__それは全てを焼き尽くす紅蓮の炎、無限の騎士
「ちっ」
「足を止めるな。押し込まれるぞ!」
「分かってる!」
__相対するものに「敵し得ない」とも思わせる存在感
『Divid,Divid,Divid……』
俺は半減を行いながら周囲を確認。迫り来る紅蓮の騎騎士は勢いを失っても止まることなく進み続ける。隙を見せれば騎士は武器に変わり飛んでくる。
__過去の『大戦』の中心人物となり、最終局面にあのアシズを止めた英雄
「貫け!!」
銀の炎で生成した槍が炎の騎士たちを貫く。ふと、大本である敵に目を向けるがその場所に彼女はいない。
「しまっ……」
「後ろだ!」
__その名は……
あるはずのない戦い。何故こんな状況になっているのか、それは約二時間前にさかのぼる。
_______
「眠れん」
『相棒以外は直ぐに眠りについたが』
「……少し外でも歩くか」
時刻は深夜。池たちもすっかり大きなイビキをかきながら眠っていた。まぁあれだけ騒げば直ぐに寝れて当然か。
外に出ると季節が秋に入った夜ということもあり肌寒く、さらに山の近くというのが拍車をかけていた。
「さすがに寒いな。浴衣から私服に着替えて正解だった」
『風邪など引いて戦えなくなるなど愚かの極みだろうしな』
「違いない」
旅館から離れ気ままに歩いていると細い山道を見つける。こんなところに道なんてあっただろうか。
『相棒。この道の先からかすかだが気配を感じる』
「気配?」
『相棒が持つ剣と似た感じのものだ』
「宝具か」
しかし宝具ときたか。それならばこの先にいるのはミステスか。だが徒やフレイムヘイズの可能性も捨てきれない。気配を消す自在法の使い手かもしれないから。こうして宝具によってきた者を狩る罠かもしれない。
……これは進むべきか
俺は暫く考える。
まず、これは俺の零時迷子を狙った者の行動でないことが分かる。俺自身が今宝具を集めてるという情報も出回ってないし、他にもっと効率のいい方法は山ほどある。やはり俺の予想ではただミステスがいるだけだと思うのだが。
ここは普通に考えてキアラやシャナを呼ぶべきか……。
ここで俺はこれから先のことが頭を過る。
……一人で行くか。
『行くのか?』
「ああ、あくまでも様子見のスタンスでだがな。いざというときは強引にも離脱する」
『そうか……』
アルビオンの返事を聞くと俺は道の先を進んでいく。道は山道ということもありデコボコ道で視界も夜ということもあり暗くて前も見えずらい。
それでもなんとか前に進んでいくと突如、白い霧が出始めた。
「これは!?」
『相棒!』
「分かってる!」
この霧は宝具ではなく自在法。見事に俺は敵さんの罠に引っ掛かったらしい。気配はただのミステスではなかったか。
「見事に悪い方の予感が当たったな」
『その割には焦った様子がないようだが』
「ふっ」
極限までに感覚を研ぎ澄まして元凶の位置を探すがやはり感じず、あるのは宝具の存在の力のみ。
「やっぱり宝具のとこに行くしかないか」
『十中八九、罠だろうな』
「……」
俺はその宝具の力がある場所まで駆け足で向かう。そしてその力の近くに向かうと俺はあることに気づく。
「まてこの感じはどこかで……」
目的地に着くと俺は躊躇うことなく白龍皇の光翼とブルートザオガーを出し前へ進んでいく。
しかし
『相棒!』
「なっ」
俺が足を踏み入れた瞬間、とてつもない量の炎が溢れだして俺を飲み込む。
『Divid,Divid,Divid……』
俺は炎を半減、さらに首に着けてある宝具で炎を吸収して目の前を駆け抜ける。やがて大きな空間があるのを見つけるとそこへ向かっていった。そして感じる二つの気配。その気配一つは俺の見知ったものだった。
「あいつは……いや、それよりも」
″千変″シュドナイ
俺が何度も死闘を繰り広げた相手であり、仮装舞踏会の一員。しかし俺が驚いたのはそのシュドナイと向かいあっている存在。燃えるような赤い髪を持ち、見に纏っている黒衣が翻る。その姿にシャナの面影を感じた。……間違いない。
過去の大戦を終わらせた英雄であり、俺もよく知る″天壌の劫火″アラストールのフレイムヘイズ。
マティルダ・サントメール、その人であった。
しかし彼女はもう死に今アラストールと契約しているのはシャナのはず。彼女がここにいるのはありえない。
とすれば……。
俺はこの状況をどうするか考えていると、こちらの存在に気付いたシュドナイがやってくる。
「まさか、こんなところで会えるとはな、白龍皇」
「これは一体どういうことだ?」
「悪いがのんびりと説明をする時間はない。あれをなんとかするには槍のない今の俺では力不足でな」
「協力してほしいってか?」
「誠に遺憾だがな」
「まぁ……確かに彼女はやばい」
こちらに飛んできた炎を半減して消滅させる。しかしその威力は凄まじく払った鎧に黒く焦げたような後が付いていた。
「……よし、その提案に乗ろう」
「同時に仕掛けるぞ」
俺とシュドナイは同時に彼女のもとへ駆け出す。しかしその道には沢山の炎の騎士たちが立ち塞がっていた。俺はグランマティカで加速し、ブルートザオガーで薙ぎ払う。
こうしてシュドナイとの初の共同戦線が幕を開けた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「しつこい!」
俺は迫りくる炎に突っ込んでいき、切り払い、時に空いている拳で防ぐ。
するとシュドナイがマティルダを見ながら言った。
「奴は別の奴が見せている幻覚だ。本体は別にいる」
「っ!」
確信があったがやはり彼女は偽物のようだ。ではここ来る前に感じた宝具の気配と関係しているのだろうか。
「ここを覆っている霧が彼女を具現化させている。一種の結界型の宝具、さらにある徒の自在法がこの状況を生み出している」
「敵の目星はついているのか?」
「……まぁな。奴は別の組織に所属していた徒の生き残りだ。まさかこんな辺境で力を貯めていたとはな」
あいにくとこんなイベントは原作にはなかったので俺は知らない。俺が物語で介入した結果であろうか。
「そいつを叩けば彼女は消えるのか」
「ああ、そうだ。奴はこの近くにいるのは間違いない」
「そう言われてもな」
ここは森の中でしかも夜、視界を頼りにすることはできない。ならば気配を頼るしかないだろう。
「……実を言うと目星は付いている。奴のいるところまで俺が道を開けよう。そこをお前が能力を使いながら突っ込め」
「……了解」
「なに、後ろから刺すような真似はせんよ」
「その言葉信じるぜ」
シュドナイは双頭の龍に変身すると存在の力を放出し、迫りくる騎士たちを退けて大きな一本の道を作り出す。そこを俺は全力で駆け出した。
『相棒』
「半減し切れないところは任せたぞ!!」
俺は道は空いたがそれでも残って迫りくる騎士たちの相手をしながら飛んでくる炎をさばき、道の先を進んでいく。そして案の定、マティルダが俺の前に立ち塞がった。
……まともにやりあう必要はない。一瞬でいい。一瞬だけ。
「そこを……どけぇえ!!」
「……」
『DDDDDivid!!』
__加速
ほんの一瞬、されど一瞬。一回の半減の量が増大する。そして彼女は膝を着いた。
……抜ける!
俺はマティルダを抜き去った。後ろから彼女が俺を追おうと振り向く。その時、後ろから奴の声が聞こえた。
「ここは俺に任せろ。大元はもう目の前だ」
「OK!」
奴の言葉を信じて前に進む。すると、目の前にはアリクイのような姿をした徒がこちらを見ていた。
「なっ、なぜだ。僕は彼女……またあの姿が見たかっただけだったのに!!!!」
「悪いな。彼女はもういない。その意思は一人の少女に引き継がれた」
俺は無情にブルートザオガーを振るう。それは徒を切り裂き討滅させた。
俺は後ろを向き彼女……マティルダがいるところを見る。大元を討滅させたことで幻である彼女は姿を消してゆく。しかし一瞬、彼女が笑った、そんな気がした。
「やっと、終わったか」
「ああ」
そして霧も晴れていく。結界も完全に解けたようだ。それにしても辛い戦いだった。ところどころ焦げている服をみながらそう思う。
「今回は世話になったな、礼を言おう。しかし次に相対するときは……」
「敵同士ってことだろう。分かってるさ」
「ふん」
シュドナイは気に入らないというような顔をしながらここから去って行こうとする。しかし、俺はそこで彼を呼び止める。
「丁度いい。なぁ、話をしないか」
「話だと?」
「そう。なに、お互いに利益のある取引さ」
予定にはなかったシュドナイとの邂逅。本当は少し先のフィレスの時にこの話を持ち掛けるつもりだったが、回りに仲間がいないのは好都合だった。
こうして夜は明けていった。
今回は書くか迷ったんですが、書きました。向こうに行くまでに一回でもいいのでシュドナイと共闘させたかったんだ。この二人が組んで戦う相手ということで彼女を幻とはいえ出しました。
ほんとは近衛さんとの交流とかをメインで書きたかったのですが、筆が進まなかったんだ、すまない……。