「賛同致しかねますわ。あの子にはまだ無理です」
『私も同じかな。今の風雲には荷が重すぎるって』
沖立です。
その日の夜中、呉の工廠。反対する熊野さんと鈴谷妖精さんの気持ちはわかる。まあそうよね、普通なら。
『深海棲艦1、2隻‥‥‥ううん、まあ5、6隻ならまだしもさ、大群なわけじゃん?その中に突っ込まなきゃいけないんでしょ?』
それは百も承知。けど前回の大規模戦闘で資源も資材も回復できてない鎮守府が殆んどだし、かと言って回復を待っている時間は無い。向こうの孤島に取り残されてる四人の体力だって長くは保たないだろうし。少数で隠密に救い出せるならそれが一番。キリバスの奪還はその後、じっくり戦力を整えてからになるわね。
『まあ、連合艦隊で攻めて行って‥‥‥ていうのが危険ってのは分かるんだけどね』
鈴谷妖精さんの言う通り。大人数で深海棲艦達を力ずくで排除して、ってやり方は危険。深海側が不利になったら人質の龍驤さん達を手に掛ける可能性も有るし、その龍驤さん達を盾にしてこっちを恫喝してくる可能性もある。幾ら艦娘が海軍所属だって言っても、目の前で艦娘が殺されそうなのに切り捨てるられる、って子は多くはない。最悪で全員降伏、良くても艦娘間で諍いが起きるのは間違い無い。艦娘間の連係が悪化すれば深海側の思うつぼだし。だからと言って龍驤さん達を切り捨てられる?答えはNO。少なくとも私は二度とそんな事したくはない。
ならやる事は1つ。隠密に四人を助け出して、体勢を整えてから打って出る。それには風雲ちゃんの力が必要なんだけど。
「だからと言って風雲さんが行くのは危険ですわ。あの子の実力は夕星さんも良く知ってらっしゃるでしょう?この際ハッキリ言わせてもらいますが‥‥‥あの子では無理です。轟沈の可能性が高くてよ?」
『熊野の言う通りだよ、それならもっと他にいるじゃん!熊野だって瑞鶴だってやれるでしょ!』
別に危険じゃない訳じゃない。そんな事私だって分かってる。けど、『隠密』という点を考慮するなら、風雲ちゃんの力を無視する訳にはいかないの。
「あの海域は‥‥‥」
そう私が言いかけた時だったわ。工廠の扉が勢いよく開かれた。そこに居たのは陽炎さん。抜かったわね、どうやら全部聞かれてたっぽいわ。陽炎の表情からは怒りが見てとれる。
「ちょっと!妖精さんも熊野先輩も酷いじゃない!確かに風雲は人より鈍いし頼りないけど、もっと言い方ってあるでしょ!」
‥‥‥やっぱりこの子も陽炎なのね。そういう所、先代の陽炎とそっくり。仲間の為に熱くなれるの、私は嫌いじゃないかな。
「私も行くわ。行って風雲を守り抜けばいいんでしょ?誓うわよ、守り切って戻って来てみせる。だから司令、私にも出撃許可をちょうだい」
「分かったわ。その代わり‥‥‥誓いは守ってもらうわ」
「夕星さんっ!!」って怒鳴る熊野さん。普通に考えたら確かに危険だけど、これを乗り越えたら風雲ちゃんも変わるかも知れない。陽炎さん自身も、それにヌイヌイちゃんが陽炎さんを見る目も、ね。
「そう来なくっちゃ!流石司令ね。任せて!絶対龍驤さん達を助けて戻って来てみせるわ!」
そう言って不敵に笑ってみせる陽炎さん。「鈴谷といい、陽炎さんといい、どうして今の新人は‥‥‥はぁ」って溜め息をついた熊野さんは、最後には折れたわ。それから『少しでも危険と判断したら即撤退すること』を陽炎さんに納得させた。そうと決まったら私はやることをやらないとね。また山本中将とコンタクトを取らなきゃ。話す事が増えたわね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
‥‥‥緊張したわ。まだ心臓がドキドキしてる。頭に血が上ったとはいえ、大先輩に啖呵切るなんて‥‥‥あーもー、私の馬鹿馬鹿っ!
陽炎よ。
そうは言ってもね、自分がやった事を後悔してる訳じゃないわ。だって、風雲の力は私が間近で見たもの。風雲のあの異常なまでの視野の広さと目の良さ。今回の任務が隠密だっていうんならこれ程打ってつけの子は居ないわ。その海域じゃ電探がろくに使えないんでしょ?なら風雲が行くしかないでしょ!
それにさ、何て言うか‥‥‥風雲のあのいかにもな『自信ありません、私何も出来ません』って態度!あれももしかしたら直せるかも知れないじゃない?ううん、そうよ!あんな凄い『目』があるんだから、きっと直せるわ!引き摺ってでも連れてってやるんだから!それで熊野先輩や妖精さんを見返してやらなきゃね。
そうと決まればさっそく荷造りね!よしっ、陽炎型ネームシップの力、見せてやるんだから!
‥‥‥って決意も新たにしてたら、後ろから声をかけられたわ。
「陽炎さん」
「司令‥‥‥さっきは、その」
私が『出しゃばって申し訳ありません』って謝る前に、「ごめんなさいね」って司令から謝ってくれたわ。
「それより私の方が‥‥‥」
「ううん、元々無理を言ったのは私。だから陽炎さんが謝る事は無いわ」
その時は気が付かなかったわね。司令が言った『元々の無理』に私が不知火の所に着任した事も含まれてるなんて。まあ、その当時は来たばっかりだし、不知火の過去なんて知りもしなかったから仕方無いけど。
「私の方でも出来るだけサポートするから。だから陽炎さん‥‥‥生きて帰りましょう」
「勿論よ、司令!」
大丈夫。私以外は実力のある艦娘ばっかりだもの。風雲だって、ね。私は風雲を命懸けで守ればいいだけ。だから任せて!
‥‥‥まあ、そのあと部屋に戻ってから最大の修羅場が待ってたんだけどね。
え?今?その修羅場の真っ最中よ。先に戻ってた不知火にさっきの事を話したらさ、激昂されちゃって。右の頬をブン殴られてそのままベッドに組伏せられてマウント取られてる所よ。不知火ってこんなに怒る子だったのね?もっとこう、一歩退いてモノを見る子だと思ってたわ。にしても右頬、痛いわ。
「‥‥‥貴女と言う人は!どうしてそんな事を約束して来たのですか!そんなできもしない約束を!!そんなに死にたいのですか!!」
「そんなの!やってみなきゃ分からないでしょ!不知火に止められるような覚えは無いわよ!」
って言った瞬間。今度は右頬に平手打ちが飛んできた。えっ?何?不知火って本当は体育会系だったの?
「ちょっと!暴力に訴えるの止めなさいよ!‥‥‥‥‥‥え?」
そこでやっと気付いた。不知火の目、涙で潤んでた。怒り、っていうよりは‥‥‥悲しくて辛そうで。えっ?そうね、何となくわかるわ。私が陽炎で、この子が不知火だからかしら?
「貴女も!ポイポイも!どうして‥‥‥どうして分かってくれな‥‥‥」
言いかけた不知火はマウントを解いて、部屋からそっと出ていったわ。チラッと見えたけど、やっぱり不知火は泣いてた。何か辛い事があった?いや、もしかしたらあれかな?駆逐艦不知火の魂の記憶とか。あ、でも『ポイポイ』って何の事かしら?誰かの渾名‥‥‥とか?
暫くポカーン、ってしてたんだけどね。ほら、荷造りしなきゃだったから起きて仕方無く荷物を整理し始めたわ。あー、全く。右頬痛いわね。けど後でちゃんと不知火とは話さなきゃいけないみたい。
はぁ。この時に不知火の事、先代陽炎の事、司令の事、先代萩風の事、全部分かってたらなぁ。それもこれもぜーんぶ司令が悪いのよ!ちゃんと不知火と向き合ってやらなかった司令が!この時に知ってたら私、きっと司令を殴ってたと思うわ。
こうして陽炎も渦中へ。舞台が整いました。次回はショートランド泊地からお送りします。
‥‥‥ポール・アレン氏のリアル掘りがしゅごい‥‥‥武蔵、西村艦隊、ぜかましに続いて浜波、長波サマも見つけましたか。
ポール氏「運営、浜波見つけたで」
運営「おK、じゃあ浜波実装するわ」
もしや次回イベントはこうですかね分かりません。
※※以下ネタです※※
◆◆神風さんの受難◆◆
――今回も番外編――
電「大変なのです!大変なのです!」
雷「どうしたの?」
電「それが、司令官さんが‥‥‥‥‥‥あっ、あそこに天龍さんがいるのです」
天龍「」イライラ
雷「天龍さん、どうかしたの?」
天龍「提督のヤロウ!チクショウ、見損なったぜ!」
電「‥‥‥」
雷「司令官の悪口なんて駄目よ」
天龍「オレだって多少の事じゃ怒らねーよ。なのにあのヤロウ」
電「‥‥‥」
雷「じゃあ何があったの?」
天龍「提督のヤロウが龍田を遠征から外したんだよ」
雷「疲れが溜まってたとか、別の人と交代とかじゃないの?」
天龍「それがよ‥‥‥提督のヤツ、龍田を連れて工廠に向かったんだよ」
雷「あれっ?龍田さんって近代化改修上限までしてあったわよね?」
電「‥‥‥あの」
天龍「そうだよ!近代化改修上限まで終わってる龍田を遠征から外して工廠に‥‥‥指し示す事は1つしかねーだろがよ!」
雷「‥‥‥えっ!?まさか」
天龍「そうだよ!きっと龍田は近代化改修の素材に‥‥‥チクショウ!確かにオレ達天龍型は他の艦に比べたら平凡な艦かも知れねーけどよ!鎮守府の為に尽くしてきた龍田に対してあまりにも酷い扱いじゃねーかよ!」
雷「そんな事‥‥‥きっと何かの間違いよ!司令官がそんな事する訳ないじゃない!」
天龍「じゃあ龍田が連れて行かれた理由は何なんだよ!他に有るってのかよ!」
雷「そっ、それは‥‥‥」
電「あのっ」
天龍「‥‥‥あ?さっきからなんだよ?」
電「‥‥‥さっき見ちゃったのです。司令官さんと知らない艦娘さんが並んで歩いてるの」
天龍「‥‥‥何だと?」
電「とても綺麗でスタイルの良い艦娘さんだったのです‥‥‥とても親しそうだったのです‥‥‥」
雷「え‥‥‥だって大鳳さん建造してからここ数日建造もドロップ艦のキープもしてないわよね?それってまさか‥‥‥愛人とか?」
天龍「」プルプル
電「わからないのです‥‥‥さっきの天龍さんの話を聞いて‥‥‥もしかしたらって思うと‥‥‥」グスッ
雷「そんな‥‥‥まさか龍田さんをその艦娘さんの近代化改修に‥‥‥?」グスッ
天龍「もう許さねぇ!!提督のヤロウ、叩き切ってやる!!」
??「あら~、何の話かしら~?」
ウフフ
電「あっ!!この艦娘さんなのです!司令官さんと一緒に居たのは、この艦娘さんなのです!」
天龍「んだと!!テメェ、よくも龍田を!!‥‥‥‥‥‥って、あれっ?」
??「あら~天龍ちゃん、何かあったのかしら?」
雷「ちょっと、この人ってまさか‥‥‥」
電「でも!でも!見た目別人なのです!改二にでもならない限り、見た目がこんなに変わるなんて有り得ないのです!」
??「ふぅん、そういう事ね」
天龍「おいおい、嘘だろ?‥‥‥龍田、お前それどうしたんだよ?」
龍田(改二)「電ちゃんの言う通りよ~。改二になったのよ。天龍ちゃん、心配してくれてありがとう」
天龍「じゃあ提督は龍田を改二にするために‥‥‥なんだよ、散々心配したってのに‥‥‥‥‥はっ!?しっ、しっ、心配なんてしてねーし!アレだよ、提督がそんな碌でなしだったらどうしようもねえ、って思ってただけだからな!」
龍田(改二)「うふふふふ」
電「有り得ないのです!有り得ないのです!さらにあんなに胸部装甲が増えるなんて有り得ないのです!」ガンガン
雷「電、落ち着いて!壁に頭を打ち付けるのはやめなさい!」
龍田嫁提督大勝利おめでとうございます。龍田改二、村雨改二が実装。二人は改造レベル達してた為即改二にしました。更に武蔵改二実装明言。只今作者は武蔵を慌ててレベリング中(現在lv73)です。お陰で弾薬が貯まらない‥‥‥冬イベ大規模なのに‥‥‥。
村雨さんはこのSSの何処かで出せれば良いんですけどね。今の所その予定は無いです。絵師が言ってた「カレンダーの絵に仕込んだサプライズ」は村雨のウィンクの事だったんですね。虹彩異色を隠す為とは。
それから本当に物凄く私事ですが大型建造回してやっと、やっとウチの鎮守府にも大鳳が着任しました。「閣下の詫び大鳳建造動画」見たあとに回したらウチでも出てビックリです。
これでこのSSでも漸く大鳳がまともな台詞喋れるよやったね。
春の二期に向けて陽炎型改二にも明言してましたね。候補(独断と偏見)としては
本命:不知火(改装計画が存在した‥‥‥らしいのと、所謂『不知火型一番艦』。ぬいぬい。古参コモン艦なので本命に置いたのは願望です。霞と鬼怒に改二が来て不知火に来ないのは解せぬ)
対抗:磯風(言わずと知れた武勲艦。ただ改二実装なら同時に通常海域ドロップか建造落ちもセットか?)
同じく対抗:雪風(Bep同様に国籍変更で台湾提督方の待望の丹陽か?但し、改二が来たら更に強くなる事受け合い。バランスをどうとる?)
大穴:浜風(2017チョコを貰いたいキャラランキングで淫魔‥‥‥じゃなくて鹿島や謎のヒロインXオルタ(FGO)、他キャラを差し置いて堂々1位、ウス=イホンでもお馴染みの人気艦。おっ○い。あ、勿論人命救助に奔走したのは忘れてません)
この辺でしょうね。え?ネームシップ?うーん、難しいですね。
浜風「どうして‥‥‥どうして私だけこんな理由なんですか」ムスッ