「‥‥‥ふーっ」
浴槽のお湯?に肩まで浸かって、息を吐いて大きく伸びをする。
やっぱり理解不能よね、この入渠ってシステムは。轟沈寸前で全然動けなかった身体も、今はかなり傷が回復してきてるし自由に動けるようになってきた。勿論、吹き飛ばされて無くなった筈の左足も元通りね。
噂によるとね、この入渠がお風呂形態っていうのは最初に考えたのは初代漣らしいわ。ホント、英雄は偉大よね。
陽炎よ。
今はショートランド泊地の入渠施設。怪我した艦隊の面々で入渠中よ。
龍驤さんや舞風、白露は勿論、野分も回復してきてる。卯月や弥生や風雲も、ね。
「舞風に聞いたわよ?凄かったらしいじゃない?」
私の問い掛けに、右隣で湯槽に浸かる風雲は首を横に振った。何よ、艦隊のピンチを単艦で救ったんでしょ?まるで‥‥‥そう、まるで夕立のように。
「そんな事‥‥‥私の実力じゃないし。私には陽炎に誇れるような事なんて出来なかったわよ」
まぁ。正直言うとね、私も半信半疑ではあるのよね。だってそうじゃない?こんな事言うのは申し訳ないけど、あの風雲よ?確かにその『目』は凄いモノを持ってるとは思うけど。私から見てもその動きは新人と大して変わらない、現に道中でも私がフォローに回ってようやくって感じだったのに。それが重巡のflagship、軽巡2隻を撃沈、戦艦を大破でしょ?それも敵艦隊の砲撃や雷撃を避けながらでしょ?流石に想像できないわよ。
「何よ、自分の実力じゃないってどういう事よ?」
風雲はその時の事を正直に話してくれたわ。あの例の応急修理女神妖精さんの活躍で風雲が『やったように見えた』って事を。
「へぇ‥‥‥あの妖精さんがねぇ」
今は龍驤さんの頭の上に乗って何か話してるそのエメラルドグリーンの髪の応急修理女神妖精さんを繁繁と見つめる。応急修理女神妖精ってそんな事もできるの?なら私もたまに身体を預けてみようかしら?演習でいきなり大活躍したら司令もビックリしそうじゃない?
‥‥‥見てて思ったんだけどさ、空母の人ってその、胸部装甲が小さい人が適格者になりやすいのかしら?赤城さんは違うけどほら、瑞鶴さんとか、目の前の龍驤さんとか、ねぇ?
あれっ!?龍驤さんに睨まれたんだけど?別に心で思ってただけなのに、まさか心の声が聞こえてたりするの?
龍驤さんからフイッ、と慌てて視線を外して、隣の風雲へ。風雲、まだ浮かない顔してるわ。
「ま、いいじゃない。作戦は無事成功。全員生きて帰ってこれたんだしね」
気休め程度だけど、そう言って慰めたんだけど。タイミングが悪かったわ。丁度扉が開いて、司令と一緒に入ってきた不知火に「いい訳がないではありませんか」って睨まれたわ。あ、あははは‥‥‥。
不知火は司令を強引に引っ張って(その時はそう見えた)わざわざ私と風雲の隣に浸かる。そうして不知火は少しだけ表情を崩して、風雲に「よく頑張りましたね」って労いの言葉をかけた。不知火って後輩にはもっとキツく当たるのかと思ってたんだけど、そうじゃないみたい。そっか。風雲も良かったじゃない。あの不知火に認めてもらえて。
「それと陽炎。なんなのですかあの無様な戦いぶりは。あれでは何時轟沈してもおかしくありません。一から鍛え直しですね」
ちょっ‥‥‥!?私だって頑張ったじゃない!?何なのよ、この扱いの差は!幾ら不知火が先輩だからって、ネームシップの私を少しは労ってくれてもいいじゃない!確かに無様だったけどさ、司令達が来る時間を稼げたのは事実なんだし。
「まあまあ、それはまた呉に戻ってから。陽炎さんだってやるだけの事はやったんだし。ねっ?ヌイヌイちゃん」
流石司令ね!そうよ、私だって少しは役に立った‥‥‥筈よね?って、あれ?不知火の顔が紅くなってるわ。司令から視線を外して、口の辺りまでお湯に沈めて‥‥‥ハハーン、分かった。私や風雲の前で司令に渾名で呼ばれて恥ずかしかったのね?何よ、不知火も可愛い所あるじゃない。
「‥‥‥不知火に落ち度でも?」
アハハハ、そんな恥ずかしそうな表情で言っても全然凄みが無いわよ?あの不知火も司令の前じゃ形無しね。
「覚悟しておきなさい陽炎。呉に戻ったら猛特訓です。神通さんと特別メニューを練っておきます。陽炎型ネームシップの名に恥じないよう徹底的に鍛えてやるわ」
ちょっと!完全にとばっちりじゃない!不知火が勝手に恥ずかしがっただけ‥‥‥ん?あれ?今、不知火は何て言った?今迄は突き放したり触れずにいたり、認めようともしなかったのに。これってさ、不知火の中で『私が陽炎だっていう事』を少しは認めてくれたって事?そっか、一歩前進、なのかしら?私にとっても、不知火にとっても。
不知火はそんな私の考えに気付いたのか、今度は顔を司令の方に向けた。「それと司令、公共の場では不知火を渾名で呼ぶのは止めてください。司令の威厳に関わりますので」って紅い顔で話してるけど、司令は「今は公務中じゃないし、それに陽炎さんも龍驤さんも知ってるでしょ?」って。外野の龍驤さんも「せやせや。今更やんか」って言ってるし応急修理女神妖精さんも『そーそー』ってそれを煽ってる。成る程。不知火が受けで司令が攻めか。
「不知火は先にあがります!」
あー、不知火ってば拗ねて高速修復材使って先に出てっちゃったわ。素直になればいいのに。ねっ、司令?
あ、風雲がクスクス笑ってるわ。やーっと笑顔になったわね。全く、ウチの先輩達は世話がやけるわね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あ‥‥‥ヌイヌイちゃん、恥ずかしそうに出て行っちゃったわね。少し悪戯心が過ぎたっぽいかしら。でも恥ずかしがるヌイヌイちゃんがちょっと可愛いかったからつい、ね。
沖立です。
どうにかみんな無事だったわね。鈴谷妖精さんの力添えもあったみたいだけど、風雲ちゃんも上手く立ち回れたみたいだし。これを期に少しでも前を向いてくれたら、って思うけど。
ヌイヌイちゃんの心の大きな変化は、今の所は読み取れない。でもさっきの陽炎さんとのやり取りから察するに、少し前進できてはいるっぽいわね。
え?私の傷?そうね、大破してる事に変わりはないから。高速修復材を使って漸く完治まで2日、って所。それまでショートランド泊地からは動けないけど仕方無いわね。ほんと、川内さんと明石さんには感謝しなくちゃね。本来なら始末書ものだし。作戦のついでに2日間ショートランドの視察、って体裁をとっておいて正解だったわ。でないとこの2日間の余計な滞在期間の言い訳を考えなきゃいけない所だった。ええ、勿論、私が作戦中に大破するであろう事は考慮してた。
陽炎さんはヌイヌイちゃん達が徹底教育するから、後は風雲ちゃん。天龍さんと、それから改めて暁ちゃんに頼む事にしたわ。きっと二人なら良いお手本になると思う。え?暁ちゃんも天龍さんも教師としては不安?そんな事無いと思うけど。
‥‥‥正直言うと。自分の身体の状態が悪化してるのが分かる。明石さんが言ってた通り、私の『駆逐艦夕立の魂』は決して全快した訳じゃない。言うなれば、少し時間を巻き戻しただけ。このまま出撃を繰り返せば、駆逐艦夕立の魂はいずれ私の身体ごと壊れる。せめて、せめてもう少し。レ級を‥‥‥『雷ちゃん』を眠らせるその時まで保ってくれたらいいのだけれど。
「ねえ、司令。聞いてもいい?」
ん?陽炎さん?なにか質問かしら。周りには聞こえない程度の声で私に聞いてきた。答えられる範囲でだけど、いいわ。
「司令ってさ、不知火と付き合ってるの?」
風雲ちゃんには聞こえたみたいで、思わず「ブッ!?」って吹き出したわね。あー、えっと、そう見えたのかしらね?私は兎も角、ヌイヌイちゃんはそういう視線を向けているから思ったのかな?
「ううん、付き合ってはいないわ」
「えっ!?そうなの!?」
‥‥‥陽炎さん、大袈裟に見える程に狼狽してるわね。そんなに驚く事だった?
「あー、そっか、そうなんだ‥‥‥」
陽炎さん、何か考え込んじゃったわね。はぐらかした方が良かったかな?
今は陽炎さんの事や先代陽炎さんの事で心を色々整理しなきゃいけないだろうし、ヌイヌイちゃんに指輪を渡すのはもう少し時間を置いてから、かな。ヌイヌイちゃんが陽炎さんを受け入れてくれて‥‥‥私を喪っても大丈夫になってから。指輪が私の形見になっちゃうかも知れないけどね。
艦娘入渠中。
各々の願い。不知火の想いは届く‥‥‥のか?
次回、深海側に更なる動きが‥‥‥。
※※以下ネタです※※
◆◆神風さんの受難◆◆
第二会議室
~使用中~
漣「おお、よくぞ戻った勇者 あぶくま よ! あぶくま が次のレベルになるにはあと21の前髪ワシャワシャ が必要じゃ」ワシャワシャ
阿武隈「やめてよぉ!前髪弄らないでぇ!?んもぉ~漣ちゃん!そーゆー前置きは要らないんですけどぉ!」
漣「御主人様の特権イコール漣の特権。オーケー?」
阿武隈「だからって前髪弄らないでぇ‥‥‥なんでアタシ呼ばれたのぉ」グスン
神風「漣もそのくらいで‥‥‥。それに本当にどうして呼ばれたの?今は司令官の(溶鉱炉回さないかの)監視以外はやる事って無いわよね?」
翔鶴「あの‥‥‥この『鎮守府最高権力艦の会』‥‥‥でしたっけ?これって何をする会なんでしょうか?毎回重大事項を決定してる重要会議かと思ったのだけれど‥‥‥」(newface!lv116)
鈴谷「いやいや、フツーにダベったり遊びに行ったり飲みに行ったりするだけ」
金剛「他にはテートク情報の交換とかデース!」(newface!lv109)
熊野「そうです。ですから翔鶴さんももっとリラックスしてくださいな」
翔鶴「えっと、はい」
瑞鳳「あっ、みんな居た居た!」トビラアケル
金剛「HEY、瑞鳳。ココはケッコン艦以外立ち入り禁止デース!」
漣「‥‥‥」
瑞鳳「でもほら、提督に頼まれてお昼作ってきたの!瑞鳳特製卵焼きカレー瑞雲祭りスペシャル!美味しそうでしょ?」
金剛「確かに美味しそうデスけど、ココはケッコン艦以外は‥‥‥」
瑞鳳「瑞鳳の卵焼きカレー、食べりゅ?」
漣「あーはいはい、食べりゅ食べりゅ」
瑞鳳「もーっ、漣ちゃんノリ悪いよ?」
鈴谷「‥‥‥あーっ!?瑞鳳も指輪してんじゃん!!」
瑞鳳「エヘヘ(*´∀`)♪」←lv112
金剛「Shit!!どうしてワタシの方がレベルが低いんデスカー!!」ムキーッ
漣(御主人様に聞いてるから知ってたし)
神風(また荒れそうな予感‥‥‥)
―――――――――
~夕雲自室~
秋月「お邪魔します」
夕雲「はい、どうぞ」
秋月(うわっ、この部屋凄くいい匂いがする‥‥‥内装もお洒落だし、きっと凄くお金がかかってるんだろうな‥‥‥)
夕雲「ゆっくりしていってね」
秋月「あ、はい(何だか落ち着かない‥‥‥)」
夕雲「この部屋の小物なら、そんなにお金かかってないわよ?」
秋月「へっ?あっ‥‥‥えっ?そうなんですか?」
夕雲「そうそう。よかったら今度一緒に買い物行きましょうか?」
秋月「あ、えっと、是非お願いします。私や妹達ではそういう事に疎いので」
夕雲「フフッ、じゃあ約束ね」
秋月「はい!」
夕雲「それでね、今日来てもらった理由なんだけれど」
秋月「何でしょうか?」
夕雲「‥‥‥」グスンッ
秋月「‥‥‥えっ!?夕雲さんが泣いてる!?」
夕雲「どうしましょう‥‥‥私、提督に捨てられちゃうかも知れない」グスン
秋月「ちょっ、ちょっと待ってください、どういう事ですか?」
夕雲「ほら、このまえ白露さんが言ってた事覚えてる?」
秋月「あ、えっと、確か白露さん『提督が私に何か隠し事してる』って言ってましたよね」
夕雲「そうなの‥‥‥提督が白露さんに隠し事。それでね、今回大本営からあった発表、知ってる?」
秋月「はい。『ある駆逐艦姉妹の長女、一番艦に改二を実装する』でしたよね‥‥‥あっ!?」
夕雲「そうよ、多分白露さんに改二実装って事よ。これで何の取柄もない改二未実装は私だけ‥‥‥こんなんじゃ提督に捨てられちゃう‥‥‥」グスン
秋月「そっ、そんな事ありませんよ!私だって改二未実装ですし、島風さんだってまだじゃないですか」
夕雲「秋月さんには高い対空値と固有対空カットインがあるし、島風さんは元々改の状態で他の上位改二艦に匹敵するステータスだし」グスン
秋月「うっ、それは‥‥‥でも!今回の発表は夕雲さんの事かも知れないですし」アセアセ
夕雲「無理よ‥‥‥絶対白露さんの事だもの。大本営も新BGM『梅雨明けの白露』を実装するって言ってるもの‥‥‥白露さん改二フラグ以外の何物でもないじゃない」シクシク
秋月「ほっ、ほら!改のままでも曙さんや漣さんは重宝されてますし!改二でもマックスさんみたいにそんなにステータス高い訳じゃなくても重宝されてる子だっているじゃないですか!」
夕雲「‥‥‥」グスン
―――――
z3「‥‥‥」
z1「どうしたの?」
z3「ううん、なんでもないわ。ただちょっと悪意を感じたような気がしただけ」
z1「そっか」
―――――
夕雲「‥‥‥そうかしら」
秋月「そうですよ!」
夕雲「けどそうだとして‥‥‥どうしてあの子達は提督に重宝されてるのかしら」
秋月「どうしてでしょうかね?」
夕雲「‥‥‥属性、かしら?」
秋月「属性?」
夕雲「曙さんだとツンデレ、Z3さんはクーデレ?とか」
秋月「じゃあ夕雲さんもその属性とやらを身に付ければいい、という事ですか?(母性とかは属性じゃないのかな?)」
夕雲「そうね‥‥‥あと残ってる属性っていうと」
秋月「なんでしたっけ‥‥‥あ、やんでれ?とかでしたっけ?」
夕雲「ヤンデレは重すぎるかしら‥‥‥秋雲さんがよく時雨さんのヤンデレ同人を描いていたと思うけど、ああいうのはちょっとね‥‥‥‥」
―――――
時雨「‥‥‥ん?」
白露「どーしたの?」
時雨「いや、何だか秋雲を懲らしめなきゃいけない気がしたんだけど、どうしてかな?」
白露「あー、秋雲ね。きっとまたろくでもない漫画でも描いてるんだよ!きっと」
時雨「うーん」
白露「大丈夫だって、多分時雨じゃなくてまた風雲の事描いてるんだよ(それはそれで大丈夫じゃないけど)」
―――――
秋月「そうですね。でも大丈夫だと思いますよ?近いうちに夕雲さんにも改二が来ますって!」
夕雲「だといいのだけれど」
運営が次の駆逐艦改二実装明言。梅雨のセリフからして白露かな?
次あたり来ると思って白露を密かに演習メンバーに入れておいた甲斐があった‥‥‥のかな?つまりカレンダーで村雨が羽織っていたあの黒いマントが実は白露改二のものだった、という二重のサプライズだった(事実、村雨改二はそのマント羽織ってない)可能性が。つまり
白露「村雨が改二になってずるい!私だけ置いてかれた!」ではなく
白露「そのマント私の改二の艤装なんだから返して!」だった‥‥‥?
食べりゅぅぅぅう!!
という事で、瑞鳳とケッコンカッコカリしてきました。夜間機載せた瑞鳳は先制対潜も夜戦もしてくれるし可愛くて使い勝手いいからね、仕方無いね(掌返し)‥‥‥おい誰だ今◼️リコンって言ったのは!違うし!◼️リコンじゃないし!瑞鳳は進水日から数えたら80歳越えのロリBBAだからセーフだk(爆撃音がして通信が途絶える)。
こうして指輪代に使われた私の課金の一部が艦これオンアイスの伊藤みどりさん達のギャラになるんですね。
というか、フィギュアスケート界のガチのレジェンドの伊藤みどり(アルベールビル五輪銀メダリスト、全日本選手権8連覇。あの今と違って重いスケート靴で女子で世界で初めて3回転半跳んだ人。この人の全盛期に今の理論と最新技術のスケート靴があったら4回転半跳べるんじゃ?と言われるくらいの方。世界フィギュアスケート殿堂入りしている。現役当時に男子選手から『伊藤みどりが女性で良かった(同性だったら絶対勝てないから)』と言わしめた程)呼ぶとか‥‥‥
伊藤みどりさんは現在は海外公演のみなので艦これのアイスショーが日本での最後のアイスショーになるかも‥‥‥。
因みに一般的なアイスショーの相場は2万くらい。伊藤みどりさん出演ってだけで本来なら4~5万円は余裕でとれるらしいです。10万出す、なんてフィギュアファンの方もいらっしゃるくらいで。それを1万円とか‥‥‥そりゃフィギュア界隈が困惑するわけです。やはり艦これ運営は頭おかしい(誉め言葉)。
瑞雲制作したり、ひゅうが艦長に祝辞貰ったり、三越とコラボしてお米やら梅干しやらビールやら売ったりアイスショーしたり。
‥‥‥艦これって何のゲームでしたっけ?