異世界転生とは、思いも寄らないような出来事である。
「お前は転生者じゃ」
「あ、はい。分かります」
麗しい陽射しと美しき緑と幻想的な虹が架かる青い空が、目の前に広がっている。肌を撫ぜた湿気を含んだ緩い風は、心の緊張を解く暖かさだ。聞こえてくるのは、チュンチュンと耳に優しく和ませる小鳥の囀りと、日本の趣を感じさせる鹿威しのカコンッと響き渡る目も冴える音には、此処が日常的ではないような神聖さを味合わせてくれる。
転生者と言われた男が声のした方を視界に写せば、前に居るのは如何にもな仙人。長く艶やかな白い髭は深い叡智の象徴なのだろう。純白のトーガは神秘を醸し出している。白一色で染め上げられているのは、ウェディングドレスのような汚れなき純潔の意味だろうか。だとしたら、気色悪い限りである。
転生者と言われた男は、この場所の異常性を直ぐに察して、自分が自分で無い感覚と自分が好きだった小説のジャンルと自分が死んだ時の記憶をすり合わせ、現在、自身に起こっていることを推理した。
男の好きだったのは異世界転生というヤング向けのジャンルであり、大した文章力が無くとも、万人受けする材料とそれをうまく扱える構成力さえあれば、どうにかなる様な稚拙なものであった。若いと言えば、皆が頷くだろう。ただ、夢や希望を持ち、カッコ良い自分を妄想する青臭い人間性ではとても面白く感じていたのだ。
かくは言うが、このジャンルは万人の若者に受けはしたのであって、男1人のマイブームなどと小規模な話ではないので悪しからず。
その知識を総動員して出した答えは、この未知は異世界であるということだ。
目の前の祖父さんの言葉で余計に真実味が増し、今の頭の中ではどこの世界に転生したのかという疑問で埋め尽くされており、次点でチートはどうなったのだろうと、よもや、目の前の白い奴の存在は頭から消えていた。
「小僧、お前は仙人になって貰う」
「覇気か? 宝具か? 魔法科ーーー、えっ?」
「いや、仙人の修行をして貰うから」
二次創作物の神から貰えるチートがどんなものなのか夢想していた男に告げられた無慈悲な一言は、今までの有頂天な心持ちを一息に瓦解された。
このジジイ、今俺に仙人になれって言ったよな。
「そうじゃよ」
「心読めんのかよ」
「勿論。仙人じゃからのう」
「ふーん、便利な能力ですね〜」
あれ? でもさっきの気色wーーー、
「いっぺん、地獄を見て来い」
「はっーーー、って! うわあああああああ!」
男が先程、トーガの事で馬鹿にしているのを聞かれていたのだろう、意味不明な事を仙人は抜かす。
仙人の一言の真意が掴めず、問おうとして地面に穴が開く。底が知れない暗闇の穴に転生者と言われた男は呑み込まれた。
ーーーーーーーーーー
「全く酷い話だ」
「サボるな、
「あーれー」
転生者と言われた男は地獄に落とされた後、任期?を終えて、仙人の修行を受けていた。既に半年が経過しており、名前も
今は体術の修行中にのんべんだらりと今までの回想をしていたところを、体術の指導をしてくれている斉天大聖“孫悟空”に見つかり、罰則として何時ものように宇宙へと小旅行を敢行しているわけだ。既に太陽系を100周はしているだろう。帰りは、太陽系外縁天体の領域、オールトの雲の端まで行くと孫悟空が今度は地球に向けて打ち返してくれる。これが体術の修行の主な内容である。いや、勘違いしないで欲しいが、体術の指導なので、実際には組手とかをするのだが、なんにせよ弱すぎる為、宇宙小旅行が修行の基本となっているのだ。何でも、自然と一体化を図る座禅と同じ効果を期待出来るとの事である。
他にも勉学は勿論の事、神通力や俺にあった修行をしている。
俺がどうして、仙人に成るべく修行を課せられたのかは説明を受けた。何でも、それが俺のチートだと。仙人の適性が断トツで高く、それと同じくらいに忍の才能が高いらしいのだ。それに仙人の祖父さん曰く、俺の魂には『NARUTO』と書かれてあったようで、六道仙人に成るべく頑張れと言われた。あ、そですか。
この世界は『NARUTO』なんだなと思っていたら、心を読んだ祖父さんが否定し、『この世界はお前の頭の中で言う【ハイスクールD×D】じゃよ』と言ってきた。あ、そですか。
時代的には、まだ紀元前だと。アホか。『何で俗世の事をそんなに知ってんだよ?』と訊いたら、『いや、仙人だから俗世が嫌いとか言っとったら、徳が低くなるじゃん』との事である。いまいち、情勢を知っている理由にはなってない気もするが、適当なことを言うのが好きな祖父さんであるから、深追いはせず、寧ろ放っておいた。後々、未来が見えると言っていたので、その時にこの謎は氷解した。おそらく俺が原作に関わるのが見えたのではないだろうか。
修行は仙人である祖父さんと同じモノを採用し、毎日の食事は無しである。梨じゃない。無しだ。仏教舐めんなって言われた。梨の妖精は俺を助けてはくれない。祖父さんは得てして鬼畜である。
因みに、この幻想的な場所は地球上に存在している。俺も宇宙から鳥瞰して知った。俺が唯一真実と断ぜられる情報である。名前は理想郷と言い、『ユートピア』でも『アヴァロン』でも適当に呼んでいいと言われたが、祖父さんは俺の頭の中にあったfateのセイバーにご執心らしく、自分でも『アヴァロン』と呼んでいる。言いたいことだらけだが、俺も便乗して『アヴァロン』呼びをしている。
兎角、俺は修行をしているわけであります。地獄と言っても過言では無い修行を。
風景をここに記すこともありとは思うが、それをしていてはいつまで経っても物語が始まりを見ない為、ダイジェストで記すこととする。
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1年目、仙人に片足を突っ込んだ。簡単には、断食一年という短い期間でも絶大な仙人の資質がフルに発動し、たったの一年で半人前の仙人になれた。祖父さんが言うには恐るべき早さだと。そのあとには『ワシは生まれた時からじゃがな』と自慢してきたのはイラっとした。
宙を浮く、霊のような精神生命体を視認する、老いの停止は普通にこなせるようになったが、孫悟空の相手は未だに務まらない。
3年目、普通の仙人なら合格と言われたが、生憎とこのアヴァロンは普通ではない。まだ孫悟空には触れることすら叶わないし、仙人になって初めてわかったジジイの徳の高さというか、オーラの大きさも濃さも深さも漠然とデカイとしか理解できない。オーラを魔力や神威と仮定すると比肩することの出来ない最高の人物であることが分かる。要するに、俺はこのアヴァロンではまだまだひよっこ。ミジンコにも満たない単細胞レベルである。
ただ、仙人であるということは間違いないことだ。体を伸縮自在などの身体操作、精神生命体への接触、魂の波長の視認と一般人が『ありえない』と断じることを出来る。それに伴い、髪の色が抜けていくのはどうかと思う。
5年目、普通の仙人の中でも更に高い高次存在であると言われたが、俺が高次存在なら祖父さんは一体なんだ。仙人である以上は仏教であるため、神とは言わないがガチで仏とかでは無いだろうか。何で閻魔をビビらせてんだ、あのジジイ。まあ、地獄の常連である俺とのんびり酒を飲んでた閻魔が悪いんだけどね。
兎角は、閻魔と仲良くなり、猿を動かす事が出来たことが戦果である。とは言うものも猿は動くだけで攻撃はして来ない。しかし、俺は謎の攻撃で宇宙まで飛んでいくことになる。恐ろしい限りである。
一応は、練丹術の行使、物理法則の超越、圧倒的な肉体強化が肉体改造の結果である。
10年目、漸く忍術が発動できるようになった。いや、10年前から発動自体は出来たのだが、調子乗るからと祖父さんに許可を貰えなかった。
クソジジイであるが、神力の量がある程度は把握出来た。うんまあ、モノホンの神だわ。そうとしか言えない。大き過ぎるし濃密過ぎる。とは言いつつも、クソジジイ呼ばわりも内心で罵倒するのもやめないけど。
猿とは組手と言える程度には打ち合いが出来るようになった。打ち合いができるからと言って優勢で進めることはまだ出来ないけどさ。
他にも梁山泊なるところの豪傑どもが並行して武器の扱いを教えてくれるようにもなった。皆さん、俺よりも遥かに強いです。
10年の間で、仙術は完璧にこなせるようになり、『NARUTO』でいう忍術も少々扱えるようになった。
20年目、あり得ないことを聞いた。このアヴァロンは、精神と時の部屋仕様である事を。つまり、一年が1日なのだ。ふざけてやがる。
だけどまあ、それでいいような悪いような……。という『早よ言えや』と言いたくなる事案は捨て置いて、やっとこのアヴァロンでも一人前になれた。斉天大聖“孫悟空”に如意棒まで使わせて勝つことが出来たし、梁山泊の豪傑にもそれぞれの武術を使って打ち勝つことが出来た。だからと言って、終わりではなかった。悟空も豪傑も口を揃えて『妖術(仙術)は使ってなかったしな』と術ありの修行が始まり、ボコボコにされている。俺は武術に修行で忍術を使うつもりはないので体術だけで戦っている。え? 負けた時の言い訳? ソンナコトハナイデスヨ。
忍術は輪廻眼の開眼も出来たし、使いたい時に使えるようになった。『NARUTO』で出た術は一通り全て出来たし、輪廻眼の人間道や地獄道、外道では命を弄ぶ術も閻魔に許可を貰って、普通に使えるようにしてもらった。それに俺の気分次第で神威で八熱地獄と八寒地獄に飛ばす権利ももらった。それでいいのか、閻魔よ。しかし、未だに祖父さんと肩を並べることが出来た気がしない。何で?
30年目、体術だけで梁山泊の連中に無双するこの頃、サイタマの気持ちが段々と分かって来た。悟空もいつの間にかぶっ飛ばしてたし、もう気にしない。
運命の流転、魂の完全掌握、心の洞察、破壊と創造、これらも出来た。しかし、祖父さんのところまでは至れない。遠過ぎる。
50年目、孫悟空がDBっぽかったけど、久々にガチで殴りあえて楽しかった限りだ。他もDB勢な感じがするのだが、それは俺の気のせいなのだろう。
祖父さんの背中を捉えることができたが、何故か英霊を召喚しようとしている。おいこら、ジジイ。いくらセイバー見たいからって、それはどうかと……。
100年目、そろそろ百日目って書き改めたほうがいいのか?
DBっぽい連中に無双するこの頃では新しい居候にホッコリしている。腹ペコ王はガンガンご飯を食べている。ジジイも愛玩動物を眺めるように暖かい眼差しである。恐らく、一生この地から動くことは無いのではないだろうか、この王様は。食糧は、勿論の事、俺は食する事はないが、ジジイは普通に食べていた。なんやこいつと思ったら、『自分で創造したんだから大丈夫』と抜かした。確かに、『生きる』が目的でなく、『食べられる』ことが創造された意味なら、食べてあげることこそ最高の礼儀だろうと、今までの学習から答えを弾き出し、黙って、修行に戻った。
200年目、DMのカードの化け物に無双するこの頃、『俺は一体何をしてるんだろう』と考えた時に『無』を自覚した。それと同時に祖父さんに一歩、近づけた。
えー、と文句も一息で終わりにして、今日も今日とて食事しかしない王様を眺めているジジイにイラっとしながら、閻魔の仕事を手伝う。何でも、民族同士で殺し合いがあったり、疫病が流行ったりで多くの人死にが出て、てんてこ舞いしている。紀元前と言うのは……と嘆きながら、これがどうやったら魔法使えるようになるんだと本気で疑問に思う。
俺には関係ないとぶった切って、閻魔と仕事の終わりに乾杯。酒だけ煽って、帰途に着いた。ジジイはまだ王様に餌付けをしていた。
300年目、無を完全に理解した。長かったが、祖父さんと並び立つことがようやく出来た。感無量だ。けれども、祖父さんは嬉しそうに俺を褒めてくれた。『わしを超える日もそう遠くはないじゃろうな』と言った祖父さんに越えてやると言ったところで、腹ペコ王がお代わりをご所望である。あのさ、こいつもう返せよ。食べるだけの無駄飯食いじゃねえか。そう言うと、頬に食べ物を含んだままの腹ペコ王は上目遣いで『まだ食べたい』の一心で俺を見つめてきた。可愛いけど、迷惑だ。
祖父さんは笑ってて、よく分かんねえ。
365年目、色々と小細工と『無の極致』である【虚無】の完全掌握を済ますと、祖父さんは微笑みながら自分の名前を俺にくれて、消えていった。あっさり消えたな、あのジジイ。そんで俺の名前は、釈迦だってよ。
……
…………
………………
「うおいっ!」
「ほうひまひた⁉︎」
「口の中のご飯はごっくんしてから喋りなさい」
「ほうはいひました。もぐもぐもぐもぐ……」
おい、飯を詰め込んでたらいつまで経っても喋れないでしょーが。
つーか、ジジイ! お前はマジで仏なのかよ!
え? ていうか名前ってあげるって雰囲気で渡していいものなのか? だいたい、襲名制だったのか? いやいや、まだ紀元前ってことはまだ俺が二代目ってぐらいが妥当じゃね?
えーーーーーー、要らねえええ。
後ろでガツガツと茶碗を傾けている腹ペコへ分割していた意識を全て、これからの俺の行動方針を定めるために集中する。
ハイスクールD×Dとは、『チートをやっつけるには努力じゃないよ、気合いだよ』的な取り敢えず、やる気ガン上げで身体能力爆上げみたいなノリでインフレする話だ。
ぶっちゃけ言えば、全く負ける気もしなければ、このアヴァロンへ入ることもできないグレートレッドなる雑魚よりも孫悟空の方が遥かに強かったんじゃないだろうか。如何でもいいけど。
んー、手加減用に神器でも造っとこうかなー?
「セイバー、宝具造っても問題ないよな?」
「もんはいないへふよ」
「ありがとう。ほれ、お代わりだ」
「ありがとうございまふっ!」
無いはずの尻尾をフリフリしているのを幻視できるセイバーにお肉のお代わりを出しながら、俺は神器の構想を固めた。
固め終わった神器を顕現させる。と言っても、虚空に手を翳して、固めた構想通りに創造するだけ。
創った物は五つ。それぞれが
『武具』という概念を内包した剣、【
『次元』という概念を内包した宝庫、【
『力』という概念を内包した懐中時計、【
『自然』という概念を内包した鞘、【
『概念』を内包した指輪、【
「厨二、ですね」
「うん、何でこういう時はしっかり飲み込んで喋るのか聞きたいな」
「おはわりふだはい」
「質問に答えて欲しかったな。……はいよ」
「はひがほうほはいまふ」
セイバーはあいも変わらずに食べ続けている。帝はやれやれと頭を振りながらも、オムレツの追加を皿に乗せる。
目を輝かせてスプーンでオムレツを掬って食べるセイバーの様子はとても可愛らしい。
帝は自分があのジジイと同じことをしていると気づくまで、元気よく肉を口に運んで頬をいっぱいに頬張る腹ペコ王を眺めていた。
ーーーーーーーーーー
今思ったが、仏教という神話体系などないだろう。
大体だ、仏教は無神論である。だが、自身に試練を課し、霊格を高め続け、無の境地に至り悟りを開いた者たちを仙人と言う。
ならば、仙人とは神をも超える存在ではないだろうか。神は近親相姦が好きな変態集団であるが、仙人は違う。賢者である。家族に手を出さねば自身の尊厳を保てなかった落伍者とは違う。自ら進んで純潔を守り通し、俗世との乖離をはかった大物たちであるのだ。
それはともかくとしても、俺の力なら俗世から感じる神程度の存在に負けはしないし、領域が圧倒的に違い過ぎる。地獄まで連れて行くことができる釈迦は最強である。そうだ、天上天下唯我独尊なのだ。それに、俺は忍術という名目もあって地獄の大物達とはコンタクトをとっている。殆どを修行という建前の元で軍門に下している。まあ、本当は輪廻眼の能力で、仕事増やす可能性が高いから、その代わりとして閻魔から出された条件なんだけどな。
兎角、原作に関わってもある程度、いや、すべての事態を切り抜けられはする。ああ、勿論のこと原作に関わるつもりです。『何で異世界に来たの?』って話になりますよ。それに私は煩悩やらは押さえ込んでいますけど、美少女を見たいっていう欲望ぐらいはあります。当たり前でしょう、神になってるわけじゃないんだから。言うなれば、『神じゃないけどアホ強い人』という認識である。具体例としてサイタマ先生の名前を挙げて、この話は終わりにしよう。
そんで原作ブレイクはするかもしれない。面白ければ、だけどね? 弱いくせに粋がってる連中は好きじゃないし、『如何して、俺は弱いんだ……!』なんて縮こまって悩むような馬鹿どもは、即刻鉄拳制裁である。うじうじしてるのは嫌いだ。
まあ、それもこれもまずは学校の建設をしないといけないんだけどな。
あ、いや待てよ。この場所は原作と関係のない場所だ。だったら、俺が今の世界に関わりを持たなければ、勝手に原作は始まるんじゃなかろうか? 見える未来の感じだとその通りだ。
ふむ、それだと今から凡そ、73万年はじーっとしてなきゃならないわけだ。
……。
「暇だな」
「ほはわひふだはい」
「ほれ、お代わりだ」
礼もせずにひたすら飯にがっついていくセイバー。今思ったんだけど、こいつはジジイのことをどう思っていたんだろうか。……ニートで言う『言ったわけでもないけど飯を作ってくれる都合のいいオカン』みたいな感じなのだろうか? ジジイザマァ。
それはいい。ジジイの存在意義は俺を見出してくれたことだけだし。
さて、準備でもするか? そう言えば、なんちゃらゲームに悪魔の駒がどーのこーのじゃなかったか?
うむ、地獄で手下の奴らから見繕ってくるか。
「うんじゃあ。創造〜」
ーーーーーーーーーー
結果として、女王以外は全駒、埋まった。
しかし、女王はなんらかのプロテクトがあるようで、決める事が不可能だった。いや、地獄の連中で俺のお眼鏡に叶う奴なんて存在しないんだけどね。
あとわかった事がある。ジジイも俺も強過ぎる。それもそうだ、常時、輪廻写輪眼の上に、NARUTOでも描写されなかったようなもの凄え覇気を纏った仙術チャクラに、悟空にぶっ飛ばされすぎた事で掌握してしまった宇宙。虚無の領域。
俺には忍術と仙術の適性しかなかったとはいえ、強過ぎると思う。なのでー、輪廻写輪眼と転生眼は通常の目に調節して、仙術チャクラもカット、宇宙とかは波旬に教えてもらった通りにチョチョイと。虚無は【理想郷】に隔離する。最後に【究極根源】で強さを大幅に下方調節。余った時間はやっぱり修行をするかね。
そうだ! 駒王学園に行った瞬間に最低限の知識以外の記憶が消えるようにも設定しておこう。何が起こるか知ってる癖に、これから起きることが分かりませんって顔は嫌だしね。うんじゃあ、ダンブルドアよろしく、ほいっとな。
「おお、英霊クラスの力に落ちましたね、マスター」
「やっと飯から目を離してくれたか」
「いえ、いはのははんほはくはのへ」
「……あっそう」
うん、もういいよぉ!
よし、そうと決まれば、不貞寝じゃああああああああ!
ーーーーーーーーーー
俺は地球に舞い降りた。セイバーは理想郷で飯を食わせている。恐らくは三ツ星料理をたくさん食べていることだろうと思う。『ブリテンの料理がゴミのようだ!』との発言も頂いたくらいであるからね。セイバーはもう会うことも少なくなるし、70万年も側にいた気がするけど、飯を食ってる印象しか無いので、気にするだけ無駄だろう。
戸籍は手に入れた。
家は少し大きめの家を購入した。一原作でヒロイン勢を家に居候させる一誠と同じ感じだ。やましい気持ちは沢山あるが、そこは仙人。出来ればいいなくらいの気持ちだ。修行の身であったから、挑戦心と向上心は消してはいけないと夢見る精神年齢を保ってきた。だから、俺の年齢的にロリコンとかの話題が上がることはないが、あまり狙って落としたいわけではないので、惚れてくれた女性には手を出すかも? という受け身の姿勢でいくつもりだ。
交通手段は徒歩だ。そういう位置に家を買った。歩いて、15分と言ったところだ。車でもよかったが、カッコつけているいけ好かない奴になりそうなのでやめておいた。リムジンとか乗って来る奴が居たら、俺はぶん殴るね。
学年はグレモリーと一緒になるように入学する。勿論、勉強は出来る。完全記憶能力は完備している。目指すは首席入学である。
お金の入手手段は色々ある。閻魔との遊びにジジイから仕込まれた芸まで、仙人を遥かに超えた男の芸だ。どんな万人にも必ずウケるはずだ。
と言うわけで、試験を受けに行ってきます。
え? まだ受けてなかったのか? そりゃ当たり前でしょうに。もう受けてんなら、主席合格しましたって報告してるよ。
じゃあね、行ってくる。
ーーーーーーーーーー
その日は怒涛の1日だった。
たかが入学試験、されど入学試験。第一志望という名の夢に努力をし続け、有限である時間を勉学に費やして、夢のために頭に知識を詰め込み続けた者たちの戦場。
それはもうエゲツないものであるのは間違いない。
人よりも良い点数を取るために、用意してきた硬貨を紐で吊り下げて、ブラブラと揺らしながら無二の友人に暗示をかける。
相手の点数をより低くするために、用意された食事に下剤を仕込み、トイレットペーパーを回収しておく。
絶対に受かる為に、公衆電話から勝手な欠席連絡をして、倍率が下がるように工作する。
様々な思いが交錯する入学試験。落ちれば、地獄。受かれば、
それを考えれば、確かに入学試験とは台風かも知れない、嵐かも知れない、ハリケーンかも知れない。
しかし、その日は静寂に満ちていた。
紅蓮の髪を靡かせ、我が道を行くように歩む少女の美しきことは女神の如く。神が造ったと賞賛していいほど整った顔立ちに、拘り抜いた抜群のプロポーションは男達を前屈みにさせる魔力がある。
濡羽の髪は絹糸のように嫋やかに風に揺れ、凛とした面差しで楚々と歩く少女には道を譲ってしまう魅力がある。大和撫子の形容が一番相応しい少女を目にすれば、老若男女を問わず起こる胸の高鳴りは必然の物だろう。
この二人は入学前から、入学すると目されていた者たちであり、華麗な様には口を噤むのも仕方ないことだろう。
しかし、しかしだ。実際の原因は彼女ら如きではない。
彼女らが通用するのは、俗世の人間や悪魔、天使、堕天使共だけであり、1人の男には通用がしなかった。
そして、その男がこの静謐な雰囲気の原因であった。
男の深雪と見紛うばかり真っ白な髪は透き通っているように綺麗で、それだけでも心臓の高鳴りがやまない。
背丈も日本人の平均身長よりも遥かに大きく、185センチはある。体格は正しく人類が追い求めた究極形であり、その時点で彼を目にした少年少女らは時を忘れてしまう。
神の存在意義が無くなるが如き眉目清秀な顔は、女性とみれば絶世傾国の美女と賛美され、男性とみれば史上最美の稀代の美男子と名を馳せる事だろう。中性的な顔立ちだが、その美しさは中途半端などではない、語るに惜しい美しさである。
その意思の強い眼差しに捕らえられた少女は、彼が過ぎ去った後で倒れ伏し、ドキドキの余り呼吸困難で心臓が止まり、その対応にAEDを使用された程だ。
彼が動けば、備え付けのAEDが無くなってしまい、救急車のサイレン音が鳴り止むことがなかった。
試験中も同じだった。教師一同は彼の前で無様は晒せないと肩肘を張っていると、彼がそれを見かねて声をかける。
その声の美しさは麻薬。何度も何度も聴きたくなる程の美声。涼やかで情熱的、軽めだがずっしりと重みがあるという矛盾を体現していて、聞くたびに頭が真っ白になっていき、それと同時に至極の幸福感が襲ってくる。そのあまりの衝撃に、耐性のない彼らは事切れた。
教師がバタッと音を立てて倒れたことによって、その音を聞きつけた隣の教室で試験を受けていた大和撫子と女神は、しんと静まり返っていて、最高の美を体現した男のいる教室に入って来るが、男を目撃した少女らは共に頬を赤く染め、オーバーヒートしたようにガクガクとしてしまう。
その様子を流し目で見た男は「大丈夫。君らのような綺麗な女の子に手をわずわらせることはしないよ」と言った。
流し目の時点で彼女らは既に男に心を惹かれてしまい、声を聞いた時には完全に落ちてしまい、今にも襲いかかろうとしている自分の衝動を、ばくばくと煩い心臓の鼓動を幸せな気持ちで押し込めるのに必死だった。
ただし、使命まで忘れる少女らではなく、倒れた受験生たちの対応はきちんと済ませた。その途中で「変わるよ」と言った男に見惚れてしまい、かなりの時間を消費したが。
そんな出来事が何度も何度も繰り返された時には、少女らと男は友人同士になり、少女らは喜色満面で喜ぶ傍で男は微笑んでいた。まあ、見えないところで凌ぎを削る乙女の闘争も過激化するだろうことは目に見えているが。
そうして、この日の出来事を、『神の舞い降りた日』として学園の歴史に残った。
因みに、赤髪の少女、リアス・グレモリーが入学時の学年次席、黒髪の少女、姫島朱乃が学年三位である。男、晴雷帝はぶっちぎりの学年主席であり、数学の新しい理論の発見と作文の感動的短編には後日、呼び出されて話し合った結果、数学の新しい理論は学会に発表されることが決まり、作文も教育委員会に提出して、高校生の最高例として来年度には教科書に載ることが決定した。
さらに因みに、赤髪の少女は物凄い剣幕で兄に詰め寄り、入学試験の時に出会った男、帝にこれ以上女子が恋心を抱かないように、大規模なマインドコントロールの魔術を使った模様である。理由は言わずもがなだ。
更に更に、男は『駒王学園に来た時点』で記憶をなくしているので、少女らに見せた仕草は素である。
原作の記憶は失ったものの、それを補って余りある能力を持った帝の前日譚はこれにて終了である。
正史を狂わせ進んだ先に何があるのか。
それは誰も知る由のないことである。
続けたいけど、書くのが難しい……!
割と長めにいきたいのです。そして、字数も多めでいきたいのです。そ更に、面白くしたいのです。
作者は『NARUTO』大好き。厨二最高! ひょほおおおおお!