抜錨するっぽい!   作:アイリスさん

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風雲、始動

 

 

‥‥‥はぁ。憂鬱だけど、行かなきゃ。私は、目の前の扉に手を掛けた。

 

「よぉ、やっと来たな。相変わらずなツラしてるな」

 

風雲よ。

扉をゆっくりと開いた部屋の中、無造作に置かれたパイプ椅子に座って待ってたのは、天龍さん。それから、その右肩に例のエメラルドグリーンの髪の応急修理女神妖精さんが座ってた。

 

『風雲、ちーっす』

 

これで始まっちゃうんだなぁ。本当に私なんかが強くなれるのかな?確かに目は他の艦娘よりは良いかも知れないけど、それだけなのよ?艦娘としての動きはどう贔屓目に見ても劣ってるもん。きっと私みたいなのが努力しても、精々他の子に追い付くのがやっと。それなら陽炎を鍛えたほうが‥‥‥。

 

「言っとくけどな風雲、お前に拒否権は無え。これは提督命令だからな。嫌なら解体して退役しろ」

 

退役‥‥‥それも‥‥‥嫌だな‥‥‥。またあんな‥‥‥苛められないように目立たないようにひっそりと生きるような毎日は‥‥‥。ここには優しく接してくれる先輩や、私みたいなのにも気さくに話してくれる同僚も居るし。だから前みたいな生活には戻りたくない。

 

「分かりました。やります」

 

私には選択の余地なんて無い。変われるのなら、勿論変わりたい。みんなのように、もっと自信を持てるようになりたい。

 

「おし、じゃ先ずはソコに座れ」

 

天龍さんに言われて、私も向かいに置いてあったパイプ椅子に座った。何をするのかな?今日は軽く説明だけして終わり‥‥‥のわけ無いよね。

 

「よし、じゃあお前の長所を言ってみろ」

 

え?私の長所なんて、他の子と比べたら目の良さくらいしか。

 

「目の‥‥‥良さ?」

 

「なんで疑問系なんだよ」って呆れて溜め息をついた天龍さん。だって、私ずっと自信なんて物とは無縁だったし。

 

『風雲ってさ、砲雷撃の成績も悪くないよね。平均よりは上かな』

 

え?妖精さん、そうなの?みんな私より出来るとばっかり思ってたから、砲雷撃も他の子にどうにかついていけてる、位の認識だったのに。そっか、私、平均より上だったんだ‥‥‥ちょっと嬉しい。

 

「んで、だ。お前の短所は何だ」

 

‥‥‥来た。正直、沢山あってどれから話していいか分からない。私が何を言うか迷ってる間に天龍さんが先に口を開いた。

 

「お前の最大の短所は、そのドン臭さから来る近距離戦での圧倒的な弱さだ。ハッキリ言うが、これは駆逐艦としては致命的だ」

 

致命的‥‥‥。そっか、そうだよね。駆逐艦なら敵に肉薄して戦わなきゃなのに、その肝心の近距離戦が苦手なんて。確かに致命的ね。とんだ欠陥品よね、私って。‥‥‥泣きそう。

 

『ちょっと、風雲泣きそうじゃん!?天龍ってばもう少し言い方ってあるでしょ!』

 

「んだよ、事実だろ。寧ろ今ここで指摘しなきゃ始まらねぇだろ」

 

妖精さん、気遣ってくれてありがとう。でも天龍さんの言う通りだから。私、なんで駆逐艦になっちゃったんだろ。せめて遠距離戦のできる艦種か補給艦とか工作艦みたいな後方支援だったら良かったのに。それか提督みたいに才能があったら良かったのにな。

 

「よし、話は分かったな?んじゃ今から特訓するぞ」

 

‥‥‥え?は?え?特訓?

そう、特訓。それも、今のみんなみたいに神通さん式の訓練じゃなくて、私が艦娘になったばかりの初期に受けてきた訓練をやるんだって。そうだよね、ドン臭い私には新人が受けるような訓練を受けるのが順当よね。

 

あれ?他の子達とは別のメニューって、基礎中の基礎訓練の事?それってやっぱり私が落ちこぼれだから、よね?ついていけないんだから最初からやり直すなんて当然‥‥‥そうだよね、はぁ。一体何を期待してたんだろ。出来ないんだからそんなの当たり前だよね‥‥‥うぅ、グスッ‥‥‥。

 

『あーっ!?風雲泣いちゃったじゃん!天龍が泣かせた!』

 

「だーっ、面倒臭ぇ!?俺のせいかよ!?」

 

もういいよ。私なんて居なくても変わらないよ。そうよ、もういっその事妖精さんが私の代わりに風雲になればいいのよ。妖精さんなら私と違って能力も高いし、この目の良さもきっとフルに活かせる。だから妖精さん、また私の中に入ってくれていいよ。私の存在なんてどうせ‥‥‥。

 

「妖精さん、また私の身体を使って。私なんかより妖精さんが風雲になった方が‥‥‥」

 

私のその言葉に天龍さんはキョトン、として、妖精さんは『あ、ヤバッ』って表情に変わった。

 

「おい『鈴谷』、今の風雲の話どういう意味だ?」

 

『‥‥‥いや、まあ話の流れって言うかね』

 

アハハハ、って苦笑いしてる妖精さん。あ、妖精さんに魂が上書きされちゃう、っていうのは天龍さんも知らなかったのかな?

あれ?天龍さん今、妖精さんの事『鈴谷』って呼ばなかった?

 

『あー、えーっと、風雲、ゴメン。あれ嘘だから』

 

う‥‥‥そ‥‥‥?じゃあ、妖精さんに身体を預けても『私』は消滅しないって事?じゃっ、じゃあ!妖精さんが私の身体に入ってくれれば、私も‥‥‥!

 

けど、勿論妖精さんは拒否。そもそもあれは一回やっただけで相当疲弊するみたいで、一日に何度も戦闘できるような仕様じゃないみたい。それに、そっちに集中しちゃうと本来の『応急修理女神』としての働きが出来なくなるって。そっか、それなら前回のショートランドの時は妖精さんにかなり無理させちゃったんだね。ごめんね、妖精さん。

 

「よし、んじゃそろそろやるか。立て、風雲。移動するぞ」

 

「‥‥‥はい」

 

私はパイプ椅子から立ち上がって、天龍さんの後に続いて部屋を出た。

それと、天龍さんの代わりに妖精さんが説明をしてくれた。

私自身の運動能力が水準未満でもう一度基礎からやり直した方がいい、っていうの自体は本当。でも本来の目的はそこじゃなかった。

 

『つまりさ、運動能力の部分は人並みにこなせるようになってくれれば充分なんだよね、風雲の場合はさ』

 

運動能力は人並み、他の部分を大きく伸ばしていこう、って方針だったみたい。ほら、テストで30点しか取れない教科を得意教科にするのって難しいでしょ?でも平均くらいに上げるのならなんとかなる。それに苦手教科より得意教科のほうが伸ばしやすいでしょ?あれと同じような感じだって。‥‥‥本当はちょっと違うけど。

 

それと、これから私の指導に当たるのは天龍さんと妖精さん、それに暁先輩と不知火先輩もだって。あれ?暁先輩と不知火先輩?それって、それってまさか、私に二人と同じようなポジションになれって事?無理無理無理!私に艦隊の司令塔なんて務まる訳無いよ!

 

『大丈夫大丈夫、風雲ならやれるって。私が言うんだから間違い無いって』

 

そんな事言われても。今日本に居る駆逐艦の中でも司令塔としては群を抜いてる二人なのに。それに追い付くなんて流石に無理よ。それに妖精さんは艦娘の事なんて‥‥‥あれ?そういえば妖精さん、私なんかより艦娘としての動きは良かったよね?それに駆逐艦の身体はどうとかも言ってたし。それにさっき天龍さんに『鈴谷』って呼ばれてたよね?

 

『あー‥‥‥面倒だから話したく無かったんだけど』

 

私の疑問に、妖精さんは面倒そうにしながらも応えてくれた。妖精さんは元々は先代の艦娘鈴谷だったって事。どういう理屈かは分からないけど魂が妖精の形をとって現世に戻ったのが今の妖精さんだって事も。

やっぱり艦娘も妖精も不思議な存在よね。

 

 

 

兎に角、暁先輩や不知火先輩みたいにはなれなくても。少なくとも他の子達と同じくらいにはなれるように頑張ろう、うん。そうすれば、もう少し自分に自信が持てるようになるかも知れない。そう思うしかない。

 

妖精さんが今の鈴谷さんのお姉さん、って事を私が知ったのは、もう少し後になってから。

 




風雲回となりました。
風雲さんが動き出しました。遠くない将来、きっとなくてはならない司令塔として君臨する日が来るのでしょう。それまで頑張れ風雲(すっ惚け)


※※以下ネタです(初秋イベントネタバレ含む)※※

◆◆集積地棲姫の受難パート2◆◆

2018初秋イベ、E4マルタ島沖最深部

集積地棲姫(以下集積)「マタ‥‥‥アイツラマタ来ヤガッタ‥‥‥モウヤダ‥‥‥」

集積「前ニ スエズ運河デ ボコボコニヤラレテ‥‥‥サッキハ マラッカ海峡デヤラレテ‥‥‥ダカラ今回ハ船渠棲姫ヲ連レテキタ!道中ニハ万全ヲ期シテ レ級ヲ配置!艦娘ドモハ道中大破撤退不可避!辿リ着イテモコッチノ連合艦隊相手ニ大破撤退不可避!コレデ勝ツル!」

船渠棲姫「‥‥‥来タミタイダヨ?」

集積「ナン‥‥‥ダト‥‥‥?」



ザラ「‥‥‥居たわ!」

イタリア「大鳳さん」

大鳳「ええ、分かったわ」



集積「マダ!マダ負ケタ訳デハナイ!コッチハ連合艦隊、向コウハ6隻!マダ勝テル‥‥‥アッ」

――基地航空隊爆撃――

大鳳「全機発艦!」

集積「マダダ!マダ‥‥‥コッチモ発艦‥‥‥アッ」

照月「ガンガン撃って!長10㎝砲ちゃん、頑張って!」対空カットイン!

集積「ヨリニモヨッテ何デオ前ガ!?」←スエズ運河の件で照月の事がトラウマ

――集積側の撃墜被害多数――

集積「マダダ!マダ砲撃戦ガ残ッテ‥‥‥アッ」

荒潮「いくわよぉ」
E:大発動挺(八九式中戦車) (※特大発(士魂部隊)だと更にアホみたいなダメージが出ます)
E:特二式内火挺
E:WG42

集積「チョッ!?待テ待テ待テ!話セバ!話セバ分カル!」

荒潮「あらあら~?」

集積「ナッ?少シ落チツケヨ!ソンナ事シナクテモ船渠棲姫ダケ撃沈スレバ勝テルンダゾ?船渠棲姫ダケ狙エヨ!」←HP720

船渠棲姫「チョット!?ウラギリモノ!!」

荒潮「‥‥‥手が滑っちゃったわぁ」発射

集積「チョッ‥‥‥ギャアァァアッ!?」damage1083!一撃破壊



船渠棲姫「」ガクブル

荒潮「あらあら、結構壊しちゃった」ニッコリ

船渠棲姫「ア、コレデナントカ見逃シテクダサイ」つ《マエストラーレ》

集積(モウ嫌ダモウ嫌ダモウ嫌ダモウ嫌ダ‥‥‥)破壊



※因みに上記対地装備の荒潮さん、夜戦で集積相手に3000近いダメージ叩き出してビックリ。ウチのダメージコンテスト暫定一位。


2018初秋イベント見事クリアした提督の皆様、お疲れ様でした。私も何とかクリアしてネルソンを入手出来ました。E5第2ゲージを割るのにかなり苦戦しましたが、今回は随伴艦三隻残した状態の夜戦で北上様が見事仏棲姫を魚雷カットインでスナイプ撃沈してゲージ破壊してくれました。神様仏様北上様。
因みに潜水艦デコイ作戦はダメコン消費が激しいので避けました。

(なお、E5第2ゲージを機動部隊で突破した提督が現れた模様。敵随伴が陸上型なので空母で仏棲姫タコ殴りにできるようです。詳細は‥‥‥調べれば出てくるかと)

第3ゲージは装甲破壊ギミックのお陰でかなり楽でしたね。最後の一撃はアイオワさんが昼戦で撃破。流石はヒーロー!

謎だった新艦最後の一隻はマエストラーレ級一番艦マエストラーレでしたね。
マエストラーレチャン…アッ…アッ…アッ…(青寒天に駆逐艦描かせたらアカンと何度言ったら‥‥‥)。

今回のイベントのラスボスはゴトランド掘りではないでしょうか。E4ではドロップするけど道中のレ級のせいでそもそもボスに辿り着くのが辛い、E5でもドロップはあるけど掘るなら第3ゲージ(第1ゲージボスでも落ちるがゴトランドのドロップ率はかなり低い)ですからね。

私もE5第1ゲージで落ちる、と聞いてE5第1ゲージボス100周近く回りましたがドロップしませんでしたからね(周回の間ビス子が三隻ドロップ、一航戦や二航戦ドロップも多数。今回はお前等じゃないんや‥‥‥)。結局E5ではドロップ諦めてE4周回して出しました。レベル50で不安ながらも連れて行ったアークロイヤルがレベル80越える程度にはE5第1ゲージボス周回しましたからね‥‥‥。(なお、E4でじじ艦全部ドロップする模様)

これからゴトランド掘りの方は頑張ってください。
未確認ですがE5第2ボスS勝利甲乙限定で伊14がドロップするらしいです。‥‥‥E5第2ボスS勝利?冗談キツいですよアハハハハ。

では私はルイージ掘りにE4行ってきます‥‥‥。




大和「あの‥‥‥ケッコンカッコカリまでした私の出番は?」※今回のイベでは大和さんの出番は(支援でも)ありませんでした。万能過ぎる武蔵改二と伊勢改二が悪いんや‥‥‥。



追記
オイゲン「ライン演習ですか?‥‥‥あぁなんだ違うのかぁ」

‥‥‥ライン演習だよっ!!(迫真のツッコミ)
となった提督は私だけではない筈。



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