「転校生を紹介する。近衛史菜くんだ、慣れるまで皆でフォローしてやってくれ」
先生が紹介を終えると転校生の少女は頭を下げる。その少女の容姿に俺だけが反応した。一瞬、キアラとシャナは反応しないことに首を傾げそうになったが、そういえば彼女たちはヘカテーと会ってないので反応しなかった。しかしアラストールは知っていたはずだが……。彼も特にシャナに話している様子もない。
彼女の存在のことは知っているが、もしかしたらというものがある。後で確認はしておくか。
そして近衛は強引に俺の隣の席に座る。先生は渋々それを許す。この時、やっとキアラとシャナは近衛さんを不審に思ったのか視線を向ける。
「あっ!」
授業が始まると教科書を出そうとした近衛さんだったがカバンに入っていたものを床に撒き散らしてしまう。
彼女は慌ててそれらを拾った。俺も拾うのを手伝い、拾った教科書を彼女に渡す。
「ありがとうございます」
「気にするな」
その後、授業はいつもと変わらず始まった。しかし、キアラとシャナからはなにやら視線を感じる。
さて、これからどうするか。
俺はキアラやシャナたちにどう話すか考えてると時間はあっという間に放課後になっていた。
「な、なんなんだ。お前は!?」
「……」
俺は無言で目の前にいる徒にブルートザウガーを振りかざす。徒は抵抗むなしくこの世から姿を消した。
俺がこっそりと町のこの神社に誘導したとも知らずに。
そして俺は目の前に封絶中で動けない転校生の近衛さんを見る。一応、原作とは違う可能性もあったので念のために確認したが変わりなかったようだ。俺は鎧を解いて剣をしまい、そのまま封絶もといた。
「あれ、ここは?」
「奇遇だね。近衛さん」
「坂井くん?」
「悠二ぃーーー!」
「大丈夫ですか!?」
すると、封絶に気づいたシャナとキアラがこちらに向かってくる。そして俺は彼女のこと以外の徒の事情を説明した。
「もう、だったら連絡してください!」
「悪い悪い。突発的な戦闘だったんだ」
俺はキアラによる説教を半分聞き流す。キアラはここに滞在するフレイムヘイズたちの中でもっともチームワークを重視している。あのシュドナイとの戦いからさらにそれは強くなった。まぁ確かにその方が早く倒せるし、強敵に当たった時にうまく処理できるからな。しかしそろそろ俺もより個人の力を強めたいところでもある。
「分かったよ。次からは気を付ける」
「分かればいいんです」
「二人共、仲がいいんですね」
そんな光景を近衛さんは楽しそうにこちらを見ていた。話の内容は分かってないだろうが。
「貴方たちは本当に懲りないわよね」
シャナもこの流れに乗ってくる。
……なんだか解せぬ。
俺たちはこの後に近衛さんと学校について談笑し仲良くなり、彼女の家の前までやってきた。
「それではみなさん。また明日」
「また明日に」
「ええ」
「じゃあな」
彼女が家の中に入っていくとアラストールが小声で声を出した。
『あの少女……違ったか』
アラストールも彼女はヘカテーではないと判断したか。まぁ警戒は続けるだろうが。
しかしそれでも近々に起こる事象は変えられない。フィレスの襲撃、仮装舞踏会の計画。そしてここでようやく俺は……
ははっ
心の中で静かに笑う。俺の目指す場所は確かなところまで近づいていた。
文字数少なくてすいません。