抜錨するっぽい!   作:アイリスさん

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終幕 『Last dance』
船首と船尾。


‥‥‥。

瞼を開いて、仰向けに横になっていた身体の上体だけを起こす。

ここは何処でしょうか?見覚えの無い場所‥‥‥何処かの島の浅瀬?

うっ‥‥‥頭が痛い。上半身に不思議な違和感があるし、何だか喉の奥がジンジンと痛む気がする。一体私に何があったの?ええと‥‥‥。

駄目だ、思い出せない。何かを為さなきゃいけなかった筈なのだけど。

 

「起きた?大丈夫?」という声がして、私は顔をあげた。そこには長い髪を束ねた女性がいたわ。

フードの付いた帽子を顔を隠すように深く被った、私に話し掛けてきたこの人‥‥‥誰、だっけ?

 

『貴女ハ、ダレ?私ハ、一体‥‥‥ウッ、頭ガ‥‥‥』

 

まだ頭が痛んで、右手で額を押さえる。彼女は私に近寄って来て私の顔を覗き込む。その表情は心配そう、とかじゃなくて、苦笑いだった。

 

「まだ無理しては駄目よ。治したばかりなんだから」

 

治した?私、そんな大怪我をしていたの?思い出せない‥‥‥。

ああ、でも喉や上半身に違和感があるのはそういう事なのね。私はその場に立ち上がろうとした。けれど、イマイチ足に力が入らない。

 

『チカラガ‥‥‥』

 

「心配しないで。只の燃料不足だから。‥‥‥集積さん?」

 

彼女は私から視線を逸らせ、私の背中の方角の一点を見ている。その方角から別の人の声が聞こえてきた。

 

『オ前ナァ、ダカラソノ『集積サン』ッテ呼ブノ止メロッテ言ッテルダロ』

 

そう悪態をついた彼女、首にマフラー代りに巻ける程大きく長い三つ編みの髪、メガネにヘッドフォン。ただ、着ている服もそうだけれど肌が‥‥‥。

 

『‥‥‥青白イ』

 

呟いた私の声が聞こえたみたい。その『集積』なる彼女が私を睨む。普通なら身が竦むような鋭い視線。でも、不思議と全く恐怖は感じない。それに、私はこの『集積』なる彼女を知ってる‥‥‥?

 

彼女が発した『オ前モ同ジダロ』という言葉。言われて気が付いた。私も、彼女と同じように青白い肌。私は‥‥‥駄目。思い出せない。

 

そんな私を見て集積?は『‥‥‥コイツ本当ニ思イ出スノカ?コノママッテ事ハ無イダロウナ?』って少し苛ついてるみたい。それに比べて髪を纏めてる女性の方は落ち着いた様子ね。

 

「大丈夫。翔鶴さんも思い出すのに何日か掛かったみたいだし」

 

そう言えばこの人は普通の肌色なのね。私と集積?が異常なのか、それともこの彼女がおかしいのか。まだよく思い出せない。

 

『フーン、翔鶴モカ‥‥‥ソレナラ、マアイイカ。ホラヨ』

 

集積が私に向かって何かを投げた。缶ジュース‥‥‥かと思ったら小さいサイズのドラム缶。

 

『中ハ燃料ダ。飲メバ少シハ動ケルヨウニナルダロ』

 

言われるままにそのドラム缶の中身を飲み干す。あっ、本当ね。さっきまで動くのも大変だった身体が、急激に軽くなった。今なら立てそう。

その場にスクッと立った、けれど。私はバランスを保てずに尻もちをついて。お尻に弾かれた海水がパシャンと勢いよく跳ねた。えっ、あれっ?上手く立てない?

 

「さっきも言ったけど、まだ無理しないで。貴女は上半身が馴染むまで休んでて。ねっ?」

 

上半身が、『馴染む』まで‥‥‥?

 

『オ前ヲ連レ出スノニハ苦労シタ。アノ糞軽巡ニ潜水艦ガカナリノ数ヤラレタシナ。オ前ハオ前デ上半身吹キ飛バサレテ無クナッテルシナ。オ蔭デ折角集メタ資材ヲカナリ使ウ羽目ニナッタンダゾ』

 

上半身が、吹き飛ばされ?‥‥‥集積?の言うことは俄には信じられない。上半身無くなって生きてるニンゲンなんて‥‥‥あれ?私、ニンゲンじゃないんだっけ?確か‥‥‥。

 

ハギ‥‥‥カゼ。

そうよ、私は『陽炎型駆逐艦・萩風』。ニンゲンや艦娘の言うところの、深海棲艦とかいうのだった。

確かあの時は‥‥‥電をあと一歩で轟沈せしめる、って所で夕立に沈められたんだっけ。あの時の事は忘れない。夕立に、喉の奥に砲塔を押し込まれて内側から何度も砲撃された事も。その砲撃で私の首の後ろに開いた穴に魚雷を押し込まれて爆破されて上半身を吹っ飛ばされた事も。

 

待って。私が何者であるかは思い出したし、やらなきゃいけない事も分かる。でも、一つだけ腑に落ちない事がある。

 

『貴女ハドウシテ此処ニ居ルノ?ドウシテ私ヲ助ケタノ?何ガ目的?』

 

私は、フードを被った髪の長い彼女に殺意を込めた視線を向けた。だってそうでしょ?この彼女‥‥‥私達の敵だもの。私と集積の前に単艦で現れるなんて良い度胸ね。精々藻掻き苦しんで死ねるようにしてあげる。

 

『ハギカゼ、待テ待テ。コイツハ撃ツナヨ。コイツハ此方側ダ』

 

私の視線に、集積が割って入った。此方側?敵なのに?沈めるなって事?どうして?

 

『時間ハ有ルカラナ。オ前ニモ分カルヨウニ説明シテヤル』

 

集積はそう言ってこの目の前の憎き彼女の事を説明し始めた。そうね。私の身体もまだ自由が利かない状態だし、言い訳くらいは聞いてあげる。

 

‥‥‥『夕立さん』、今度こそ沈めてあげるわ。話によると今の貴女は昔のような力は出せないんでしょう?『不知火姉さん』の絶望する表情を見るのが楽しみね。私は陽炎と同じ轍は踏まないから。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「いらっしゃいま‥‥‥何だ、大淀じゃないの」

 

「アラ、それがお客様に対する態度?」

 

妙よ。

何よ、文句あるの?私と大淀の仲なんだからいいでしょ。普段はTPOくらい弁えてるわよ。ほら大淀だってクスクス笑ってるし、ちゃんと解ってくれてるじゃない。

 

「カウンターでいい?」

 

「今日は待ち合わせだからあそこの席にするから」

 

大淀が待ち合わせ?珍しいわね。いっつも一人酒からのカウンターの連中と意気投合、ってパターンなのに。

‥‥‥ハハーン、さては男ね?

 

「はいはい分かったわよ。それじゃ大淀、ゆっくりしていきなさい」

 

「何よ?ニヤニヤして」

 

そうかそうか、あのカタブツの大淀にも男が、ねぇ。なーんか感慨深いわねぇ。酒でもサービスしてやろうかしら。

 

アラ、「いらっしゃいませ」ってレンの声のトーンが少し高いわね。誰か知り合いでも‥‥‥って山本中将じゃないの。まさか大淀の相手って‥‥‥いやいや、決め付けは良くないわね。職場では話し難い事かも知れないし。恋愛相談とか、ね。大淀の周りには頼りになりそうなヤツ居ないからね‥‥‥私を含めて。チッ。

 

っと思ったけど、それも違うみたいね。山本中将の影に隠れて見えなかったけど曙も居るわね。レンのトーンの高さは曙が原因か。

 

山本中将と曙と大淀か。これはまた何かあったのかしら?それとも単に三人で飲もう、って事になったのかしらね?それにしては三人共表情が硬い気がするのよね。

 

「レン、それとなく三人の会話聞けないかしらね?」

 

「盗み聞きなんて良くないよ、妙さん」

 

まあレンの言う通りなんだけど。ほんのちょーっとだけ昔の血が騒ぐのよね。それに、あの大淀の表情も少し引っ掛かるし。あれは何か問題が起きた時の顔なのよね。欧州遠征に不備でもあったのかしら?

 

いや、態々ウチの店を使ってるって事は鎮守府や軍令部内では不味い内容って事か。嫌な予感がするわねぇ‥‥‥。

 

 

 

 

 

「それ本当なの?大淀さん」

 

「ええ、曙さん。どうやら駆逐水鬼‥‥‥『萩風さん』で間違いないようです。それから、もう1つ問題が」

 

「大淀が僕らを此処に呼び出したのはそっちの話か」

 

「はい、山本中将。まだ正体も目的も不明ですが‥‥‥」

 

 




※三章が長いので最終章として四章を新設しました。

集積地さん本編に初登場。それと駆逐水鬼こと萩風が再起動。そうです。船尾が生きてれば何とかなるのが当時の駆逐艦。なので頭(船首)吹っ飛ばされたくらいでは消えません。

因みに集積地さんの言う『糞軽巡』とは那珂ちゃんの事です。




※※以下ネタです※※

――とある埠頭――

北上 ボケーッ

神風「ここに居たのね」

北上 ボケー

神風「何してるの?」

北上「……見て分かんない?海を見てるんだよ」

神風「そうじゃなくて」

北上「……んー、ほら、夕立や他の子達も育ってきたじゃん?アタシもそろそろ引退してもいいかな、ってね」

神風「引退?」

北上「そうそう。前線で身体張るのも疲れるしさー」

神風「……」

北上「高速輸送艦とか工作艦とかの裏方になった方が楽だしね」

神風「でも司令官に頼られるのは悪くない、って思ってるんでしょ?重雷装巡洋艦は決戦兵器な事に変わりはないし。司令官にとって北上さんは今も懐刀だし」

北上「…………やっぱ駆逐艦、ウザいわ」

神風「はいはい、ウザくて結構よ」

北上「……ったく、調子狂うなぁ」

神風「ほら、もうすぐ出撃なんだから戻るわよ?」

北上「へいへい、わかりましたよ、っと」

神風「そうだ、喉渇いてるわよね?はい、お茶。『ぺっとぼとる』だけど」つ旦

北上「ん……………ありがとね」ボソッ



……神×北流行らないかなぁ チラッチラッ



一般公開された護衛艦むらさめの装備説明のパネルが艦これの艦娘ステータスそのまんまだったみたいですね。見に行きたかったなぁ。

てか三越コラボ、8万円オーバーの艦これ仕様スーツが売り切れとかみんな金持ってるなぁ‥‥‥私も傘くらいは欲しかったんですがね。時既に遅しでした。

甘党の自分としてはHIROTAさんのコラボシューアイスは是非とも手に入れたい所です。あ、因みに例のコラボカントリーマァムは手に入れましたよ。マグシートは藤波でした。

瑞雲祭り再び&今月中に師匠こと日向が改二実装決定。どうやら伊勢改二と同じになる模様。

先月末にランカー争いしてたおかげでウチの泊地もケッコン艦が計16人になりました。
7ー1周回してたおかげで夕立(Lv95)、霞(Lv97)、照月(Lv94)が99に到達。順次ケッコンカッコカリ(夕立→Lv120、霞→Lv117、照月→Lv109)してきました。固定要員だった阿武隈は143までレベル上がりました。

夕立は海防艦食わせて耐久37に改修成功。コツコツ上げてた運がケッコンカッコカリで50到達したので魚雷二本で夜戦キャップいける夕立が次のイベントからカットイン艦として出せるよやったー(上の神×北の「夕立や他の子~」のくだりの元ネタ)

今はマエストラーレを育成中。もう少しでケッコンカッコカリできます……アッ……アッ……

因みに魚雷カットイン(運49以下の場合)確率は

{0.75×√(Lv)+15+運}÷122

例:レベル100で運40だと
(0.75×10+15+40)÷122=0.512295

だった筈なので運40あれば50%越えます(それだと当たるも八卦当たらぬも八卦ですが)。まあ運は50(カットイン率約60%前後)まで上げときゃ間違いは無いでしょう。個人的には旗艦補正や探照灯、照明弾、見張員等を上手く使えば運40でも実用レベルだとは思いますけどね。

(運50以上は{0.8×√(Lv)+65+√(運-50)}÷122だったかと)


え?ランカー争いの結果ですか?最後の2日間ロクにin出来ずに敗れましたよアハハハハー
EO全部割って新三川、Z砲等の戦果砲も撃ったのに……みんなどんだけ周回してるんだよ……もっと早く手を付ければ良かった……

桂島サーバーでランカーになってる提督とかホントスゲーなおい


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