世界を越えたい   作:厨二王子

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お久しぶりです


黒い翼

「悠二──ー!!!」

 

 赤い炎の翼を広げ、高速でこちらにシャナが向かってくる。俺はふと静かに笑うと片手を突き出した。

 

「くっ!」

 

『黒い炎。創造神の力か』

 

 しかし、彼女の刀は俺には届かない。

 薄い黒い炎が俺の手とシャナの刀の間に、黒い炎が出現し彼女の攻撃を防いだ。

 

「そら、こっちも行くよ!」

 

「いくのであります!」

 

 俺の片手が埋まっている隙を逃さず、マージョリーとヴィルヘルミナが追撃を仕掛ける。マージョリーは青い炎を展開し、ヴィルヘルミナは包帯を剣の形にする。

 

 しかし、遅い。

 

「ぬるいな」

 

「「!?」」

 

 俺は背中に黒翼を出現させる。それが現れた瞬間、シャナを含む、この場にいる全員が本能的に後ろに下がった。マージョリーとヴィルヘルミナも思わず攻撃を中断してしまう。

 

『その翼は……』

 

 その膨大な力にアラストールは言葉を漏らす。

 ここにいる皆はその翼について知っていたが、それは以前と異なる力を発していた。かつての白い色は失われ、翼から溢れだしていた青い光を含め何もかも飲み込みそうな黒い色に染まっていた。

 

「『黒龍蛇神の光翼』。もう俺たちを誰も止めることはできん」

 

「なんて力なの!」

 

「……っ!」

 

『待て、万条の仕手!』

 

 皆んなが動けないでいる中、ヴィルヘルミナがアラストールの制止を振り切り、強引に突っ込んで行く。

 俺は視線を彼女に向ける。彼女は瞬間的に加速して俺の背後に回り込み、手元に包帯の剣を生成する。

 それを突き刺そうとした瞬間、俺の黒翼が電子音を鳴らして黒く光った。

 

『DDDDDDDDDDDDDDivide!!!!』

 

「こっ、これは……」

 

 その瞬間、ヴィルヘルミナの力が半減……いや、もはや空に近い状態になるまで瞬間的に半減される。

 その結果、彼女の自在法は解けてそのまま川の中に投げ出された。

 

「ヴィルヘルミナ!!」

 

「何が起こったの!」

 

『あの翼か!!』

 

「白龍皇の光翼の能力。禁じ手の頃の出力で平常時でも出せるようになったのさ。そして……」

 

「これなら……」

 

 炎髪灼眼の打ち手の全力砲火。

 濃密な存在の力を込めた炎の一撃が俺の体に向けて放たれる。

 俺は受け止めようと手を翳すが……ブラフか。

 

「かかったわね」

 

「悠二、下がお留守だよ」

 

「……」

 

『Create!!』

 

「ガッ……」

 

「くっ!!」

 

「嘘!」

 

 俺は彼女たちに視線を向けることなく対応する。

 サーレの背後に銀の金槌が、マージョリーの足元には銀の鎖が現れる。金槌はサーレを川の中へ吹き飛ばし、マジョーリーは足に鎖が巻きついてそのまま地面に叩きつけられた。

 シャナの炎も俺が手をかざした瞬間、消失する。

 

「……あれは、宝具。こんなことって」

 

『あの一瞬で宝具を創造したのか!?』

 

 宝具の創造

 

 そんな不可能な荒技を見て、シャナとアラストールは驚きの声を上げた。

 

「今の俺は誰も止めることはでないよ。これこそが強さ。どんな大望や願いも力がなければ何もできない」

 

「悠二、あなたはどうして」

 

 今のシャナにいつもの炎髪灼眼の打ち手としての面影はなく戦意を喪失しながらも辛うじて刀を握っている。そんな中、銀の鎖に縛られているマージョリーが吠える。

 

「うおー!!」

 

「粘りますね。マージョリーさん」

 

『はっ、こんなもんで。俺たちが止められるかってよ』

 

「その通りよ、バカマルコ」

 

 マージョリーの体から強大な存在の力が溢れだす、このまま鎖を引きちぎる気だろう。しかし、その程度の力ではこの自在法は破れない。

 その光景を見ながらも俺は焦る様子は見せなかった。そんな俺を見てアラストールが疑問の声を上げる。

 

『何故、坂井悠二は動かない。あの自在法に絶対的な自信があるのか。いや、他の目的が』

 

「あの自在法は確か」

 

 シャナは俺が使っている自在法について思い出す。

 

「悠二が決めた条件を破るまで動きを封じる自在法」

 

「そう、そして俺はその鎖にある条件を付けた」

 

 俺はゆっくりとマージョリーに近づきながら、話を続ける。マージョリーは諦めることなく抵抗を続けた。

 

「くそ!」

 

「その条件とは『銀についての真実を知ること』」

 

「……何ですって?」

 

 マージョリーの動きがピタリと止まる。

 

 __静寂。

 

 その静かさは彼女の怒りを表していた。

 銀、それは彼女が長年追い続けてきたもの。しかしそれは彼女が思っていたものでは決してなく、残酷な事実だった。

 

「今まで黙っていてすいませんね」

 

「なによ、それ。あんたに何が分かるっていうのよ!!」

 

『落ちつけ!! マージョリー』

 

「悠二、まさか……」

 

 マージョリーが散乱し、相棒のマルコシアスが声をかける。そんな状況でも俺は動揺せずに彼女前まで歩みを進めた。そして彼女の正面に立つ。マージョリーは力強い瞳で俺を睨めつけた。シャナはそんな俺の思惑に気付き、反射的に声を掛ける。

 

「やめて、悠二!!」

 

 坂井悠二は戦闘という手段ではなく、言葉という大きな力を持ってマージョリーを下そうとしてると。

 

『耳を貸すな。マージョリー!!』

 

「黙りなさい、私は知りたいのよ」

 

「知りたいでしょう。だから教えますよ……銀について」

 

 俺は静かに語り始める。

 

 銀の正体、彼女が見たものの正体を。

 

 原作と同じように語り終わった俺は彼女から背を向けて呟く。

 

「これで終わりかな」   

 

 マージョリーは話を聞き終わるとそのまま意識を失う。シャナは周囲の仲間たちの惨状を見渡して俺を見た。

 

「何で、どうしてなの。悠二」

 

「これは決まっていたことなんだよ。シャナ」

 

「帰ろう。千草も待ってる。あの家で」

 

「違うよ、シャナ。彼女が待ってるのは『坂井悠二』だ」

 

「……?」

 

『坂井悠二、やはり貴様は』

 

「ふっ、少し話しすぎたか」

 

 俺はブルードザオガーを構えると、その鋒をシャナへと向ける。

 

「俺を止めたいのなら、剣を構えろ炎髪灼眼の打ち手」

 

「私は……」

 

 彼女はまだ少し戸惑いを見せつつも、彼女は立ち上がった。しかし彼女は前に出れない。気付かないうちに抱いていた恐れ、その感情が無意識に彼女を遠距離攻撃に徹しさせていた。

 

「……」

 

「はぁ──ー!!」

 

 シャナは再び剣を構えると、刀に巨大な炎を纏わせて俺に振り下ろしてくる。並の徒ならば消炭になるであろう一撃。

 

 __だが俺には届かない。

 

『Reflect』

 

 無慈悲に翼は黒い光を放ち機械音を鳴らす。

 その能力は『反射』。

 本来、赤い龍と和解することを条件に解放されるアルビオンの力。この生まれ変わった神器はその力も有していた。反射した炎は彼女に直撃し、力なく彼女は地面に倒れる。

 

「……剣も打ち合えないなんてね。残念だよシャナ」

 

「……悠二」

 

 シャナは最後に俺の名前を呼ぶと、そのまま意識を失った。俺は彼女に近づき近くにあった贄殿遮那を手に取る。

 

「これは少し借りていくよ」

 

 俺はその後、瞬間移動の自在式を使いこの場から離れて御崎市の展望台に転移した。

 

 

 

 

 

 

「やぁ、佐藤。おっ、田中もいたか」

 

「坂井……」

 

「どうしてここに……あねさんは!?」

 

 動揺している二人を見て、俺は宝具である玻璃壇を回収する。

 

「ああ、みんなには眠っててもらったよ」

 

「倒したのか。なんで」

 

「必要なことだったからさ」

 

 そう、本来の筋書きに合わせるため、俺の力を確かめるため、なによりも決別のために。

 

「それよりも佐藤。君に死なれては困るから今度迎えをだすよ」

 

「……なんだと」

 

「その時になったら分かる。詳しい話はその時で」

 

 俺はこの場から去ろうとすると、田中が慌てて声を掛けた。

 

「坂井!」

 

「田中。一度この道から離れたのならもう関わらないことだ。これから騒がしくもなるし命の保証はできない」

 

「くっ」

 

「では、二人とも元気で」

 

 俺はその後仮装舞踏会へ戻り、これから本格的に始まる大戦に向けて準備を進めた。




新しい神器の禁手の機械音が思いつかない。
Vanishing Dragon Balance Breaker!!的な掛け声を
活動報告で募集します
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