ARC THE LAD -生き残ったもう一人のいにしえの七勇者-   作:妄想プリン

9 / 11
第九話 ちーとぼでぃ(笑)

前に説明したことがあるが魔界の魔族という種族は、ぶっちゃけるとチート種族である。寿命という概念が存在せず、とんでもない魔力を持ち、肉体的にも最高のスペックを持ち、そして全属性の魔法を使いこなすというのだから否定のしようがない。

 

そして魔界の魔族である俺もとんでもない魔力を持っているのは既に周知の事実だ。そして特に触れていなかったが俺は打たれ強さ七勇者の中でトップクラスを誇る。アークデーモンの戦闘のときに魔導師である俺がワイトさんの盾となれたのは魔族の体補正による恩恵があったからだ。

 

しかし俺が魔族同士で戦闘を行ったとしたら、まず俺は勝つことができない。なぜなら俺は魔族の体を使いこなすことができないからだ。その理由が俺の魂が人間のものであったからか、魔法なんて存在しない世界の魂だからか、それとも他の事情のせいなのかは分からない。少なくとも俺は魔族の中では戦闘のセンスというのが完全に欠如していた。

 

俺が魔界に住んでいたころ中の良かった友達が一人いた。ちなみにあらかじめ言っておくが、魔族は全体数も少なく寿命の関係もあり子供というのがほとんどいない。よって俺に友達が一人しかいなかったのは決してハブられていたというわけではない。その友達は女の子であったが魔族の素質を十分に受け継いでいた。年が近い俺たちは何回か模擬戦を行っていた。しかし肉体を使った直接戦闘では肉体的なスペックではほとんど同じ、いや性別の関係から俺の方がやや上のはずなのに、テクニックの差によって俺はフルボッコ。魔法による勝負ではゴーゲンさんに出会うまで魔法を使用することができなかった俺では話にならなかった。ちなみにその友達の女の子は俺と同じ年齢に関わらず複数の魔法を使いこなし、さらに使用したら相手が死ぬという、それなんていうエターナルフォースブリザード!?という魔法まで習得していた。

 

その女の子は魔族の中でも才能はあったほうなのだが、決して特別な存在というレベルではなかったらしい。つまり俺が弱かったのだ。魔法に関しても本能的なもので自然に使えるようになるはずなのに俺はできなかった。感覚で魔法を使う魔族達は魔法の使い方を教えるなんてことはできない。つまり俺ができるのは体を鍛えて格下相手に物理で殴る、ということぐらいだった。

 

その後いろいろあって地上にきた俺はゴーゲンさんの弟子となり魔法を使用できるようになった。ちなみに1年近くかけてエクスプロージョンを習得した。そして七勇者となってアイツと戦った時点で俺が使えた魔法はエクスプロージョンとキュアと封印魔法だけである。

 

どうやら俺は人間と比べてもセンスが無いらしい。

 

それはともかくもう一つ俺が普通の魔族ではないと証明するものがある。それは俺が回復魔法を使用できるということだ。本来、回復魔法は絶対的な弱者である人間に対して神々が与えたものだ。だから基本的に強者であるモンスターや魔族は回復魔法を使用することはできない。遺跡や神殿に住みつくことで神性を帯びた聖なる魔人のようなモンスターや人間をベースとしたデスプリーストのようなモンスターは回復魔法を使用することができるがやはりそれは例外だ。

 

俺が回復魔法を使えるのは俺が人間の魂を持っているからだと考えている。前にゴーゲンさんが「もしかしたらお主は神々から弱者だと思われているかもしれんのう。」とか言っていたような気もするがそれはスルーの方向で。

 

ちなみに俺は最終的な戦闘スタイルは魔法使いにするつもりはない。魔法使いの戦闘スタイルでは魔族の肉体的な強さを生かしきれないし、今後も一人で旅をするので前衛がいなくても問題ない戦闘スタイルが必要なのだ。

 

いままで俺が魔法だけを鍛えていたのかというと、魔法使いなら敵の攻撃をよけることさえできれば経験不足でも何とかまともな戦いになると判断したからだ。急いで実力を身につける必要が無い今、俺は魔法と同時に接近戦の訓練も行うつもりである。二兎追うもの一兎も得ずというが、時間だけは相当あるのでやれることはやりたいと思う。

 

とりあえず目標は友達の女の子に勝つことだ。過去の模擬戦の結果が全戦全敗というのは勇者の誇りに代えても何とかしなくてはならない(`・ω・´)キリッ

 

七勇者として与えられた精霊の力はまだ残っているし、数々の修羅場をくぐってきた俺は魔界にいた頃とは実力の桁が違う。それでも魔法戦くらいしかできない俺ではまだ彼女には勝てるかどうかはわからない。その魔法戦でも勝てるかどうか分からないのが悲しいところであるが。それと問題はもう一つある。

 

彼女のお父さんは魔族の中でもトップクラスの実力を持っていて、魔王とも呼ばれている。ノルさんみたいな口調や性格だけの似非大魔王と違って本物の魔王だ。魔族の平均身長が2メートルくらいなのに対し、彼女のお父さんは3メートル近い身長を持っていた。その外見からは予想もできないが基本的に自然を愛し魔族の中では珍しく戦いを好まない人であり、厳しくもやさしい人だ。

 

しかし俺は彼がただの温厚な魔族ではないのを知っている。俺が戦闘では決して勝てなかった彼女に対し行った作戦の一つ『G弾連射』で彼女を泣かしてしまい、彼の中の魔王を呼び起してしまったからだ。

 

あの時のことはあまり思い出したくないので置いておくが何を言いたいかというと、卑怯な手段で勝つと親馬鹿が何か言ってくる可能性があるのだ。だから俺が彼女に勝つにはあくまで正々堂々と彼女の実力を上回らなければならないのだ。

 

俺に出来るのは今まで通り魔法の修行を行い、各地のモンスター相手に接近戦の練習を行うことだ。多少はミスもするし、危険もあるだろうがこのちーとぼでぃのおかげで命にかかわるようなことにはならないだろう。

 

それともう一つ。俺はまだ魔族として一人前になっていない。正確には完全に魔族として覚醒していないのだ。魔族は生まれた時は人間との外見での区別は難しい。しかしある程度成長すると、完全な魔族として覚醒する。覚醒すると角と羽根が生え、いかにも魔族ですって感じの外見になる。俺はまだ覚醒することはできない。人間の社会で生きることを考えると覚醒する必要はあまり感じられないが、覚醒すると今のちーとぼでぃ(笑)からホントのチートボディになることができる。もしずっと先の未来でアイツと戦うのならその力は絶対に必要になるはずだ。

 

といっても覚醒の方法なんて良く分からないので、特に俺がどうこうするわけでもない。いつか覚醒しさらなる力を手に入れた時に、力に振り回されないように技術を高めるくらいだ。覚醒の方法はともかく、自分が覚醒した時の姿を思い描く。自分の頭に双角が生え、天使を想像させる純白の羽根。・・・・やばい、完全に厨二病の発想だ。魔法の呪文を思いっきり叫んでいる時点で手遅れかもしれないが、前世の常識がこれはイカンと主張する。とりあえず精神の衛生上、覚醒のことは考えないようにしよう。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。