次の日
愛人の朝は早かった
まだ朝5時だった。たまたま起きたのか、とりあえずズボンはGパンと上はシロYシャツに着替え
6時になるまで、つまりは1時間
ランニングした
彼はスポーツマンでは無いが、その時の気分でたまにランニングしに町を歩いていたのだ
走る事は好きでもない
でも、たまに走りたくなる気分になる
そういう時は外に出てランニングした
できれば近所迷惑しない程度で
1時間後ランニングから自分のアパートへ帰えってきた
6時から朝飯を作り、7時にはアパートを出て本部に出勤
今日はじめての出勤
果たしてこの騎士団の仕事でどんな面白いことが彼を待っているのだろう
そうワクワクしながらも
彼は本部に7時30分に着いた
そして8時30分
朝礼
「というわけで、これと言って今日も忙しいところやトラブルも無いが、みんなパトロールはしっかりやるように、今日も観光客の人が多く来る。そのトラブル対応も的確にこなすように!!」
「「「「「「はい!!!」」」」
朝礼室で全部隊を集め、アクトが代表として、今日の予定と内容を説明し終えた
そして
「そして、今日から我々にも新しい新入社員がやってきた」
「何人です?」
「一人だ。とりあえず紹介しよう。愛人!!」
「へい」
アクトの命によりみんなの前に立たされ、自己紹介を開始する
「彼が新しい新入社員七海・愛人だ。マンホーム出身で、昨日転勤してきた」
「七海・愛人だ。よろしく頼む」
彼が自己紹介した瞬間
全部隊がざわめき出す
それは彼の言葉遣いだ。
敬語がまるでなってない上に、昨日と同じダルそうな顔をしていた
「見ての通り、この男はダルそうにやる気は無い男だ」
「団長!お言葉ですが、このような者を入れるのですか?」
団員の中から、愛人に不満を持つものが居た
「まあ、そういう事を言うと僕も思ったよ」
「申し訳ありません。私は彼が気に入らないのではなく、やる気が無いのになぜここへ?」
「もちろんやる気が無いのは社会人として、みっともないとは思う。だが、彼は私たち以上に仕事ができると僕が独断で採用した」
「私たち以上に?」
「彼は昨日、僕と一緒にパトロールをした。その際ウンディーネのゴンドラを治すというのと洗濯機を治すという技術と知識が強い男だ」
「「「「「!?」」」」」
皆、その言葉に驚かされた。自分たちの仕事は治安を守るのと、ルールに基づいたパトロールなのに、彼はまったくもって警察とは無縁の仕事をしたのだ
「彼はこのエンジェル騎士団で大きな戦力になる。性格はあれだが、そこら編は我々がフォローすればいい、とにかく彼は今日から私と一緒に仕事に入る。ま、みんなも彼に驚かされると思うが、サボっているようなら注意してやってくれ」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
「それとこいつ、相手をいちいちバカにしなきゃ気が済まないから、言われても無視してやってくれ?」
「「「「「それ警察官としてまずいよね!?」」」」
なんだかんだで彼の紹介もぐだぐだで終わった
団員は愛人の常識の無い騒ぎに巻き込まれるであろう
とにかく朝礼は終わり、それぞれ部隊は仕事に入っていた
「じゃあ行くぞ?愛人?」
「ああ、コンビニ行こうぜ?」
「なんでコンビニ?ネオ・ヴェネツィアには無えよ?」
「は?マジかよ。じゃあどこかの店行って、デザートを食おうぜ?」
「お前!サボる気満々かよ!?やる気無いの問題じゃないぞ!?」
相変わらず、やる気が無いのはいっちょまえだった
まあ、とにかくアクトが新入社員の愛人と一緒に仕事をするのは、愛人の生活指導の面倒を見るからだ
こうもサボる気満々な奴を他の人に任せるとその人が苦労するからだそうだ
制服に着替え、パトロールへ向かう
ちなみに『エンジェル騎士団』の制服は、マンホームのイタリア警察の服装と同じだが
色は黒でなく青だった
「そういや、気になったけどなんでこの警察服、色が青なわけ?」
「僕たちは警察とは違った特殊部隊だからね、このアクアの警察とも呼ぶ人間は少ない。僕たちは警察ではなく、騎士と呼ばれ、この『水の都の騎士』って呼ぶ人も多い。このネオ・ヴェネツィアに合わせて、僕たちの制服をイメージに合わせる事にしたんだ」
「それ『水の都の騎士』って言うより、『水の騎士』って読んだほうがいいんじゃねえの?」
「まあ、そういう人もいるさ?それじゃあまた君の運転で頼むな?」
「またオレか、まあいいぜ漕ぐのは嫌いじゃないしな?」
また愛人に操縦を任せて、町のパトロールへ向かった
しばらく漕いで町をパトロールしていると
「あ〜〜〜、眠い。アクト交われよ?オレ昼寝がしたいからよ?」
「だから、サボるなよ!!お前はサボる事しか頭に無えのか!?騎士の一員なったんだから働け!!」
「面倒じゃん、たいして事件とかないじゃん。パトロールする必要あるわけ?」
「困っている人がいたら駆けつける!!それも立派な仕事なんだよウチは!!」
「それだけ?さすが税金をむさぼる無能集団だけはあるぜ」
「お前は〜〜!!」
さすがのやる気のなさに怒るアクトだが
「あ!愛人さーーん!!」
「ん?おう!灯里!」
パトロールの途中、ARIAカンパニーである灯里と偶然出会う
「こんにちは、パトロールですか?愛人さん?」
「いや、今アクトに操縦頼んで、昼寝するところ」
「おい!!」
「はひ!!だめですよ!サボっては、騎士なんですからしっかりしてくださいよ!」
「しっかりね?、こんな平和な町に事件も無いし、パトロールなんていらないと思うけどね?」
「あんた、それでも『エンジェル騎士』なわけ?」
灯里ともう一人藍華も居た
「ああ?なんだ?お前も居たのか?えーーーと・・・・・・・・・誰だっけ?」
「藍華よ!昨日会った人間も忘れたわけ!?」
「灯里のことはよく覚えているが、お前は綺麗さっぱり忘れたよ」
「本当にムカつく!!」
愛人は昨日会ったばかりの藍華の顔を覚えていなかった。
灯里は覚えているなら、なんで藍華は覚えて無いのだろう
もしかしたら覚える気なかったのかも(彼女だけ)
「それはそれで失礼わよ文作!?」
「まああながち間違っちゃいないけどな?こいつめんどくさそうだもん」
「は!?あんたって奴は!!本当にどこまでも!!」
「お〜お〜、姫屋の藍華が怒った。コワイコワイ〜」(棒読み)
「く!あんたマジで海の底まで落してやろうか!!」
「やれるもんならやってみろバーカ」
「なにを!!」
「おい!二人ともやめろ!!愛人もいちいち人を小馬鹿にするな!」
さすがに喧嘩になるんじゃないかとアクトが止めに入る
「先に吹っかけて来たのはこいつだぜ?オレは正当防衛として悪口を言っただけだ」
「正当防衛の使い方間違っているし!?どう見てもお前が悪いだろうが!!悪口言った時点で同罪だ!!」
「うるせえな?だからいつまで経っても独身なんだよ。あんたは?」
「オレはまだ24歳だから!!まったく関係ないからな!?」
愛人のおふざけは更にエスカレートする
この男、上司を相手にバカにするとは、大した度胸だった
「ところでお前らこんなところでなにしてんだ?練習か?」
「はい!藍華ちゃんと合同練習です!!」
「へえ〜、それは頑張れ」
「ぷいにゅ」
「にゃ〜〜ん」
「ん?なんだこの猫?」
愛人は灯里の乗っていた二匹の猫に気づいた
「なんだ?ウンディーネは猫を飼うのか?」
「愛人は火星猫を見るのは初めてなんだな?」
「火星猫?なに?普通の猫と違うの?」
火星猫とは
アクアのみ生息する猫である
地球の猫と違うのは
喋れはしないが、人間と同じ知能を持つ猫で
人間の喋る言葉を理解することができる
それだけではなくできる範囲があるが、人間の普段やっている書類仕事も多少できる
つまり彼らは人間の言葉、言語、文字を理解することができる
「ふ〜〜ん、でも片方の黒い猫はともかく、こっちの方は本当にネコか?」
「え?なんで?」
「だってさ?こんなに腹がデカい猫がいるか?これ猫じゃなくて?熊じゃねえの?」
「ぷい!?ぷいにゅ!?」
「そういう体型もいるんだよ。そういうぽっちゃり系の猫さ。確かに君たちマンホームに住んでいる人にはそうしか見えないけど、僕たちアクアはこれで猫なのさ?」
「ふ〜〜ん、とても猫に見えないぜ?」
「ぷいにゅ!!ぷいにゅ!!」
「アリア社長怒らないでください。彼はまだ初めてなんですから?」
「は?アリア社長?おい?灯里?こいつお前らの社長なのか?」
「はい。私たちARIAカンパニーの社長ですよ?」
「こっちはヒメ社長で、私たち姫屋の社長よ?」
「なんで猫が社長なんだ?」
「愛人は知らないかもしれないが、そのアリアていう猫は青い瞳をしているだろう?」
「ん?ああ、確かに?だからなんで社長なんだ?」
青い瞳をしている猫のこと。昔からアクアマリンは海の女神として航海のお守りとされている。そのためネオ・ヴェネツィアで水先案内店を営む者は、青い瞳をしている猫を水先案内店の象徴として仕事の安全を祈願して社長としている。
ちなみに火星猫でなくともよい。
「へえ〜、そうなんだ。こいつが社長ね?これはびっくりだ」
「アリア社長は書類仕事もできるんですよ?」
「へえ〜、すげえな。こんな熊かぬいぐるみ同然の猫が書類仕事もできるのか、すげえ」
「ぷいにゅ!!」
アリアは『もっと褒めて』と背筋を伸ばした
だが
「じゃあ、『火の輪くぐり』もできるよな?」
「「へ?」」
愛人はどこかの陸に上がり、『少しあるもん持ってくる』と言いどこか者を取りに行った
2分後、彼が持ってきたのは、火の輪ぐくりだった
そして火をつけ
「ほら?飛べ?できるんだろ?火星猫なら?」
「ぷいにゅ!?ぷいにゅ!?ぷいにゅうううううううう!!?」
愛人はどこからか鞭も持って来て。アリア社長を無理矢理飛ばそうとする
「やめろ愛人!!?殺す気か!?知能があるだけであって、運動能力は無えよ!?」
「早く飛べよ?早く飛んで丸焼きになれ」
「食べる気!?火星猫を食べる気!?おいしくないから!!火星猫を食べてもおいしくないから!!」
「え?そう?だってこんなデカイ腹をしているんだぜ?美味しいそうじゃん、じゅるり」
「よだれ垂らしているよこいつ!?ヤベエよ!!こいつマジでアリア社長を食べる気だ!?」
「ダメですよ愛人さん!!食べてもおいしくないですから!!」
「仕方ないな〜」
さすがに灯里が止めに入ると、すぐにやめた
だが
「仕方ないからお手本見せるから、ちゃんと見ろよ?」
自分が飛ぼうとしていた
「「やめろ!!それ飛んでいいのは動物だけ!!人間が飛ぶなんて聞いた事無えよ!!」」
アクトと藍華がツッコミした
まさかお手本として自分が飛ぼうとクライチングスタートしようとするとは
「自分が飛ぶなんて、どんだけアリア社長食いたいのよ!?」
「じゃあ、行きまーーーーーーす♫」
「「待てええええええええええええ!!??」」
アクトと藍華が止めに入るが
間に合わず、彼は飛んだ
これで愛人の丸焼きの完成ーーーーーーーーー
かと思いきや
「は!は!は!」
真顔で火の輪をくぐりまくっていた
まるで海に飛び込むように頭からくぐっていた
火は当たらず
「どうなってんのあいつ!?あの火の輪のサイズ猫しかくぐれない小さな穴なのに!?なんで火も当たらずくぐることができるんだよ!!??」
ちなみに火の輪のサイズはちょうどアリア社長が入れるサイズだった
「更になんで真顔!?あいつ余裕なの!?こんな小さな穴でもくぐるのは余裕だって言うの!?」
「すごいです!!愛人さん!!愛人さんはマジシャンですか?」
「灯里!?あんたはこの小さな火の輪でくぐれるこいつに驚きなさいよ!?なにサーカス見る気分で見ているの!?」
また二人は彼の行動に驚かされていた
灯里に関しては、サーカスを見ている気分で見ていた
「よし!見たか?それじゃあ・・・」
「だから!!」
アクトが止めに入る
お前ができるからといって、アリア社長ができるわけないだろ
だが
彼が指命したのは
「すんじゃ?次はアクトな?」
次飛ぶのはアクトだった
「なんでだああああああああああ!?なんで僕!?アリア社長じゃないの!?」
「いや、よく考えたんだけど、あいつ汗欠いているじゃん、油濃そうだし、やめてお前を食うわ」
「なんで僕!?僕人間だよ!?人間が人間を食べてどうするんだよ!!?」
「知っているかアクト?人間だって、生き物なんだ?だから人食いサメは人間を食べることが可能なんだよ?つまり人間は食えるんだよ?」
「共食いじゃねえか!?腹が空いているなら!!どこかの喫茶店で食え!!」
「ともかく次はお前飛べ?部下が飛んだんだ?上司も飛ぶのが常識だろ?」
「勝手に飛んだんだろうが!!?なに勝手に僕まで連帯責任みたいなことを言うんだ!?」
「大丈夫だ?お前飛んだら、次は藍華だから?」
「なんで私!?」
「おもしろそうだから?」
「殺す!!今すぐあいつを殺す!!」
「藍華ちゃん落ち着いて!!」
藍華はどこからか、剣を持って来て愛人を殺そうとする
灯里はそれを必死に止める
そこへ
「なんだ?なんだ?」
「なんだ?サーカスか?」
ネオ・ヴェネツィアの住民の人が愛人の騒動の音を聞こえ集まって来た
「おや?皆さん。よく集まっていただきました。これからアクト団長の『火の輪くぐり』が始まるよ?」
「なに宣伝しているんだよ!?」
「ちなみに姫屋の社長であるヒメ社長はこの通り・・・」
「にゃん、にゃん」
「いい笑顔で飛んでます!」
「ヒメ社長!?」
藍華は驚いた
さっきからヒメ社長がやけに静かと思えば
火の輪くぐりを楽しんでいた
それを見たアリア社長は
「ぷ、ぷ、ぷいにゅーーー!!!?」
ヒメに釣られ、飛ぼうとしたが、火に直撃し、尻尾から火がついた
火を消そうと海に飛ぶ込んだ
ちなみにヒメ社長はまだ楽しんでいる
「はーい!ヒメ社長は飛びました。次はアクト団長でーーす!!」
「だからなんで僕!?」
「次は藍華な?」
「だからなんで私も!?」
「ヒメ社長が飛んだんだ?社長が飛んだら次は部下だろ?お前も姫屋のウンディーネなら飛べよ?」
「火の和ぐくりはウンディーネには関係ないでしょ!!」
「これ?なんてサーカス?」
「見たところ姫屋とARIAカンパニーと・・・・エンジェル騎士団だね?なに?合同イベント?」
住民が愛人たちの騒動にイベントだと勘違いしていた
「はい!アクト逝けよ?オレも逝ったんだから?逝けよ?」
「字が違くね!?行けよだろ!?それは死亡の逝けじゃねえか!!それに今お前自分で逝ったって言ったよね?なに?死んでいるのお前?なんでお前が死んでいることになっているんだ!?普通に成功してじゃねえか!?」
「いいから行けよ?いつか火事に巻き込まれた人を助けると思って、訓練だと思って行けよ?」
「ぐ・・・・・仕方ない」
「え!?行くの!?」
「部下が飛んだんだ。逝くしかないだろ?」
「いや、あいつが勝手に飛んだだけだからね?てか団長さんもなにげに逝くって言っているし!?」
「うおおおおおおおおおお!!」
「あ!?ちょっと待って!!」
藍華も必死に止めるが
遅かった
アクトは見事に火の輪をくぐることはできたが、そのくぐた後着地が失敗し、頭が地面に激突
火の輪自体サイズが小さいため、頭から飛び込むしかなかった
愛人みたいに飛ぶしかなかったのだ
くぐり終えた後、受け身が間に合わず、そのまま頭から地面に激突したのだ
頭からとてつもない程血が流れていた。そのまま地面に頭付けて気絶した
「はい!皆さん!アクト団長が火の輪くぐりを成功させましたので、はい拍手!!」
パチパチと住民や観光客が拍手し、おー!と歓声が上がった
でも若干の数名は
「ねえ?あれ?成功したの?くぐりは完璧だったけど、着地は失敗しているけど?」
「さあ?くぐれば成功なんじゃない?」
「でも、くぐった人白目向いて気絶しているけど?大丈夫なの?」
「マズいよね?あれ?死んでない?脳震盪で死んだとか?」
若干アクトが無事ではないことに気づき、拍手しようか迷っていた
「さあ藍華!!アクトは逝った!!次はお前だ!!」
「明らかにこれイベントじゃなくて、処刑よね!?あんたアクト団長を殺す気で行かせたんでしょう!?だってあんたまだ逝ったって言っているもん!!」
「大丈夫だ!アクトは死んでない!ただ白目向いただけだ!!」
「それを死んでいるって言っているでしよ!!?」
「アクトさん大丈夫ですか!?」
灯里は血を流しているアクトを起き上がらせる。アクトは
「ああ・・・・・灯里ちゃん?・・・・大丈夫だよ?・・・・・今川が見えているから」
「大丈夫じゃないよね!?その川が見えているってことは、三途の川だよね!?」
藍華がツッコミをするも
アクトはまだ白目のままだった。灯里の顔を見ているはずなのに三途の川が見えていた
「大丈夫・・・・ここを渡れば・・・いいんだろ?」
「ダメ!?死んじゃうよ!!アクトさんそれ渡ったら死んじゃうからダメ!!」
もうダメだった
アクトは死ぬ寸前だった
「愛人!!あんたのせいでアクトさんが死んじゃったじゃない!!」
「お前それ?もうアクト殺してない?まだ死ぬ寸前だよ?死んでないよ?」
藍華はなにを勘違いしているのだろうか
アクトを勝手に殺した
「大丈夫だって?今生き返らせるから?」
「は?どうやって!!」
愛人はアクトに近づき、こう言った
「アクト?あそこの住民に紛れている嬢ちゃんたちいるだろ?あの子たち?サンマルコ広場がわからないだって?」
「え?なんであの人?私たちが今迷っているってわかったの?」
愛人はアクトに近づき、困っている人がいることを伝えた
言われた本人たちもなんで迷っていることに気づいたのか、驚きだった
それを聞いたアクトは
「よし!愛人!出番だ!!我々がしっかり案内させるぞ!!」
「ほらな?生き返ったろ?」
「どうなっているの!?なんで生き返った!?さっきまで三途の川が見えて白目向いてた人がどうやって生き返ったの!?」
「決まっているだろ?騎士魂でだ?困っている人が目の前にいたら、すぐ駆けつける。それが自分が死にそうになってもだ!アクトはそれで生きているんだ!」
「それ人間としてありえないよね!?なんで目の前にいる人助けてまで無茶するかな!?ていうか頭から血が流れていたのに、何も無かった様に頭に流れていた血が消えているし!?どうなっているのあの人!?」
さっきまで血が流れて倒れていたのに、手のひら返すように立ち上がり
頭についていた血もいつの間にか消えていた
アクトは人間なんだろうか
むしろ困っている人がいたら無敵じゃね?
とりあえず愛人は火の輪くぐりの道具を片付け、イベントは終了し、見ていた住民たちも持ち場に戻る
その間アクトは迷っていた観光客の事情聴取始めている
「え〜と、それでここに着くんだ。よかったらちょうどウンディーネさんたちもいるし、お金は僕たちが払うから、ウンディーネさんにそこまで乗せてもらおうか?」
「え!?いいですよ!そんな悪いですから!」
「いいからいいから。灯里ちゃん!藍華ちゃん!ちょっといいかな?」
「はい!」
「どうしたんですか?」
アクトが道に迷っていた観光客の事情を聞いた後。突然灯里と藍華を呼んだ
「確か君たちゴンドラの練習の途中だったよね?お金は僕が払うからさ?二人で彼女たちをサンマルコ広場まで案内してくれないか?練習のつもりで?」
「え!?それはちょっと・・・・」
「ん?どうかしたのかい?」
「私たちはまだ半人前なんです。一人前のウンディーネか指導員が同乗しないと、お客様を乗せられないんです」
彼女たち半人前は
黒いゴンドラしか乗れない
料金も一人前の白いゴンドラに比べて安い
半人前のゴンドラに乗りたがるお客はほとんどいない
一人前のゴンドラの方が安全で確実という理由もある
とにかく彼女たちは指導員がいない以上お客様を漕げないのだ
「ふん、なるほどね?じゃあ!」
「愛人?」
愛人は突然灯里たちの乗っていたゴンドラに乗った
そして
「指導員がいればいいんだろ?だからオレが指導員になる。これで文句無いだろ?」
「な!?」
「え!?」
「は!?なに言っているのあんんた!!」
なんと、愛人自信がウンディーネの指導員となる言い張った
「なに言っているのあんた!!あんたにできるわけないでしょ?」
「愛人?さすがにそれは・・・・・」
「じゃあここで困っています人を置いて?自分で歩かせるつもりか?」
「・・・・・・」
「ここは広い、また迷う可能性だってある。そういう時のためにもウンディーネが必要なんだ!」
「でも・・・・・」
「わかりました!!やります!」
「「!??!」
「灯里・・・」
灯里が決心し、オールを持った
「灯里!でも!」
「確かにルールには反するけど、放っておけないよ!」
「灯里・・・・・」
「アクト?ウンディーネの上の連中には特別許可で運転させたって言え!困っている人を助けるのは『エンジェル騎士団』の務めだろ?」
「愛人・・・・」
さっきまでふざけていた愛人の目は真剣だった
彼もさすがに見捨てるわけにもいかならしい
「確かにウンディーネさんたちのルールには反するが、わかった!!団長として許可する!!灯里ちゃん。藍華ちゃん!頼む!上の人たちは僕が説得するから!!」
「はい!!」
「わ、わかりました!」
「愛人!」
「ああ!」
「愛人はウンディーネ見習い二人の指導員を任せる!!観光客をサンマルコ広場まで無事案内せよ!!」
「了解!!」
アクトは愛人に指示を言い渡し
二人の運転許可の手続きしに観光業界の方へ行った
そして残った愛人たちは
「よし、ちょうど二人いる。交代でサンマルコ広場まで行くぞ?」
「はい!」
「ええ!」
「ちなみに二人はお客を乗せるのは初めてか?」
「私は1回です!」
「あたしは3回くらい」
「よし、まずは藍華だ。お客様を安全にゴンドラに乗せろ?」
「え、ええ」
とりあえず愛人の指示によりお客様をゴンドラに乗せる
「藍華?ちゃんとゴンドラを抑えろ?乗せたとき揺れてゴンドラがひっくり返る事もあるからな?足でしっかり抑えとけ?」
「あ、うん。さ?お客様?」
愛人は細かく藍華に指示する
そこで藍華は考えている
(なんでこんなに詳しいの?)
そうお客様を安全にゴンドラに乗せることも大事だという事に彼は気づいていた
ただ本を読んで覚えるレベルとはとても藍華は思えなかった
「よし、ゆっくり陸から離れて行け?ゆっくりな?周りを良く見て?」
「うん」
お客様を乗せ、お客の後ろで愛人と灯里は座っている
藍華はゆっくり陸から離れ移動する
するとゴンドラ少し揺れ出した
「藍華?揺れているぞ?少しスピードが早い。揺れているのはそれが原因だ。少し落せ」
「わかった・・・」
愛人の言われた通りに動く藍華
すると、彼の言ったとおり揺れが無くなる
彼の指示は間違いのは確か、でもそれと同時に藍華は悔しい気持ちが多少あった
それはウンディーネでもない一般人に教えられたことだ
自分たちは結構多く練習しているのにいも関わらず
彼は練習もしてないのに、この詳しさ
彼が自ら漕げば、自分は負けると想像もついた
漕ぎ方の本を読んだだけで、この実力
昨日だってそうだ。彼がゴンドラの操縦で乗ってみて感じた事がある
自分の憧れでもあるアリシアの実力に近いほどうまかったこと
実力はきっと彼の方が上だろう
藍華は彼の実力に驚いたの同時に自分の実力も悔やんだ
「よし藍華そのままな?そのままゆっくりな?」
「うん、大丈夫」
彼の指導のまま、藍華はゴンドラでサンマルコ広場まで漕いだ
30分後
「よし、交代しよう。灯里?いいな?」
「はい!任せてください!」
大分経って、途中灯里と交代した
「ふう」
「よし、お疲れ。感想を言うぞ?」
「うん」
愛人から藍華の操縦に関して感想を言う
結果は
「案内はもう少しお客様を楽しんでやれ?少し観光の説明ばかりでお客様が楽しめないぞ?操縦に関しては少しスピードが速い」
「そう・・・・・」
藍華は悔しかった
まだまだというのは自覚しているつもりはあった
でも
彼が一般人
それだけで悔しかった
ウンディーネの人ならまだしも一般人に教えられるのでは
プライド的にも悔しかった
一般人ってことはウンディーネの厳しさを知らない証拠
なのに、ウンディーネでもないのにこのうまさとこの詳しさ
半人前である私たちでさえ知らない知識があった。
これほど悔しいことはなかった
まるで何もわからない人に教えられたような
ウンディーネの何の理解もしてないのに、実力も詳しさもあった
これほど圧迫な実力差があったことに悔しかった
ウンディーネでも無い相手に
それと同時に
「ほら見ろ?お前のスピード早いぞ?今調べたんだが140キロも出ているぞ?」
七海・愛人というバカに小馬鹿にされたことだ
携帯で速度メーターを藍華に見せた
「おかしいいわよ!?ゴンドラで140キロ!?もうとっくにサンマルコ広場に着いているわよ!!それに私の速度そこまで無いし!!それだけ出たらお客様吹っ飛んでいるし!?」
「大丈夫だ!この嬢ちゃんたち昔マンホームで夜バイクで速度全開で暴れてたから、その程度の速度でも問題ない」
「なんで知っているんですか!?」
「マジなんですか!?」
愛人の言った言葉が当たった
というかなんでお客様の過去知っているのだろうか
ていうか夜暴れた?暴走族?彼女たちは昔暴走族なのだろうか?
「ん?灯里?もう少しオールの漕ぐのまっすぐな?それじゃあ体制がすぐに崩れるぞ?」
「はい!」
「・・・・・」
また彼は指導した
藍華はなんで彼がこれほどの知識があるのか、気になって聞いてみた
「ね?なんであんたはそこまでゴンドラの操縦やウンディーネの仕事に詳しいの?元はウンディーネ関係の仕事してたの?」
「まさか、だから昨日言ったろ?本を読んだだけ?そんなにオレの操縦と指導とかうまかったか?」
「ええ、うまいわ」
「へ〜」
「私はさっきまであんたの指示に従ってた。そしたらあんたの言う通りうまく漕ぐ事ができた。体勢も速度も揺れもほとんどがあんたの指示でうまくいった。あんたは本当に漕いだこともないの?」
「・・・・・・ないよ」
「そう・・・・」
「確かに漕いだことの無い奴にゴンドラがうまく扱えない。でもそれでもオレは漕いだ事無い。うまくなりたいならゴンドラ自体買って独断でやっているからな?あいにくオレにはそんな金は無いけどな?ともかくオレは5年前にそういう本を読んだだけであって、経験者でもなんでもない」
「もしかしたら才能なのかもね?」
「は?」
「あんたさ?たぶん漕ぎ方の本を読んだだけであんなにうまくなれたならあんたは天才なのよ。学習能力が強いのよきっと。いいなあ才能に恵まれて」
「・・・・・・・」
藍華は才能なんてなかった
ここまでうまく操縦してシングルになれたのは努力して練習してきたからだ
中には才能に恵まれうまくなってきた者もいる
その者だけは藍華よりも早くシングルなった者やプリマになった者もいる
藍華はその焦りに出てしまったのだ
才能の実力に負けて悔しかった
これほどの無い屈辱に負けたことが悔しかったのだ
だからと言ってその者たちも決して練習してないわけじゃない
でも、自分よりも先に同期の仲間がウンディーネになるのが悔しかった
そしてここでもその実力差に負けた
しかも今自分の隣にはウンディーネでもない、ゴンドラを扱ってた経験も無い一般人に負けた
漕き方の本を読んだだけでうまくプリマのように操縦ができる
天才としか思えない
自分の回りには才能を持つ者が多くて、悔しかった
でも
「お前さ?ウンディーネって競うものなの?」
「!」
彼の言葉からウンディーネの存在を知らしめられた
「違うよな?ウンディーネって案内先だろ?競うものじゃないじゃん」
「・・・・・」
「見せてやれよ?」
「え?」
「お前が才能ではなく努力した案内を見せてやれ?お前はお前なりの美しい操縦技術があるんだから?」
「・・・・・・・」
彼が笑った
それはとても輝いていた
太陽に近いぐらい暖かい。でも違う
その笑顔は海の色のように輝いている
そんな笑顔を見た彼女のセリフは
「恥ずかしいセリフ禁止!!!」
「は?恥ずかしくなくね?」
「禁止たら禁止!!」
「なに照れてんだ?」
「照れてない!!とにかく禁止!!」
「なんなんだこいつ?」
「愛人さーーん!どうですか?」
「ああ、いいぞ、そのままな?ただ速度もう少し上げろ?」
「はい!」
藍華は彼の言葉に少しスッキリした
確かに才能ばっかりに恨んでも意味が無いことにやっと気づいた
負けたとか勝ったとかどうでもよくなった
ただ私は私なりでいいのだろうと彼女は自分を見つめ直す
10分後
無事サンマルコ広場に到着した
「よし!無事に着いたな?」
「「あ、ありがとうございます!!」」
「いいよ。お金もいいからな?」
「でも・・・」
「いいから!アクトが全部支払うって言うからいいんだよ!さっさと行け!」
「「あ・・・本当にありがとうございました!!」」
お客様はお礼を言って、去っていた
ともかく二人は初めてウンディーネではない指導員付きとは言え、一人で操縦したに近かった
それだけでも二人にはいい経験になっただろう
「さて?オレは行くな?」
「え?もう行くんですか?」
「ああ、これについての報告書を書かないとなんないんだよ。マジでダルい。今日も8時で上がりかな?」
「そうですか、今日はありがとうございました!!」
「・・・・ありがとうね?」
「おう、じゃあな!」
愛人はそのままサンマルコ広場で降りて、そのまま歩いて本部まで帰った
「灯里?どうだった?」
「うん、すごく教えるの上手だった」
「あいつみたいにうまくなりたいね?」
「うん!」
二人は彼の指導をしっかりと覚えて、また明日からうまく活用するよう明日も努力して練習しようと二人は思った
一方愛人は
「というわけなんだ?テラフォーマー女?なかなかいい部下持っているじゃないか?」
「うん。とりあえず指導員ありがとう愛人くん。でもその『テラフォーマー女』はやめてくれるかな?」
アリシアに今日出来事を報告していたが、またもや名前で呼ばす頭をアイアンクローされていた
無論血を出ていてなおかつ真顔である
「いやだって、やっぱりお前の筋力見た瞬間すごくて、とても名前では言えないわ」
「あら?私の筋力はマッチョ並みなのかしら?」
「いや、モンハナシャコ並みだよ?手の筋力がヤバいもん」
「じゃああなたにパンチ食らわしてもいいわよね?」
「やべえ、オレの顔もめり込んじゃうわ、はははー」
やられそうになっているのにも関わらず真顔
彼は血が出ているのに痛くないのだろうか?
そんなこんなで愛人も馬鹿にするのやめて、頭に包帯を巻いている
「どうだった?灯里ちゃんの操縦は?」
「まだまだ甘いところはあるが、あれはおっかないほどにうまくなるぞ?お前よりもな?」
「あらあら、それは楽しみだわ」
愛人は彼女の操縦を見て、かなりまだ浅い部分はあるが、それでも成長が強く。ヘタするとアリシアの実力も越えると言い張るほど、彼女の成長がすごいと彼は言った
「それよりも愛人君?」
「ん?」
「ゴンドラの操縦できるんですよね?」
「ああ、多少な?」
「じゃあ今度あなたの運転で私も乗せてくれないかしら?」
「えー!?冗談だろ!?怖いからヤダよ!!テラフォーマーを乗せて運転なんて冗談じゃねえ!?その内仲間呼んじゃうわ!」
「だから私はテラフォーマーじゃないって言っているでしょ?何度言えばわかるのかしら?」
「ああ無理かも、お前がさっきオレの頭を潰すから、オレの頭がおかしくなったんだよ。だからお前を人間として見えないや」
「その前から私を人間扱いしてないわよね?」
「あれ?そうだっけ?ごめんね?とても人間の体をしているようには見えないからさ?」
「えい♫」
「ぐほお!」
アリシアはもう我慢の限界で彼の頬にモンハナシャコパンチを与えた
愛人は避けたりもしなかった。無論真顔だった。口から血を吐き出してたのに
そのまま海に落ちた
「痛てええ、さすがテラフォーマーのことはあるな、なかなかいいパンチだったぜ?」
「だから私は人間って言っているでしょ?」
「へいへい」
愛人はまだアリシアを人間扱いしてないらしく。殴られて頭が冷えたはずなのにまったく学習しなかった。というかアリシアに恨みでもあるのだろうか
いや、単に面白いからバカにしているだけか
海から出て来た愛人の首を掴み、海から出して首を掴んだまま上に上げた
「それで?答えは?」
「ヤダ」
「じゃあこのまま?逝ってみる?」
「おいおい?有名なウンディーネさんがそんな言葉使うなよ?理由はお前がテラフォーマーだからじゃない」
「!」
アリシアをそれを聞き、首から手を放す
「なら?なんなの?」
「仕事で忙しい、オレがサボるってアクトに言った瞬間、オレの担当はあいつになりやがった。だからこれから忙しい身になっちまったからな。あいつが目を光らせている間はオレは身動きできない、オレがゴンドラと操縦に入る事はもう二度と無いってことさ?」
「そう、わかったわ」
彼が忙しいのであれば仕方ないとアリシアは諦める
正直強制にやらせてでも乗ってみたい気持ちは彼女にはあった
興味がある。
彼のうまさというのも味わってみたいからだ
男がゴンドリエーレをやるのは、今の時代ではおかしいが、それでも味わってみたかった
男がオールを操る。彼が操縦するゴンドラを乗って、自分が乗って操縦したゴンドラの景色を普段見ていた、でも、彼の乗ったゴンドラの景色を見てみたかったからだ
それだけゴンドラが好きだからだ
でも、彼が忙しいのなら仕方ない
忙しい気持ちは自分にもわかるからだ
だから本当に暇があった時に彼と乗れる時間を探すことにしようとした
だが
「それはもう一つの理由で。二つ目はお前がモンハナシャコだから」
その言葉を聞いた瞬間、全力を持って彼の頬を殴った
ちなみに殴られた愛人は海に沈み
海から出て来ることはなかった