抜錨するっぽい!   作:アイリスさん

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絶望の先に

 

落ち着くのです。まだ、まだ終わった訳ではありません。陽炎だって大破とはいえ生きているではありませんか。

とは言え、圧倒的に此方が不利なのは事実。向こうは無傷、此方は大破と小破ですからね。陽炎を守りながらどう戦うべきか。

 

不知火です。

全く、どうして陽炎は残ってしまったのでしょうか。大人しく風雲達と撤退しておけば良いものを。やっと‥‥‥やっと千載一遇のチャンスが来たというのに。あの人に安息をもたらすチャンスが。

こうなったら仕方ありません。戦艦タ級を牽制しつつ、どうにかして‥‥‥刺し違えてでもあの人を沈めるしか無い。

これが『三度目の正直』。史実通りになどさせてなるものですか。必ず、必ず陽炎は守ってみせます。それから、出来るなら不知火も生還してみせます‥‥‥。

 

さて。距離は充分取った筈。タ級の射程に気を配りつつ、あの人に魚雷を叩き込む隙を窺わなくては。

クッ‥‥‥敵の砲撃ですか。幸い不知火にも陽炎にも当たりはしませんでしたが、かなり近い位置に着弾していますね。やはりあの人には不知火達が見えているのでしょう。これは参りました。あの人相手に、深手を追った陽炎を砲雷撃から庇いつつ隙を窺うなど不知火一人に何処まで出来るか。

 

立ち止まっている暇はありませんね。次は当てられるやも知れない以上、此処から移動しなくては。

 

「陽炎、移動しますよ」

 

「分かってる、分かってるけど‥‥‥」

 

ムッ‥‥‥これは不味いですね。陽炎の動きが先程までより一層悪くなっている。第一戦速すら出ているか怪しい程です。何か、何か手を打たなくては。

 

「駄目よ。やっぱり私を置いていって。せめて不知火だけでも逃げてよ。私はまだまだ未熟だけどさ、一矢くらい報いてみせるから」

 

「駄目に決まっているでしょう!この不知火がどんな思‥‥‥」

 

言いかけましたが、不知火は言葉を飲み込みました。『この陽炎』に言っても仕方無い事です。それに今は一刻を争う。今この状態であの人の射程に入るまで接近されれば終わりです。陽炎を無理矢理引っ張ってでも距離をとらねば。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

‥‥‥駄目か。もう満足に速度も出せなくなってきたわ。私を餌に不知火だけでも逃げてよ。不思議と気分は落ち着いてるのよね。冷静に見て、私と不知火二人が無事逃げるのは無理。なら無事な不知火を撤退させるべきよね。未熟者のままだったけど、せめて陽炎型ネームシップ最後の意地くらい見せてやるわ。

 

陽炎よ。

‥‥‥ん?今の感じなにかしら。前にもこんな事があったような気がするわ。

‥‥‥って、不知火が私の左手を掴んだ。どうやら曳航してでも私と逃げるつもりみたいね。でも、もう10ノット程しか出ないだろう私を連れて行くのは無理よ。水鬼達に追い付かれるのも時間の問題。不知火だけでも逃げてもらわなきゃ。

足手纏いの癖に無理矢理付いて来たけどさ、不知火の撤退の時間稼ぎになるんなら案外無駄じゃ無かったかも知れないわね。

 

!!

 

ぐあっ‥‥‥やられた、右足に被弾‥‥‥。駄目だわ、右足は全然力が入らない。痛い、痛い、痛い‥‥‥。

 

「う゛っ‥‥‥‥オ゛ェ゛ェ゛ェ゛ッ」

 

なによこれ、これが私の右足!?酷い状態‥‥‥言葉では言えない、気持ち悪い‥‥‥思わずその場で吐いた。

 

「陽炎、まだです。終わってはいません。気を確り持ちなさい!」

 

そういえばタ級の射程内だったのよね。

流石に自分でも分かるわ。これはもう駄目ね。私は不知火の手を振りほどいて、その場で停止。不知火に砲を向けた。

 

「もういいから。行ってよ」

 

「なりません!陽炎を置いては行けな‥‥‥陽炎!」

 

不知火の言葉で振り返った私の視界の先に、うっすらとだけどタ級が見えた。その視線は間違いなく私に向いてる。トドメを刺す気か。上等よ。最後の悪足掻き、見せてやるわ!

 

思い出してきた。そうよ、那珂ちゃんや比叡さんに協力してもらって、萩風とあんなに練習したんだった。大丈夫、いけるわ。

 

不知火が気を引こうとタ級に向かって砲撃、同時に走りだした。そんな事は御構いなしにタ級は私に向かって砲を構える。落ち着け、落ち着け私。タ級の視線、砲の向き、角度‥‥‥そうか、狙いは私の左足‥‥‥!

 

砲が放たれる。瞬間、私は右に倒れ込む。だって、もう瞬時に移動できる程の力は入れられないもの。けど倒れるくらいなら出来るわ。私が避けたその一瞬の隙があれば、不知火ならきっとタ級くらい沈めてくれる。そうなれば、きっと何とかなるわよ。

 

タ級の放った砲撃は、倒れた私のすぐ左側の海面に着弾。その勢いで大きく右に吹き飛ばされたけど、直接の着弾は免れた。けど至近弾。ダメージは思ったよりも甚大だったわ。駄目‥‥‥か。今度こそ身体が動かないわ。

 

不知火は‥‥‥タ級に雷撃を放つ直前みたい。

けどその手を止めて私の方を振り向いた!?どうして?今の間合いなら完全に入ったでしょ!

 

『オ疲レ様。頑張ッタミタイダケド、全部無駄ダッタワネ』

 

‥‥‥あ。駆逐水鬼‥‥‥?いつの間に正面に‥‥‥。不知火が向こうで「退きなさい!退けぇ!!」って叫ぶ声が聞こえるけど、その距離が詰まる気配はない。タ級が私と不知火の進路を塞いで邪魔してるみたい。そっか。まんまとしてやられた、のか。

 

『アンタガ目ノ前デ沈ンダラ、不知火ハドンナ表情見セテクレルノカシラネ?』

 

ごめんね、不知火。やっぱり足を引っ張っちゃったみたい。私は唇を噛んで、覚悟して瞳を閉じた。次の瞬間、今度こそ左足に衝撃と鋭い痛みが走り抜ける。そのショックに思わず目を開いて、反射的に左足に目を向けた。私の左足は、膝から先が無かったわ。声もあげられず、唇をパクパクさせるのが精一杯だった。

 

『骨ノ無イネームシップネ。ツマラナイ』

 

吐き捨てるように呟いた水鬼の声。それと「止めなさいっ!止めてぇぇ!」って不知火の悲痛な声が響いた。

次の瞬間、爆発音。私じゃない、被弾は不知火のほう。完全に隙だらけになった不知火は、タ級に狙い打ちされたみたい。不知火もそれで大破。いや、確かに私がこんな体たらくで不知火も動揺したかも知れないけど、幾ら何でも動揺し過ぎじゃないかしら?あの不知火が戦闘中に敵に隙を晒すなんて。

 

まぁ、どっちにしてもこれで万事休す。アニメの主人公とかだったら此処から逆転の一手を打つのかも知れないけど、私じゃあね。化け物駆逐艦夕立、とかだったら切り抜けられるのかしらね。

 

駆逐水鬼の砲が、ゆっくりと私に向けられていく。

 

『サヨナラ、無能ナネームシップサン?』

 

 

 

 




短めでご勘弁を。書く時間があまり取れないのです。
陽炎&不知火、絶体絶命。という所で次回へ。


春の新グラの村雨中破、襲われてる最中に見える‥‥‥‥‥‥そうだ、中破させて母港を総コンクリート&鉄格子に模様替えしてこようグヘヘ(ゲス顔)

‥‥‥イントレピッドさんの愛称『スカイママ』って何処から来たのかと思ったら出川英語だったんですね。

※※以下ネタです※※

◆◆神風さんの受難◆◆

―――改二が来ない駆逐艦長女の会―――

夕雲「霰さんに改二が実装されたわね」

陽炎「なんかさ、朝潮型ばっかり優遇されてない?」

夕雲「そうねぇ‥‥‥白露型もそれなりだとは思うけど?」

陽炎「実装率の問題よ。朝潮型は八隻中の六隻改二よ?高確率だと思うけど?」

夕雲「神風さん、霰さんのレベリングについて提督は何て?」

神風「『じゃーびす』と『がんびあべい』さんと『いんとれぴっど』さん、『たしゅけんと』さんが優先、『びすまるく』さんも優先だって。多分その後になると思う(霰は現在Lv8)。あ、それからえっと、取りあえず‥‥‥磯風と浜風の乙改実装おめでとう、陽炎」

夕雲「そうね。プククッ‥‥‥おめでとう、よね?」

陽炎「ありがとう二人ともコンチクショウ‥‥‥それと夕雲、後で覚えときなさいよ?」

注:秋月と島風、白露は1―6出撃中

夕雲「だって、ねぇ?」

陽炎「知ってた!知ってたわよ!どうせ私じゃなくて武勲艦の二人に来るかもって事くらい知ってたわよ!改二じゃなくて乙改とは分からなかったけど!」

神風「でも姉妹艦に改二とか来てくれるのは羨ましいかなぁ」

夕雲「神風型は仕方無いわよ。全員が限定海域でのドロップしかないレア駆逐艦だもの」

陽炎「そうよ。まあでも‥‥‥どうして『乙改』なのかしらね?」

神風「うーん」

夕雲「秋月さん達もレア駆逐艦だし、ドロップ率もかなり渋いから持っていない提督向けの救済用の対空駆逐艦化、とか?若しくは陽炎型改二の性能をどうするか思考中とかかしら」

陽炎「夕雲、アンタ‥‥‥さっきからメタ発言しないでよ」

夕雲「アラ、でも事実だと思うけど?」

神風「でも磯風も浜風も改二に匹敵するくらい強くなったし、頼もしいのは良い事よね?」

陽炎「その磯風には改二実装も確定してるしね。それはそうと」

夕雲「どうして『乙改』か?」

陽炎「そうそう」

神風「あれ?またそれ?今さっき話したばかりよね?」

夕雲「違うわよ、神風さん。どうして『改乙』じゃなくて『乙改』なのかって事」

陽炎「そうそう。その『乙改』って名称のせいで浜風が『浜風乙π』なんてからかわれてるし。秋雲なんて『捗るぅぅ!!』って意味不明な事言いながら同人?だっけ、イラスト描いてるし」

神風「おっ‥‥‥おっぱ‥‥‥///」

夕雲「大本営も意外とワザとそれを狙ったんじゃないかしら?」

陽炎「いやいや、流石にそれは‥‥‥無い‥‥‥わよね?」

神風「うーん‥‥‥」

夕雲(‥‥‥面白そうだから『陽炎型は一番艦から改二を実装予定』って大本営が発言したのは黙っておこうかしら‥‥‥ウフフ)



遂に陽炎改二明言来ました!レベリングしなきゃ(現在うちの陽炎はLv57)‥‥‥このタイミングで実装明言とは。夏までに三隻改二実装だそうですので、陽炎、磯風と‥‥‥ぬいぬいかな?
……つまり艦これ運営はこの話のあとに2代目陽炎を改二にしろと御要望ですかそうですか。

霰に改二が実装されましたね。霰が潜水艦絶対殺す駆逐艦娘に。そういえば何処かの眼鏡軽巡艦娘も今回の修正で泊地絶対殺す艦娘に拍車が掛かりましたね。それから阿賀野型が瑞雲面に落ち(瑞雲を装備可能になった)ましたね‥‥‥。

それとリアルイベントは瑞雲祭り再び。今回は玉葱を擦りおろすらしい?です。ウォー様の出番か‥‥‥。

C2機関(艦これ運営の事)に依ると、艦娘の海上移動は水上スキーというよりはフィギュアスケートのイメージ、だそうです。
私の作中では鈴谷や漣とかの海上移動の際には少しだけ触れていますが、私のイメージと同じだったのでちょっと嬉しいです。え?漣は何処にそんな表現あったのか、ですか?いやですねぇ。


4月1日運営Twitter
『文月漫画連載開始します!』←本当
『瑞雲祭り再び!』←本当
『二期移行画質向上!』←そら本当でしょ
『三越と食べ物(お米
、梅干、お茶、海苔)コラボ!』←恐らく本当
『秋雲ビール作成中!』←恐らく本当
『氷上観艦式!』←恐らく本当
『1/20スケール航空戦艦日向建造!』←まああの運営なら造るでしょ

‥‥‥エイプリルフールとは一体?


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