仮面の騎士と笑顔と希望の少女たち   作:烏賊の毒

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希望を欲した魔法使い 3/4

翌日

 

一度、男は学園に泊まってから去ることになった。

 

そして、別れの時刻は刻一刻と迫っていた。

 

「ありがとうございました。」

 

「いえいえ、私は何も…。」

 

謙遜する紅城トワに男は告げる。

 

「紅城トワ。

 君のおかげで私は目的を持つ事が出来た。

 改めて言う。

 ありがとう。」

 

男は紅城トワの頭を優しく撫でる。

 

少し照れる様に紅城トワが言う。

 

「久しぶりに、お父さんが出来たみたいでした…。」

 

何かを思い出したかの様に紅城トワがひらめく。

 

「あ!そうですわ!

 マーブルドーナツを餞別として持っていって下さい!

 バス停でお待ちを!

 今すぐ買ってきますわ!」

 

そう言って、男よりも先に出ていってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良い子だったな。」

 

男はバス停に向かいながらそう呟いた。

 

自分が何者か。

 

自分は何をしていたか。

 

自分を待つ者はいるのか。

 

そんなことを思いながらバス停に近づく。

 

そこからは、海辺が見えた。

 

「いたんだね…。」

 

ニヤリとそう言ったのは、黒いフードを被った青年…ロックだった。

 

「君は…。」

 

「あんたの夢、見せるんだね!」

 

『………に会いたい。』

 

男と少女が笑っている。

 

「その夢、絶望の檻に閉ざすんだね!

 ロック・ヨア・ドリーム!」

 

男の夢が絶望の檻に閉ざされていく。

 

会いたい

 

あ  い た   い

 

         イ

 

 

 

        タ

 

 

 

 

 

                イ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドオオオォォォ………ンンン!!!

 

 

 

突然、地響きが鳴る。

 

男の体は、殻を脱ぎ捨て、人間の形をわずかに保っただけの異形の怪人の姿に変わる。

 

「なんなんだね…っ!」

 

ロックが言い終わる前にその怪人…カーバンクルの電撃が襲いかかる。

 

「ぐあああぁぁぁあああ!!!」

 

怪人の放った電撃で遠くまで弾き飛ばされてしまう。

 

「こ、ここは一旦退くんだね…!」

 

ロックの姿が消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マーブルドーナツは買えた。

 

あとは、これを彼に渡す。

 

少しでも喜んでもらうために。

 

少しでも父親の雰囲気を味わう為に。

 

彼女の顔は笑みを浮かべていた。

 

少しずつ駆け足になる。

 

少しずつ心踊る。

 

少しずつ彼に近づいていく。

 

しかし、そこには彼の姿は無く、一体の怪人が立っていた。

 

「…!

 あなた、何者ですの…!

 まさかディスダークの新手?」

 

その怪人はゆっくりと彼女の方を見る。

 

「やぁ、紅城トワ。」

 

聞き覚えがあった。

 

「君のおかげで、」

 

否定したい。

 

「目的を持つ事が出来た。」

 

目の前が真っ暗になる。

 

「ありがとう。」

 

彼女の手から、ドーナツの入った袋が落ちる。

 

「会わなければ、暦に。

 また暦と、やり直さなければ。

 その為にはまず、」

 

怪人の口は、にやけたようだった。

 

「絶望させなければ。」

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