抜錨するっぽい!   作:アイリスさん

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一歩ずつ

 

 

川内だよ。

今は海上。

初霜と島風が突撃してくる。二人の両手には各々魚雷を二本、計四本ずつ。意図は分かるけどここは敢えて乗ってあげるよ。

私と榛名さんが二人に向かって砲を向ける。私達の砲口を確認して、二人が避ける動作に入る。そうそう。それでいいよ。

私と榛名さんが砲撃した瞬間、初霜が右手の魚雷を右舷に、島風が左手の魚雷を左舷に投げて自分達で砲撃。私から見て左側に居た初霜が魚雷の爆発の勢いで右側へ、右側に居た島風が左側へ交差して位置を入れ換えて避けた。

けど残念。そうやって避けるだろう事も予測済み。私が放っておいた酸素魚雷が真っ直ぐ二人の進行方向へ。勢いを殺しきれない初霜と島風はそのまま被弾。けどその爆風と煙幕の中から皐月と荒潮が飛び出してきた。その右手の砲を放って私と榛名さんを牽制しつつ、左に抱えた魚雷をぶつけるつもりみたいだね。でも残念、それも想定済み。榛名さんは二人が飛んでくるのも構わず前進、副砲を放って皐月を撃墜。私はニヤリ、と笑みを見せて左手で荒潮に向かって魚雷を放り投げる。不味いと思った荒潮が魚雷に砲を構えて気を逸らせちゃった瞬間を狙って砲撃。はい、撃墜。

 

 

 

「今だぁぁ!!」

 

ったくもう。清霜は何でそこでそうやって声をあげちゃうかなぁ。私は振り向く事無く後ろに砲を向けて、一発。鈍い爆発と共に、清霜が水面に叩きつけられた音が聞こえた。もう一歩だったね。四人を囮に私達の背後から飛び込んできた迄は良かったけど、まだまだ詰めが甘いよね。

 

きゅうぅぅ、って海面で伸びてる清霜を「大丈夫ですか?」って抱き上げてる榛名さん。島風と初霜は自力で立てるみたいだね。皐月と荒潮は‥‥‥っと、手伝ってやらなきゃ駄目か。副砲とは言え皐月には榛名さんの砲撃がもろに入っちゃってるしね。荒潮には私のクリティカルが入っちゃったみたいだし。

 

「ほら、手貸してあげる。荒潮、大丈夫?」

 

私が伸ばした右手を、海面で倒れたままの荒潮が確り掴んだ。装備も制服もボロボロみたい。ちょっとやり過ぎだったかな?

 

「いったぁ~い‥‥‥また負けちゃったわぁ。教官達強過ぎるわよぉ」

 

5人とも動きは良くなってきた。けどまだまだ。もっと意外性のある動きをしないとね。それか、私と榛名さんの視界を奪うか、ついていけない位の動きをするか。その点で言えば島風に関してはもっと出来てもいい筈なんだよね。まっ、それも含めてぼちぼちやろうか。

 

「それじゃ、今日は此処までにしよっか。各自レポートを何時もの時間迄に提出する事」

 

今日の訓練は此処まで。レポートには何時も通り今日の訓練の要点のまとめと考察、それにさっきの演習での反省点と対策を書いて出してもらうよ。

 

みんな明らかに目の色が変わったよね。勿論、切っ掛けは先の深海棲艦の大襲撃。一度引退したとはいえ『世界最強』とまで言われた夕立が轟沈寸前、生死の境を彷徨ったのを目の当たりにしたのが大きかったみたいだね。特に、清霜にとっては。

清霜は呉では夕立にベッタリだったみたいだからね。その夕立が血を吐いて意識を失うのを目の前で見て。ショックは大きかったんだろうね。けど、それからかな。清霜はそれ以来『戦艦になりたい』って口にしなくなった。別に強くなる事を止めた訳じゃなくてさ、一層強さを求めるようになった。見ていて危なっかしい程に。そうだね‥‥‥嘗ての夕立のように。

 

清霜が焦る気持ちも分からなくはないけどね。誰も沈ませない、誰も死なせないなんてのは私も、夕立も、他のみんなも心に秘めてる事だし。けど、それを重荷にしちゃうのは良くないよね。 もう少しゆっくり。清霜のペースで強くなればいいの。

 

って私も言えた立場じゃないけどね。正直、私だって焦りはあるよ。初代雷‥‥‥レ級の強さは普通じゃない。確り対策を練って、メンバーを厳選して。それでも勝てるかは分からない。実際、前回に美鈴提督の鎮守府で私達が対峙した時はあのメンバーでも勝てなかったし。

だから清霜達には期待してるよ。正直、一人一人が全盛期の夕立を越えるとは思わないけど、嘗ての萩風クラスにはなれる筈。そうなれば戦況も変わってくる筈だから。

萩風か。もしもあの時私も出撃できていたら、萩風にだって違った結果があったんだよね。今更後悔しても萩風は帰ってこないけどさ。

 

あ、そうそう。曙の事だけど。空母水鬼戦から戻ってきた曙、雰囲気が変わってた。何て言うか、心が少し落ち着いた感じかな。ほら、加賀さんと先代鈴谷さんが妖精として戻ってきたでしょ?それで少しかも知れないけど救われたんじゃないかな。曙って戦友の死を見送る機会が多かったからね。まぁその加賀さんが『説得には苦労したわ』って言ってたけどね。

 

さて。それじゃ私達も鎮守府に戻らないとね。皐月も立てる?

「いたたた‥‥‥流石に空中で避けるなんて無理だよぉ」なーんて皐月は言ってるけどね。夕立や私だったら出来ない事も無いんだけど。今はそこまでは望まないよ。

 

え?何?‥‥‥風雲の事?あー、気になる?まあでもあの子は天龍に任せてるから。遠くない将来、きっと風雲と清霜はいいコンビになると思うよ。この物語じゃそこまでは書けないと思うけどね。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「よぉ、チビ。元気にしてたか?」

 

「もう子供じゃないって言ってるじゃない!頭を撫で撫でしないで‥‥‥って天龍!」

 

ったく、まーた暁はオレの事呼び捨てかよ。仕方ねーだろ、撫でやすい位置にある暁の頭が悪いんだよ。んだよ、そんな嬉しそうにしてよ。確かに暁と会うのは久しぶりだけどな。

 

天龍だ。フフフ、怖いか?

今は呉鎮守府だ。

ここに来るのもいつ振りだろうな。暁も変わらないよな。オレみたいなのに懐いたりしてよ。別に悪くはないけどな‥‥‥何ていうか、こう、照れ臭いだろ?オレのガラじゃないんだよ。

 

「お前は変わらないよな。勿論ガキだって意味でだけどな!」

 

「もーっ!また子供扱いして!暁はもう立派な大人のレディなんだから!」

 

ククククっ、暁は全くいいリアクションするよな。からかい甲斐があるな。

 

「そうかそうか。悪かったな。御子様ランチもちゃんと卒業できてる立派なレディ、だもんな」

 

「あっ、あああああ当たり前じゃない!卒業してるに決まってるわ!」

 

あー、コイツまだアレ食ってんのかよ。暁って確か‥‥‥年齢的には成人くらいじゃなかったか?

まあいいけどな。

 

「今度は何時まで居られるの?」

 

だから、そんな珍しいものを見るように瞳を輝かせてコッチを見るなっつーの。この天龍様の着任が有り難いってのは分かるけどな。

 

「さあな。暫くは居るんじゃないか?どこかのガキのお守りもしなきゃいけないみたいだしな」

 

ポンポンと二度暁の頭を軽く叩いて、オレは先ずは執務室へ。取り敢えず顔を見せとかないと神通辺りが五月蝿そうだしな。

「もーっ!!子供じゃないって言ってるのに!!」って後ろで喚いてる暁は放っておいて、と。

 

「邪魔するぜ」

 

扉を開けた、迄は良かったんだけどな。中に居たのは神通だけ。何だぁ?夕立のヤツは居ないのかよ?

 

「お久しぶりです、天龍さん」

 

「おう」

 

神通の話だと、夕立はまだ入渠中なんだとよ。アイツも変わらないよな。つい数日前に死にかけたってのによくやるよ。

 

それじゃ少し待たせてもらうとすっかな。ついでに新人共の資料でも見ておくか。どれどれ‥‥‥おっ、これは風雲の成績か。んー、相変わらずどん臭いんだな、演習での被弾率が高‥‥‥ん?何だこりゃ?カスダメ、カスダメ、小破、小破、カスダメ、小破、中破‥‥‥‥‥‥って、他のヤツらが全員大破してる時でも中破止まりか。被弾率が高い割にダメージが少ないな。運がいいのか?砲雷撃の命中率も少しだけど他のヤツよりは良いみたいだな。へーぇ、思ってたより悪くないじゃねーか。

 

 




例の5人の駆逐艦と川内、榛名さんの訓練風景でした。風雲の能力ですか?まあ、お察しです。


メンテナンス何時までかなぁ。イベントはいつも通り最初の2~3日は様子見ですね。今回掘りはどうしよう‥‥‥。


漣「さて!」

漣「神風レッド!」バーン

漣「朝風ブルー!」ババーン

漣「松風グリーン!」ババーン

漣「旗風イエロー!」バババーン

漣「春風ピンク!」バババーン

漣「5人揃って!老艦戦隊神風んジャー!キタコレ!」ドカーン!

漣「あっ、いけね、それじゃアディオス!」ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ


神風「待ちなさい漣!!誰が老艦よ!!」オイカケル

‥‥‥新艦娘旗風のカラーリングのせいで神風ンジャー不可避。

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