抜錨するっぽい!   作:アイリスさん

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友軍艦隊

「来てくれてありがとう、由良」って笑う、ソファに腰掛ける沖立少佐に「私こそ。会えてうれしいです。ねっ、少佐?」って敬礼したまま微笑み返す由良さん。

 

はいはーい、白露型駆逐艦三番艦、村雨よ。

佐世保鎮守府所属の由良さんと私は今、沖立少佐に呼ばれて呉鎮守府の執務室に来てます。私達はこれからマックス、リベッチオ、ショートランドの龍驤さん達と一緒に潜水棲姫討伐部隊と合流する予定。改二になって初めての出撃だけど、由良さんが居るのは心強いかな。ほら、嘗ての戦争で由良さんが四水戦の旗艦をしてた時に私達第二駆逐隊も四水戦に編制されてたでしょ?

 

艦娘としては第二駆逐隊のみんなとはまだ一緒に戦った事は無いんだけどね。五月雨は引退しちゃってるし、今の私の実力じゃ春雨とは一緒の艦隊にしてもらえそうにないし、夕立‥‥‥沖立少佐は言わずもがな、ね。何て言うか、沖立少佐は私達を率いる提督だし気軽に「夕立」なんて呼べないよね。

由良さんは三人とは組んだ事あるみたいだけど。やっぱりちょっと羨ましいかなぁ。

 

「‥‥‥って、村雨?話は聞いてた?」

 

「‥‥‥へっ?うん‥‥‥あっ‥‥‥じゃなくて、はい、少佐」

 

いけないいけない。話し掛けられてるのに気付かなかったわ。もぅ、折角の機会なのに駄目ね、私ったら。

 

「そんなに畏まらなくても大丈夫。此処にはいま私と由良、村雨しか居ないんだから」

 

少佐に余計な気を使わせちゃったみたい。「もう少し砕けた話し方でも平気。なんなら『夕立』って呼んでくれても大丈夫よ?」ってまで言ってくれたけど、流石にそこまでは、ね。

 

「‥‥‥‥‥‥っていうのが現状コチラで分かってる事。後は向こうに着いてから確認してもらうしか無いわ」

 

そのあと把握してる情報を教えてもらったんだけど。ふぅん、そっか。潜水艦の姫級もやっぱり元艦娘なのね。EUROの対潜水艦部隊でも苦戦する位だし、気は抜けないわね。「二人とも、期待してるわ」って言われたけど、正直勝てるかは五分五分じゃないかしら?改二になった自分の力を信じるしかないわね。

 

少佐の説明だとショートランド泊地からの迎えの艦隊が来るまではあと1日。それまで呉でゆっくりできるみたい。それなら少しの間だけど少佐と色々話してみたいかな。

 

あ、ノック音。秘書艦の不知火が戻ってきたみたいね。その手には大量の書類。前から思ってたけど、呉の提督って大変な仕事よね。

 

「どうやら話は終わったようですね。司令、こちらは軍令部からの書類です」

 

「ええ、ありがとう」って不知火からその大量の書類を受け取る沖立少佐。うーん、由良さんから「夕立」として活躍してた頃の話を聞いた事あるけど‥‥‥想像してた「夕立」とは全然違うわね。そもそも『ぽい』って口癖もださないし。

 

「今日の所はこのくらいかな。由良も村雨も、少しの間だけどゆっくりしてね」

 

うーん、何しよっかな?呉の施設を見て回るのも良いけど‥‥‥間宮さんの所に行くのも悪くないし‥‥‥少佐とも話をしたいけど忙しそう、よね?

 

「‥‥‥少しの間ならば問題もないでしょう。司令、積もる話もあるでしょうし、三人で間宮にでも行ってきたらどうですか?」

 

不知火が気を利かせてくれるみたい。それならお言葉に甘えちゃおうかな。色々と聞いちゃおっかな。

‥‥‥あれ?言った割には不知火、何だかモヤモヤしてる感じね?何だろう?あ、由良さんが不知火に近付いて行って何か耳打ちしてる‥‥‥不知火の顔が紅くなったみたい。あの子、あんな表情もするんだぁ‥‥‥。

 

少佐が「不知火さんも一緒に来る?」って気を利かせて聞いてる。なーんだ、不知火も一緒に休憩したかったのね。

でも不知火も体裁もあるみたいで「いえ、不知火はその間に出来る事をしておきますので」って紅くなりつつも拒否してるわね。別に休める時は休めば良いと思うけど、不知火は真面目ね。

 

「じゃあ現時刻をもって不知火さんは休憩。これは提督としての命令です」って少佐。不知火も命令じゃ拒否出来ないみたい。「‥‥‥司令は卑怯です」って言って視線を逸らせた。でも満更でもないみたい。

 

「話は纏まりましたか?そういう事だから不知火さんも一緒に、ねっ?」

 

そう言って由良さんが不知火の背中を押す。私も行こう。久しぶりの間宮さんの甘味も楽しみ‥‥‥は良かったんだけどね。

 

 

 

「そういう事だから。諦めて休憩。ね、ヌイヌイちゃん?」

 

「‥‥‥やっぱりポイポイは卑怯ね」

 

 

 

‥‥‥え?二人とも何だか急に砕け過ぎじゃない?少佐と不知火が古くからの戦友っていうのは知ってるけど‥‥‥何だか不知火の様子も‥‥‥あっ‥‥‥ふぅん、そういう事ね。フフッ、聞きたい事が増えちゃったみたい。村雨はスタンバイOKよ!間宮さんの所へ急ぎましょ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ぬかりました。不知火の落ち度です。由良さんも何が「大丈夫、貴女の提督さんを盗ったりしないから。ねっ?」ですか!ポイポイもポイポイよ!二人が居る場で「ヌイヌイちゃん」等と呼んで‥‥‥おかげで村雨さんにまで不知火の気持ちを気付かれたではありませんか。

 

そんな訳で不知火は今、間宮さんの甘味処へと強制連行されている最中。村雨さんに手を引かれ由良さんに背中を押され。ポイポイは後ろから笑顔を見せながら付いてくるだけで不知火を助けようという様子は全く有りません。

これから二人に誂われるのだと思うと気が重いですね。そういう事は不知火の柄ではありません。

 

‥‥‥まぁ、考えようによっては不知火とポイポイの仲が公認になるのですから良い事と言えない事もない訳ですが。これでポイポイに付きそうな悪い蟲が居なくなるのなら‥‥‥いえ、そもそもポイポイと不知火はケッコンカッコカリしているのですし、指輪もしていますし元々公認‥‥‥しかしやはり周囲の認知というのも‥‥‥いやしかし‥‥‥。

 

駄目ですね。このような事態が起こる事など頭の片隅にもありませんでした。恋は盲目とはよく言ったもの。不知火も周りが見えていなかったようです。これは反省点ですね。今後はプライベート以外では態度に出さないよう気をつけなくては。

 

「それで?不知火と少佐のどっちから告白したの?」

 

待ってください村雨さん、せめて間宮の個室に着くか不知火の部屋で聞いてください。他の艦娘の往来もあるこの通路の真ん中でそのような質問を‥‥‥ほら見なさい、不知火達の近くの艦娘達が歩みをゆっくりにして聞き耳をたてているではありませんか。これは一体なんの拷問なのですか。不知火が何をしたというのですか。

 

「駄目よ村雨。ここでは少佐にも迷惑が掛かるし。そういう事は落ち着いてから根掘り葉掘り聞かないと、ねっ?」

 

ねっ?ではありませんよ由良さん。この屈辱は忘れません。二人とも覚えておきなさい!

 

「まあまあヌイヌイちゃん。聞かれて困るような悪い事でもないし」

 

ポイポイは少し黙って!火に油を注がないでください。村雨さんも「へ~ぇ、ヌイヌイちゃん、ねぇ?」ではありません!

白状します、しますから。せめて、せめて、間宮で落ち着いてからにしてくれませんか。




新年あけましておめでとうございます。
年末年始の多忙+艦これ冬イベ+体調不良で更新遅れました。
新年最初は不知火の惚気からスタート。ゲストは冬イベE1特効艦の村雨さん。由良と共にスエズ運河へと向かいます。


※※以下ネタです※※

◆◆◆神風さんの受難◆◆◆

Bep「響改めヴェールヌイだよ。今日はロシア語講座だよ」

神風「どうして急に?」

Bep「同志Ташкентの提案でね。『この艦隊には恥じらいが足りない』そうだよ」

漣「恥じらい?」

照月「どうして?」

Bep「照月、正月の料理の事を覚えているかい?」

照月「覚えてるよ。大きくて食べたことない美味しいエビが」

Bep「それだよ。エビはロシア語で『●●●』って意味なんだ。あまりに連呼するから同志Ташкентが顔を真っ赤にしてたよ 」

照月「え゛っ‥‥‥」カオマッカ

漣「OH」

Bep「漣も人の事は言えないよ。「ほいさっさ」はロシア語で『アレをしゃぶる』って意味だよ」

漣「ちょっ!?」

神風「えっと‥‥‥つまり漣は司令官に事あるごとにアッ、アレをしゃぶ‥‥‥」

漣「オイやめろ」

照月「」

Bep「だからロシア語講座で勉強だよ」




という訳で。冬イベントも無事クリアしてきました。e2
を20週ほどで早波ドロップ、e3を30週ほどでジョンストンをドロップと比較的運良く行けました。今現在掘り真っ最中の提督の皆様、頑張ってください。
日進は最強水母、ハッキリ分かんだね。

‥‥‥なお、去年一番の掌返しはナガモンタッチこと『一斉射か、胸が熱いな』砲でしたね。

e1で特効艦の村雨さんが深海村雲さんにほぼ必ず中大破させられ印象深かったので今回の話に出てもらいました。

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