ぽい~♪水族館~♪水族館っぽい~♪熱帯魚っぽい~♪クラゲさんっぽい~♪今日はみんなで水族館に‥‥‥あっ‥‥‥‥‥‥演習に来たっぽい‥‥‥。
残念だけど萩風だけお留守番。風邪ひいちゃったっぽい。艦娘でも風邪はひく。しかも、怪我じゃないから入渠でも治らなくって。仕方無いっぽい。萩風の事は五十鈴さんが看てくれてる。『私の事は気にせず楽しんで来てください』って言ってた萩風のぶんも水族館を堪能‥‥‥じゃなかった、演習頑張ってくるっぽい。あ、でもお土産は買っていってあげようっと。忌々しいペンギンのヌイグルミは除外するとして、何が良いかな?
敷地の大きさ自体は呉や横須賀に比べたらそこまでじゃない鎮守府だけど、本棟はそれなりに大きい。やっぱり元水族館だけの事はある。建物の外壁は呉鎮守府の色に似てる。円形の棟が本棟に幾つかくっついて建ってる、いかにもな建造物。それに、工廠が本棟内にあるっぽい。普通は工廠は別の棟だから、少なくともアタシにとっては珍しい鎮守府っぽい。
今回のメンバーは、アタシ、ヌイヌイちゃん、雪風ちゃん、吹雪ちゃん、暁ちゃん。それから、引率で熊野さん。つまり、この6人が演習のメンバーっぽい。あ、第2艦隊にも勿論駆逐艦の子はいるけど、今回は万が一の有事に備えてお留守番だって。その子達の分もお土産買っていかなきゃ。
「あの、夕立さん?」
あっ、熊野さんがアタシを心配そうに見てるっぽい。だっ、だっ、大丈夫。ちゃんと演習はこなすっぽい。
「分かっているのなら良いのですけれど。呉鎮守府の名誉の為にも余り浮かれ過ぎないようにしてくださいな」
うーん、熊野さんはああ言ってるけど、多分アタシ以外の子も浮き足立ってるっぽい。ほら、吹雪ちゃんと雪風ちゃんですら楽しそうだし、暁ちゃんに至っては遠足に行く小学生みたいにソワソワしてるし。あ、でもヌイヌイちゃんは落ち着いて‥‥‥あれっ?何だかヌイヌイちゃんもソワソワしてるっぽい?顔も少し赤いっぽい?
「ヌイヌイちゃん?」
「なっ‥‥‥何でしょうか?不知火に落ち度でも?」
あれっ?何時もと違って声も上擦ってるヌイヌイちゃん。うーん、さっきからアタシの事チラチラ見てるんだけど、何かあるのかなぁ?
それで。鎮守府に着いたアタシ達を迎えてくれたのは、向かい合う二頭のイルカを形取った像のある正門。そこに艦娘らしき人が一人立ってたっぽい。セーラー服に黄色のスカーフ、キュロット。ピンク?パープル?な色の髪をシュシュでポニーテールに纏めた、爽やか系の人。重巡洋艦っぽい?
「ども、恐縮です!皆さん、ようこそ。青葉型一番艦、青葉‥‥‥です‥‥‥‥‥‥」
その青葉さん、話し始めは歯切れが良かったんだけど、最後の方はバツが悪そうになってる。ええっと、熊野さんと目が合ってからっぽい?青葉さん、何だか戸惑ってる感じ。
「青葉さん」
そんな様子を見かねた熊野さん、青葉さんに近付いた。少しだけ瞳を閉じて深呼吸した熊野さん、青葉さんに微笑んで何か話してる。きっと、また過去の大戦の軍艦の記憶の事っぽい。サンタクルーズ港を軍艦青葉と共に出航した軍艦熊野は、その同日午前中にアメリカの潜水艦の魚雷を受けて大破。軍艦青葉は『われ曳航能力無し』って伝達して軍艦熊野を置いて内地へ向かって、そのあとその海域で軍艦熊野はアメリカ空母タイコンデロガに‥‥‥。だから、今の青葉さんの気持ちは解らなくはないんだけど。
アタシ達には聞こえなかったけど、熊野さんは多分アタシが比叡さんに言われたのと同じような事を言ったっぽい。すぐに青葉さんの表情が緩んで「はいっ」ってにこやかに返事してる。
「失礼しました。では改めて皆さんをご案内します」
歯切れの良さの戻った青葉さんに付いてくアタシ達。先ずはこの鎮守府の提督さんに挨拶に行かないと‥‥‥いけないんだけど。分かってはいても、その、うん、っぽい。
「ひゃあ!?」
あ、今の声は暁ちゃん。目の前にある大きな鯨の骨格標本にビックリしたっぽい。
「レッ‥‥‥レディはこのくらい何とも無いんだから!我慢だって出来るんだから!」
暁ちゃん、誰も暁ちゃんがお子様だなんて言ってないし我慢しろとも言ってない。それ自分から言っちゃ駄目っぽい。まあ、みんな少しは思ってはいるけど。
「暁さん、見学は少佐への御挨拶を済ませてからですわよ?」
熊野さんも甘やかしたら駄目っぽい。ほら、水族館を見て回れるって分かった暁ちゃんが「ほっ、本当?」ってキラキラした瞳してる。レディなのはもうどっかに行っちゃったみたい。
「ええ、構いません。大丈夫ですわよね、青葉さん?」
「そうですね。演習までは少し時間もありますし、平気だと思いますよ」
青葉さんの言葉がトドメ。もう外聞もなく「やったぁ!」って大袈裟に喜んでる暁ちゃん‥‥‥まあ、いいんだけど‥‥‥熊野さんが早速頭抱えてるっぽいぃ。
そんな感じで暁ちゃんは雪風ちゃん、吹雪ちゃんと一緒に見て回る約束をしてる‥‥‥って、あれ?アタシとヌイヌイちゃんは?暁ちゃん達とは一緒じゃないっぽい?
吹雪ちゃん、「夕立ちゃんと不知火ちゃんは二人でゆっくり見て回って!積もる話もあるだろうし‥‥‥ねっ!!」だって。なんでそんなに力を込めて右手の拳をグッと握り締めて親指立ててるっぽいぃぃ?ヌイヌイちゃんも何か言って‥‥‥って、ヌイヌイちゃんがこっち向いてくれないっぽい!?なんで!?
マンボウの剥製を横切って、お魚さん達の水槽をすり抜けて。漣ちゃんと響ちゃんが居たら何て言うだろうな、なんて考えながらアタシ達は執務室へ。青葉さんがコンコンコン、って扉を叩くと「どうぞなのです」って電ちゃんの声。電ちゃん、この前のトラック泊地の攻防以来っぽい。
「お久し振りなのです」
嬉しそうな電ちゃん。うん、久し振りっぽい。平時に落ち着いて会うのはいつ振りだっけ。それから。
「元気そうね」
曙ちゃん。うん、みんな元気‥‥‥っと、萩風は元気じゃないけど。あ、提督さんの右に曙ちゃん、左に秘書艦の電ちゃん、それからソファに不満そうな金剛さん、テーブルを挟んで金剛さんの向かいに座る比叡さん‥‥‥うん?どうして集合してるっぽい??
「違うネ!曙と電がテートクに近すぎナンデース!」
あぁ、金剛さんの頬が膨れてる原因って嫉妬っぽい。で、比叡さんは金剛さんにくっついて来たんだって‥‥‥。
うーん、でも電ちゃんも曙ちゃんも駆逐艦だし、提督さんは気にしてないんじゃ?
「よく来てくれたね。この鎮守府を任されている山本だ。宜しく頼むよ」
提督の山本少佐。スッゴい若い。そう言えば歳は大和さんと同じくらいなんだっけ。優しい感じの男の人。顔は整ってると思うっぽい。金剛さんが一目惚れするくらいだし。
熊野さんとヌイヌイちゃんが山本さんに丁寧に挨拶。それで、やっぱり演習までは時間があるから、って電ちゃんが鎮守府内を案内してくれた。この鎮守府、やっぱり良いなぁ。呉の作りも豪華だけど、お魚さんと戯れられるのは羨ましい。あ、でも鰯の群れを飼ってる水槽を赤城さんの『食欲』から守るのが大変なんだって‥‥‥‥‥‥えっ?‥‥‥えっ!?
帰りにはもう少し時間を取ってくれてるらしくって、もっとゆっくりお魚さんを見学していけるっぽい。一先ずはアタシ達は演習をするっぽい!
あっちのメンバーは、電ちゃん、曙ちゃん、文月ちゃんに比叡さん、青葉さん。
うん?5人?あっ、アタシ達も五人でやるっぽい?
何回かメンバーを入れ替えしてやるっぽい。そういえば青葉さんは最近着任したばっかりなんだって。経験を積むって意味でもアタシ達との演習に参加するって。そうだよね、中枢棲姫だっていつ動き出すか分からないし、備えるに越した事はないっぽいよね。ふうん、そっか。って事は、アッチの主戦力は曙ちゃんと比叡さんか。コッチが負けるような要素は無いと思うけど、「曙の動きに注意してください」ってヌイヌイちゃんの言葉は心に留めておこうっと。曙ちゃんだって横須賀で第一艦隊に居たんだもんね。要警戒っぽい。よーし、ここは格の違いを見せてみせるっぽい!
あっ、そうそう。演習とは全然関係無いけど、山本提督さんがお土産に、って『ドラまんぼう』をくれるんだって‥‥‥‥‥‥ドラまんぼう、って何っぽい?
電達と再会。そして遠足‥‥‥じゃなかった、演習へ。
青葉はまあ、大戦で最後まで残った軍艦ですので、僚艦の轟沈の場面に何度も遭遇してますから。