『みんなありがとー!それじゃ次が最後の曲です♪『艦隊アイドル改二宣言』!いっくよー☆☆』
那珂ちゃんのステージももう最後の曲っぽい。え?話が途中?うーん、あと一曲だから少し待ってて。終わったら移動しながら話すっぽい。
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さてっと。何処まで話したっけ‥‥‥あっ、そうそう、中枢棲姫との決戦だったよね?あれは激戦だったんだ。長い激闘の末に、足柄教官が切り開いたスキを長門さんと北上さんがこじ開けて戦艦棲姫を墜として道を開いて。その道をアタシと島風ちゃん、川内さんで走って。島風ちゃんが放った魚雷の爆発に乗って、アタシと川内さんが中枢棲姫の艤装を飛び越えて直接魚雷全弾ブチ込んで。トドメに北上さんが雨のように雷撃。そうしてやっとの事で中枢棲姫を倒したんだ。でも‥‥‥島風ちゃんは限界だった。アタシや川内さんの分までカバーに走ってて、一人で三人分のダメージを蓄積しちゃってて。島風ちゃん、『あとは‥‥‥よろしくね』って弱々しく微笑んで、アタシの手の中をすり抜けて水底に消えていったんだ。悔しくて、辛くて。あの時の感触は今でも覚えてる。
あの後、いろんな事が一気にあったんだ。とある一大事件で、深海棲艦の最初の姫級『南方棲戦姫』は大本営が産み出した事が公になって。ほら、前に金剛さんが引き金を、って言ってたヤツっぽい。だから今は大本営の悪い部分が排除されて体制が変わってるっぽい。その代わり‥‥‥犠牲は大きかったんだ。特に、ヌイヌイちゃんにとっては。
「夕立さん、そろそろ行きますわよ?」
あっ、熊野さんが呼んでるっぽい。そろそろ行かなきゃ。え?何処へって?そんなの決まってるっぽい。
‥‥‥あれ?通路の奥にヌイヌイちゃんが居る。そっか、これからアタシ達が何をしに行くのか分かってるんだね。
「ポイポイ、行くのですね?」
「また、絶対戻って来るっぽい。だから大丈夫だよ、ヌイヌイちゃん」
涙目でアタシを見つめるヌイヌイちゃん。やっぱり分かってるみたい。でも、アタシは必ず戻ってくる。世界一の駆逐艦のアタシを信じて、ね?
「そう言って‥‥‥みんな戻って来なかったではありませんか!翔鶴さんも!陽炎も!萩風も!みんな‥‥‥!」
そうなんだ。翔鶴さんも陽炎さんも、萩風も。その例の一大事件の件で轟沈しちゃって。‥‥‥萩風は、駆逐水鬼としてアタシの前に立ちはだかって‥‥‥アタシが、この手で‥‥‥‥‥‥。
でも。それでも。アタシは絶対帰ってくるから。熊野さんも、川内さんも、漣ちゃんだって居るんだよ?だから、大丈夫。
「ヌイヌイちゃん。いつかみたいにリボン、貸して欲しいっぽい。必ず帰ってきて返すから」
「必ず、必ず帰ってきてください、ポイポイ」
アタシはヌイヌイちゃんから首に巻いてたリボンを受け取った。代わりに、アタシが首に巻いてたマフラーを渡した。
立て続けに大切な人を亡くしてるし仕方無いんだけど、ヌイヌイちゃんは精神的に随分弱くなった。だから、今度はアタシがもっと強くなって傍に居てあげるんだ。
抱き着いて啜り泣くヌイヌイちゃんの頭を優しく撫でて、アタシはそっと歩きだした。もう行かなきゃね。
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アンタか。久し振りじゃないの。
足柄よ。全く、こんな海のど真ん中まで来るなんてホント物好きね。
何で海に一人でいるのか?そうね、決着をつけに来たのよ。‥‥‥ほら。
「来たわね、待ってたわ」
戦艦タ級。全身真っ白な肌に真っ白な髪に、赤い瞳。白と黒しかないセーラー服の上着。スカートは穿いてないのか。けど通常のタ級より遥かに幼いあの容姿にウサミミカチューシャとくればアンタでも分かるでしょ?
『足柄サン、ヒサシブリダネ!貴女モコッチニ連レテッテアゲルヨ!』
「残念だけどその気は無いわ。今楽にしてあげる‥‥‥『島風』っ!!」
私の言葉を皮切りに戦闘開始。チッ、島風のヤツ、やっぱり50ノットは伊達じゃないわね、速い!
私の砲撃をそのスピードで避けていくタ級。けどまだよ、砲撃は囮、本命は雷撃。何とか隙を作らないとね。
向こうは雷撃してきたわ。その程度なら今の私でも避けられる。チッ、砲撃も混ぜてくるんじゃないわよ、厄介ね。
グッ!?クソッ、後ろに一発魚雷を貰ったわ。何時の間に後ろから‥‥‥不味いわね‥‥‥っと、危ない危ない。危うく砲撃を顔面に受ける所だった。チッ、私もだいぶ戦闘の勘が鈍ったわね。これはいい加減引退かしらね。ま、それも此処で沈まなければ、だけど。
クソッ、身体がいうことを訊いてくれないわ。やっぱり大破したのはキツいわね。此処までか。魚雷が来る‥‥‥思い返してみたら私の人生、ロクな事が無かったわねぇ‥‥‥。
!?
魚雷が爆散した!誰かが横から砲撃したの?あんな芸道出来るヤツって言ったら‥‥‥やっぱりか。あの馬鹿共‥‥‥!
「負けたままってのは、どうにも落ち着かなくってね」
‥‥‥川内。そう言えばこの前も金剛にリベンジとか言って演習申し込んでたわね、アイツは。全く。
「ロシアで御主人様に絞られた実力を見るのです!」
‥‥‥漣。暫く見ないうちに随分成長したのね。アイツの所のロシアの提督は変わってるけど有能だからね。
「さあ、島風さん。もう好き勝手はさせませんわ!」
‥‥‥熊野。実は一番強くなった艦娘よね。今や重巡、航空巡洋艦を纏める存在ですものね。お嬢様の癖に大した子だわ。
それから。一番はアンタよね。全く、此処まで強くなるとは予想外だったわよ、夕立。どいつもこいつも‥‥‥世話の妬ける馬鹿共ね。
「お待たせしたっぽい、島風ちゃん‥‥‥‥‥‥『さあ、素敵なパーティしましょう?』」
第一幕はここまで。次回より第二幕です。
ヌイヌイとポイポイの関係は‥‥‥二幕へ持ち越しです。