運命
無限の時は鼓動を止め---
目の前には燃えるような赤い髪の少女が立っていた。
人は音もなく炎上する---
場所は商店街、しかし状況が少し違う。彼女は刀をこちら向けている。
誰一人気付くものも無く---
俺は白い鎧を纏い、彼女と向き合う。
世界ははずれ、紅世の炎に包まれる---
もはや、この出会いは必然。まさに……
運命だった
「朝食出来てるわよ。二人供座って」
「はい。あっ、私も手伝います」
「……おはよう」
高校の初登校日の朝、俺はいつも通りキアラに起こされて、母さんがいる下の階にいた。
キアラは元気よく母さんの手伝いに向かうが、俺は静かに席に座る。俺も手伝いたいが、朝が弱いので仕方ないのだ。
「今日も制服姿似合ってるわよ、二人供」
「ありがとうございます!」
「……」
俺は自分の制服を見てみる。個人的に地味だと思うんだが……。
「最近は家に来る人も増えて、にぎやかになって母さん嬉しいわ。悠二も友達が増えたみたいだし」
そうそう、レベッカのことだが彼女はサーレと同じで情報収集を中心として活動するらしい。彼女はアウトローの仕事があるので忙しいのだろう。それでも、たまにやって来て我が家のご飯をご馳走になったり、俺の特訓に付き合ってくれたりする。
しかし、母は相変わらずだな。
「だから、俺はボッチではない」
「「……」」
その無言と視線が痛い。
「悠ちゃんのこと頼むわね、キアラちゃん」
「はい、もちろんです!」
「おい」
俺は思わず、ひそひそと話している二人に突っ込みを入れる。しかし、友達が少ないのは事実……否定できない。
今日は高校生で最初の登校日だ。つまり、原作が始まる。フリアグネは討滅されているので、恐らく平井さんがトウチとなることはないだろう。なにか、イレギュラーが起こらなければ。
「キアラ、なにか結界で反応はあるか?」
「いえ、大丈夫ですよ。ここ最近は徒も姿を見せませんね」
「ああ」
反応がないということは、シャナ……じゃなくて炎髪灼眼の打ち手はまだ来てないみたいだな。それと、マージョリーとラミーも。もしかして原作通りに現れないのではないかという不安がこみあがってくるが、今俺に出来ることは待つことだけだ。
戦闘面については順調に力をつけてきてる。グランマティマィカの他に、坂井悠二ではない俺自身の自在式も、今のところ戦闘向けではないが完成した。ヨーハンからのお墨付きを貰っている。後は禁手の維持の時間増加や、戦い方のバリエーションを増やしたりした。
「あっ、見えてきましたね!」
「同じクラスになれたらいいな」
どうやら、考えている間に高校に着いたようだ。これから先、戦いは激しくなるが俺はただ目的のために突き進む。
ハイスクールD×Dの世界に行くために……。
「おはよう、坂井、キアラちゃん」
「おう、おはよう」
「池さん、おはようございます」
「三人同じクラスになれて良かったな」
新しいクラスの教室に入ると、池が出迎えてくれた。ふと周りを見張らすと、しっかり重要人物は存在していた。 ここで誰かいなくて物語がおかしくなったらいけないからな、確認は怠らない。
二人と少し会話していると、担任が入ってきて俺たちは指定された席に戻っていった。
「このまま帰るか?」
「いや、今日は商店街の方に用事があってな」
「そうか……なら、また明日」
「ああ」
俺と池は校門の前で別れる。キアラは今日出来た女子の友達となにやら約束があるようだ。
俺は商店街に向けて歩き始める。すると、途中でキアラから連絡が来た。
『悠二の方にフレイムヘイズが一人。サーレさんやレベッカさんじゃないみたいです』
『そうか、接触してみる』
『私も頃合い見て合流するね。後、出来るだけ戦闘は避ける方向でお願いします』
『出来るだけ善処する』
俺は通話を終えると商店街に着く。相変わらず、この町の商店街は賑わっていた。CDショップに平井さんが入っていくのが見てる。
俺は目的の人物を探すべく、動き出す。
「いたな……」
『ほう、あれが天罰神のフレイムヘイズか』
「神と聞いて、やはりなにか思うところがあるのか?」
『特にないが。神と定義してもどのくらいの力があるのか、そこが気になるな』
「確かにそこは判断に困るだろう」
『見た感じ、聖書の神以上の力はあるとみた』
「まぁ、フレイムヘイズや徒って基本化け物揃いだからな」
故に力を蓄えてきた。
「原作通りの感じなら、戦闘になるかもしれない。準備しておいてくれ」
『了解した』
俺はアルビオンに声を掛けると、目的の人物に近付いていく。その人物は今は黒髪で目立つことなく、道の真ん中を歩いている。
距離がどんどん近付いていき、心臓の鼓動が早くなっていくのが分かる。ここは重要なポイント。原作の坂井悠二のように彼女を仲間に加えられるだろうか。しかし、これから仮装舞踏会との戦いが始まる以上彼女の力が必要になるところあるし、強くなってもらわなくては大戦の時にことが進められなくなる。
ついに、彼女との距離がすれ違うところまで近くなる。その瞬間、彼女が小さく呟いた。
「……封絶」
この場が炎に包まれ、世界は止まった。
「……」
「あなたは一体何者なの?」
突如封絶をはられ驚いた俺であったが、正直に言うといきなり刃を向けられたことに驚いた。
とりあえず、俺は笑顔で彼女の問いに答える。
「通りすがりのミステスさ」
『意思を持って動けるということは珍しい宝具を持っているようだな。だが気になるのは貴様から感じるもう一つの気配』
さすがは天罰神……宝具とは違う白龍皇の翼を感じ取ったか。やはり、このレベルになると宝具との僅かな違いに気づかれるようだ。
「なに、宝具だよ。少し変わったね」
「それでも、その力は危険」
「排除するってか?」
俺の言葉を聞いた瞬間、彼女は俺に向かって斬りかかってきた。
「まぁ、まてまて。話し合おうじゃないか」
「問答無用!」
彼女の刀は止まることはない。俺は彼女の刀裁きを見切り避ける。そしてそのまま後ろに下がった。
しかし分かってはいたが、俺が坂井悠二のように話術で彼女を変えるのは難しい。というか無理。
なら、方法を変えるまでだ。
……仕方ないか。
「禁手」
《Vanishing Dragon Balance Breaker!!》
「なっ、姿が変わった?」
『気を付けろ。奴の力も膨れ上がっているぞ』
彼女は俺が姿を変えたことに驚き、後ろに下がる。俺は気持ちを切り替えてたたみかけた。
「俺は俺なりのやり方でいかせてもらう!」
「ごちゃごちゃうるさい」
こうして、炎髪灼眼の打ち手とのファーストコンタクトは戦闘で始まった。