怪人が紅城トワに近づく。
「人間を絶望させて、そのエネルギーで私の目的を果たす。」
紅城トワに指をさす。
「その為には、人柱が必要だ。
君の力は興味深い。
指輪の魔法使いと同等の力を持っている。
使ってあげよう。」
怪人の手が彼女に伸びる。
しかし、その手から逃れるように後退る。
「…絶望なんてさせませんわ…。」
「なに…?」
彼だった者に対面する。
「絶望なんてさせません…。
私に居場所をくれた人を…。
私を信じてくれる人を…。
私の大好きな人達を…。
絶望なんてさせません!」
ドレスアップキーをプリンセスパフュームにセットすると、紅城トワの姿が変わっていく。
「私に歯向かうつもりか。」
「ハアァア!」
紅城トワの拳、蹴りが炸裂するが、全て何事もなかったかの様な反応だ。
「それで私を止めるつもりかな?」
怪人の電撃が放たれる。
「キャアアアァァァアアア!!!」
スカーレットは弾かれる。
「諦めて私の夢の礎となれ、紅城トワ。
どうせ、そんな力では何も守れまい。」
「絶対に止めて見せますわ…。」
彼女は立ち上がる。
「私の愛する人達を…、」
彼に言い放つ。
「絶望させるわけにいきません!」
彼女のポケットから一つの指輪が輝きだす。
「これは…!」
それは、彼がくれた指輪だった。
彼女が指輪を握るとそれは新たなドレスアップキーへと変換される。
「…使って、という事ですのね。」
怪人に立ち向かう。
そのドレスアップキーをプリンセスパフュームにセットする。
『ワイズ!』
「ワイズ!モードエレガント!」
スカーレットの姿が変わる。
全身のドレスは白に染まり、紅い髪は白いフードで隠され、左手には彼からの指輪、右手にはハーメルン。
その姿は修道女の様だった。
「さぁ、いきますわよ!」
怪人はスカーレットに襲いかかるが、彼女のハーメルンで防ぐ。
右、左、上、下。
その姿は、まるで踊っているようだった。
「スカーレットヴァイオリン!」
ヴァイオリンを取り出す。
「ハナビ!
プリキュア!フェニックス・ブレイズ!」
すると、いつものフェニックスが出るのではなく、不死鳥を模した怪人が現れる。
「あなたは?」
「今は俺のことなんてどうでもいい!
ワイズマンか!
腕がなるぜぇ!」
その怪人は、彼に向かって大剣…カタストロフを振りかざす。
「ぐう゛ぅ!」
彼の体から火花が散る。
「うおりゃあ!」
数回振り回すと満足したのか、斬りつけるのを止める。
「後はてめえに譲ってやるよ。」
そして、怪人は消え去っていく。
ザッ!
スカーレットが彼の前に立つ。
その表情は、決心していた。
「祈れ!ワイズよ!
プリキュア!スカーレット・エクリプス!」
彼女の足元には巨大な金色の魔方陣が産み出され、彼女の右足はその魔方陣から力が供給された。
彼女は跳ぶ。
その右足を彼に向けて。
「はあああぁぁぁあああ!!!」
右足は、彼を貫いた。
「ごきげんよう。」
男は、紅城トワに抱えられていた。
「すまなかった…。」
彼は、今にも止まりそうな声を振り絞って言う。
「私は、大切な人を守りきれなかった。
しかし、君にはまだ大切な人がいる。
しっかり、守れ…。」
彼の頬に雫が落ちる。
「…はい…。」
彼女の頭を撫でる。
「涙は似合わないよ…。」
手で涙を拭う。
「はい………!」
笑う。
涙を堪えながら。
「やっぱり、笑顔が似ている……な………。」
彼はゆっくりと目を閉じ、その身体は紫の塵へと消えた。
涙の止まらない彼女を残して…。
バス停の前で、袋に入ったドーナツを見る。
本来、彼に渡せていた物。
彼女は、思った。
まだ彼の事を何も知らないのだと。
そして、数日後、彼女はある場所へと向かった。
彼という人に辿り着くただ一つのヒント。
その店の看板には、『面影堂』と書かれていた…。