抜錨するっぽい!   作:アイリスさん

111 / 158
露見

『ええと‥‥‥』

 

あれ?この人、誰?長門さんと同じような制服‥‥‥ってことは、多分だけど陸奥‥‥‥さんなのかな?

 

『大丈夫ですから。少し二人だけにしてもらえますか?』

 

陽炎よ。

あっ‥‥‥曙秘書艦。けど凄く暗い表情してるわね。何かあったのかしらね?

 

『本当に?無理だけはしないでよ?』って心配そうに言って、陸奥さん?は部屋から出ていった。

曙秘書艦は視線を右斜め下にしたまま。私と顔を合わせようとしない。

 

『‥‥‥ごめん。全部私のせいだ』

 

視線は動かさないまま、そう辛そうに謝るだけの曙秘書艦。私は『そんな事無いわよ』って口にしてるわね。

 

『陸奥さんから全部聞いたわ。そりゃあ萩風が亡くなったのは凄く辛いけど、誰かがやらなきゃならなかったのよ。曙だけのせいじゃ無いわ』

 

‥‥‥って待ってよ、何で私、曙秘書艦の事呼び捨てにしてるのよ?って言うより、これ一体どうなってるの?確か、駆逐水鬼と戦ってた筈じゃなかったっけ?なんか私も勝手に喋ってるし。

 

『そうじゃないのよ‥‥‥私のせいなの。全部。そう、私のせい』

 

曙秘書艦、なんだか凄く思い詰めてるみたいね。察するに、曙秘書艦と陸奥さん?が出撃して、萩風が沈んだって事?あ、って事は夢か何かかしら‥‥‥って、うん?夢?それってもしかして、今の私の状態ってヤバい?死にかけて夢を見てるって事?

 

『だから、曙だけのせいじゃないってのに。あの場に居た‥‥‥ううん、入渠中で出撃出来なかった私も含めた全員の責任よ。だからそんなに思い詰めちゃ駄目よ』

 

宥めようと右手を伸ばす私。曙秘書艦はその手を右手で払い除けて、その場に踞った。

 

『加賀さんが‥‥‥加賀さんが私を庇って沈んだから‥‥‥だから‥‥‥』

 

曙秘書艦、そう言って自分の両膝に顔を埋めて、肩を震わせて‥‥‥えっ?泣いてる!?嘘‥‥‥あの曙秘書艦が!?

 

『加賀さんが‥‥‥?加賀さんの事はあんなに話して曙だって納得したじゃない。それに今回の事は加賀さんの轟沈とは関係無いでしょ?』

 

再度伸ばした私の手を、今度は曙秘書艦は確りと掴んだ。

 

『もういいでしょ!全部私が悪いって言ってるじゃないの!』って言って顔をあげてコッチを睨んだ曙秘書艦は、やっぱり泣いてた。

 

『萩風だって覚悟の上で突撃したのよ?曙がそんな調子じゃ、あの子だって浮かばれないでしょ』

 

子供をあやすように穏やかな口調で。私は曙秘書艦を抱き締めた。現実でこんな事したら曙秘書艦、怒るんだろうなぁ。

 

『浮かばれる訳ないじゃないの!相手が翔鶴さんじゃなかったら、萩風だってあんな事しな‥‥‥っ!』

 

えっ、何、今の?曙秘書艦?言った後明らかに『しまった』って表情してるんだけど?『翔鶴さんじゃなかったら』ってどういう事?

夢の中の私も、同じ事を思ったみたいね。『翔鶴さんじゃ?‥‥‥ちょっと、それどういう意味よ?』って疑問になったみたいね。

 

『なっ、何でもないから!いちいち気にするな!』って、今度はムキになって否定する曙秘書艦。うーん、何だか凄く怪しいわね。

 

『‥‥‥待ちなさいよ、翔鶴さんってこの前轟沈したわよね?『相手が翔鶴さん』って‥‥‥『空母水鬼』じゃなくて?』

 

って口にした私の左頬に、急激に痛みが走った。曙秘書艦にビンタされたみたい。

『考えるな!それ以上は考えるんじゃないっ!』って、烈火の如く怒鳴る曙秘書艦。『痛いじゃないのよ!』って私も曙秘書艦の左頬をビンタしてる。うわぁ‥‥‥ちょっと、曙秘書艦も私もやめなさいよね!

 

『何か隠してるのね?萩風の轟沈と関係がある何かを!言いなさい、曙っ!』

 

『言うもんか!陽炎のほうこそ全部忘れなさいっ!』

 

痛い、痛いって!曙秘書艦は何度も何度も私を殴ってくる。頭にきたみたいで私は曙秘書艦を床に押さえつけてマウントを取った。え?私そんなに強かったっけ?だって、曙秘書艦って最高練度じゃなかったっけ?

 

『言っておくけど、練度じゃ私の方が遥かに上なのよ?曙が勝てる訳ないんだから!』

 

ちょっと私!本当にストップストップ!!何て事してるのよ!『言いなさい!言わないとこのまま‥‥‥』って、私が両手で曙秘書艦の首を絞めて‥‥‥駄目、駄目だって!

 

それでも言う素振りを見せない曙秘書艦。私は諦めたのか首を絞めていた手を離した。ホッ。殺人犯にはならずに済んだわね。

 

『‥‥‥武蔵さんって、最古参よね?あの人なら何か知ってる?』

 

立ち上がって私がそう言った瞬間。曙秘書艦が青褪める。ビンゴね‥‥‥じゃなくて、さっき迄とは全く違う反応って、どういうわけ?

 

『駄目よ陽炎!消されるっ!』

 

曙秘書艦は急に観念したみたいで、『話す‥‥‥話すから』って言って震えながらゆっくり起き上がろうとしてる。そっか、さっき迄私?に首を絞められてたから上手く動けないのか。私はそっと曙秘書艦を抱き上げた。‥‥‥なんかさ、『この私』、やけにこういう扱い手慣れてない?

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「‥‥‥ろう!陽炎!聞こえていますか!」

 

不知火の声で我に返ったわ。あ、深夜の真っ暗な海上ね。

 

「今は交戦中ですよ?何をボーッとしているのですか!」

 

やっぱり夢を見てたのか。私の状態は相変わらず大破。うん、そうそう。一度距離を取って闇に紛れてチャンスを窺うんだったっけ。夢を見てた筈なのにちゃんと前には進んでたみたいね。寝ながら進めるなんて私って結構器用なのかも。

 

機会を窺うって言ってもね。照明弾や探照灯は持ってないし、私は大破しちゃってるからまともに攻撃できるのは不知火だけだし‥‥‥まぁ、きっと水鬼達からもコッチは見えてないだろうからどうにかは出来そうだけど。

 

「いいですか?狙うは駆逐水鬼ただ一人です。敵の旗艦であるあの人を失えば、包囲網も崩れる筈」

 

そうね。流石不知火の言う事は一理ある。旗艦‥‥‥しかも鬼級を落とせばきっと敵だって動揺するわよ。私は不知火の足を引っ張らないようにしないとね。最悪私が囮になって水鬼の注意を引き付ければ‥‥‥。

 

「あの人は不知火が。陽炎は此処で待機してください。タ級の動きにだけは充分注意するように」

 

ちょっと、それって私は黙って見てろって事?冗談じゃないわよ。私にだってまだやれる事がある筈よ!それに‥‥‥って、あれ?なんかさっきから不知火の言葉に違和感を感じるような‥‥‥?

 

「このまま二人で離脱、じゃ駄目なの?風雲達と一度合流した方がいいんじゃない?」

 

私の提案に「駄目です」って不知火は即答。けど私達だけで戦うよりは、風雲や阿賀野さん達が居た方が確実だと思うんだけど。

 

「駄目です。恐らくですが、あの人‥‥‥水鬼には不知火達が見えている。ですから風雲達に合流する前にやられる可能性が高い。それなら、此方から打って出るしかありません。それに」

 

ほら、また。何だろう、この違和感‥‥‥うーん。

 

「‥‥‥それに。此処で不知火達が逃げれば、あの人は次の機会には確実に貴女を狙って来ます。その時に不知火達高練度組が傍に居れる保証はありません。そうなれば陽炎、貴女は間違いなく沈みます」

 

うっ‥‥‥確かにそれを否定する材料も実力も今の私にはないけど。もう少しオブラートに包んでくれてもよくない?って、私?何で私が狙われるの?

‥‥‥って、違和感の正体が分かったわ!不知火ってば、駆逐水鬼の事『あの人』って言ってるじゃないの!軍人気質で厳しい筈の不知火が深海棲艦の、しかも鬼級を『あの人』って?やっぱり何か因縁があるのね?

 

不知火の表情が一層険しいものに変わった。「‥‥‥どうやら話は此処までですね。見つかったようです」って呟いた不知火の視線の先に、うっすらと水鬼の影が見えたわ。その不気味に光る刺すような瞳は、私に向いている気がした。

 

 

 




陽炎の見た夢は、空母水鬼戦で萩風を失った直後の陸奥とボノと先代陽炎です。先代陽炎の記憶の欠片はあと1回出てくる予定。

という事で、駆逐水鬼戦再開です。



※※以下ネタです※※

◆◆神風さんの受難◆◆

艦隊が帰投しました!

瑞鶴「じゃ、じゃあ私は入渠してくるわね」ソソクサ

神風「あれ?瑞鶴さん怪我してないわよね?旗艦なんだし司令官に報告しに行かなきゃ駄目よ?」

瑞鶴「ほっ、ほら!出撃で汗かいちゃったからさ!お風呂入らないとベタベタして気持ち悪いから!アハハハハ」アセアセ

神風「?‥‥‥まあ、でもそうよね。それならお風呂入ってきて。報告は私がしておくわ」

瑞鶴「さっ、流石ケッコン艦ね!じゃあ報告は宜しくね」アセアセ

神風「ええ、任せて」






瑞鶴「‥‥‥ふぅ、行ったみたいね。取りあえず部屋に戻ろっと」

瑞鶴「はぁ‥‥‥」

瑞鶴「‥‥‥あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ」ジタバタ

瑞鶴「いくらっ!エンガノ岬を越えて感極まったからってっ!提督さんに『愛してる』って告白するとかっ!何て事したのよ私はっ!」ジタバタ

瑞鶴「あんな事しておいて提督さんと顔合わせられる訳ないじゃないのよぉぉぉお///」ジタバタ

瑞鶴「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ、あの時の私の馬鹿馬鹿馬鹿ぁぁぁっ!」ジタバタ

瑞鶴「駄目だ‥‥‥冷静になれるまで提督さんに会うのは無理っぽい‥‥‥‥‥‥わ‥‥‥?」

青葉 ||∀゚)REC●

瑞鶴「」

青葉 ||∀゚)REC●

瑞鶴「‥‥‥何時から居たの?」

青葉「『取りあえず部屋に戻ろっと』辺りからですよ?青葉の事はお構い無く。さあ瑞鶴さん、さっきの続きを遠慮なくどうぞ!」REC●

瑞鶴「」

青葉「あ、因みにあの時の瑞鶴さんのセリフは図鑑に登録しておきましたから。やりましたね!何時でも司令官に『愛してる』って聞いてもらえますよ!」

瑞鶴「・・・・・・全機発艦!沈めぇぇぇぇえっ!!」爆撃!

青葉「ちょっ!?暴力反対ぃぃい!」

―――――

第二会議室『使用中』

漣「えー皆さん、『当鎮守府最高権力艦の会』にお集まりいただきありがとうございます」←lv142

鈴谷「ねえ、その最高権力艦の会って呼び方やめない?何か物騒なんですけど」←lv124

熊野「あら、わたくしは別に構いませんわよ?あながち間違いという訳でもありませんし」←lv123

神風「呼び方は一先ず置いておくとして、今日はどんな用なの?」←lv107

漣「よくぞ聞いてくれました。なんと実は今日からメンバーが増えます!」

鈴谷(ああ、きっと金剛さんか)

熊野(多分金剛さんですわね。レベリングが終わったという事ですわね)

神風(金剛さんの事ね。『ケッコンしてもらえる』って凄く喜んでたものね)

漣「では新メンバー、どうぞ!」

鈴谷・熊野・神風「「「ようこそ金剛さ‥‥‥‥‥‥えっ?」」」

阿武隈「ちょっとぉ!?アタシは金剛さんじゃないんですけどぉ!?」ガーン ←lv100

鈴谷「いや、だって‥‥‥なんで阿武隈!?ケッコンするなんて聞いてないんですけど!?」

熊野「鈴谷の言う通りですわ!わたくしもてっきり金剛さんの事かと‥‥‥」

漣「そりゃあ言ってないからね!それに金剛さんはまだlv98になったばっかりでケッコンはまだ出来ないし!」フハハハ

神風「なんていうか、想定外だったわ。阿武隈さんってlv99でずっと止まってたし」

阿武隈「そうなんです。アタシの場合は戦力UPって意味合いもあるみたいで、それを踏まえてなんですけど‥‥‥『必ず大切にするから』って言われて‥‥‥」テレテレ

漣・鈴谷・熊野・神風 イラッ

漣「まあ、そんな訳で金剛さんももうすぐ加わるから。以上かいさーん」

阿武隈「え!?」

漣「以上かいさーん」

阿武隈「ちょっと、もう終わり!?早すぎなんですけどぉ!」

鈴谷「まぁまぁ、漣のはほんのジョークだから。これからみんなで飲みに行こっか」

熊野「たまには悪くありませんわね」

神風「私も行くわ。明日も仕事はあるんだしみんなあんまり飲み過ぎちゃ駄目よ?」

漣「よーし、おまいら!予約は漣がしといたから飲み会行きますぞ!」

阿武隈「よっ、よかったぁ‥‥‥」ホッ


という訳で。金剛さんの前にアブゥとケッコンしてきました。今回のイベントでやっぱり万能艦のアブゥの戦力UPは必須、と認識。

では、私はこれから浜風おっぱi‥‥‥じゃなかった、乙改と磯風乙改を中破させるお仕事があるのでまた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。