ソワソワ‥‥‥。
‥‥‥なんでしょうか?不知火に落ち度でも?
べっ、別に何時も通りです。浮き足立ってなどいません。ちょっと、ほんのちょっとだけポイポイと二人で出掛けるだけです。
予定通り。不知火とポイポイはショートランド泊地の査察を終えてブイン基地へ。何せショートランドから目と鼻の先ですし。
鈴谷さん達はショートランド泊地で待機です。そんな大人数で動く程の事でもありませんし。ブイン基地からの迎え(ポイポイと不知火の護衛)も来る手筈になっていますしね。
それにしても。泊地を出る際に龍驤さんはニヤニヤしながら『一発かましたれ』とどついてきましたし、衣笠さんも『頑張ってね!』と意味深にウィンク。全く。遊びに行く訳ではないのですよ?あくまでも仕事です。
『少佐、聴こえているか?』
「ええ、日向さん。感度良好。良く聴こえるわ」
ポイポイの通信相手は現在のブイン基地責任者である航空戦艦日向さんですね。今不知火達は海上。と言ってもまだ出発前です。どうやらブイン基地からの迎えがもうじき到着するようですね。
『此方の艦隊が時機に其方に着く筈だが、道中は気を付けてくれ。まあ、少佐には要らぬ心配だろうが一応、な』
「ありがとう。気は抜かずに向かうから」
ブイン基地の査察自体は特に問題は無いでしょう。日向さんは仕事はきっちりとこなす方ですからね。‥‥‥と。ブインの艦隊の姿が微かに見えてきましたね。さて、それでは不知火達も出るとしましょうか。
「じゃあ行こう、ヌイヌイちゃん」
うっ‥‥‥ポイポイ、そのような眩しい笑顔を不知火に向けるとは。思わずドキッとしてしまったではありませんか。全く、こんな事を毎回続けられては不知火の心臓がもちません。これを無意識でしているのか、意識的にしているのかは分かりませんが。まぁ、昔のポイポイならば間違いなく無意識にやっていたのでしょうが、今のズルい大人になったポイポイではどちらなのかは測りかねますね。
「本当に身体は大丈夫なのですか?」
「ええ。もうすっかり回復したわ。心配?」
心配に決まっているでしょう。ポイポイはついさっきまで入渠していたのですよ?それに明石さんが言っていました。『沖立さんの身体が良くなる事はほぼありません。無理をすればするだけ症状は悪化していきます。ですから不知火さん。沖立さんにくれぐれも無理をさせないようにして下さいね』と。それから『きっと不知火さんにしか出来ない事だと思いますから』とも。皆、不知火を何だと思っているのですか。
ポイポイは一度決めたらテコでも動きませんからね。不知火が泣いて止めても結局出ていってしまうくらいですから。
「ヌイヌイちゃん‥‥‥?ほら、行こう?」
おっと、ついつい停止してしまっていましたね。ポイポイが左手を伸ばしてきて。これは、正直予定外でした。衣笠さんの言葉を思い出します。そうですね、チャンスは逃すものではありませんね。それが例え艦隊決戦でも、プライベートであっても。不知火は、少し躊躇はしましたがポイポイの方へと右手を伸ばしました。不知火の掌は、ポイポイの掌と重なって。フフッ。
「ヌイヌイちゃん?」
「いえ、問題ありません。行きましょうか」
はぁ。やはり不知火は駄目ですね。完全にポイポイの思うツボでした。不知火が心配している気持ちは、このポイポイの行動で吹き飛んでしまっていました。舞い上がってしまい高ぶる気持ち、早まる鼓動‥‥‥。
『沖立少佐』
「龍鳳さん、調子はどう?」
ムッ‥‥‥このタイミングで通信‥‥‥。空気を読んで欲しかった所ですが、仕方ありません、か。龍鳳さん。元・大鯨さんですね。つい昨日改造の許可が出て、潜水母艦から軽空母になったばかり。今回不知火達を護衛してくれる艦隊のメンバーです。嘗ての戦争で航空戦艦日向と空母龍鳳は四航戦で共に戦っていましたからね。日向さんも心強いでしょう。
不知火はポイポイと手を握ったままで暫し海上を走り。艦隊と合流する前に手をそっと離しました。名残り惜しいのはやまやまですが、他の艦娘に見られるのは流石に恥ずかしいですからね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ちょっと態とらしかったかな。私の左を並走してるヌイヌイちゃん、自分で気付いてるのかは分からないけど顔が真っ赤。距離があるから他の娘達からは見えないでしょうけど。けど私の身体の状態の事から気を逸らせる事は出来たかな。
沖立です。
正直言うとね、『衣笠さんの悪巧み』は知っちゃう機会があったのよね。
この先の事を考えるとどうしようか悩む。
きっと、私はいつかヌイヌイちゃんの前から居なくなる。それがずっと先なのか、近い将来なのかは分からない。これは逃れられないわ。前回生死の境を彷徨って、今回の大破で確信を持ったわ。やっぱり身体は出撃前よりも状態は良くないみたい。
昨日一日入渠して一人ゆっくり考えてた。
何時か居なくなるのなら、出来るだけヌイヌイちゃんに思い出を作ってもらいたいって思うようになってね。後悔の無いよう思い出を作ってもらって、陽炎さんとも信頼関係を作ってもらって。元々ヌイヌイちゃんと再会する為に戻って来た訳だしね。
けれど、ヌイヌイちゃんの想い全てには応えてあげられない。私が消えても最小限のショックで済むように。それに、ヌイヌイちゃんはきっと私が嘘をついて一緒になってもそれが偽りである事に気付くと思うし。そんな同情みたいな真似されても嬉しくないでしょうから。
ほんと、私は身勝手よね。陽炎さんや熊野さんが怒るのも無理ない話。
『少佐、不知火さん。見えて来ましたよ。何事も無く着けそうですね』
龍鳳さんから通信。我に返って水平線の方へと目を向けると、島が見える。もうすぐブイン基地。
はぁ‥‥‥全部上手く丸く収まるような解決法ってないものかしらね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「やあ、少佐。無事で何よりだ」
「其方もね、日向さん」
ポイポイと共に基地内の司令室へ。中で態々起立して待っていた日向さんと挨拶を交わしていた所です。日向さんもキリバス攻略作戦の参加メンバーでしたからね。野分達が無事助け出されてホッとしているようです。
「入渠明けのところを御足労掛けさせてしまって申し訳ない。此方としては疚しい事も無いからな。存分に評価していってくれ、少佐」
「ええ。それじゃ遠慮無く見させてもらうわね」
先の包囲網突破作戦等、一頻り話し終えた不知火達は日向さんの先導で司令室を出ました。さて、それでは文字通り遠慮無く評価させてもらいましょうか。
これがもし日向さんが付いて来ないで不知火とポイポイだけで回る、となっていたら‥‥‥少し残念であると同時に安堵を覚えます。正直さっきの今で、ポイポイと二人きりにされたら何を話してよいのか分かりませんし。
「そう言えば今回は秘書艦の神通では無いのだな?」
日向さんの言葉に努めて冷静に返します。「神通さんはポ‥‥‥司令が不在の呉を守る役目がありますからね」と。危ない危ない、不知火としたことが危うくポイポイと言ってしまうところでした。
「そうだな」と納得してくれた様子の日向さん。しかしながら何と言いますか、どうにも含みのある言い方に聴こえるのですが。
今回は予告通りのぬいぽい回です。一言で表すとすれば
師 匠 登 場
まぁ、そうなるな。
(祝)師匠こと航空戦艦日向(艦娘)、公式に舞鶴の海自のマスコット(海上自衛官募集中のウチワに瑞雲祭ver.の姿が堂々と掲載されてる)になる‥‥‥。
ラバウルの提督の皆様、心中御察しします。
データベース損傷により最初期の横鎮(記憶曖昧)以来のロールバックになるとは。他のサーバーは更新済みで、今はラバウルが一番古いサーバーでしたからね。不具合も起きやすかったのかも知れません。
運営も徹夜の復旧お疲れ様でした。一日分のデータのみの消失だけで済んだのは幸か不幸か。中にはその『消えた一日』に伊504や大鳳を沈めてしまったけどロールバックで帰ってきた、という強運提督も居たようですが、それはあくまでも特殊な例ですね。
とは言え他人事とは思えませんので運営には再発防止を(と言っても限界はあるでしょうが)徹底していただきたい所です。起こったのがイベント中でなく備蓄期間中、という事だけは不幸中の幸いといえるかな?
夏イベントが八月?後半で明言。
艦これONICEが関係しているかも知れない(邪推かな?)と考えると特効艦はONICEで出ていた艦娘達の面々(加賀、瑞鶴、金剛etc.)、ボスは伊藤みどりさん(おい)、最終海域突破報酬が深海氷上棲姫の艦娘化(まさかのハボクック?)では?なーんて。
‥‥‥そんな事より日本海軍最後の幸運艦・竹の実装はまだですか?真面目に今は亡き爺さんの乗ってた船なんですよ‥‥‥。