抜錨するっぽい!   作:アイリスさん

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飛んで火に入る

 

 

‥‥‥正直驚いたっぴょん。此処までで会敵したのはたった1回。それも、進行方向全てに敵が居てどうしても避けられなかったからだし、何より風雲は相手の編成まで全て当ててみせてたぴょん。あれだけの敵包囲網の中に飛び込んだ筈なのに、会敵一回だけ‥‥‥しかも、風雲はその敵の装備や砲撃の方向まで教えてくれて、全て的中。信じ難いけどもう認めるしかないっぴょん。流石は『あの夕立』が推しただけの事はあるぴょん。

 

うーちゃんでぇす!

‥‥‥あ、卯月だぴょん。

 

うーちゃんでも流石に任務中はシリアスモードだぴょん。敵の大艦隊に突っ込んでるんだし、ちょっとの油断が死を招く状況下では余計にイタズラなんて出来ないっぴょん。そーゆーのは平時の、しかも笑って許されるような時にするものだっぴょん。‥‥‥時々凄く怒られる事もあるけど。

 

『風雲ちゃんの話だとこのまま真っ直ぐ行けば孤島に着くみたいだから、みんな頑張って』

 

あ、阿賀野さんの通信ぴょん。このまま真っ直ぐって、前方にはなーんにも見えないし、夜の闇のせいでそもそも前方なんて確認出来ない‥‥‥。風雲の目はいったいどうなってるっぴょん?

 

でも、目の方はともかく、風雲の動き自体はド新人と大して変わらないっぴょん。寧ろ新人の筈の陽炎の方がいい動きしてるぴょん。陽炎のフォローと自分の目の良さのお陰で被弾はしてないみたいだけど、いつ大破になってもおかしくないようなヘッピリ腰だぴょん。

 

『待って!みんな止まって!』

 

もぉ~阿賀野さん、今度はな~に?

阿賀野さんが言うには、うーちゃん達の行く手を阻むように前方に敵の艦隊が移動してきた、って。もう少しで龍驤さん達を助けられるのに~!ぷっぷくぷぅ~!

 

『仕方ない、また迂回しよっか』

 

阿賀野さんからの指示。背に腹は代えられないっぴょん。こんな所で無駄な被害は出せないし、此処は仕方無く指示に従うしかないっぴょん。

 

『卯月、焦っちゃ駄目』

 

弥生に言われなくても分かってるぴょん。こーゆー時は焦るのが一番駄目。うーちゃんだって艦娘歴はそれなりに長いっぴょん。最優先は龍驤さん達の救出だぴょん。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ここでまた迂回ですか。まぁ仕方ありませんね。龍驤さん達の所に辿り着くまでは出来る限り戦闘は避けたいですし。何せメンバーがメンバーですし、この水雷戦隊では何度も交戦という訳には行きませんからね。鈴谷さんやポイポイがあのまま一緒に来れていれば話は別なのですが。いや、だからといってしかし今のポイポイの身体にあまり負担を掛ける訳にも‥‥‥。

 

何でしょうか?不知火に落ち度でも?

 

それにしても風雲にこんな特技があったとは驚きでしたね。いつも自信無さげで極度の引込み思案で決して優れているとは言えない艦娘だと思っていたのですが。不知火もまだまだという事ですね。

何というか、昔の暁を見ているようですね。尤も、嘗ての暁はできもしない癖に自信ばかり過剰で見栄っ張りで、そのくせ泣き虫で怖がりという有り様でしたが。

暁の場合はそれでも負けず嫌いは人一倍でしたけれどね。何というか、風雲にはそれが足りない。艦娘としてこれから伸びる為に必要な負けん気が全くと言っていい程無い。ハッキリと言えば、このままでは風雲の将来は不安でしかありません。切っ掛けでも有れば違うのでしょうがね。

 

‥‥‥まさかポイポイ、この作戦を切っ掛けにしてもらおうと?確かに風雲の『目』はこの作戦に於いて著しい活躍を見せてはいます。彼女が居なければ此処まですんなりと来れなかったのも事実でしょう。ですが、少しばかり無謀が過ぎやしないでしょうか?殆んど新人同然、下手をすればその新人にも劣るようなレベルの艦隊運動の風雲を参加させたのは。

 

まぁ。何れにしてももうすぐ孤島に着きます。不知火達の目にもその姿がやっと見えてきました。これを遥かに前の段階で捉えていたのですから、風雲の『目』は善い意味で異常というほかありません。

 

‥‥‥ポイポイの声が聞こえないというのはやはり寂しいものですね。孤島の近海程度の範囲しか通信が通らないというのは。はぁ。こんな事ならポイポイと喧嘩などすべきでは無かっ‥‥‥いえ、あれは明らかにポイポイが悪いのです。不知火に落ち度は無いのですし、ポイポイが謝って然るべき事案なのです。不知火が簡単に赦す等と思わない事です。

 

『今度は前方に敵はいないみたい。みんな急ごう!』

 

阿賀野さんの通信ですか。やれやれ、漸く島に着きますね。野分の怪我の具合も心配ですし、急いで上陸するとしましょう。

 

それにしても。あまりに上手く行き過ぎている気がしてなりません。幾ら風雲の目が有るからと言っても、要所要所で敵がまるで此方の艦隊を避けるような動きをしていたのが気になります。不知火の考え過ぎでしょうか?

 

ふぅ。やっと着きましたか。さて、早い所四人を見付けて脱出するとしましょうか。

 

‥‥‥ッ!?今‥‥‥背中から冷たい視線を感じたような?

駄目ですね、此処からでは全く見えません。例え何か居たとしても向こうからも見えてはいないでしょう。ですが一応警戒はしておきましょう。島を出る時は反対側の海岸からにしますか。

 

風雲が言うには、此処から見えるあの森の中に微かに四つの影が見える、らしいです。本当に‥‥‥この真夜中でも影が見えるのですから、風雲の目も充分大したものですね。

 

これで陽炎がおとなしく呉に残ってくれていれば言う事は無かったのですがね。『陽炎』という艦娘はどうしてこうも無謀なのですか。前任は大鳳さん達を逃がす為に自ら殿を買って出て務めて。今は風雲を守る為に危険なこの任務に‥‥‥。どうして、なのですか。『陽炎』という艦娘は‥‥‥どうしても不知火を残して先に沈みたいというのですか。それが『陽炎』の運命だとでも‥‥‥。約束、したではありませんか。『決して不知火より先に沈んだりしない』と。どうして‥‥‥。

 

風雲の誘導に従って、森を進む。真っ暗の森の中は、通常一般人であれば薄気味悪い所の筈で、風雲も艦娘ながら腰が引けている。そんな風雲の右手を握って引いていく陽炎。

‥‥‥何でしょうか?別に羨ましい等とは一言も言っていないでしょう?不知火にとって『ネームシップ陽炎』は前任の彼女だけです。目の前の陽炎はまだまだ陽炎として認める訳にはいか‥‥‥。

 

‥‥‥また、です。悪寒を感じました。嫌な予感が、します。

 

 

 

「‥‥‥!救助に来てくれたの!?」

 

最初に見付けたのは、白露。彼女に案内され、残り三人とも会えました。舞風と龍驤さんはどうにか動けそうですが、野分の怪我は思った以上に酷いようで自力での航行は無理なようですね。誰かが抱えて行くしか無さそうです。

 

「自分等、あの包囲網を抜けて来たんか?大したもんやな」

 

龍驤さんも驚いているようですね。まさか6人だけ、しかも水雷戦隊のみで来るとは思ってもいなかったようですから。ただ‥‥‥1つ気になる事は口にしました。

 

「『アイツ』には会わへんかったんか?ラッキーやったな」

 

阿賀野さんや陽炎、風雲の練度。それに卯月達睦月型では撃破は非常に困難な相手。敵の包囲網の旗艦『駆逐水鬼』。その名を龍驤さんから聞いた時、不知火は確信しました。あの二度感じた悪寒、誰かに見られているような刺すような視線の感覚。

 

間違いない。あの人が居る。成る程、全ては不知火を誘い出す為だったのですね。その為に敢えて『陽炎型』の野分と舞風を狙って孤立させた‥‥‥。不知火の心と艦としての責務を利用する為に。

 

いいでしょう。貴女がその気ならばこの不知火、相手になりましょう。

陽炎型‥‥‥いえ。不知火型一番艦、まだまだ譲る気など有りません。

 

貴女には今度こそ安らかな眠りを。

 

 

 

 

 

 

‥‥‥その頃でしたね。沖には不知火達を嘲笑うかの如く佇む二隻。無論、戦艦タ級eliteと駆逐水鬼です。

 

『オイ、奴ラ合流シタゾ?ダカラ殺ッチマエバヨカッタノニ』

 

タ級の然も面倒そうな様子に、水鬼は虫唾が走るような笑みで言いました‥‥‥。

 

『モウ少シデ僚艦ヲ助ケラレル、ッテ所デ無残ニヤラレテ水底ニ沈ム。サゾ無念デショウネ。後悔シテ憎ンデ怨ミナガラ、好キナ奴ニモ会エズ沈ンデイク。最高ダト思ワナイ?ネェ、不知火?』

 




うーちゃん!

ヌイヌイ、確信。次回、駆逐水鬼との『再会』です。



え?バレンタイン?仕 事 で す が 何 か ?

艦娘からのバレンタインチョコ、使った瞬間資源に変わるあの仕様は何とかならないのですかね?



※以外ネタです※

◆◆神風さんの受難◆◆

パート‥‥‥もうわからんね



神風「うぅ‥‥‥中破のまま執務はやっぱり恥ずかしい‥‥‥早く交代時間にならないかな///」

時計<ヒトフタマルマル ヤデ!

神風「やっと交代時間ね。早く入渠してこよう」ソソクサ



漣「チッス、交代時間ですわ」

神風「うん、後はお願いね」

漣「しっかし‥‥‥御主人様はまたですかい」

神風「コレ結構恥ずかしいわね///」

漣「まっ、たまにはいいんじゃね?御主人様も『神風限定グラキタ━(゚∀゚)━!中破太腿!太腿キタコレ!』って喜んでたし。‥‥‥端から見たら変態だけど」

神風「もうっ、司令官ったら///」←例のバレンタイン限定グラ、中破姿

漣「満更でも無さそうなのがナンかムカつくなぁ」

神風「まっ、まぁいいわ。私はこれから入渠してくるわね」

漣「行ってら~」

照月「あっ‥‥‥あの‥‥‥」トビラアケル

神風「あれ?照月?」

漣「何かあった?」

照月「あっ‥‥‥二人とも、提督は?」ビクビク

神風「お昼食べに行ってるわ。何か急用?」

照月「あの‥‥‥それが‥‥‥資源の確認に行ってたんだけど‥‥‥」ビクビク

漣「嫌な予感‥‥‥」ピクッ

照月「その‥‥‥昨日までに貯めてあった資源が‥‥‥沢山減ってて‥‥‥何回数えても足りなくて‥‥‥」グスン

神風「うそ、まさか‥‥‥ギンバイ?」

照月「どうしよう‥‥‥提督に報告‥‥‥しなきゃだよね‥‥‥照月が‥‥‥ちゃんと管理してなかったから‥‥‥だよね‥‥‥」グスン

漣「まあまあ、犯人は挙げなきゃだけど量によっては補填出来るかも知れないし。で?どの位減ってた?」

照月「それが‥‥‥凄く沢山で‥‥‥開発資材まで減ってて‥‥‥」グスン

燃料 -40000
弾薬 -20000
鋼材 -50000
ボーキ -52000
開発資材 -200

照月「どうしよう‥‥‥もうすぐ大規模作戦なのに‥‥‥照月の管理不足のせいで‥‥‥」グスン

漣「‥‥‥神風っちの直前の秘書艦は?」

神風「‥‥‥神威さんだった。珍しいとは思ってたけど」

照月「‥‥‥?」グスン

漣「よろしい、ならば戦争だ!」ブチッ

神風「あ、これ照月のせいじゃないわ。犯人は多分司令官よ?」

照月「‥‥‥え?」グスン

漣「大型建造の空母レシピ10回分ですわー神威さん秘書艦とか完全にサラトガ狙いですわー‥‥‥あんの御主人様のヤロー、また大規模作戦前に大型建造回しやがった!」

神風「しかも10回も‥‥‥もうっ!入渠より先にやる事が出来たわ!」プンスカ

照月「あの、どうするの?」オロオロ

漣「今度こそ御主人様の事を‥‥‥真っ直ぐ行ってブッ飛ばす!右ストレートでブッ飛ばす!Sie ist ohne Ehre!(例の『チクショウメー!』)」


※余談ですがサラトガは出ませんでした。建造した艦はみんな武蔵改二のエサ行き決定です(´;ω;`)
und betrogen worden !(例の『オッ●イプルンプルン』)

あ、武蔵はlv90になりました。それでも安心はできないんですけどね。90有れば改二足りる‥‥‥よね‥‥‥?


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