世界を越えたい   作:厨二王子

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怨念

 

「おっとあぶねぇ」

 

『気を付けろよ、相棒。相手は歴代所有者の怨念でもあり覇龍でもある。つまり強さも歴代の力を合わせたものと思っていい』

 

「分かって……る」

 

 俺は覇龍の一撃一撃を丁寧に見極めて、その攻撃を避けていく。しかし、奴はそれでも勢いを止めることなく、俺に攻撃を続けてきた。

 さらに半減もしているが奴の力が弱まっている様子もない。向こうも俺を半減しているから当たり前だが……。しかし、俺は零時迷子のおかげでまだ戦えている。それでもこのままでは先に俺が倒れるだろう。故にこの勝負の鍵を握るのは……

 

「存在の力を込めたブルートザオガーの一撃……」

 

『だが、あれを倒すのに必要な存在の力はとても多い。さらに、それを集める時間も掛かるぞ』

 

「なに、やって見なくちゃ……分からないだろ!」

 

 俺はグランマティカを発動して加速し、さらにそこから覇龍の裏をとる。そして強烈な蹴りをくらわす。奴は直ぐに振り返り、両腕でガードした。

 

「まだまだ!」

 

 

 さらに俺は追撃をかけるように、奴に向かって片手に大きな銀色の炎をぶつける。案の定、その炎は奴に半減された。

 

『Divide、Divide、Divide……』

 

「ちっ」

 

『このままではじり貧だぞ』

 

「だが、半減してるのはあいつだけじゃないぜ」

 

『Divide、Divide、Divide……』

 

 そしてこの瞬間、覇龍に異変が起こる。なんと覇龍のスピードが少しだけだが減速したのだ。

 やっと、隙ができる。

 

 よし……

 

「見たか、アルビオン」

 

『ああ、少しだけだが効果あるようだ』

 

「ああ、勝機が見えてきた」

 

「■■■■■■!!」

 

 覇龍は醜い咆哮を上げながら、こちらに向かってくる。

 そもそも、俺だけの力ではヴァーリを含む歴代たちに到底かなうものではないだろう。なにが彼らとの差なのか、一言で言えば才能である。俺にはそれが致命的に足りない。これは前世からさらに今でもよく感じる。そして未来永劫、それを俺が手に入れることはないだろう。

 ではどうするか、なに簡単だ。他かから持ってくればいい。それだけの話だ。

 

「ああ、だからこそ。俺はどんな手を使っても、それこそ覇も神も利用しても強くなる。誰よりも!」

 

 俺は覇龍を迎え撃つ。奴は近付くにつれて、俺に向かい魔力を飛ばしてくる。それを俺はブルートザオガーで切り落としたり、銀色の炎で防ぐ。ブルートザオガーの扱いだが、シャナとの今までの特訓が実を結んで、それなりの動きが出来るようになっている。足運びから剣の振り方までだ。

 

「■■■■■!!」

 

「グランマティカ!」

 

 銀色の炎が消えると、既にそこには俺の姿はない。俺は……

 

「貰った!」

 

 真上に移動していた。俺のブルートザオガーが覇龍の頭に直撃する。しかし、ぶつかったところでその一撃は止まってしまう。しかし、本番はここから。

 

「よし……なっ!?」

 

『相棒!』

 

 この瞬間、覇龍の中から歴代の所有者たちの呪われし声が聞こえてくる……いや、これは頭に入ってくるというのが正しいか。

 

『殺せ、殺しつくせ』

 

『潰すのだ』

 

『覇こそが、正しい』

 

『今こそ覇を受け入れる時』

 

 それは止まることなく、俺の頭の中に入っていく。俺は思わず、剣を離して頭を抱えたくなる衝動に駆られるが必死に堪えた。

 

「黙れ!!」

 

 俺は大きく叫ぶ。その声を振り払うように。

 

「てめぇらの覇はその程度なのかもしれないが俺は違う。俺の覇は生き残ってこその覇だ。

 さらに、ここで立ち止まってる訳にもいかないんでね」

 

 俺は存在の力を一ヶ所、すなわちブルートザオガーに集めていく。

 

「終わりだ……」

 

 俺の最後の一言によって、その力はブルートザオガーから解き放たれる。やがてそれは覇龍を飲み込んだ。こうして、俺と覇龍との戦いは終わりを告げた。

 

 

 

 

 

 

『感触はどうだ?』

 

「今のところ、違和感とかはないが」

 

『……ふむ。とりあえず、無事に終えることができたようだ。しかし、制御は実際にやってみないことには』

 

「ふぅ、危ないところだったぜ」

 

「まったく、見てるこっちもはらはらしたよ」

 

「お前は黙れ」

 

「ぶへらっ」

 

 とりあえず、ヨハンを殴ると、次に詳しいことについてアルビオンに伺うことにした。

 

「とにかく、安全に使えるんだな?」

 

『ああ。ただ負の感情を表に出しながらだと、覇に呑まれる』

 

「そこは気を付けるよ。それに使うところもある程度きめている。なに、そこまで乱用するつもりはないさ」

 

『なら、いいのだが』

 

 そして意識がぐらつく。恐らく、現実に目覚めようとしているのだろう。俺はそれに抗うことなく、現実に目覚めていった。

 

 

 

 

 

 

「なにか分かったか、探眈求究?」

 

「これはすごいですぞ、ドミノーー!」

 

「はいはーい、教授」

 

 とある研究室。そこではシュドナイが探眈求究……ダンタリオンに白龍皇との戦闘で手に入れた欠片を託していた。そしてその報告に再びこの部屋に訪れたのだが……

 

「その反応、余程のことが分かったかようだな」

 

「はい、なんとこの石。なんとなんとこんの世界のものではないことが分かったのです!!」

 

「……なに?」

 

 予想外の台詞にシュドナイは驚きを隠せないでいた。確かにあの男の力は驚異だったが、その源が異世界にあるかもしれないだとと、誰が予想できただろうか。

 

「それは確かなのか?」

 

「ええ、間違いあーりません」

 

 相手の力を半減する力。その力を使えばどんな強敵でも時間さえかければ倒せてしまうとんでもない能力。この男ならその一旦をよく知ることが出来ればなにかしらの対策が直ぐにでも立てられると思ったが。やはり時間が掛かるか……。

 

「なら例のものも完成するのに時間は掛かるか。出来れば次の襲撃までには欲しいところだったが……」

 

「もう少ーし、時間をいただければ完成させてみせますぞ!」

 

「ふん」

 

 この後、いつも通り彼は研究室に籠り続けた。




教授のキャラが難しい。
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