「はぁはぁ、疲れた」
「禁手までとはいかないが、それなりに鍛えられたな」
「しかし、便利だな。精神世界って」
目の前には俺の何倍も大きい白い龍……アルビオンが此方を見据えている。
そう、今俺は神器の中の精神世界に来て、アルビオンと共に神器の使い方や戦い方を学んでいた。現実世界の俺は絶賛睡眠中である。
今の俺の実力は冥界の山で修行した一誠くらいの実力だ。まぁ、修行の内容も似たようなものだしな。禁手も大きなきっかけがあればなれるくらいまでの土台は出来上がったらしい。そのきっかけが怖すぎる……。
後、零時になれば零時迷子が発動し、トーチが再び燃える。俺はこの時の力が徒やフレイムヘイズにばれることを恐れ、アルビオンにどうにか出来ないか頼んだところ、どうやらこの感じを半減できるそうなので、アルビオンに任せていた。白龍皇の光翼まじで便利。
そして話を戻すが何故精神世界に来れたのかというと、アルビオンが強引に引っ張って来たみたいな感じだ。なんでも、アルビオンと意志疎通できれば、このくらいは問題ないらしい。
次に、歴代所有者は初代と二代目、三代目しかいないがまだ邂逅していない。もちろん、その代の間に覇に飲み込まれた歴代の所有者がいる。アルビオン曰く、まだ俺はその段階まできていないらしい。なら、覇龍なんてとても無理だな、うん。
そして、憑依してから一週間が立つが今のところ封絶に巻き込まれることなく、平和に過ごせている。明後日には中学の長崎の修学旅行も控えている。
後、今後の方針だが出来るだけ原作沿いにしていこうと決めた。やっぱり、自身の知識を生かしていきたいしね、それにあのこともあるし。
「けど、やっぱり不安だな……」
「徒やフレイムヘイズがどのくらい強いのか分からんが今の相棒なら逃げるくらいのことは出来るだろう」
「逃げれればいいんだけどね……」
徒に喰われたら終わりだし。冷静に考えれば、かなりこの状態ってヤバイんだよな。絶対、原作始まるまで徒やフレイムヘイズとは会いたくない。
「だが、やるしかない。世界を越えるためにも」
「まだ、あきらめてなかったのか」
「ああ、それどころか。もしかしたら渡れるかもしれない」
「ほう」
アルビオンは感心した声を出す。俺は恐らくアルビオンは理解出来ないかもしれないが、一応俺が考えていることを説明した。
俺は灼眼のシャナⅢの最終回を思い出す。あの時にあった膨大な存在の力、そして祭礼の蛇、あの世界との唯一の繋がりである白龍皇の光翼、この三つの条件さえあればあの世界に行けるのではないかと。まぁ、俺の仮説だが。しかし、可能性はある。そして、そこまで行くためにも原作の流れは重要だ。
そして、自在法や存在の力の使い方も分からないから原作のようにシャナやヴィルヘルミナへの師事は必要だし。そのことを踏まえると、やはり今出来ることで、原作までに禁手は取得しておきたい。
「アルビオン、特訓の続きを……」
「まぁ、待て。もう、朝のようだ。続きは夜にな」
「もう、そんな時間か」
俺はアルビオンの言葉を聞くと、意識を現実世界へと戻していった。
「おはよう、悠ちゃん。朝ごはん出来てるのはわよ」
「ありがとう、母さん」
俺は目を覚ましますと、下に降りてリビングに行き母さんに挨拶をして席に座った。
「どう、美味しい?」
「ああ、美味しいよ」
俺は母さんの言葉に笑顔で答える。自分は本物の坂井悠二ではないが、結局坂井悠二の存在はこの世界から消えるので関係ないだろうと、ホントはいけないことだが強引に割りきっていた。母さんが変わった俺について何と思っているか分からないが……。
「じゃあ、もう行くね」
「あっそうだ、明後日から修学旅行よね。準備は出来てる?」
「ああ、出来てるよ」
「そう……。何か必要なものがあったら、遠慮なく言ってね。買ってくるから」
「あー、昨日確認したけど、大丈夫」
「そう、いってらっしゃい」
「いってきます」
俺は母さんの言葉に笑顔で答えると、中学校に向かった。
『相変わらず、ところどころ嫌な存在を感じるな……』
「いつも通りにそこは避けていく。とくに街の真ん中にある塔付近には注意しておいてくれ」
『了解した』
そう、あの塔には厄介な王がいるからな。ホント原作始まるまで大人しくしててくれよ、頼むから。
俺は心の中で土下座する。まぁ、思いは届かないだろうが……。
俺がそんなことを思っていると、中学校が見えてきた。そして、門の前には池がいる。俺は池と話しながら、中学の中に入って行った。
今日の中学の一日は修学旅行の班決めや、説明で終わった。何気に前世でも修学旅行は京都オンリーだったので、今回の旅行は楽しみだ。年甲斐もなく、はしゃいでしまった。反省しなくては……。
そして、また寝るときになると、アルビオンとの精神世界での特訓が始まる。
「危な!!」
「ほら、今度はこっちだ」
アルビオンが吹く火を神器を使って半減させたり、避けたりしていく。
『Divide』
白龍皇の翼が青く輝き、機械音が鳴り響く。俺は相手によるが最大五回の半減が可能だ。
「隙あり!」
「あまい!」
殴れそうだなと思ったら、すぐ殴っていくんだが普通にアルビオンは硬く、逆にこっちが痛い。しかも返り討ちにされる。
「少しは速く動けるようになったか?」
「少しはな。だが、攻撃は通ってないぞ」
「お前が硬いんだよ」
俺は突っ込みを入れるが、アルビオンは無視して攻撃してくる。ひどい……。
こうして俺たちの夜を越えていく。
そして俺は気付かなかった。二日後の修学旅行から原作が少しずつ変わっていくということ、そして強烈な出会いが待っていることに……。