世界を越えたい   作:厨二王子

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戦いで得たもの、そしてこれから

「アルビオン、奴は行ったか?」

 

『ああ、奴以外の二人もこの町から徐々に離れていくぞ』

 

「そうか、良かった……」

 

 俺はアルビオンの言葉を聞いて、安心した声を出した。それもそうだろう、あれほど強敵と戦ったのだ。正直、消されなかっただけでも運がいいだろう。本当に俺は運が良かった……色々な意味で。

 

「しかし、あの兄妹が来たということは何か刀剣類の宝具があったのかもな」

 

『宝具といえば、奴はこの神器も宝具と似たようなものだと言っていたな』

 

「できることならこの気配を限りなく消して、坂井悠二だけではなく、白龍皇としても別として行動したい」

 

『なるほど。今回の戦い神器は大幅に進化した。今以上にこの気配を消すことも可能だろう。禁手も三十分は使用可能だ。存在の力にも完璧に適用できるように調整もしておこう』

 

 これだ。あのシュドナイと戦闘をしたおかげで、強者との戦いというなによりも大きなものを手に入れることが出来た。確かに初戦で戦う相手ではなかったが、戦って良かった相手だ。これを踏まえて、俺は本当に運が良かった。

 

「さて、目標が見えたな」

 

『ああ。あのレベルを倒すにはまだまだ相棒では力が足りない。歴代所有者の力が必要だろう』

 

「その段階まで来れたのか?」

 

『今回の戦いは本当にギリギリだったが、相棒が思っている以上に戦果があったと思って構わないぞ』

 

 そうと決まれば、帰ってまた特訓だな。

 

 今後のトレーニングの方針を考えたところで、俺は再びシュドナイについて考える。

 しかし、神鉄如意を持ってなかったとはいえ奴はフレイムヘイズを入れて王の中でも最強格。

 なにか、最後に槍を持って戦いたいとか言っていたような……

 

 ナニイッテルカワカラナイナ……。

 

 その時に瞬殺されないように鍛えなくては。恐らく、次のシュドナイとの接触は二年後の御崎市になるだろう。その前にはフリアグネという大きな壁があるが、どうするか決めないと。

 しかしあの様子だと、零時迷子については気づかれなかったようだな。

 

 本当に良かった……。

 

 後話しは変わるが、祭礼の蛇の代行体になるには原作通りに零時迷子を変質させ、暴君を取り込なくてはならない。さらに、俺が動かないと御崎市がヤバイのもあるが……。

 ということで、一瞬シュドナイに事情を説明して仮装舞踏会の本拠地へ行こうかなんて考えたが、以上の理由から却下した。なにより、危険だしね。

 そして俺は今更ながら穴の空いた右肩を見る。

 さっきの戦いでは禁手の鎧で代用していたが、現実世界にこれで帰るのはまずい。今痛みに関しては半減している。

 

「この肩、なんとかならないかな」

 

『相棒、さっきの戦いで奴の存在の力を半減しただろう』

 

「ああ」

 

 俺はアルビオンの言葉に頷く。

 

『それはつまり相手のものだったが、確かに存在の力を認識したとうことだ。今度は自分の存在の力を認識してみるといい。今の相棒ならきっと出来るはずだ』

 

 自分の存在の力……。

 

 俺はアルビオンに言われた通りに、自身の存在の力を認識しようと試みる。取り合えず、定番の手を胸に当てて、目を閉じるスタイル。

 すると、俺は確かになにかを感じた。

 

『恐らく、今相棒が感じたのが存在の力だ。それを肩に集めるようにイメージしてみろ』

 

 えーっと、肩に集めるイメージね。

 

 そのようなイメージをした結果、存在の力は右肩の方に集まり穴は塞がれた。

 

「なんか、しっくりこない」

 

『応急措置のようなものだからだろう。フレイムヘイズや徒はこういうにも手練れてるだろうな』

 

 俺は仕方ないと割りきり、自身の肩をさする。

 

「そういえばアルビオン。その物言い様、なにか分かったのか?」

 

『いや、相棒とさして変わらん。今みたいに認識と軽い操作が出来るようになったくらいだ』

 

「そうか……」

 

 一瞬、アルビオンがこの世界の理に触れた的なあれで、存在の力などを理解したのかと思ったが、そう簡単にはいかないようだ。アルビオンが存在の力について理解すれば、そのまま自在法みたいに使い方とかも教えて貰おうと思ったんだけど……。

 すると突然、シュドナイによって張られていた封絶が解けた。

 

「完全に町から離れたようだな」

 

『ああ、反応が消えた』

 

 俺は一応、周囲を見回す。封絶内では時間は止まっているので、封絶を張られる前と同じく人の姿は見えない。

 

「念のため聞くけど、ほかに徒やフレイムヘイズの反応はないよな」

 

『ああ、間違いない』

 

 今は探知をアルビオンに任せっぱなしにしているが、いつどんな状況になるのか分からないので、俺自身も探知を身につけることを心に刻んだ。

 そして、俺は池と連絡を取り、彼と無事合流することが出来たのであった。

 

 

 

 

 

 修学旅行最後の夜、俺は御崎市に帰った後についてのことを考えていた。

 

「帰りたくないな……」

 

『だが、帰るほかないだろう』

 

「分かってるわ!」

 

 俺はアルビオンの言葉と彼が突きつけてくる現実に突っ込みを入れる。帰れば暖かい我が家があるが、それと同時にあの町には厄介な奴らがいる。ぶっちゃけ、このまま原作まで長崎に家出したい気分だ。

 

「フリアグネは強敵なんだよなぁ」

 

『そのフリアグネがどのくらい強いか分からんが、今の相棒ではきついだろう』

 

 そもそも、王たちがきちがいなのである。あいつを倒すには俺だけではなく、やはりフレイムヘイズたちの強力が不可欠だ。しかし、シャナたちが倒さないと、原作の流れに支障がでる可能性があるからな、難しい問題である。

 

「というか、徒の存在の力が大きすぎて神器に制限がかかっちまう!」

 

『そういう意味では白龍皇の光翼と相性が悪いな。こちらの方でも神器の取り込める量を増やせるよう努力してみよう。しかし、結局は相棒の努力次第だが』

 

 結局、特訓か。原作までにどれくらい強くなれるかが重要だな。

 

『なに、後二年あるのだろう?出来ることはしようではないか』

 

 まぁ、焦ってもどうにもならないし、とにかく寝る……か……。

 

『おい、おい!どうした相棒!?』

 

 俺の意識は闇に溶けるように沈んでいき、アルビオンの声に答えることが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Boost』

 

 コロスコロスコロスコロス……

 

 コロシテヤル。

 

 それは黒い犬だった。徒である彼の存在の力は徐々に膨れ上がる。

 坂井悠二が知らないところで彼が憑依したイレギュラーが動き出す。一人の少女に向かって、その近くにいる白い龍に向かって。

 

 ……交わる日は近い。




はい、アンケートの方は締め切らせてもらいます。キアラはヒロインにするということに決めました。実はキアラの他にも二人くらいヒロインにしようかなと思っています。
ということでこの方向でこれから先のプロットも書いていこうと思います。最後の徒がなんなのかは……やつです。さらにこの展開はさっそくの独自設定です。
では、これからもこの作品をよろしくお願いします。
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