水の三大妖精とのある意味楽しいお茶会から2週間が過ぎた
愛人は相変わらずのパトロールで、街の住民の手伝いもしていた
あれから彼に変わったようなことは無い
いつも通りの仕事をしているのだ
しかもあれだけ毎日会っていた灯里たちにも会っていない
今の彼はそこまで忙しくない、だからと言って自分からも会いに行っても居ない。会っても用は無い。
ただ
アクトはそんな彼を見て、たまには休ませようと考えていた
彼はまだ新入騎士、休みをいっぱいあげても構わないはず
それになんだかかんだで彼にあまり休みも与えていなかったのだ
日曜日しか休みが無いのだ
それに彼が街の住民の手伝いをするようになってから、ほぼ毎日出勤している
まだ新入騎士なのだから息抜きをさせようと
アクトはあることを考えていた
それは
「なあ愛人?明日?僕と一緒に”浮島”に行ってみないか?」
そう、彼にまだ連れて行ってない浮島で休日を過ごそうと考えていた
「浮島?あの上に浮いている島か?」
「そう、どうかな?最近ろくに休んでないだろ?」
「まあな、いろいろ忙しいし、休んで大丈夫なのか?夏休みが近くなるって言うのに?」
「まあね、でも息抜きも大切だよ?」
「ふ〜ん、あんたが休んでいいなら、行くさ?」
こうして今週の日曜日、二人は休んで浮島で遊ぶ事にした
日曜日当日
「愛人!!」
「ああ、来たか?」
二人とも私服で待ち合わせをしていた
「で?あのロープウェーで行くのか?」
「ああ、そうじゃないと行けないからね?一般の人は」
「へえ〜」
「乗るぞ?チケットは買ったから」
「ああ」
とにかく駅でロープウェーに乗り、浮島に向かった
10分経ち、浮島に到着した
「すげえ!空を飛んでいるみたいじゃん!」
街を見上げることができる浮島から見る景色に、愛人は感動していた
「綺麗だな〜、ここは」
「来てよかっただろ?」
「ああ、すげえいい」
彼はあまりにもの感動で、動く事はできず、そのまま街を見下ろしていた
そこに
「あれ?愛人さん?」
「ぷい!ぷいにゅ!」
「ん?灯里?」
「どうして君が?」
「アクトさんもなんで!?」
「あらあら?愛人くん、アクトさん?2週間ぶりですね?」
「アリシアも居たのか?」
「あれ!?なんであんたが居るの!?」
「藍華?お前も浮島に?」
なんとここで灯里たちと久しぶりに出会った
「俺たちは息抜きで浮島に遊びにきていたんだ。そっちは?」
「私たちは久しぶりに浮島に行きたくて、来たんです」
「本当なら後輩ちゃんやアテナさんや晃さんも呼ぼうと思ったんだけど、忙しくて私たち3人しか行けなかったわけなのよ」
「なるほどね・・・・」
「愛人くんは初めて?浮島に来るのは?」
「ああ、今日が初めてだ。いい所だな?ここは?」
「気に入った?」
「ああ、ここに住みたいぐらいだよ」
それほど彼は好きになった。まるで空に住んでいるような気分だった。
これを見ていると仕事も忘れてしまう気分だった
とそこに
暑苦しい男がやってくる
「よう!アクト!よく来たな!」
「暁!久しぶりだ!」
「知り合いか?」
「僕の友人だ。名前は暁。サラマンダー所属しているんだ。と言ってもまだ半人前だがな?」
「サラマンダー?それって釜の番人の?」
そこにアクトの友人のサラマンダー所属、ポニーテールをした暁が出て来た
アクトとは友人らしい
「お久しぶりです!暁さん!」
「おう!もみ子よ!久しぶりだな!」
「はひ!?だからもみ子じゃあありません!!」
「なんでもみ子?」
「久しぶりね。暁くん?」
「ア、アリシアさん!お久しぶりです!」
「相変わらず、アリシアに弱いんだなお前?」
「う、うるさいアクト!!別に弱いとかじゃない!」
「そうかい・・・」
「弱いって言うのか?」
「まさかあんたと会うとはね・・・ポニ男」
「ほう、久しぶりに会ったな?ガチャペン?」
「ポニ男?ガチャぺン?」
どうやら、愛人以外は暁とは知り合いらしい。
そんなことよりも、愛人は暁の呼ぶ相手のあだ名に若干驚く
「ん?あんたは?」
暁は愛人の存在に気づいた
「七海・愛人だ。アクトの部下で、エンジェル騎士団の新入騎士だ」
「ほう!あの地上の噂に流れている『何でも屋の騎士』か!」
「まあ、勝手に流れたことだがな・・・」
「そうか、アクトの部下か・・・・・・今度俺様の所にも手伝いに来てもらいたいな・・」
「ここまで来いってか?さすがに無茶だぞ?」
ただでさえロープウェーの料金は只では無い。
愛人もさすがに浮島まで手伝いに行くのは無理があった
「まあ確かにそうだな・・・アクト?お前?いい部下持っているな?」
「まあな・・・・・性格はアレだけど、それ以外の技術面じゃあ、僕たち以上だし、それに・・・」
そこでアクトは更にとんでもない発言をする
「灯里ちゃんとアリシアのお気に入りだしね〜」
「「アクトさん!!??」」
「なに!?」
「そうなのよ!!なんでこいつに!!灯里ならともかく、なんでアリシアさんまで!!」
「なんで俺があの二人のお気に入りなわけ?」
さすがの衝撃の言葉に、アクトの口を口封じするアリシアと灯里
藍華はそれを知っているかのように、ガッカリしたように言う
暁はびっくりして、愛人を睨んだ
「変な事言わないで下さいアクトさん!!」
「間違ってはいないだろ?みんな知っているぞ?晃も?アリスちゃんも?」
「でも!言わないでください!!聞いて恥ずかしいです!!」
「あのアリシアさんが慌てるなんて、やっぱりあいつは危険よ!!」
「人を勝手に危険人物すんなよ」
灯里が恥ずかしがるのはわかるが、まさかの普段落ち着いて、母親のような性格で美貌の彼女が恥ずかしがる。彼女もプリマであろうと、一人の女に変わりはないというわけだ
「おい!愛人!!」
「なんだ?人の肩を掴んで?」
暁はアリシアのファンでもあり、そんな彼女に男など気に入らないらしく、愛人の肩を掴んだ
「お前!!ああああ、アリシアさんとはどんな関係だ?」
「ただの腐れ縁だ」
「腐れ縁?本当か?」
「ああ、他に何の関係がある?」
「・・・・・・・まあ、お前が言うのならそうのだろう」
「ああ、俺はあいつとはそんな深い関係じゃない」
愛人は意外にも鈍感だった。こんなに誰が好きなのかも明白にもわかるような会話をして聞いているのにも関わらず、二人の気持ちに気づいていなかった
とりあえず掴まれた手をどけて
「で?ここでなにをするんだアクト?」
「暁に案内を頼んであるんだ」
「愛人君初めてなの?浮島に来るの?」
「ああ、今日が初めてだ」
「なら!私たちと回りませんか?」
「お前らも初めてなのか?」
「そうじゃないですけど、今日は久しぶりに遊びに来たんです。愛人さんたちも今日お休みなら一緒に回って遊びませんか?」
「そうだな・・・多い方が楽しいしな、そうだな楽しそうなところ知っているなら案内してくれ?」
愛人たちは灯里たちと一緒に浮島に回ることにした
「はい!まずはこっちです!」
「おい!もみ子!案内役は俺様だぞ!!」
「誰だっていいって、楽しい所へ案内してくれるならな?」
「あ!ちょっと待ちなさいよ!」
「あ!?おい!?」
「あらあらうふふふ」
「ぷいにゅ!!」
「にゃーーん!!」
灯里と暁が愛人のために先に案内を勝手に始まり、愛人もそれについて行く。藍華たちは急いで3人の後を必死に追いかける
まずは電車に乗り、景色を眺めている
「こんな高い所に列車なんてあるんだな・・・」
「浮島でも地域としては広いから、列車を使って帰る人も多いのさ」
「へえ〜」
「ところで愛人よ?お前さんはアリシアさんとどんな関係なんだ?」
「それ何回聞いてい来るんだ?もう10回くらい聞いてるよな?」
さっきからいろんなところを案内終わる度に必ず聞いいてくるのだ
「お気に入りと聞いて、腐れ縁という関係と思えんぞ!」
「んなこと言ったてな〜、まあ、変な事言うなら、今まで俺はあいつに散々バカにしていたことかな?」
「バカにしていた!?アリシアさんに!?」
「そう、面白い奴だから少しからかったんだ。ま、結構面白かったよ?」
「貴様!!アリシアさんをバカにするとは許さんぞ!!」
暁はアリシアのファンでもある。その憧れのアリシアを小馬鹿にするなど、ファンとして許せなかった。
だから愛人の胸倉を掴んだ
「ま、その分殺されかけたけどな」
「殺されかけたって・・・あんたほぼ瀕死に近ったじゃない」
藍華はやれやれと言わんばかりだった
いつも、バカにしては頭を掴まれ血が流れているのにも関わらず
彼は真顔で、なおかつ挑発もするような
イカレタ男なのだからな
「そういえば、あんたグランマに会ってからバカにしないよね?アリシアさんのこと?」
彼はグランマに会って以来、アリシアのことをバカにしないのだ。
あれだけ彼のお得意のテラフォーマーネタを使うのに、それ以来全然使わない上にバカにもしない
前なら、アリシアのことを『テラフォーマー女』と呼んでいたのに、今では普通に名前で呼んでいる
「あんた、グランマに何か言われたの?」
「別に。もうその必要がなくなっただけだ」
「それだけ?」
「ああ。それだけ」
なにがあったのだろうかと藍華は気になる
確か前に、少しでも楽しませるために少しはストレス解消させるためにしていたと前に聞いた
それと何か関係あるのだろうか、
急にバカにすることやめるなど、変にしか思えなかった
それに雰囲気も変わった。前はダルそうな顔していたのに、今日は落ち着いたようなクールな感じ
まるでいつもの彼じゃないような
「ねえ?愛人くん?私もそれ気になったんだけど?どうして急にバカにしなくなったの?」
本人も気になったせいか、聞いて来る
「なんでお前が聞いて来るんだ?そんなにバカにして欲しいのか?」
「そういうわけじゃないけど・・・・」
「別にもうする理由がなくなっただけだ。それにこの前俺が使ってた『テラフォーマーネタ』はお前自ら使ってるじゃねえか、もうバカにする側じゃなくて、俺はツッコミ側だよ」
ただでさえ、この前『あらああら、じょうじ』なんて言っている人に、どうバカにすればいい、そんな相手にバカにする要素など一つもない
「でも愛人さん、それ以外でもそうですけど、今日は落ち着いてると言いますか?なにか元気が無いように見えます」
「そうか?」
灯里が突然、愛人の方に近づいて言った。彼女の眼には彼の姿はクールでは無く。元気が無いように見えたようだ
「そういえば、今日ここに来た時も楽しみじゃないような顔だったな?」
アクトにもそういう風に見えたらしい。どうやら元気が無いと、顔に出ているようだ
「アクトもそう言うか?」
「なんか悩みでもあるんじゃないのか?俺様に相談してみないか?少しはスッキリするかもしれんぞ?」
「暁?俺は悩みは無い。ただ・・・・・・・・少し疲れているだけだ?」
「疲れている?そんなに仕事が忙しいのか?おいアクト?いくら『何でも屋の騎士』でも働かせすぎじゃないのか?まだ新入騎士だろ?少しは休みを入れているのか?」
「そんなはず無い!!僕は土曜日も休みにしているぞ!!?」
「ああ、アクトの言う通りだ。実は仕事意外で疲れていることがある」
「それはなんですか?」
「それは・・・・・・あんま言いたくない」
灯里が聞いて来ると、彼は答えたくなかった
更にそれを聞いた途端、彼の顔が青ざめたのだ。彼がそんな顔もできるのだと、皆驚く。彼はどんな仕事もダルそうな顔でやっていく彼が、初めて青ざめたという困った顔したのだ
そんな彼の顔も新鮮だなとみんなは思うが、
そんなことよりも
いろんなことを解決した彼にでも、解決できない問題でもあるのだろうか
彼に頼んだ仕事は断ったことも無ければ、失敗したことも、みんなが彼を見ていた時はそんなものは一切なかった
そんな彼が困った顔をしたのだ。
しかも話したくない
それほどみんなに迷惑をかけたくないのか、もしくは自分だけでその問題を抱えているのだろうか、そうなればいつか体が倒れてもおかしくないほど、ストレスは溜まる方だろ
灯里と暁は
放っておけないと、彼を励ます
「愛人さん?何か悩みがあるのなら言ってください」
「え?別に悩みなんて・・・」
「そういう風には見えないぞ?言えって?俺様たちが力になるからよ?」
「いやでもな、暁。これは・・・」
それでも言えない愛人に、アリシアと藍華は
「愛人くん?私たちで力になれることは無いの?」
「アリシア?お前まで?」
「いいじゃない、あんただって人なんだから、疲れたりするんだから?」
「でもな!これは・・・」
「もういいだろ愛人?」
「アクト?」
最後にアクトが言い出す。上司の言葉に愛人は真剣に聞く
「お前は最近頑張っているさ?たまには人を頼ってもいいんじゃないのか?」
「けど・・・・」
「お前は一人で頑張りすぎなんだ。だから頼ってくれないか?お前だけに仕事を押し付けてしまった。僕としては力になりたいんだ」
「アクト・・・・でもあれは俺が好きでやっているだけであって・・・」
「それでも僕は力になりたい・・・」
「!」
「僕は君の団長なんだ。団長である僕が部下の悩みを解決できないなど、団長として失格だ。だから言ってくれないか?力になるから?」
「・・・・・」
アクトは、仮にも『エンジェル騎士団団長』そんな彼が部下の為に人肌脱ぐのは当たり前だと、愛人に言った
「そうか・・・・・・なら力になってくれるか?」
「ああ、もちろんだ!!」
「私たちも力になりますよ!!ね?藍華ちゃん!」
「まあね、あたしも今まであんたに助けられたし、力になるわよ?」
灯里や藍華も愛人に力を貸してくれる
「まあ、俺様たちができることは限られるが、少しはなれるかもしれん。言ってみろ!!」
会って間もない暁にも、友人のように励ましてくれる
「私も愛人くんの力になりたいわ。困っていることがあるなら相談して?」
アリシアも力を貸してくれた。彼女にはいろいろ愛人に助けられている。その恩返しだと思ってのことかもしれない
「本当にいいのか?後悔するぞ?」
「大丈夫です!」
「あんたに心配されずとも大丈夫わよ」
「おう!任せろ!!」
「うん、大丈夫」
「それでなんだ?愛人?」
果たして彼が悩んでいる事とは
「実は・・・・・・・・・
俺、毎日アテナの世話をしているんだ」
「「「「「え?」」」」」
彼の言葉を聞いて、思わず呆然してしまった灯里たち
アテナの世話?それが彼の悩み?
疲れているのだから、もしかしたら心の悩みがあるのかと思いきや
まさかのそれ関係のない話だった
ていうか、アテナの世話が疲れるってどういうこと?って
みんな思った
「アテナって?あのオレンジプラネットの『水の三大妖精』の一人だよな?なんでお前さんが世話をしているんだ?」
と、暁が聞くと愛人は
「俺があいつの兄になったまったからだよ!!!」
「は?兄?どういうことだ?」
「はははは、そういえば晃が言ってたな?愛人がアテナの兄になったって?」
「暁さん。それは私が説明します」
どうやらアクトは愛人がアテナの兄になってしまったことは晃から聞いて知っているようだ
暁は会った事はあるが、愛人が兄になったことは知らない
灯里が説明中
「ということなんです」
「なるほどな〜、で?兄になったのはわかるが、なんでお前が世話しているんだ?」
「だって!!あいつのドジは見ていられないし!!あいつになにかあったら心配なんだよ!!」
「「完璧お兄ちゃんになっているじゃん!!」」
あれだけ兄になりたくないって言っているわりには、もう兄としての行動に出ていた
「あいつさ?アリスの言う通り、何もないところでつまずいたり、自分の務めている会社の場所も迷うし、食べ物や飲み物はこぼすわで、もう世話のやける”妹”だよ」
「なんだかんだでアテナのことを妹って呼んでいるし」
「まるでシスコンね?さすがお兄様だわ」
「だから!!あの劣等生兄貴と一緒にするな藍華!!!そんで俺の家で面倒見ているわけ?」
「それ同居じゃん!!?男と女が一つ屋根の下で居るのはまずいだろ!!?」
「俺だってダメだって言おうとしたさアクト・・・でもな・・・・・・・・・泣きそうな顔してて、負けた」
「結局お前が入れてんじゃねえか!!?」
「仕方ないだろ!!だってあいつ!まさかの俺の住んでいるアパートホテルの玄関の前に居たんだぞ!!しかも住所教えてないのに!!」
「なんでだ!?!?なんで愛人の住所知っているんだアテナ!?まさか晃の言うとおり、本当に『ジョセフ・G・ニュートン』みたいなヤバい存在なのか!?」
「あんときは本当に驚いたね。俺の帰り待って玄関の前に居たからね?」
「そのアテナ・・恐ろしい子だな・・」
「アテナさん、なにをしているんですか!?」
「そういえば最近、後輩ちゃんがアテナさんと一緒にいないと思ったら、愛人のところにいたのね」
「本当に世話やけるよ。飯も俺がちゃんと食べさせないと食えないしさ、マジで世話がやけるんだよ」
「アテナさんだもん、そこは仕方ないわよ」
「しかも?あいつな!先にお風呂入らせて、10分経って出てみれば、あいつの髪型が『スーパーサイヤ人』みたいな髪型になっていたぞ!?」
「どういう髪型よ!?」
「だから俺がちゃんと髪を乾かして、ちゃんと梳かしているんだよ」
「あんた?お兄さんって言うよりも、アテナさんの執事な感じがするけど?」
もしくはアテナのお世話係だった
「まあ、あいつに甘やかされたって言うのもそうだが、どうしても俺の家に今も泊まらせているんだよな〜」
「もうアテナと君が本当の兄妹になってしまうぞ?」
「もうアテナさんには実家としか思ってないんじゃない?明日から『アテナ・グローリィ』じゃなくて、『七海・アテナ』に名前が変わるんじゃない?」
「まるで俺がアテナを養子にしたみたいな言い方やめてくれる藍華?」
「事情はわかったが、そんなに疲れるのか?アテナの世話が?」
「いや、その疲れる理由の原因であって、それが疲れる理由じゃない」
疲れる理由ではなく、その原因の話らしい
では、疲れる理由はなんだろうか
「は?じゃあなんだよ?」
「実はその光景を見たファンとアテナの会社の従業員が俺を変な目で見られるんだ」
実は彼が疲れているのは、体のではなく、精神が疲れているのだ
最近、街の住民はともかく、オレンジプラネットの従業員やアテナのファンに睨まれるような習慣をこの2週間毎日味わったのだ
始まりは、この前オレンジプラネットの会社で、愛人は仕事があったのだが、その時に事情も知らないオレンジプラネットの従業員の前で。アテナにお兄ちゃんって言われているところを見られている
事情も知らない従業員の人から
『嘘!?あの愛人くんに隠し妹!?』
『許さない!よくもウチらのお姉様を!!』
『許さない!!許さない!!七海・愛人は私たちの手で葬る以外無し!!』
『ウチの女神様に手を出した愚か者は・・・・・・血に這いつくばって死んでもらう!!!』
などと、言われており
さすがの愛人もうんざりして、相手するのが面倒だったのだ
彼が疲れているのは、精神的ダメージの疲労だった
「いやいや!!?明らかに変な目じゃなくて、殺意のある目で見られているよね!?」
「とにかく、毎日が地獄な状態なんだよ」
「それは大変だな?それで今日から大人しくしているのか?」
「まあ、少し疲れてはいる。オレンジプラネットのテラフォーマーが何匹も居るからな?」
「遂にそっちの会社の人たちにも『テラフォーマーネタ』使いやがったよこいつ!?」
もう苛ついたのだろうか、ムカつく相手はすべてテラフォーマー扱いする愛人であった
前々から思っていたのだが、ムカつくような相手でもないアリシアや藍華をテラフォーマー扱いするのはなぜだろう
ていうか、そもそもなんでテラフォーマーネタを彼が使うのかわからない
彼はテラフォーマーズが好きなのだろうか
「あ〜〜、あいついい加減自分の会社に帰らないのかな・・・・」
「アテナちゃんも、もういい歳なんだから、いつまでも面倒見てもらうつもりは無いと思うわよ?ただお兄さんのような頼れる人ができたから、嬉しくて遊びに来たんだと思うわよ?」
一番付き合いの長いアリシアだからこそ、言える言葉だった
「そうなのか?お前も兄ができたら甘えるのか?」
「そうね・・・・・・・愛人くんが私のお兄さんになったら、私は甘えん坊になっちゃうわね?」
「二人も妹はいらないぞ?それに俺から見て、お前に妹は似合わないし、ぶっちゃけると母親って感じがするけど?」
母親みたいな性格しているアリシアに、妹というレッテルは似合わなかった
ていうか、想像ができない
あんな美貌な彼女が甘える姿など、ファンからしてはレアな姿かもしれないが、愛人からすれば調子狂う話だった
「よく見ているんだな愛人?アリシアさんのこと?」
暁が、まるで愛人はアリシアのことをわかっているみたいな言い方をした
まだどうやら、愛人とアリシアが腐れ縁という関係とは思えないようだ
「まあな、たった2ヶ月くらいここに居るけど、ここに来てから最近まで、俺、アリシアばっか見ていないような気がするんだよな〜」
「なに!?」
「なんていうかさ・・・・、気づいたらあいつを見ていたっていうかさ・・・・あいつしか見てないって言うか・・・・・ここに来てから俺の目はあいつしか見えていないって言うのかな?あれ?自分でもなにが言いたいのかわからくなった?」
愛人は自分のことなのに、アリシアになにが言いたいのかわからなくなった
でも、それを聞いたみんなには彼がなにが言いたいのか、わかる
「お前?それさ?もしかして?」
アクトはそんな分かってない彼に、言った
「アリシアのこと好きじゃないのか?」
「「「「「!?」」」」」」
「ん?」
そう、彼女しか見てないということは、彼女が好きという好意があるということでは無いだろうか
異性にしか見てないというのは、そういう恋愛面での解釈になる
「アクトさん!!?そんなことアリシアさんの前で言わないで下さい!!」
藍華は焦りながらも、アクトに言う
「いやでも、僕が言わなくても、愛人のあの言葉、誰に聞いても、好意にしか聞こえないじゃない?」
少し遠回しな言い方ではあるが、結局は確かにそういうことにしか聞こえないであろう
得に『彼女しか見ていなかった』って、明らかに彼女に好意がある言い方としか思えない
「おい愛人!!」
「なんだ?」
暁は愛人の肩を再び掴む
アリシアのファンとして聞き捨てならなかった。
「おおおおお、お前!!アリシアさんのこと好きなのか?」
「暁くん!?」
暁の質問にアリシアが恥ずかしくなった。アリシアも最近になって彼の事を異性として見始めたのだから、あまりそういうことを本人の前で言ってもらいたくなかった。
彼女が恥ずかしがるところは珍しい、それだけ彼女も乙女ということであろう
想いを寄せている相手に本人の前で聞くなど、恥ずかしくないはず無い
彼の言った言葉もうれしいというのもあるが、まさか本人の前で言われるとは想像できなかったのか、恥ずかしくてあまり口に出せなかった
でも彼も自分の事をそんな風に見てくれるのは嬉しいのは事実だった
そして暁の質問に愛人は言う
「好きだけど?それがどうかしたのか?」
「「「「「「!?」」」」」」
当たり前のように言った愛人
その言葉にその場にいた者も驚いたし、一番驚いているのはアリシアだった
まさかの自分の望みが的中してしまったのだ。驚かないはずがない
「貴様!!まさか!、つつつつつ、付き合いたいとか、考えているのか!?」
「暁!落ち着け!」
「これが落ち着いていられるか!!俺様たちのアリシアさんに好意を持つ者もいるのだぞ!!なのにこいつは、アリシアさんのことを知り尽くしている上に、お気に入りと言われて、更には今!好きとアリシアさんに告白したのだぞ!!これが落ち着いていられるか!!」
「そうよ!!アクトさん!アリシアさんがこんなダサい男と付き合うなんて!!私は認めません!!」
暁と藍華は、涙目で愛人を睨んだ。
アリシアをバカにしていたこの男に、ファンでもなければ、みんなの憧れな存在
みんなの『水の三大妖精』を
こんなわけのわからない男に奪われるのは嫌だった
しかも、藍華は知っていた。アリシア自身も愛人を異性として見ていたことも、そうなればもう付き合うしか無いという流れになってしまう。
無論愛人はそのことは知らない
藍華はアリシアの愛人に伝える想いをほぼ分かっていてのセリフだった
だが、彼はこの質問に対して
「いや、お前らも好きだろアリシアのこと?」
「「「「え?」」」」
再び彼の言葉に驚かされる灯里たち
もしかして彼は
「愛人?もしかして?お前?友人として『好き』と言ったのか?」
アクトはもしやと思い、彼に質問してみた
結果
「いや、それ以外無いだろ?他になにがある?」
アクトの思っていることが的中した
彼が言った『好き』と言う言葉の意味が恋愛ではなく
あくまで友人としての『好き』だった
その言葉を聞いたアリシアが若干ガッカリした顔し
灯里がほっとしたような安心したような顔していた
無論、藍華と暁もそれを聞いて安心した
どうやら、彼は彼女と付き合いたいとか、そういう恋愛関係は何一つ考えていない様子だった
「さっきからお前ら変だぞ?なにが言いたいんだ?」
「いや・・・・なんでもないんだ?」
「は?そんなふうには見えないけど?」
「本当になんでもないぞ!!愛人!俺様は聞いてみたかっただけだ?」
「聞いてみたい割には、お前?深い意味を感じるけど?」
暁はこれ以上の質問をするのはやめることにした
こいつにアリシアに気がない、それだけわかればもう十分だった。
これ以上の質問すれば今度こそとんでもないことになるだろう
こいつがアリシアのお気に入りなら、こいつがアリシアに対して気があるようなセリフを言えば、アリシアだってその気になってしまう
アリシアはそこまで振り回される存在じゃないはずだが
彼がアリシアに対しての言葉は、すべてその気になってしまうようなセリフになってしまう
それだけは避けるために、これ以上の質問は暁はしないようにした
「なんなんだあいつ?アリシア?あいつはいつもああなのか?」
「え?あ、ああうん、そうね。暁くんはあんな感じだよ?」
「そうか・・・ところでなんかお前?俺と話し方おかしくない?なんか距離感じるけど?」
「そ、そんなことないわよ?」
「?」
彼がアリシアの今の気持ちは理解はできないだろう
彼は鈍感だ
ここまでストレートに言っといて、最後はまさかの空回り
ここまでショックなことないだろう。まるで振られたような感じだ
彼をその気にさたいなら、遠回しな言い方はしない方がいいだろ
男は鈍いとよく言われるが、ここまでわかるような言葉を言っても彼は理解できない
とんだ鈍感野郎である
まあ、アクトはこれでよかったのかもしれないと思っている
アリシアのファンは多い、そんなアリシアに恋人なんてできたら、ファンも大抵泣くだろう
今はまだアリシアに恋愛は早いんじゃないかとアクトは思っている
今はまだアリシアは19歳なのだから、そういう話はまだ先でもいいのではとアクトは思っている
ただ愛人にその気がな無さ過ぎるのは別として、もう少し彼女の気持ちをわかってほしいと思う
愛人もそこまでバカじゃないと思うが
こいつのことだ。もしかしたらそれを考慮して言ったのかもしれない
こいつがアリシアをしっかり見ているのだからそれぐらいは考えているはずだと
でも、アクトはそれでも知りたかった
彼の考えていることやアリシアに対してどんな想いを寄せているのか
実は気になったところもある。初めて彼がこのネオ・ヴェネツィアに来たときから、彼はなぜかアリシアだけをバカにした。
これは灯里や藍華も知っていることだが、このバカにしている理由もこの前藍華からも聞いた
アリシアの大変さを瞬時に理解した。そのうえで彼はアリシアにバカにするようなマネをした
それは、藍華から聞いた話だと、少しはストレス発散のためにバカにしたのだと、少しは吹っ切れてバカにしたあのバカを殴ったり、蹴ったりするなど、アリシアとは思えないような暴力ぷり、誰もそんな姿を見たいとは思わないが、仕事で疲れて息抜きのために殴られたのは知っている
藍華もそれについては思っている。もっと他の方法があるのでは無いかと。バカにして、アリシアを楽しませる方法以外でもあったはず。例えば、どこかのケーキを奢ったりとか、いろいろ女性を楽しませるやり方はあったはず、彼がそれくらいしかできないのだろうか、藍華もこれを考えていた。
でもアクトが考えているのは、別のこと
なんで彼はアリシアだけしか見てないのかだ
さっきも彼はこう言った『気づいたらアリシア』を見ていた
好意があるだけとは思えないような言い方のようにアクトは聞こえた
もっとなにか、別の何か・・・・アリシアに対しての何か別の想いを寄せているかのようにアクトは感じた
今後それがわかる時が来るかどうかはわからないが
それでもアクトは知りたかった
愛人という誰もが驚かされるような、誰も想像のつかないことをしてくれる人
彼のすべてを知りたかった
「もうお前は!!これ以上アリシアさんに近づくな!!」
「近づきたくて、近づいたわけじゃねえよ暁。気づいたらアリシアが俺のところに来たんだって」
「ポニ男!!こうなったら変能よ!!」
「おう!!こうなったらやるしかねえ!!得体の知れない奴だが!!行くぞガチャペン!!!」
「あ、お前も『テラフォーマーズ』読んでんだ?ていうか得体の知れない奴って俺?しかもいつから藍華は薬を使うようになったんだ?」
「落ち着いて下さい暁さん!!藍華ちゃんも!!」
「お前ら電車の中で暴れんなよ?俺たちしかいないから良かったけどさ?他の人がいたら迷惑だぞ?」
「あらあら、うふふふ」
「ぷいにゅ」
「にゃ〜」
「やれやれ・・・」
アクトは彼のすべてを知る時はまだ先だろうと考えている
今はまだ彼のやっていく姿を見届けるのでした