書かれたスリッパで叩く。

 

「何すんだ亜希子ォ!」

 

そんな彼を無視して亜希子は言う。

 

「依頼は何ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鳴海荘吉…おやっさんにの事を知りたい?」

 

鳴海荘吉という名前を聞いて、三人は顔を見合わせる。

 

「本当に鳴海荘吉だったのか?」

 

「はい。

 寮母の白金さんから聞きました。」

 

「白金さんか…。」

 

「知ってるのかい、翔太郎?」

 

フィリップと言われた青年が翔太郎に聞く。

 

「あぁ、昔何度かおやっさんと依頼で会った事があってな…。」

 

再度みなみに向き直る。

 

「で、鳴海荘吉は…おやっさんはどんな感じだったんだ?」

 

「…そうですね…まるで…幽霊…?」

 

「幽霊…。

 この前のダミーの時の…!」

 

亜希子が思い出したかのように言う。

 

以前、デス・ドーパントによって死者が蘇る事件があり、その中には鳴海荘吉がいたが、それはダミー・ドーパントによって引き起こされた事件だった。

 

「でも、幽霊というには…なんていうか…概念?」

 

「概念…か…。」

 

翔太郎には覚えがあった。

 

「なぁ、それはいつからだ?」

 

翔太郎が問う。

 

「確か、USBメモリを拾ってから…。」

 

「やっぱり…!」

 

翔太郎は懐から黒いUSBを取り出し、みなみに見せる。

 

「これと似ていたかい?」

 

「はい。

 ですが、文字がSだったのと挿入部分が青…。」

 

青と言った瞬間、フィリップが気付く。

 

「まさか…!」

 

「フィリップ!

 すぐ検索だ!」

 

「分かってる!」

 

フィリップがすぐさま部屋に向かう。

 

「何々!」

 

亜希子が錯乱し、みなみが少し怪訝な顔をしていた。

 

翔太郎が言う。

 

「T2ガイアメモリがまだ残ってるって事だ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「検索を始めよう。」

 

フィリップは白い空間にいた。

 

「T2ガイアメモリ…残存…事件後…」

 

本棚が動く。

 

フィリップの前に四冊の本が置かれる。

 

「四冊?

 多いねぇ。」

 

彼は、本を手に取り、読み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、みなみちゃんはどうしてここに?」

 

亜希子がみなみに聞く。

 

「実は、これを…。」

 

彼女は一つのドレスアップキーを取り出した。

 

「これって…?」

 

「それは、鳴海荘吉さんに渡されたガイアメモリという物が変わったものです。」

 

「使い方は知ってるの?」

 

「はい。」

 

その時、サンタの格好をした男…サンタちゃんとモジャモジャヘアーの男…ウォッチマンがどたばたと入ってくる。

 

「しょ…翔太郎ちゃん!」

 

「どうしたんだ?

 そんなに慌てて?」

 

息を切らしながら二人は言う。

 

「変な…怪人が…町を…!」

 

そこまで言ったところで、翔太郎は走り出す。

 

「あっ!」

 

みなみも後を追う。

 

翔太郎はバイクに乗ろうとしていた。

 

「待って下さい!」

 

「ん?

 お嬢ちゃんは待ってろ。」

 

「嫌です。

 それに、私だって役に立てます。」

 

凛とした彼女の姿に翔太郎の探偵の感が反応した。

 

「んあああ!

 わーたよ!

 ほら、乗れ!」

 

翔太郎はもう一つのヘルメットをみなみに渡す。

 

「いいか?

 危ないと思ったら、すぐに逃げるんだぞ。」

 

「わかってます。」

 

二人を乗せたバイクは、風都の中心へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

町の中心部では、ある怪人が破壊活動を行っていた。

 

その場に一台のバイクが到着し、翔太郎とみなみがその場に立つ。

 

「おい待て、ドーパント!」

 

ドーパントと呼ばれた怪人が彼らを見る。

 

「私はドーパントではない。

 メガヘクスだ。」

 

メガヘクスは一本のT2ガイアメモリを出す。

 

「そして、これがドーパントなのだろう?」

 

『OCEAN!』

 

首の付け根にメモリが融合していき、荒波を模した姿に変わる。

 

「力、増幅。

 破壊を開始する。」

 

メガヘクスもといオーシャン・ドーパントが動き出す。

 

「メガだがギガだが知らねぇが、この町を泣かせる奴は許せねぇ。」

 

彼がベルトを着ける。

 

『悪い翔太郎。

 いま検索中なんだ。』

 

「しょうがねぇ。

 じゃあ、こっちだ。」

 

ベルトを変える。

 

懐からガイアメモリを取り出す。

 

『JOKER!』

 

ガイアメモリをドライバーに差し込み、展開。

 

「変身。」

 

『JOKER!』

 

彼の姿が変わる。

 

風都の黒き切り札。

 

「仮面ライダー…ジョーカー…!」

 

手をスナップさせて、敵に向かおうとしたら、みなみも前に出る。

 

「私も!」

 

「え?」

 

ジョーカーがみなみを見ると、何か不思議な物体を持っていた。

 

「プリキュア!

  プリンセスエンゲージ!」

 

それを合図にみなみの姿が変わる。

 

「澄みわたる海のプリンセス!キュアマーメイド!」

 

「えぇぇぇえ!」

 

驚くジョーカー。

 

「すいません黙ってて。

 でも、今はそんなことより…。」

 

マーメイドがオーシャンに向く。

 

「敵を倒しましょう!

 左さん!」

 

「だな。

 いくぜ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「興味深いねぇ。

 キーの能力で強引に絶望の記憶をこじ開けるなんて。

 しかも、メモリ自身が…。」

 

フィリップが本を閉じる。

 

「しかし、破壊された。

 さらに、スカルのメモリが新たな物に再構築されている…。

 

フィリップが推測する。

 

「海藤みなみ…。

 それに…。」

 

彼の視線の先には、ある一冊の本。

 

それは、ピンクを黒が包みこもうとしている柄だった。

 

「クイーンのメモリは何があったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おらぁ!」

 

ジョーカーの拳が敵を抉るが、オーシャンは液状化する。

 

「なに?!」

 

オーシャンが噴射した水で飛ばされる。

 

「プリキュア!

 フローズン・」

 

マーメイドが凍らせようとするが、水の盾で防がれる。

 

困惑する彼女にオーシャンは蹴りをいれ、ジョーカーの元へ飛ばされる。

 

「おっと。」

 

しかし、ジョーカーがマーメイドを受け止める。

 

「どうしましょう。」

 

マーメイドの呟きにジョーカーは答える。

 

「こういう相手には相棒が必要なんだがな…。」

 

彼は携帯を取り出し、フィリップにかける。

 

『もしもし?』

 

「フィリップ!

 検索はまだおわらねぇのか!?」

 

『もう終わってるよ?』

 

「じゃあ変身するぞ!」

 

『その必要は無い。』

 

「あぁ?」

 

翔太郎は疑った。

 

こいつは何を言ってるんだと。

 

そのせいで、爆音は意識の内に入らなかった。

 

『来ちゃった…と、この場合は言うのだろう?』

 

突如、律儀に待っていたオーシャンの体が黒い塊…リボルギャリーにぶつかり宙を舞う。

 

「…!?」

 

この中で理解していたのは翔太郎くらいだろう。

 

リボルギャリーが開き、中からフィリップが出てくる。

 

「やぁ、翔太郎。」

 

へらっと笑いながら歩む。

 

「おせーぞ、フィリップ。」

 

変身を解く翔太郎。

 

「な!?

 何やってるんですか!

 左さん!」

 

翔太郎はニヤリと笑う。

 

「あいつを倒すのさ。

 いくぜ、フィリップ。」

 

「あぁ、翔太郎。」

 

翔太郎が違うベルトを取り出し身に付けると、フィリップにもベルトが現れる。

 

さらに、二人はメモリを取り出す。

 

『CYCLONE!』

 

『JOKER!』

 

「変身!」

 

フィリップはメモリスロットにメモリを挿入。

 

メモリは翔太郎のベルトに転送される。

 

すかさず翔太郎もメモリを挿入。

 

ベルトを展開する。

 

『CYCLONE!

 JOKER!』

 

軽快な音楽と共に翔太郎の姿が変わり、フィリップが倒れるがマーメイドによって受け止められる。

 

「みなみちゃん、僕の体をリボルギャリーに乗せといてくれないか?」

 

「はい…て、えぇぇぇえ!」

 

不意に翔太郎の体からフィリップの声がしたのだ。

 

「ふむ、プリキュアと言えどもやはり女の子…。

 驚くに決まってるよね。」

 

そう言われながらも、マーメイドは呼吸を整えてフィリップを運ぶ。

 

「わかったから、フィリップ。

 奴さんもやる気みたいだぜ。」

 

起き上がるオーシャン。

 

「排除、開始する。」

 

横一列に並ぶダブルとマーメイド。

 

両者は指をオーシャンに向け、死刑宣告。

 

「さぁ、お前の罪を数えろ!」

 

「お覚悟はよろしくて?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ある部屋では。

 

「あぶあぶあぶ~!

 今日も可愛いでちゅね~!」

 

赤いジャケットを来た男が赤ん坊をあやしていた。

 

「パパ!

 パパ!」

 

至福の時を過ごしている彼に外の様子など知るはずもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海藤みなみ、君に力を貸して欲しい。」

 

「え?」

 

「敵については既に検索済みだ。

 彼にはコアが存在し、オーシャンのメモリはそのコアと融合している。

 僕たちでメモリをコアごと壊すから、海藤みなみはあるタイミングになったら…。」

 

フィリップが小さめに言う。

 

「分かりましたわ。」

 

「話しは終わったか?」

 

翔太郎が二人に聞く。

 

「じゃ、いくぜ。」

 

話している間に分身したオーシャンに駆け出すダブル。

 

メモリを変える。

 

『LUNA!』

 

『TRIGGER!』

 

『LUNA!

 TRIGGER!』

 

オーシャンを狙い撃つ。

 

当たるが水に変わる。

 

繰り返しの作業。

 

しかし、一体だけダブルに巻き付く。

 

読めていたダブルは既にメモリを変えていた。

 

『HEAT!』

 

『METAL!』

 

『HEAT!

 METAL!』

 

ダブルの色が赤と銀に変わる。

 

その瞬間、熱がオーシャンを襲い、身体が蒸発。

 

たまらず実体化するオーシャン。

 

その隙に、棍棒…メタルシャフトを持ち攻撃。

 

すると、ある一点…胸の辺りだけを死守するオーシャン。

 

「翔太郎、あそこが敵の本体だ!」

 

「了解!」

 

翔太郎は胸の周りだけを取り出す様にメタルシャフトにありったけの熱を生み、そのまま抉る。

 

「いまだ!

 海藤みなみ!」

 

マーメイドが飛び出た瞬間、ダブルはメモリを変える。

 

『CYCLONE!』

 

『JOKER!』

 

『CYCLONE!

 JOKER!』

 

「モードエレガント!

  高鳴れ、海よ!

  プリキュア!

 マーメイド・リップル!」

 

フィリップの合図で切り離されるオーシャンの身体と中心核。

 

『JOKER!

 MAXIMAM DRIVE!』

 

ダブルの身体が浮き上がり、左右に割け、水柱へと切り離されたオーシャンのコアへと一直線に蹴りを叩き込む。

 

「ジョーカーエクストリーム!」

 

「ガアアアァァァアアア!」

 

オーシャンは爆発し、オーシャンのメモリはコアと共に破壊された。

 

「ふぅ、これで安心…っ!」

 

ダブルが上空を見上げるとメガヘクスと名乗った怪人が空を飛んでいた。

 

「なんじゃありゃ?」

 

「どうやら、何かを見つけたらしいねぇ。」

 

「私達も行ってみましょう!」

 

マーメイドの言葉に賛同するダブル。

 

「あぁ、そうだな。

  これ以上、あいつらの好きにはさせねぇ。」

 

 「同感だよ、翔太郎。」

 

二色のハンカチと人魚は、怪人を追った。

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