抜錨するっぽい!   作:アイリスさん

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開戦

 

えっ?何?どういう事?不知火とあの駆逐水鬼、なんか会ったことあるような口振りなんだけど。あ、もしかしてあの駆逐水鬼も沈んだ艦娘って事?それなら不知火にも思う所はあるわよね。だからって一人で残るなんて絶対に認められないけど。

 

陽炎よ。

何よ?全身が震えてるって?ちっ、違うわよ、武者震い‥‥‥ううん、そうね、認めるわ。正直、私の『人としての部分』は恐怖を感じてるのは確か。だって、普通の深海棲艦なら兎も角、相手は水鬼よ?恐く無いわけ無いでしょ。けど、それと同時に私の『駆逐艦陽炎としての部分』が私を奮い立たせる。舞風と野分が襲われて、不知火が頑張ってるのに‥‥‥ここで行かなきゃネームシップの名が廃るわ!

 

『今からでも遅くはありません!戻りなさい、陽炎っ!!』

 

不知火からか‥‥‥。

 

「嫌よ」

 

そうよ、私だってやれるって所を見せてやるんだから。こっちだって伊達に川内教官に鍛えられた訳じゃないっての!

――

―――

―――――

◆◆◆◆◆

 

―――数ヶ月前、横須賀鎮守府―――

 

艦娘にもだいぶ慣れてきたわ。そりゃあ歴戦の先輩達と比べたらまだまだだし基礎訓練だけでも一杯一杯なんだけどね。

 

これから同じ陽炎型の新米訓練生、萩風と一緒に午後の香取教官の授業に向かう所。川内教官の訓練は午前にあったんだけど、あの人ちょっと厳しすぎよね?

 

「二人とも!鈴谷を見かけなかった?」

 

今私達を呼び止めたのは曙秘書艦。何でも重巡洋艦の鈴谷さんがまた無断で外出したらしいわ。あ、鈴谷さんは有名人よ?『横須賀の問題児』で川内教官の訓練ですら時々サボるくらいだもの。

 

あ、曙秘書艦、走って何処かに行っちゃったわ。さて、早く授業に向かわないとね。

 

「ああ、二人とも居た居た。ちょっとだけいい?」

 

声のする後ろを振り向いてみたら、居たのは川内教官。何かしら?別に呼び出し食らうような悪い事はしてない筈だけど?川内教官も鈴谷さんの事を探してるとか?

 

「あの、私達に御用ですか?」って萩風。川内教官は『私達二人に夕食の後にでも部屋に来て欲しい』って。なんだか意味深長ね。

 

香取教官の講義の後に萩風と夕食を食べて、一息ついてから川内教官の部屋を訪ねたわ。扉を開けて先ず目に付いたのは、デスクに山のように積んであった書類かしら。その量に驚く私達の左側から、ソファに座ったまま声を掛けてきた川内教官。

 

「やあ、二人共。呼び出ししちゃって悪かったね」

 

そう言った川内教官は普段と違ってラフな格好だったわ。まぁ私と萩風も『制服じゃなくてラフな格好で構わないから』って言われてたからそうだったけどね。

失礼な話かも知れないけど、川内教官の部屋ってもっと散らかってるかと思ってたわ。意外と、と言うか、凄く綺麗に整理されてる。だからこそ山のような書類が余計に目立つ。

 

で、私と萩風を態々呼んだのは、ある映像を見て欲しかったから、みたい。

部屋の隅に設置してある、それなりに大きいモニター。

そこに映っていたのは、前回の第一次対深海棲艦戦争の時の横須賀第一艦隊と呉第一艦隊の演習の様子。あの超弩級戦艦である『大和さん』や『武蔵さん』、装甲空母の『大鳳さん』や『翔鶴さん』、世界にその名を知らしめた『化け物駆逐艦夕立』達が躍動する姿。勿論川内教官もその中に居た。正直、今の私達から見たら全くの異次元の戦闘だったわね。信じられないようなやり合いの応酬。こんな凄いのが嘗ての第一艦隊‥‥‥。驚く事しか出来なかったわ。

 

その中で異彩、って訳じゃないんだけど、私と萩風の目に止まった駆逐艦が居た。そう。今の私と萩風の前任の駆逐艦陽炎、駆逐艦萩風。その前任の二人は他の名だたる面子にも全く引けを取らない動きで。正直言うとショックだったわ。こんな凄いのが私達の前任?ってね。

 

「まぁ、この二人と同じになれ、とは言わないけどね。二人には出来る事はやって欲しいんだよね」

 

うーん。でも川内教官、それってつまり萩風と私に『前任に追い付け』って言ってるように聞こえるんだけど。この映像の演習メンバーの中に入っても遜色無いような実力の前任に。

 

「それでね。今後陽炎と萩風には私の教導の後に少し残って欲しいんだよね」

 

あー、見えてきたわ。つまり私達には正規の教導とは別の『特訓』をしたいって事ね。勿論私は歓迎よ。だって、折角艦娘になったからには強くなりたいでしょ。この映像の中でも一際異彩を放つ実力の夕立や川内教官のようにね。

 

「わかりました。萩風もお受け致します」

 

萩風も受けるみたい。そうよね、あんな凄いもの見せられたらやるしかないわよね!

見てなさいよ、何時かきっと川内教官や夕立を越える艦娘になってやるんだから!

 

◆◆◆◆◆

 

――――

―――

――

 

夜だし水鬼の姿はここからでは朧気。でもきっとそれはアッチだって同じ筈よね。ここじゃ電探は役に立たないし、まさか風雲みたいに目が飛び抜けて良いって訳じゃないだろうし。よし、それなら先手必勝!魚雷発射準備よ!

 

『陽炎っ!0―1―2から魚雷です!回避しなさい!』

 

不知火から通信っ!えっ!?水鬼の魚雷!?落ち着け私!回避行動ならまだ間に合うわ!

 

って、今度は不知火の右舷の方で水柱が上がった!水鬼は同時に砲撃もしてたって事?クッ、後手になっちゃったわね。けど直ぐには次弾は撃てない筈。今のうちに体勢を建て直して反撃しないとね!

 

!!

不知火に砲撃が着弾!?嘘っ、水鬼は砲を構えた素振りすら無かったのに!

 

「不知火っ!大丈夫!?」

 

『問題ありません、掠り傷です。それより警戒しなさい!』

 

焦ったわ。不知火は小破みたい。にしても水鬼はあの状態からどうやって不知火に砲撃を‥‥‥えっ、あれ、深海棲艦がもう一隻居るわ‥‥‥戦艦‥‥‥タ級‥‥‥?これ、ヤバイんじゃ‥‥‥。

 

『チッ、手応エガ無カッタ』って悪態をついた戦艦タ級。水鬼だけならまだしも戦艦まで相手にしなきゃいけないのか‥‥‥。でも考えようによっては良かったのよね。これがもしも不知火だけだったら‥‥‥。幾ら不知火でも嬲り殺しにされてたかも知れないもの。やっぱり私の判断は間違ってはいなかったのよ。水鬼は無理でも、タ級くらいなら何とか出来るかも知れないし。

 

「不知火!」

 

『良いですか、陽炎。死にたく無ければここからは不知火の指示に従ってください』

 

面白くなってきたじゃない。いいわ、陽炎型ネームシップの底力、見せてやろうじゃないの!

 

「出来たら聞くわ。安心して。足手纏いにはならないから」

 

不知火が『陽炎っ!!』って通信で叫んでるけど。大丈夫よ、せめてタ級の足を止めるくらいの事はやってみせるわ。

 

さあ、反撃す‥‥‥えっ?

『陽炎っ!!』って不知火の叫びが通信から聞こえたのと同時。水鬼は不知火には目もくれずに私のほうに真っ直ぐ向かってくる。タ級は私と不知火の間に陣取って不知火の進行を妨害。水鬼の砲が私に向けられて‥‥‥。

 

『陽炎っ!!!』

 

あっヤバイって思った時には、もう目の前に砲弾があった。

 

轟音。衝撃。全身を走る痛み。一瞬だけど、どうして自分が此処にいるのか、一体何のためにいるのか、それ以前に私って誰かって事すら吹き飛んじゃって。

 

『陽炎っ!!確りしなさい、陽炎っ!!』

 

‥‥‥あ。やっぱり私って駄目ね。こんな所で不知火の足を引っ張る事になるなんてね。

妖精さんに依ると大破。もうこうなったら私を囮にしてでも不知火だけでも‥‥‥。

 

「不知火、あのさ」

 

『‥‥‥見捨てませんよ。絶対に。絶対に見捨てたりしません!』

 

 




遅くなりました、更新です。

まあ、そんな都合よくは行きません。陽炎大破、不知火小破。一方、水鬼とタ級は無傷です。
次回に続く。



今回のランカー報酬である5インチ単装砲Mk30のお陰で次はアメリカ駆逐艦実装、なんて声も有りますが‥‥‥5インチ単装砲Mk30は『その砲身である5インチ単装砲Mk12を含む砲塔一式の呼称』‥‥‥だった筈。5インチ単装砲Mk12って丹陽(雪風)の砲なんですよね。台湾海軍(公式)も艦これリスペクトの艦艇擬人化始めたみたい(!?)ですし、陽炎型改二は雪風説が少し強くなった‥‥‥と思います。年末に時雨と初霜のステータス上方修正が入り、島風にもフィット砲(D型改二のステ上方効果)が入った時にも雪風は何も無し、更には雪風には限定グラも来てないとなれば‥‥‥。
丹陽がMk12持ってくる→改修でMk30、という流れと推測(Mk30の妖精からは目を逸らせながら)。


‥‥‥作者、ヘタしたら後書きが本編よりも長い事に今更気付く‥‥‥。


※以下ネタです(冬イベのネタバレ注意、長いです)※


◆◆神風さんの受難◆◆

―――また番外
水上部隊の受難―――

2018冬イベE7、エンガノ岬沖。

‥‥‥第一ゲージボス、vs戦艦水鬼改。
削りは終わりゲージ破壊作業中。



夜戦。



水上部隊第二艦隊

阿武隈「‥‥‥」主砲連撃!

戦艦水鬼改-壊(以下水鬼)「クッ‥‥‥ガラクタ共ガッ」カットイン!

羽黒「キャアッ(中破)‥‥‥まだです!」主砲連撃カットイン!

足柄「‥‥‥」主砲連撃!

初霜「‥‥‥」主砲連撃!

雪風「沈む訳にはいきませんっ!」魚雷カットイン!

水鬼「グハッ」残り 143/800



北上 カットイン!

水上部隊艦娘一同(来たっ!)

水鬼(アッ‥‥‥オワッタ‥‥‥)

北上 
五連装(酸素)魚雷!
五連装(酸素)魚雷!
五連装(酸素)魚雷!

damage 137!

水鬼「グァァァアッ‥‥‥‥‥アレ?」残り 6/800


羽黒「」呆然

初霜「」唖然

足柄「‥‥‥チックショオオオ!!!」

阿武隈「嘘でしょ‥‥‥北上さぁぁぁあん!?」

水鬼「フハハハッ!コノ役タタズノガラクタ共メ!!(ヤバカッタ‥‥‥今ノハ死ンダカト思ッタ)」

北上「マジで?‥‥‥‥‥‥‥‥‥ごめんなさ~い‥‥‥」ガックリ

※注※これが通算21回目の第一ゲージ破壊挑戦時
(このあとは速吸で洋上補給してみたり、第二艦隊全部幸運艦にしてカットイン狙いにしてみたり、その他史実艦をあれこれ試したりetc‥‥‥その甲斐も無く回数数えるのも面倒になるくらい更に泥沼に‥‥‥)



冬イベを見事クリアされた提督の皆様、お疲れ様でした。私もどうにか2月中に闇瑞鶴を破ってエンガノ岬を越える事が出来ました。どうも後から海峡章も貰えるようですし(クリア後のE7海域選択画面に海峡章が付いているので)。
某名探偵コ⚫️ンの作者も無事甲クリアしたそうですね‥‥‥あれ?あの人の休載理由って療養とかじゃなかったっけ?まさか冬イベに全力出す為とかじゃないよね‥‥‥?まああの人睡眠時間削ってまで艦これするガチ勢ですし楽しんでいらっしゃるようなのでツッコミはしない事にします。


上の水鬼戦の話は実話です。前回の後書きで大井さんが建てたフラグを回収()。やはりレイテは地獄でした。E5、E6を割りとすんなり抜け、E7第二ゲージボスである深海ずいずい相手も比較的すんなりクリア出来たのに(ギミックは面倒だった)前回記述した資源が最終的にイベクリア時点で残量
燃料 約38000
鋼材 約39000
弾薬 約49000
ボーキ 約58000
と言えばこの第一ゲージ破壊でどれだけ沼ったのかお分かり頂けるでしょうか。高速修復材に至っては残りが約400()でしたよ、アハハハ(白目)。
(3月2日からE7第一ゲージにも大和率いる友軍艦隊が来るらしいので、私の時みたいな泥沼にはならない模様)


運営は『武蔵改二は冬イベクリアには必至ではない』とか言ってましたけど、E7ボス特効や固有対空カットインまでかましてくれる武蔵改二は文字通り大車輪の活躍だったじゃないですか、やだもー。武蔵さん、エンディングでも吠えてましたし。

にしても今イベはドロップ艦大盤振る舞いでしたね。グラーフ、サラトガ、アークロイヤル、ウォー様、同志でっかいの、ビスマルクにアイオワまで。あ、リシュリューもでしたね(同志でっかいのはドロップ出来なかった)。
個人的に嬉しかったのはビスマルクのドロップですね。持ってなかった(大型建造連敗記録更新中だった)ので。これでやっとビスマルクにも出演チャンスが出来たよやったね!(出すとは言っていない)
‥‥‥え?サラトガ?ドロップしましたが?イベ前に回した溶鉱炉‥‥‥?(目逸らし)

因みにアークロイヤルは上の21連敗の後に『もう気分転換に大東でも掘るか』と思ってE4行ったら
すんなりボスへ到達→一発目でドロップ
しました。決めたのは北上のカットイン‥‥‥お前ここでは決めるのかよ‥‥‥って思いましたね。いつもながら運の使い方がおかしいと言いますか‥‥‥。
(結局大東、浜波は掘れてない)

では、私はこれからJervis、タシュケントとアークロイヤル、ビスマルクを中破させるお仕事があるのでこれにて。え?Intrepidの中破ですか?まあ、うん‥‥‥好みの問題ですかね‥‥‥確かに艦載機の搭載数は凄いんですけどねぇ‥‥‥。



瑞鳳改二乙(以下瑞鳳)「‥‥‥」モミモミ

瑞鳳「ハァ‥‥‥改二になったら大きくなるかもって思ってたのに」ペターン

龍驤「おー、瑞鳳や!おったおった」

瑞鶴「やっと見つけたわ」

熊野「探しましたわよ?」

瑞鳳「みんな?どうしたの?」

大鳳「ええ。作戦も無事終わったし瑞鳳さんの改二をみんなでお祝いしようかと思って」

葛城「瑞鳳さん!改二おめでとうございます!」

龍驤「まっ、そういう事や。いやー、瑞鳳も改二になれて良かったなぁ!」

瑞鳳「龍驤ちゃん、それにみんなも‥‥‥なーんか笑顔に悪意があるような‥‥‥」

龍驤「そっ、そんな事ないで?なぁ、瑞鶴?」←改二でも瑞鳳の胸部装甲が変わらなくて嬉しい

瑞鶴「そっ、そそそうよ!悪意なんて有るわけ無いじゃない!」←自分はアーケード版では胸部装甲が盛られたので勝ったと思っている

熊野「そうですわよ。皆さん心からお祝いしておりますわ」←瑞鳳の胸部装甲が増えなくてホッとしている

大鳳「ええ。そうそう」←自分は改二でワンチャンあると思っている

葛城「熊野さんの言う通りですよ!本当におめでとうございます」←まだ他の4人程は毒されていない為、純粋に祝っている

瑞鳳「‥‥‥‥むぅ」ムスッ


コンバート(が出来るという事だけ)当たったっ!(ドヤァ)
‥‥‥やはり本命の瑞鳳改二来ましたね。対闇瑞鶴特効に先制対潜、射程が長、高いステータス、軽空母鈴熊に次ぐ火力、夜間機を積めば夜戦では幸運を生かして高確率でのカットイン。更には輸送連合に組み込める高速軽空母、と。
これアブゥに改二が実装された時以来の熱い手の平返しではないでしょうか?遂に『新人は軽空母は取りあえず瑞鳳育てとけ』という時代になりましたか。
これで名実共に正規空母並みの活躍が出来るようになったよやったね!
‥‥‥しかしながらやはり胸部装甲は変わらなかったか。


P.S.
戦闘中の金剛さんの『届いて!もう少しだから!』という台詞が心にグッと来たので‥‥‥金剛さんとケッコンしてきます。

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