ARC THE LAD -生き残ったもう一人のいにしえの七勇者- 作:妄想プリン
今日の朝の時点で俺たちは各自の目的地へと出発していた。
そして俺はというと
精霊の山に来ていた。
「俺は早速、スメリアを出発して、各地をまわるつもりだったんですけど・・・・。」
旅に出るはずだったのに、なぜかまだスメリアにいることになってしまった元凶に俺は白い目で見つめる。
「だから申し訳ないけど我慢してって言ってるじゃない。」
物凄い棒読みで俺をあしらうワイトさん。俺は島であるスメリアを発つために、バルダさん達と一緒に船に乗るはずだったのだ。しかしワイトさんに強制的に連行されてしまい、船に乗ることはできなくなった。
俺がワイトさんに引きずられていくのに対し、同情の眼差しでおれの方を向いていたバルダさん。
思わず「同情するなら助けをくれ」と俺が叫んでしまったのも無理はない。
精霊の山まで連れて行かれた俺はワイトさんの指示に従って作業を行う。何を行っているかといえば、精霊の山に誰も入ってこれないようにするために結界を張っているのだ。本来なら聖柩を解放してすぐ行うべきであったのだが、モンスターの奇襲やゴーゲンさんの封印などでそれどころではなくなっていたので今行っているのだ。
ついでにアークデーモンの封印も結界と連動させるようだ。
どういうことかというと、
①悪いやつ結界を解除する
②悪いやつ精霊の山に侵入
③結界の崩壊と同時にアークデーモン復活
④悪いやつアークデーモンと戦う
⑤その隙にワイトさんorワイトさんの子孫が結界を復活
⑥悪いやつ結界からはじかれる。結界が復活したことでアークデーモン再び封印される。
ということらしい。俺の分かりやすい理解の仕方にワイトさんは何か残念なものを見る目つきでこちらを向く。・・・・???
とりあえずそういうことなのだがワイトさんはアークデーモンの封印をいじって、アークデーモンに封印を解いたものを殺さないと完全に解放されないようにしている。つまりアークデーモンはワイトさんが宣言していたように永遠に利用され続けるようだ。
ちなみに結界に入ることができるのは結界を張ったワイトさんの血筋か、結界をより強固なものとするために魔力を提供した俺くらいしかいないらしい。
また結界の媒体を先ほどワイトさんが即席で作った社の炎にすることで、結界の管理をしやすくした。つまりこの炎が消えれば結界が解け、炎をつけることで結界が復活する。
「はあ、はあ、はあ。・・・・もう仕事はないですよね?」
散々こき使われ、魔力も結界にささげてしまった俺は息も絶え絶えに確認する。
「そうね。今日は終了よ。」
「良かった。・・・・・今日?」
一瞬聞こえた不吉な単語を俺は聞き逃さなかった
「明日は神殿の封印よ。」
「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」
精霊の山に俺の声が響き渡り、俺の状態を知った山の精霊が涙したとか、してないとか。
ワイトさんは悪魔に違いない。俺みたいなガキをここまでこき使うなんて悪魔と言わずになんて言うんだ。
「私もあなたみたいなかわいげがないやつは、子供とはみとめないわ。」
いつもどおりに心を読んで俺にクリティカルヒットを与えるワイトさん。生まれてからまだ12年しかたっていない俺の体は、決して大柄の体格ではないはずのワイトさんの体の半分の大きさもない。
「話があるわ。」
精霊の山に結界を張った次の日に神殿の封印も行い、再び魔力&体力切れで倒れている俺にワイトさんは話しかけてきた。
「どうしたんですか?突然」
俺は状態だけ起こして話を聞く体制をとる。
「あなたは覚えているかしら?山の精霊が私達の体力や傷をいやしてくれたときに、山の精霊がなんて言ったかを。」
「???・・え・・・と。精霊の力が戻ったとか、そんなんですか?」
正直あんまり覚えていない俺はかすかな記憶を頼りに答える。
「魔の体に異なる魂を持つ魔導師、ソル」
ああ、確かにそんなことを言ってた気がする。・・・あれ?
「あっ!?」
「気付いたようね。」
そう、あの時はスルーしてしまったが改めて考えると明らかにまずい。俺の事情を知っているゴーゲンさんはともかく他の5人に聞かれたらまずかったのだ。
「魔の体・・・。貴方の馬鹿魔力で満ちている体のこととも解釈できるけれども違うわね。だから私がまず考えたのが、あなたがハトと同じモンスターの体を持つ可能性よ。」
やばい。むっちゃ近い。ナメていたつもりはなかったけど、やっぱりこの人は半端ない。というかはたから見たら今の俺は動揺しすぎて、もはや不審人物にしか見えないだろう。
「や、やだなぁ。俺がモンスターだなんて」
「そうね。あなたはモンスターではないのは分かっているわ。あくまで疑っただけよ。」
「そうですよ。もう、びっくりさせないで下さいよ。」
なんとかごまかせそうな空気になったことで俺は安堵の息をつく。
「あなたは魔族。しかも魔界からやってきた正真正銘の魔族ね。」